417 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/06/27 11:23:03.23 ASIt.KU0 1/26

続編考えてたら一月立ってたよママン
前作4スレ目の>>707
12555「洋ゲーミサカ…?」の続編です
合計27レス程お借りします


※関連:12555「洋ゲーミサカ…?」

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-8冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277220435/
418 : 12555「洋ゲーミサカ…?」[sage] - 2010/06/27 11:24:43.96 ASIt.KU0 2/26

朝風呂に入りつつ思うことは、パンツがパッツンパッツンでやり切れない気持ちであった、という事と。

ムラムラと立ち上る腹のすき具合、あまりの空きっ腹にぐうの音も出ない。

ああ飯だ、取り敢えずどうもこうも、飯を食べなくては。

調理器具はあっても材料がない、よって料理は出来ない。

シャコシャコ風呂の中で歯を磨きながら、朝ファミレスで食べる食べ物を考えていると。

然し朝だし何を食べようか、いっそコンビニで一斤パンを買ってきてジャムを揃えて食べようか?

と言う気持ちも湧いてくる、魚もご飯も無いのだし、食パンと牛乳で良いのかもしれない。

考えをまとめると、口の中の泡を吐き出し、お湯で下水に歯ブラシと口の中の泡を流し。

全身をタオルで拭き、髪をドライヤーで乾燥させ、タオルを洗濯かごに入れる。

そして脱乾燥まで自動にやってくれるタイプの洗濯機から、服を取り出し着替てブラの購入を考えつつ、コンビニに向かう。


「参ったなぁ……ジャムは苺マシュマロと、ブルーベリー、アンズ、キューカンバー、後はクアンタム味だけか……バターと苺、ブルーベリー、アンズで我慢するか」

「然し食パン一斤じゃあ心許ないから二斤買っておこう……クアンタムは一口試したら誰かに譲るか……後は牛乳か」

「……すいませんこのジャム青白いんですけど、放射線同位体とか入ってませんよね?」

「さぁ……私も此の店のアルバイト長いんですけど、たまに変な商品が増えてたりしてて……」

「あ、そうですか」

「以上で1120円です」

「はいどうぞ」

「お買い上げありがとうございました」


私はこのジャムをどうするべきなのだろうか、青白く輝く謎のジャム、クアンタム味。

まてまてまて早まるな、ちょっとだけなら良いかもしれないとか考えるな私。

尿が輝くんだぞ、光り輝く尿になるんだぞ、考えようぜ食パン焼きながら考えようぜ私。

苺マシュマロを塗りたくって食べつつ考えようぜ、放射線同位体とか入ってるかもしれないんだぜ?

