525 : 土御門「幻想少年!!!」 1/7[] - 2010/06/07 22:36:43.80 hTS9p6Io 1/8

※関連(>>154の続き)
土御門「幻想少年!!」

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『毎度ありー。……ところで、ねーちんはもうプレイしてくれたのかにゃー?』

「す、するわけないでしょう!?」

『えー、日頃頑張ってるからよしみでタダで差し上げたのにかにゃー? はぁ……、ねーちんにだけは特別に丸秘攻略情報とかも
 教えちゃったりしようかなーとか思ってたのに、がっかりだぜい……』

「……ッ!? (丸秘攻略情報!?)」

『あーんなイベントやこーんなイベントも自由自在、ベストエンディングへの条件なんかも――』

「か、関係ありません!!」

『カミやんもねーちんにはプレイしてもらえなかったって知ったらきっとがっかりすんだろうにゃー』

「関係ありませんから……ッ!!!!」

そう言って強引に話を打ち切り、神裂は受話器を置いた。
そしてまた溜息を吐く、数日前とは違う理由で。

「くぅっ……!!」

次に天井を仰ぎ見て、割と本気で自分の不器用さを倦んだ。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-5冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1275661269/
526 : 土御門「幻想少年!!!」 2/7[] - 2010/06/07 22:39:01.39 hTS9p6Io 2/8



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一方、学園都市。

「インデックス! 今夜は豪華に焼肉だ!!」

「とうま? 何を言ってるの、今日は四月一日じゃないんだよ?」

「…………ちょっとした臨時収入があってな、つっても一万くらいだが。いや、あれで一万円も儲けりゃ上出来すぎるか」

「???」

「ともかく出発だ!」

「!!! わーい!!」

527 : 土御門「幻想少年!!!」 3/7[] - 2010/06/07 22:41:26.74 hTS9p6Io 3/8



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発売から四日後。

常盤台中学寮。御坂、白井の部屋。

【上条当麻】
『ああ、俺と美琴は最高の親友(パートナー)だ!』

彼の笑顔とともに流れるエンドロール。ベッドの上で寝転びながら、最終イベントまでの感動の物語(シナリオ)と、ゲームを
クリアした余韻に浸りつつも、御坂美琴は少しだけ悔しがっていた。なぜなら……。

(友情エンド一位、ベストパートナー……)

このエンディングのタイトルのせいで。

この四日間、日中はほぼ全ての時間をこのゲームに充ててきた(ちなみに真夜中になるとゲーム内上条は眠ってしまうため
徹夜などは出来ない作りになっている)。プレイ時間も凄いことになっている。

様々なイベントに、選択肢が出るたびに、苦心し、悩み、恥ずかしがり、嬉しくなっては上条当麻らしい反応をされ乙女心を
凹まされたりなんかしてこのゲームを楽しんできた。

全力で最後まで楽しんだ。だが。だからこそ。

(友情エンド……ってことは……、あるのよね、愛情エンドが……!)

エンディングも終わり、またタイトル画面に戻ってきた。そこでふと気付く。白銀色の星印が左上に出現しているのだ。
やはり。そう思うと彼女の中で何かが熱くなり始めた。

「銀……、そうよね。もう一周、……挑戦してやろうじゃない!!」

学園都市第三位、彼女もまたどっぷり嵌ってた。

528 : 土御門「幻想少年!!!」 4/7[] - 2010/06/07 22:44:34.37 hTS9p6Io 4/8


(まずは一週目のどの選択肢がいけなかったのか考える必要があるわね……。それから隠しパラメータ……。一番初めの
 チュートリアルにもあったシナリオ分岐ってやつ、その条件……。でもダメだっ! こんなこと一々確かめるには情報が
 足りない……!)

数字のパズルのようなゲームなら、高い演算能力で簡単に解かれてしまっただろう、しかしこのシミュレーションは少し趣が違う。
ふーむ……。と考え、彼女は愛用している携帯端末を手に取る。もしかしたら……。

(望みは薄いかもしれないけど。多分そこそこの数が出回ってるんだから同じ悩みを抱えてる人はいるはず、行き着くのは……)


とある電子掲示板である。学園都市の流行、噂、話題や個人のどうでもいいニュースまで集まるここなら。

(……あった!! 『幻想少年って知ってるか?』!)

