405 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/06/13 20:41:00.31 tomrCNk0 1/13

みなさん乙です。

ちょっと投下します。たぶん12レスくらいになる。
小ネタスレの妄言を引き伸ばしてみましたん。
通行止め、記憶障害、シリアス。黄泉川家しか出てきません。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-6冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276186522/
406 : 忘却の空 1/12[sage saga] - 2010/06/13 20:42:00.69 tomrCNk0 2/13





 目が覚めたかい?


そう言って俺を覗き込んだのは初老の医者だった。
見覚えは無い。


 今日の昼食はあなたの好きなお肉ですよ。


そう言ってプレートを差し出したのは薄桃色の看護衣を身に纏った看護師だった。
見覚えは無い。


 おっはよー! ってミサカはミサカはもうお昼だけど朝のご挨拶ー!


そう言って病室に飛び込んできたのは小さな少女だった。
見覚えは――ある。


 …打ち止め?


確かそんなような名前だったはずだ。
コイツはウイルスに侵されて、死にかけていたのではなかったか。
そういえばあの騒動はどうなったのだろう。


 そうだよー! ミサカは打ち止め、あなたのお嫁さ…いたっ!

 こら、打ち止め。嘘はついちゃだめじゃん。

 …なンだ、オマエ?


狭い病室に人間が増えて行く。
医者。看護師。子供。女。
見覚えがあるのは、このキンキンと高い声ではしゃぐ小さな子供だけ――。


 …誰だ、オマエ?


一瞬表情を歪めた女が、俺のベッドの枕元を指さした。
そちらに視線を遣る。にっきちょう、と書かれた小学生向けの薄っぺらいノートが置いてあった。

407 : 忘却の空 2/12[sage saga] - 2010/06/13 20:42:33.30 tomrCNk0 3/13

ページをめくる。




―――9月7日
脳に障害があるらしい。
昨日のことを何も覚えていられないと言われた。


―――9月8日
昨日日記書いたらしいけど俺覚えてねーし。意味あんのかこれ


―――9月9日
三日目か。もっと経ってんのか?よくわかんねーけどどうでもいい。
支障といえば知らねー人間が俺のこと知ったようなクチ聞くことくらいか。


―――9月10日
ガキがうるせえ。
昨日の日記を読んだが全く同じことを書こうとしてた。やっぱ意味ねーだろこれ




 …なンだこれ

 お前が書いた日記じゃんよ。まだ今日で五日目だけどな

 あなたの字ってとっても綺麗ね、ってミサカはミサカは感心してみたり。もっとたくさん書いて欲しいなーってミサカはミサカは希望を述べてみる!
 そして出来たらミサカ達のことも書いて欲しいんだけど、ってミサカはミサカは不機嫌そうなアナタにさらなる要望を…

 うるせェガキ

 ひ、酷い!ってミサカはミサカは嘘泣きモード!!ぐすんぐすん


子供が嘘泣きと公言しながらベソをかいている。うるさい。
昨日のことを覚えていられないってのはどういうことだ?
こいつらは俺の事を知っているのに、俺はこいつらのことを知らない。そういうことか?



 とりあえず、今日で退院ってことになってるから。アンタは今晩から、私の家で暮らすじゃん。

 …はァ? 意味がわっかンねェぞ

 ミサカとヨミカワとヨシカワと一緒に、4人で暮らすんだよ! ってミサカはミサカは補足説明を加えてみる!

408 : 忘却の空 3/12[sage saga] - 2010/06/13 20:43:02.38 tomrCNk0 4/13


 ヨシカワってのは…芳川桔梗かァ? ヨミカワってのは?

 私じゃん。黄泉川愛穂。よろしくじゃん?