食べたら私がミラクル、どう意味でミラクルかは分からないけど取り敢えずミラクル。

止めようぜ私、一斤の最後の一枚にクアンタムを塗るのは、そして止めようぜ口に含むのは。

……お?意外と味はザクロなんだn


イディーカムニェー……

アイウォントゥビィリッチ……

419 : 12555「洋ゲーミサカ…?」2/25[sage] - 2010/06/27 11:25:30.00 ASIt.KU0 3/26

「ぐぉ……ぉ……もう食わない……食わないぞ、こんなジャム……」


壮絶な吐き気を催した、理由はさっきのジャムのせいだろう、誰だこのジャム作ったヤツ。

Pip-girl命名ミサカ18820で体調を確認、健康と書いてあるが狂っているのだろうか。

右下のアイコン一覧にNew!のアイコンが追加されている、成程行動によって色々増えるらしい。

追加スキルテレキネシス、愉快でポップなキャラが凶暴そうなヤラレ役を超能力で投げ飛ばしているアニメーションが、画面で動いている。

ヤラレ役は頭から墜落して目をバッテンマークにしているが、現実でやったら骨折れるそんな気がした。

試しに机の上のペンを左手のテレキネシスで引き寄せ、右腕で掴みとる。

次にプラスティックゴミをテレキネシスで浮かせ、そのまま外のゴミ置き場まで持っていくとゴミ箱を開けて放り込む。

成程、コレは便利だ非常に便利、汚いゴミ袋を持たなくて済むなんて。


「さて、服でも買いに行きますか、こんなパッツパツの服じゃ誰も誘うわけにもいかないし」


伸びをして欠伸一つ、その後クアンタムジャムを肩下げ鞄(昨日購入、一般的な鞄)に放り込むと、セブンズミストに向かう。

途中上条さんが歩いているのが見えた、然しバナナに転んでゴミ箱に綺麗に収まるさまは哀愁すら漂っている。

不思議そうな顔でこっちを向いていた結果がコレだよ、そりゃあよそ見して歩いてればあんたはそうなるだろうに。

然しセブンズミストにたどり着いたとして、どんな服を買えばいいのだろうか。

この安っぽいイメクラ風の服は、早く脱いでおくにこしたことはないのだが……

取り敢えず、ジャージ3着適当に見繕い無地のブラウンのシャツ5着ピンクで普通のパンツ5着、これまたピンクで普通のブラジャー5着白靴下5足。

上着はブラウス茶色2つ、白シャツ2つ合計3万、然し服ってのは割りに合わないぐらい金がかかるな。

いま着ている服を更衣室で脱ぎ普通の服に着替えると、パッツンパッツン感が消えて普通にゆったりとした感覚になる。

然し靴は学生服用、帰りに他の店で見繕うか、そんな事を考えつつ一回荷物を置くため部屋に向かう。

途中一方通行が珈琲を飲みつつ、カフェテラスで座ったまま寝ていたが成程この顔なら女に見えるかもしれない。


「……いやいや……あ、そうだ顔に微弱な電気を流して……」

「えぇい現れたなミサカ12555め、その人を離しなさい!とミサカは警告します」

「んあ……14510か、てかマジこの顔可愛くね?」

「え!?あ、本当だ……」


そのままえへへ……とか言ったまま微動だにしなくなった14510を放置し、部屋に戻る。

あの後どうなっただろうか、いやしかし見ておきたかったがしかし荷物を部屋におきに戻りたい。

まあ今見に戻ればいい事が有るかもしれない、そんな事を思いつつ部屋に荷物を置いてさっきの場所に戻ってみると。

まだえへへと言いつつ顔をジッと見ている、暇だなお前。

然し成程何時も打ち止めが言うように、寝てる顔は確かに少女そのものだ、普段の変顔は所謂コンプレックスの現れと言うことだろうか。

笑顔でワンピースとか着てると凄く映え……いや女物の服か……

家から此処まで数分、コイツを抱えたとして何分位だろうか。

まあ大差無いだろう、起きたら殴って気絶させるか、電気ショックで気絶させるか……

420 : 12555「洋ゲーミサカ…?」3/25[sage] - 2010/06/27 11:25:58.06 ASIt.KU0 4/26

「ねぇちょっと手伝ってくれない?」

「ちょっ、やめて下さいよセクハラで訴えますよと、ミサカは12555に触られてる腕を振り解こうとします」

「コイツの女装って見たいと思わない?」

「……いやいやいやいや」

「少し考えたな?見たいんだろ?正直になれよ」

「グッ……正直そんな可憐な一方通行も見てみたい……っちゃ見てみたいですが……」