一つのスレッドを見つけ出した。作成されてから日が浅く、また局地的なネタのせいかあまり書き込まれていない、内容を追うのは
すぐに済んだ。書き込んでるのは十数人ほどで、その内クリアまでに達しているのはまだ二人。

(まぁ、当たり前なんだけどね……)

そう思うとちょっとだけここ数日の自分が恥ずかしくなったがそんなことはどうだっていい。
どうやら一人は友情エンド第三位、もう一人は愛情エンドで第三位だったらしく。何となく勝った気分になる。

(愛情エンド……やっぱし……。う~ん、知らないイベントの話も出てるけど、もう少しクリアする人が増えてきてからじゃないと
 参考にならないわね……。とりあえず……)

『誘拐イベントは負けた方が好感度上がりやすい?』
『多分。あと私は相思相愛モードで始めたから――』

(……二週目は相思相愛モードよ!!)

愛情エンド一位を目指し、彼女もここに書き込みを始めた。

529 : 土御門「幻想少年!!!」 5/7[] - 2010/06/07 22:47:32.84 hTS9p6Io 5/8



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戻って発売日から二日目のとある病院。

「これは一体どういうことですか? とミサカは少々狼狽しながら問いかけます……」

ここに預かられている四人のミサカの内の一人が検査から戻ってくると、十人以上のミサカたちが、一台のゲーム機を持っている
ミサカを取り囲んでいた。


購入前の熾烈な論議の決着。それは〝全ミサカに対し記憶の共有を頻繁に行う〟こと、また〝ミサカネットワークを用い可能な
かぎりの多数決を取り選択肢を決める〟こと。 妹達という特殊な彼女達だからこそ出来る方法ではあったが……。


「有体に言ってしまえば、ずるい、とミサカは他のミサカたちの思いを代弁させてもらいます」

「現実的に考えて、この案が最も優良であることは否定しません、とミサカはまず前回の決定に非があるのではないということを
 述べます」

「しかし、全てのミサカが大多数の意思として決められた選択肢に納得しているわけではありません! とミサカはこの案に対する
 問題点について申させていただきます!」

「ですが、我々の資金ではこの一台を購入するのが精一杯であり、また新たに購入するに当たってこれ以上関係者に迷惑をかける
 ことは……、とミサカはミサカたちの現状について再度確認を行います……」

530 : 土御門「幻想少年!!!」 6/7[] - 2010/06/07 22:49:35.69 hTS9p6Io 6/8


ゲームのプレイはここにいる四人が時間を決めて交代で操作していた。


「そんなことはわかっています、とミサカは~」

「本日ここに集まったミサカたちは何もクーデターを起こしに来たのではありません、とミサカは~」

「もちろんミサカネットワークで採られた決定に従い、それを覆したりはしません、とミサカは~」

「??? では一体何のために集まったのでしょうか? とミサカは~」

「…………………………」

気まずいような少しの沈黙に空気が張り詰めていく。そして、「つまりは……」今日集まったミサカの一人が呟くと一斉に。


「「「「「ミサカにも遊ばせろ!! とミサカはもう我慢の限界を叫びます!!!」」」」」


「……何やっているんですかね、あれ?」

「ゲームを取り合ってるように見えるけど?」




「良い事じゃないか、人間的で」

531 : 土御門「幻想少年!!!」 7/7[] - 2010/06/07 22:51:38.78 hTS9p6Io 7/8



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発売から一週間も過ぎた月曜日。

とある高校、あるクラス。

ここの学校の女子生徒の間では最近、昼休みを使って密かに幻想少年の情報交換が流行り始めた。

その日の昼休みもそうだったのだが、何やら他のクラスの女子までもが混ざり集まり、この教室の四分の一を占拠するほどの
いつもより大きな輪が出来ている。
大体がお弁当を、その下に幻想少年を隠して、持ち寄って。

休み明け、だから。休日の間にどれだけ進んだか? クリアした人はどのエンディングだったか? しかし話題の中心は違う。

「私にも見せて!」「うそっ! なんで私よりプレイ時間少ないのに!!」「ねぇ、どうやったの!?」

座った順で回しながら女子達は確認していく。一機の幻想少年のタイトル画面に浮かぶ、金色(こんじき)の一等星をである。
その女子達の視線を、注目を浴びる長く美しい黒髪の和風な少女……。


「………………。ちょっと緊張するかも」


姫神秋沙だっ!!!

532 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/06/07 22:55:13.78 hTS9p6Io 8/8


続く!! かもしれん!!

付けたしまくったせいで、ちょっとつぎはぎっぽくなったかな

遅れたけど禁書二期ヒャッハー!

失礼しやした