黄泉川愛穂と名乗った女は、快活に笑って挨拶をした。
このやりとりも、きっと繰り返されたものなんだろう、と予想する。
俺の記憶は8月31日までしかない。今日は9月11日らしいので、その間の10日間がすっぽりと抜け落ちているようだ。
能力が使えなくなったことについて説明を受け、杖の使い方を練習する。
これといって体調に異常は無かったが、自分の価値がなくなったようでひどく不愉快だった。
練習中、すこし離れた場所で、子供が悲しそうな顔をしていたのも、不愉快だと思った。

女にマンションに連れて行かれる。
医者に笑顔で見送られ、薬の束をいくつも渡された。精神安定剤、とか言っていたが、どうせただの睡眠導入剤だろう。
見知らぬ女について行くことに不安はあったが、退院だと病院を追い出されてしまえば行くところはない。
自分の寮に帰っても良かったが、あそこはたしか壊滅状態だったはずだ。いまから片付けるなんて面倒なことはしたくない。
それに、どうやらこの女と一緒に暮らすことは連中の中ではすでに決定事項のようだ。

その日の晩、日記に「黄泉川愛穂と芳川桔梗と打ち止めと暮らすことになった。面倒」と書き込んだ。

409 : 忘却の空 4/12[sage saga] - 2010/06/13 20:43:32.12 tomrCNk0 5/13





 おはよう!


そう言って俺を覗き込んだのは一人の少女だった。
重力に逆らうようにくるくると動く、ピンと立った毛束は、アホ毛と呼んで差し障りないだろう。


 まだ居たのかオマエ

 ? 何のこと? ってミサカはミサカは首を傾げてみる


何のことも何も、とっとと出ていっていると思っていた――、 そこまで思考して、あれ、と思う。
景色が違う。自分の部屋とは空気も、置いてあるモノもまったく違う。
背筋に悪寒が走り抜けた。


 どこだ、ここはァ?!

 ここはヨミカワのマンションだよってミサカはミサカは説明してみる!


思わず声を荒げた俺を、ニコニコと笑ったまま子供はいなした。
ヨミカワ? 誰だ、それは。
なんでお前は当たり前のように俺のそばにいるんだ。
そもそもお前はウイルスだかなんだかに侵されていて、ヤバかったんじゃなかったのか?


 意味がわからねェ。 俺は帰る

 ここがアナタのおうちだよ? ってミサカはミサカはアナタを引き止めてみたり!


子供の手が俺の腕をつかんだ。
どういうことだ? 何故反射が効かない。 そういえば、体がベタベタしているように感じる。 ――汗をかいている?


 色々と説明するから、とりあえずそのままで聞いて欲しいなってミサカはミサカはアナタに座るよう促してみる。


いやに手馴れた様子で俺をベッドに押し戻し、子供はがたんがたんと重たそうに椅子を引きずってきた。
すとんと腰掛けて、一呼吸置くとつらつらと話しだした。
荒唐無稽なお笑い話を。

410 : 忘却の空 5/12[sage saga] - 2010/06/13 20:43:59.94 tomrCNk0 6/13


 はァン? 俺がオマエを助けよォとして、ドジって脳に風穴開いて、マトモじゃなくなっちまった、ってのか?

 大雑把にまとめるとそんな感じだよ、ってミサカはミサカは首肯してみる。 それで今はアナタはこのマンションに住んでるの。
 同居人はミサカを含めて3人。 みんな女の人だけど、手をだすのはNGなんだからってミサカはミサカは釘を差してみたり!

 そっちはどォでもいいが… 確かに能力は使えてねェみてェだな…

 アナタはここに来てもう二週間も経っているから、一応色々揃っているので不自由は無いはずだよってミサカはミサカはフォローしてみる。
 あとあと、アナタのご飯の席は右から二番目で、歯ブラシは赤色だからね!
 アナタの瞳の色と同じなんだから、ってミサカはミサカは由来を説明しつつ、ミサカのも赤色なんだよ子供用の小さいのだけどってニマニマしながら、

 あーあーちったァ静かにできねェのかオマエはよォ?


うざったい子供のぴょこぴょこと動く毛束をぎゅっと引っ張ってやった。
途端に悲鳴が聞こえるが、無視。
それよりも二週間というのが気になる、今は一体何月何日なんだ?
部屋を見回すと壁に掛けられた大きめのカレンダーを見つけた。
何か、びっしりと書き込まれている。
近づいて読もうとして、かくりと両足から力が抜けた。立てない。


 あ、これは言い忘れていたんだけど、ってミサカはミサカは前置きしつつ、アナタは今健常者に必要な演算能力が一般人以下なので身体のバランスが取れなくなっているの、ってミサカはミサカはアナタに杖を渡してみる


バランスが取れなくなっている、と言われて納得した。確かに、自分の意思だけではまっすぐ立って居られない。
思ったよりもよっぽど面倒なことになっているらしい。
子供の細い手から、現代的なデザインの杖をひったくるように受け取った。
無理矢理体重を分散させて、ほとんど伝い歩きに近いような方法でカレンダーまで移動する。
そこにあったのは、幼い子供が必死で書いたであろう小さな想いの集合体だった。

その日の晩、日記に「記憶を保っていられないってのは本当らしい。ガキが辛そうにこっちを見てくるのがうぜぇ」と書き込んだ。


411 : 忘却の空 6/12[sage saga] - 2010/06/13 20:44:28.13 tomrCNk0 7/13




 おはようじゃん。起きるじゃ~ん!