「んで襲ってアヒアヒイわせたいのねー其れじゃあ同じ穴のムジナね」

「なん……だと……いやしかし、何故そんな事を……」

「趣味よ、趣味」

「男に女装させるのが趣味なんですか、とミサカはドン引きします」

「コレ以上言うとコイツだけ攫って帰るわよ」

「ごめんなさいミサカも一方通行の女装みたいです」

「素直でよろしい」

「うぉぉ……何か悪魔に魂を売ったような気分……」

「悪魔は笑顔で手をこまねいて現れるものよ」

「ゴクリ……」


金と領収書を14510に渡し会計を14510に任せ、起きるかどうか分からないが目隠しをして、お姫様抱っこをしてみる。

膝の下にゆっくりと手を通し、背中上部を手のひらで持ちゆっくりと持ち上げる、成程軽い凄く。

身長の割に体重が異状に軽い、モヤシだ非常にモヤシだ。

だが肌がさらさら髪もさらさら、足も細く美脚お腹まわりはむしろガリガリ、胸から肋骨がちらりと見える。

やっべー普通に痩せすぎた女の子って感じじゃん、ワクワクしてきた。

普通に歩いていると14510が追いついてきた、流石に話しかけてくる積りはないのか静かにしている。

歩いて数分家のドアを14510に開けてもらい、寝ている一方通行を昨日買ったソファーに横たえる。

421 : 12555「洋ゲーミサカ…?」4/25[sage] - 2010/06/27 11:26:48.17 ASIt.KU0 5/26

「それでどうやって着替を……」

「ばんじゃーい、きせきせ、スッポンきせきせ」

「分かりやすくて嫌すぎますね、何なんですかあんた」

「ただのNH◯の教育番組が好きなミサカ12555さ」

「其れ普通じゃないですよね?どんだけ好きなんですかとミサカはドン引きします」

「再放送の化学シリーズを毎回見直す程のですわ」

「うへぇ……」

「よろしいならば後で再教育だ」

「サーセンしたとミサカは目を背けながら謝ります」

「初キッスは12555の味……か……」

「私は別に自分のコピーにキスされても……」

「何いってんだ、一方通行のよ」

「すみませんでした」

「わかればよろしい」


先ず一方通行の服をめくりあげる、シャツの下は特に何も着けない派らしいがB地区は桜色。

男で桜色か……成程、こいつぁ最高の素材を見つけてきたらしい。

腕を万歳させ穴に慎重に、ゆっくりと脱がしに掛かる。

ゆっくりゆっくりじっくりとだ、隣で顔を手で覆いつつちらちら間からお約束どおり見ているヤツはほっとく。

首を少し持ち上げネックをするりと通し、ゆっくり慎重に頭を置いて袖をスルスルと脱がせる。

手首に引っかからないように、ゆっくりと引き上げすっぽんぽん(上限定)にし終える。

然しココまでしといてなんだが、何でコイツは起きないんだ。

そんな事を考えながらズボンのベルトを解き、裾をつかんでスルスルと引っ張る。

分速0,5mにも満たないスピード、そんな速度で引き上げ続け遂にパンツ一丁の一方通行(肌白っ)にジョブチェンジ。

スネ毛もないらしくすべすべ、コイツ本当に男なんだろうか。

422 : 12555「洋ゲーミサカ…?」5/25[sage] - 2010/06/27 11:28:22.32 ASIt.KU0 6/26

「……お、付いてる」

「ちょっ!何してんですかこの痴女!」

「いや、付いてるかなって、ホレ」

「あわわわわ……白子……みたい……」

「お前も食いつきスゲーなー、ハイ終了」

「うン……」

「ひっ……」

「大丈夫大丈夫起きないって」


その後常盤台のブラウス、とスカートを履かせるも起きる気配なし。

寝息正しくδ波脳内で噴出中といった所か、花の髪留めを着けて百合子ちゃん完成。


「スゲー……付いてるのに見た目美少女じゃん」

「ビューティフル……」

「12555が両手を揉んでじっとり見ててこえー……まあいいや、今のうちに写真と動画にとっとこボンレス太郎」


ハンディカムを見えづらい所に固定し、寝ている一方通行を見えるように固定。

写真も光を抑え、音の穴を塞いだ改造品を用意済みである。

ミサカろだ暗号掛けて動画、画像を主観カメラで保存。

完璧である、後でミサカネットワークでアップして反応、特に上司の、を見てみよう。

然し本当に起きねぇな……まさか起きてたりして。


「……んなワケないか……」

「持って帰っても良いですか!?」

「落ち着けよおっかねぇ、後涎ふけ」

423 : 12555「洋ゲーミサカ…?」6/25[sage] - 2010/06/27 11:30:25.38 ASIt.KU0 7/26

……口を閉じて寝るのかこいつ、何となく神田川の方を見ると今日も折り目正しく布団の上で丸まっている。

新顔とか、ミサカシリーズの電波とか、正直何と図太い猫なのだろうか。

然しこの整った顔立ちを見ていると何となく嫌がらせをしたくなる、チョーカーを見つつ酷くそう思う。

取っててよかったRobotics Expert、ボタンのスイッチング機能を解除、コレくらいなら後で元に戻せるだろう。

つまりボタンを押しても最強モードになれないって事だよ!ナ、ナンダッテー

いやいい加減起きろよ、と思うが唇に指を差し込んでみる。


「えっ、ちょ、何してるんですかとミサカは危機感の警笛を鳴らします!」

「え?虫歯探しやる?」

「え……で、でもー恥ずかしーなーみたいなー?」

「んじゃあいいよ、ヤルから」

「ま、待って下さい!やります!やりますから!」

「……おひ、ほまへらはひやっひェんひゃ?」


ふと顔を声の方に向けると、不機嫌そうな女子高生(笑)がこっちを睨んでいる。

かなり顔が引きつっていて、お怒りのご様子なにこれかわいい。


「何これかっわぅいい」

「あわわわ……超睨んでますよ、超謝りましょうよ、とミサカは超引け腰で12555に言います」

「お前ひゃ、ほれをひゃれひゃ……ほりあえずふひぬへひょ」

「おー糸引いてるエロいな、一方通行マジエロい」

「お前ら何やってんのか分かってんですかァ?」

「ほ、ほら、謝りましょうって……」

「一方通行に女装させてひゃァン恥ずかしいですゥって、言わせるような嫌がらせがしたいだけに決まってんだろォオ!」

「チッまた変態か……」

424 : 12555「洋ゲーミサカ…?」7/25[sage] - 2010/06/27 11:31:09.30 ASIt.KU0 8/26

一方通行は普通にチョーカーを触り、スイッチを切り替えるも手応えなし。

ボタンをカチカチ押すも一向に反応がない、焦っているのか顔が更に引きつり始めた。

次に何時もの要領でズボンのポッケに指を突っ込むつもりが、ただのスカート生地に指を埋めているだけなのに気がつき更に顔がひきつる。

そして服装に気がついたのか、顔が段々と青ざめ初めた。


「な、何なンですかァ!?この服ゥ!」

「え?いや元私の服みたいなー?」

「……あァ?お前が今噂の12555……まさかお前も変態だとはなァ?」

「そんな事を女装が似合いすぎるあなたに言われても何ともないわー」

(女装が似合いすぎる一方通行さん……ステキですとミサカはドキドキします)

「……ねぇ、エネマグラって知ってる?」

「おィ離せ今から帰るんだ、平和な自分のお家に帰るんですゥ!杖とかもう要らないんでェ!」

「14510ちょっとコイツ押さえろ」

「ご、ごめんなさい!」

「やめろォォオオオ!離せェエエエ!うわァああああああ!」

「安心してくださいねー防音で外には、絶対に、音が漏れませんから……」

「大丈夫ですよ!一方通行さん!私がついてます!」

「ハッハッハッハッ……!ち、近づくな!近寄るんじゃねェェエエエ!」

「安心してくださいねー、ショック死はアドレナリンとノルアドレナリンぶち込んで中和しますからねー」

「怯えてる一方通行さん可愛い……!」

「ヤメロォオオオ!離せェェエエエエエ!その白い器具近づけ、ウワアアアアアァァァ!」

425 : 12555「洋ゲーミサカ…?」8/25[sage] - 2010/06/27 11:31:53.00 ASIt.KU0 9/26

Log in……

……Complete……

Welcomeミサカ☆チャンネル

ミサカ12555号がログインしました


あの人が帰ってきたけどやけに冷たい(NEW)

今日もサンダーラブ(142)

スカイラブハリケーンを再現するスレ(428)

未来を憂いてイボ痔対策をするスレ(948)

学園都市の映画ってまともなの無くね?(34)


1以下、名無しに変わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001

あの人が帰ってきたら直ぐ部屋に鍵締めて寝ちゃったんだけどどうしたんだろう


2以下、名無しに変わりましてミサカがお送りします ID:20000

……エロスレの予感!