そう言って俺の布団をひっぺがしたのは、巨乳に黒髪の女だった。
見覚えは無い。
一気に覚醒する。


 だ、れだオマエはァ!? どっから入った、ってかどうやって俺を起こしやがったッ!?

 どうって、普通に大声と衝撃で目覚ましの代わりをしてやっただけじゃん? そしてそもそもここは私の家だぞ一方通行。


事もなげに女は答えた。
まーまー座って、と余裕の態度の女がムカツク。ベッドの上から飛び降りようとして、周囲がぐらりと傾いたのに気づいた。


 あーあ、自分じゃ立てないんだから無茶しちゃだめじゃん? ちょっと水取ってくるから深呼吸でもしておくじゃん。 どうせ歩けないんだから動きまわるなよ、少・年!


そういうと女は俺をベッドに座らせて、スタスタと部屋を出ていった。
腰を上げようとしたが、自力で立ち上がれないことを知ってそのまままんじりともせず女を待つ。
不愉快極まりないが、仕方ない。
ほどなくして戻ってきた女は、宣言通り水の入ったコップを持っていた。


 おまたせじゃん? コレ飲んで、アタマすっきりさせとけ。 ――飲んだら説明を始めるから

 …説明? ンだそれは

 いいから、とっとと目を覚ますじゃん


女はわけのわからない事を言っていた。
実質、絶対能力進化実験の深部についてまでは知らないようだが、おおよそのことについては把握しているようだった。
そしてその後、一方通行という能力者がどうなったのかというところまで。
だがそれは俺にはただの絵空事のように思えた。

412 : 忘却の空 7/12[sage saga] - 2010/06/13 20:45:05.90 tomrCNk0 8/13


 からかうのも大概にしとけよ、牛女ァ

 からかってなんかいないさ。 実際、お前はその二本の足だけではまっすぐ歩くこともできないじゃん?

 ――、。

 そんじゃもっと説明しておくぞ。お前は今ここに住んでいる。一ヶ月経った。お前はここの住人に、「家族」として認識されているからそのつもりでな

 ――は、はァ? 家族? っつーか、俺の寮は

 引き払った。お前は今、…まあもともと不登校だったらしいけど、学校には通ってないじゃん。
 いちおう所属している学校には名前だけ登録されてるけど、前のところじゃない。転校手続きはすませてあるから

 な…何を勝手な事を言ってやがンだ、オマエはァ!?

 勝手じゃないじゃんよ。そう決めた。お前も一緒にな。 ま、諦めることだ。お前はここから出られない。出たところで、道順も分からないんじゃ迷子になるだけだし。

 俺はンな事了承してねェぞ!

 ――覚えていないだけじゃん、ただ、覚えていないだけ。 それは確かにあったことで、現実だ。


女は快活な笑顔をひっこめて、苦々しげに吐き捨てた。
現実だと言いながら、それを認めたくないと訴えているように見えた。

トタトタと小さな足音が聞こえてくる。ドアの向こうから聞き覚えのある子供の声が聞こえた。


 ヨミカワー! 朝ごはんまだっ? 牛乳の準備はできてるんだからはやくー!ってミサカはミサカは自分の優秀性をアピールしてみる!

 わかったじゃん、すぐ行くからお皿を四枚だしておいてほしいじゃーん?


女はすぐに表情を切り替えて席を立った。
ダイニングに誘導されるままついていくと、アナタの席はここ! と言いたげに子供が椅子を引いて待っていた。
これが、習慣なのだろうか? 覚えていないが、どこか懐かしいと思った。

その日の晩、日記に「昨日も肉だったらしいが覚えてねえから明日も肉にしろ。 って言ったら泣かれた。面倒くせぇ。どいつもこいつも。」と書き込んだ。



413 : 忘却の空 7/12[sage saga] - 2010/06/13 20:45:53.97 tomrCNk0 9/13



 おはよう。もう朝よ、起きなさい?