3以下、名無しに変わりましてミサカがお送りします ID:20001

ご苦労だった……と言いたいところだが、君には消えてもらう

貴様等は知らんだろうが、我が半年の闘争はここで勝利と言う終焉を迎える

これから貴様はなんの手助けも受けず、ただひたすらバツゲームだ

どこまでもがき苦しむか、見せてもらおう


死 ぬ が よ い


4以下、名無しに変わりましてミサカがお送りします ID:20000

ぎppppppppp


5以下、名無しに変わりましてミサカがお送りします ID:17600

ミンチよりヒデェ

426 : 12555「洋ゲーミサカ…?」9/25[sage] - 2010/06/27 11:32:30.99 ASIt.KU0 10/26

「……やっちまったなぁ」

「あばばばばばば……」


さっきから14510は部屋の隅でゴーグルを引っ張っては弾き、引っ張っては弾きひたすら現実逃避。

参ったねこりゃ、若気のいたりというかとち狂った、と言うべきか。

知り合いの想い人の後ろの初物セールを、何も場のノリでついつい知り合いに奪わせちゃったでござるの巻。

明日どういう顔で会いに行こう、後セーラー服で逃げるように帰って行ったからな…この服どうしよう。


「……ねぇ」

「ひゃ、ひゃいっ!」

「確かに色々あって彼(?)には色々迷惑をかけたと思う、だけどせめて謝る事ぐらいなら出来るんじゃないかなァ?」

「た、確かにそうですが……とミサカは不安気味に思案します……」

「ほれ、アイツの服、返しに行ってやりな」

「で、ですが……」

「確かにこの先も色々なことがあって、彼に迷惑をかけるかも知れない、だけどいざ向きあって話し合えないようじゃ駄目だって、そう思うんだ」

「12555……そうですよね!私ちょっと彼に謝ってきますとミサカは立ち上がり服を受け取ります!」


そう言って彼女は服を受け取り、部屋を出て行った、一人で。

あの子は確かに良い子なんだけど、周りの空気に流されやすすぎる上に、かなりのアホの子だと思うの。


「夕焼け……か……ファミレスで食ってこよ」

「朝が来る前に、消えた星までの地図をキミの歌に変え……」


帰ってきたらMNWで一方画像スレでも立ててみよう、きっと一人で行ったことに関しても14510は直接通信すれば許してくれるだろう。

これもまた、彼女を信じるという尊いことなのだ、と適当に理由をつけつつ部屋の鍵を閉めた。

427 : 12555「洋ゲーミサカ…?」10/25[sage] - 2010/06/27 11:33:04.63 ASIt.KU0 11/26

「第ニ学区……か」


腕のPip-girlには、第ニ学区にて指定地区に置ける武器の演習を行うように、と書かれたメールが届いている。

文字の下には第四学区の中華料理店フリーオーダー、自由使用預金増額の報酬と書かれている。

成程、私を学園都市に送った一見的な目的が見えてきた。

恐らく私の身体能力値がある程度まで成長したとき、私を学園都市に置いて結果として見せて研究費を頂くと言うことなのだろう。


「第四学区中華料理のフリーオーダー、それだけで十分に行く価値はある……」

(……ラーイーヤ、ラ、ライヨラ、空に見事なキノコの雲……)


相変わらず食欲旺盛、今日も朝ごはんは食パン2斤、牛乳1,5パック、ベーコン800g。

時間は10時、成程運動後の腹ごなしに中華料理いいセンスだ、最初の勝手なウミウシ事件はチャラにしてもいい気がしてきた。

と言うわけで電車を乗り継ぎ、朝9時50分、第ニ学区の訓練センターとやらにホイホイやってきたのである。


「北京ダック、天津飯、チャーハン、麻婆豆腐、チンジャオロース、ラーメン、餃子、エビチリ……腹減ってきた」

「ミサカ12555様でしょうか」

「ん、はいそうですが」

「ではこちらへどうぞ」


そう言って通されたのはどう見ても射撃場、一体何をしろと言うのだろうか、と思ったとき目の前に明らかに何かが逸脱しきった。

そう喩えるならば、一見してでも判る変態兵器とでも揶揄されそうな武器が転がっている。

そして明らかに嫌な予感がした、喩えるならばソ連の対核爆発戦車のような。


「ツェリスカ……をご存知かな?」

「はぁ……」

「全長55cm、重量6kgのシングルアクションだ」

(この研究員……まさか)

「こちらの全長65cm重量9kgのリボルバー、弾薬はHNIWをベースに更に改良、RE係数を3.0にまで引き上げることに成功した高性能火薬だ」

「そしてさらに銃自体にも特殊な機構を利用しており、使用効率を更に増大させ拳銃でありながら戦車の装甲すら打ち破れる程の威力を出すことに成功した!」

「然し難点があってねぇ……反動が普通の人間だと押えきれないのだよ……」

(……そりゃあそうだろ……)

428 : 12555「洋ゲーミサカ…?」11/25[sage] - 2010/06/27 11:33:54.87 ASIt.KU0 12/26

拳銃は拳銃と言うよりはショットガンに迫る大きさで、弾薬も拳銃の弾と言うより機関銃か何かの弾に等しい。

何より手に握って持ってみると、明らかに拳銃としての域を超えすぎている。

小回りは効かない、こんな事なら最初っからスラッグ弾か何かで作ればいいものを。


「……これ撃つんですか?」

「そうだ、この銃で100m先のあの装甲車を撃ってくれ」

「……分かりました、私も中華料理の為に最善を尽くしたいと思います」

「おおやってくれるかね!前の試験官は腕が取れてしまってねぇ……」

「……え?」

「さあさあ、あの装甲車をぶちのめしておくれ!火薬の爆ぜる音を聞かせておくれ!」


研究員はキラキラした小学生のような純粋無垢な表情で、こっちを見ている。

おかしいだろ、色々。

しぶしぶ銃に弾を込める、がずっしりすべきなのは銃であって一発一発の弾が理不尽なまでに重い。

まるでミニガンの弾を拳銃に込めている感じだ、気持ち悪い。

右腕でグリップを持ち、左腕でグリップと右手を支えるように持ち上げ、照準を……と思ったがコレはスコープ付き、アホか。

引き金を引き絞った、すると次の瞬間腕の中で拳銃が暴発したのかと思うほどの、暴力的な振動で肩にまで強い衝撃を受け手がジンジンと痺れ。

鉄をぶつけ合うような鈍い音がした後、装甲車の正面がまるでミサイルでも食らったのか、とでも言わんばかりの大穴を開けて大破していた。


「おぉおおお!成功だ!私の研究は失敗じゃなかった!」

「……バカジャネーノ……」

「流石田井君だ、素晴らしい素材を送ってくるものだ」

(……マジキチ……)

「然し残念なことにだ、その銃は君にしか使えないだろうし、君も田井君のお友達だろうしその拳銃と弾薬は君にあげよう」

(……えー……いらねー)

「さて次の実験だ」

「まだやるんですか」

「その為の君だろ、ホレ次はコレだ」

429 : 12555「洋ゲーミサカ…?」12/25[sage] - 2010/06/27 11:34:37.04 ASIt.KU0 13/26

そう言って手渡されたのは、明らかに対物ライフルである。


「いやー実はコレも君に試して貰いたくってね、今度は1km先のあの戦車だ」

「……いや、待って下さい単発式ボルトアクションライフルっておかしくないですか」

「弾はコレで決まりだ」

「聞けy……」


そう言って渡された40mm弾、つくづくこの研究者はトチ狂っていると思う、悪い意味で。

430 : 12555「洋ゲーミサカ…?」13/25[sage] - 2010/06/27 11:35:19.70 ASIt.KU0 14/26

「……」


あの後続々と手渡された明らかに許容量をオーバーするような銃達、今はどこか。

其れを解くにはゲームの主人公たちの、謎のキャパシティの解明が急がれる。

中華料理を食い漁り、その後4学区を漁り終わると既に最終下校時間を過ぎていた。

仕方が無く夜の街を歩きながら、露天の食べ物を漁る。

成程、夜の露天はアルコールや、色々なモノが製造、販売されているらしい。

具体的にはニトログリセリンクッキーとか。


「……いってぇ……口ん中真っ赤っかだべ……」

(……結局あんなんかじったら首から上がぶっ飛ぶわけよ……)

「あー……まあ触った感じ出血は無いのか、まあそれならいいか」

(……私には無理ね……結局は絹旗に連絡して頼むわけよ……)

「……アルコール消毒……か……」


そう思いながらスピリタスを煽る、コレ酒じゃねぇアルコールだわ。

喉がスースーする、まるで凍らせてるみたいな気分だ。

まあ飲めないわけじゃないので、カース・マルツゥというチーズを頼んで食べてみる。

……パンはまあ良い普通のパンだ、誰だこのチーズ作ってんの馬鹿じゃねぇのか、まあ食べるが。

まあチーズっちゃあチーズ、口の中でプチプチ潰れてるソレに関してだが無言でスルーする。

旨いけどコレ食うヤツも作るヤツも尋常じゃねぇわ、アレ、私今コレ食ってね?