そう言って俺を覗き込んだのは、研究員の一員だった女だった。
今更何の用だ? もうあの実験は凍結しているはずだ。


 うぜェ。起こすンじゃねェよ…。 今度はなンの実験ですかァ?

 実験じゃないわ。ただ朝だからよ。 朝は朝ごはんを食べるためにあるのよ? 君が来ないと、朝食が始まらないの。

 何言ってンですかァ?


意味の分からないことを言う女だ。元からコイツは妙なところがあった。妹達にいちいち名前をつけようとしたり、顔を覚えようとしたり。
今度は何の酔狂で、俺に関わってきてるんだかさっぱり解らない。


 …いや待て、芳川

 なあに、一方通行。 ああ、杖ならベッドサイドに立てかけてあるでしょう? 使い方はまだ難しいかしら?

 ――杖? なンの話だ。 いやそォじゃねェ… ここは何処なンだ? なンかの実験で使ってる施設か? にしてはずいぶん小綺麗だし生活感が、

 ここは愛穂の家で、アナタの部屋よ。 君も私も居候。 詳しい説明が聞きたいなら、他の二人がしてくれるわ。

 アイホ? 俺の部屋? 居候? 何の話をしてやがる

 そんなことより朝食よ。ほらさっさと来て頂戴。 お腹をすかせたお子様が、君の到着を心待ちにするあまりパックごと牛乳を飲み干してしまうわ。
 …みんな、「待っている」んだから、早くしてね。

 おい、芳川!


言いたいことだけ言って芳川は足早に立ち去った。追いかけるため立ち上がろうとしてそれが叶わないことに驚愕する。
そういえば杖があるとか言っていた。意味が分からないが、何か起こっているのかもしれない。
能力が使えないのも気になるが、ともかく事情を知っているらしいあの女を問い詰めなくてはならない。
ベッドサイドにある杖を手にとる。使い方はよく分からなかったが、適当に体重を預けた。思ったよりもスムーズに歩くことが出来て、それにも驚かされる。
寝起きだからかそうでないのか解らないが、アタマが上手く回っていない気がする。
外から差し込む日差しは角度も温度も夏のそれでは無かったし、少し肌寒い。
今、一体いつなんだ? 何かの実験の最中なんだろうか。 自分のあずかり知らないところで時間が過ぎている、その現象に軽く鳥肌が立った。

414 : 忘却の空 9/12[sage saga] - 2010/06/13 20:46:21.30 tomrCNk0 10/13


家の中を歩きながら、気づく事がある。というより、気づかないワケがなかった。 そこら中に張り付けられたメモ用紙。
そこにはどれもコレも、俺に当てた文章が書かれている。

―― 一方通行へ。ここはお手洗いだからノックしてね!

―― 一方通行へ。ここはお風呂だよ☆ 覗いたら死刑

―― 一方通行へ。台所はあっち! コーヒーは冷蔵庫の左の扉を開けたところ。

―― 一方通行へ。玄関は右手のドアだよ。でも出ていっちゃだめだからね

―― 一方通行へ。月初め、新聞屋さんが来たら2970円払っておいてくれ。あとで返す

―― 一方通行へ。黄泉川家 ****-**-****  黄泉川携帯 ***-****-**** 芳川携帯 ***-****-**** 打ち止め携帯 ***-****-**** コレ以外は無視して良し

―― 一方通行へ。…

一体、なにがどうなっているのか。俺にはよく分からない。今日はもう10月の半ばらしい。携帯電話の表示を見て気付かされる。
矢印で示された方向へ歩く。ダイニングは、あっちらしいから。


 あーっ、キタキタやっと来た! 早く食べようよ!ってミサカはミサカはアナタの席の椅子を引いて待ってみたり!

 うるせェ! …つーかオマエ、なンだってンなことやってンだ?

 ミサカはもちろんお姫様なので、本来ならこんなことはしないんだけどアナタのために特別なんだから! ほらほら早く座ってくれないとってミサカはミサカはお腹がペコリーノ…

 いや俺が聞きてェのはそォいう事じゃねェンだが聞いてます? 聞いてませんねこのクソガキ様はァ! だァァ引っ張るンじゃねェよ! 触ンなチビアホ毛!


朝食を取りながら話を聞く。 家中のメモのこともあり、俺はそれをなんとなく受け入れた。 納得出来ないこともたくさんあるが、どうしようもないと言われたならそうなのだろう。
実際、俺の中の時間は一分たりとも進んではいないのに、世間は俺を置き去りにしたまま秋を深めている。
あの夏の日はどこにつながっているのだろう。俺には何も解らない。判るのは、ただ誰一人俺と同じ時間を歩くことは出来なくなったということだけ。
もとからそんなことは望んでいなかったし、別に構わないけど。

その日の晩、日記に
「いい加減説明し飽きたって顔してるんだから書いて置いておけばいいのに難儀な馬鹿どもだ。どうでもいいことは付箋で残すクセに。ということで自分でメモっておく。明日の俺へ。ちゃんと読めよ」
と書き込んで、その下に要点だけ書き込んだ。
ぱらぱらと前のページをめくると、9月の中頃から3日おきくらいに同じことがされていた。 なんだ、馬鹿は俺か。 
消すのも面倒だったのでそのままにしてベッドサイドにノートを放り出し、電気を消した。

どうやら明日も俺は、何も知らずに目を覚まして迷惑をかけるらしい。まあ、知ったことじゃない。どうせ忘れてしまうのだし。




415 : 忘却の空 10/12[sage saga] - 2010/06/13 20:47:10.63 tomrCNk0 11/13





 おっはっよーっ!


そうドデカい声でわめきながら俺を見下ろしているのは、うざったいクソガキだった。
あの青色毛布はどこにやった、その服はなんだ?


 あさあさあさ、朝ですよー!ってミサカはミサカは朝食が待ち遠しいから早く起きてもうこのお寝坊さん! ってアナタの鼻先をつついてみ――…きゃぁあ!ごめんなさいーっ!

 ウゼェうるせェ黙れ消えろ!!

 やーんひどいひどい、ってミサカはミサカは涙を浮かべながらもアナタの上からどいてみたり。

 ったく、何事だよこれはァ!?

 うーんと、えーと、…あああった。とりあえずこれ、この日記のこのあたりを熟読するとだいたい把握できると思うの、ってミサカはミサカは日記帳をばさーっと開いてみたりーっ!

 あァ?! なンだァそりゃ!?

 いいから、読んだら朝ごはん食べに来てね! 早めに来てくれると嬉しいかも♪ ってミサカはミサカは、ああああっもうフレンチトーストのいい匂いがしてる!!急がなきゃ!! と猛ダ―――ッシュ!!!!


どたばたとウルサイ子供が出ていった。ため息をついて日記の開かれたページに目を落とす。書かれたことを何度も何度も読み返して、またため息をついた。
窓から差し込む冬の光と、部屋にこごっている冷たい空気。
確かに、夏ではなさそうだ――。

朝食を取って部屋に戻る。日記の続きに目を通す。何度も何度も何度も何度も。
ノートは3冊あった。始めの方にはほとんど何も書かれていない。後ろのほう、最近になるにつれて行数が多くなって、その日のことが詳細に書かれるようになっていた。

ご飯の内容。同居人の様子。子供と他愛ない喧嘩をしたこと。等々。

そしてたくさんの後悔と、たくさんの謝罪が書き連ねられていた。

全部、自分の筆跡だ。

このノートをあのお人好し達が読んでいるのかどうか、俺には解らない。
それでも、俺は謝らずには居られなくなるほど、この空間で過ごしてきたのだろう。

くだらねぇ、と破り捨てることは出来なかった。 ただ、どうしてこんなに事細かに書いてしまったんだ、と過去の自分を呪う。

涙で大切な日記帳が滲んでしまうではないか。




416 : 忘却の空 おわり[sage saga] - 2010/06/13 20:47:37.77 tomrCNk0 12/13





その日の晩、一日あったことを全て書き留めたら3ページにもなってしまった。そして最後に付け足す。意味はないとわかっていても。






――「これ以上、忘れたくない。」




417 : 忘却の空[sage saga] - 2010/06/13 20:49:03.01 tomrCNk0 13/13

数え間違えたんだよ…?

お邪魔しました。