スピリタスを煽り切り、マルツゥとパンを完食立ち上がり街頭を歩く。

すると目の前からランニングで走ってくる小学生程の子供、ほらほら今近寄るとアルコール臭さでしねるぞーアレどうして腹の当たりでふりかぶっt


「うぐぇえ!」

「超やりましたか!?」

「何すんだおま……エロロロロロロロ」

「ギャアアアアア!冷たっ!腐っ!何これ!?超何々で…キャアアアアアアアアアアアアアア!?」

「ふぅ……このアホの子め、帰ってワールドカップ見てる間に寝付いてしまえ!」

「うわあああああん!この超馬鹿ァアアアアアア!」

「……納得いかない……」

431 : 12555「洋ゲーミサカ…?」14/25[sage] - 2010/06/27 11:36:09.04 ASIt.KU0 15/26

酔っぱらいに腹パンしてゲロぶっ掛けられて泣いて罵声を浴びせて逃げる女の子、私が何をした。

後口の中味が最悪だ、もう色々最悪だ、マジで何か口直ししたい。

そんな事を考えながら歩いていると、目の前に熊とワニステーキ屋が。

成程ここらへんはゲデモノ市場だったのか、マジで何考えてんだ。

然し熊とワニか、其れはソレで美味そうなのかも知れない。

入ってみると意外といい匂いが、なるほど寧ろワニとかクマは珍味に入るのかも知れない。

試しに熊肉のソテーを頼む……うわっ……厨房ケモノ臭っ、流石ゲテモノ街臭いがハンパない。

匂い消しの牛乳、ハーブ、その他諸々で必死に匂い消し出来上がったコチラの逸品。

歯ごたえがあるが、成程コレは普通に旨い、言うならジンギスカンだビールも欲しくなる。

ワニはステーキを頼む、がコレはどう見ても豚肉だろう、と言うほどの豚肉だ。

然もステーキなのにさっぱりしてる、ふーむ、そういうもんなのか。

ふー腹いっぱいだ、少し食い過ぎたかな……


「ここで会ったが百年目にゃーん!死にさらせビチクソがぁ!!!」

「え」


次の瞬間放たれた麦野沈利のレーザーは顔面にぶつかり、帯電細胞により全身の表面をすり抜け、後ろにすり抜けるような流れで流れていったわけだが。

勿論それは肌の表面だけに留まるのであり、つまるところ服は物凄い勢いでミロのヴィーナスと化した訳で。

予想外の結果に撃った本人も撃たれた本人も認識に戸惑、数秒経過。


「……アライッケナーイムギノンセンタクモノホシッパナシダッタニャーン」

「……署まで同行願おうか」

「いやいやいや訳わかんないし、次の瞬間全裸とか意味わかんないし」

「わかんねぇしじゃねぇよ、わかんねぇしで約1万弱の服は帰ってこねぇんだよ後乙女の恥も」

「いやいやいや1万とか(笑)1000倍で返せるし(笑)乙女の恥(爆)」

「お前……まさか今さぞ御流行りのヤリマン系ビッチ型ですか」

「や、や、や、ヤリマンちゃうわ!処女掛けてもいいわよ!」

「ああ蜘蛛の巣系売れ残り型ですね分かります」

「うぎっ……ち、違うわよ、別に吊り合う人が居ないだけよ…私レベル5だし…」

「そう言って自分が売れ残るのをブランド性と言い訳して、大抵の人は萎びていくんですよ?」

「ふぐっ……ちがうもん、売れ残りじゃないもん……うっぐ……」

「うっせぇよ早く替りの服取って来いよバーゲンセール特価の売れ残りが」

「…えっぐ…ひっぐ…うわぁあああああん!」


……あ、服……どうしよう。

432 : 12555「洋ゲーミサカ…?」15/25[sage] - 2010/06/27 11:36:51.82 ASIt.KU0 16/26

何ということでしょう、買って三日しないうちに服が一着消滅したので、帰りは軍靴、迷彩服という出で立ちで帰宅です死ねばいいのに。

然しあの研究所で服を貰ってなかったら全力疾走で家までダルビッシュ村か、ゼンラーウーマンよりはマシだと言わざるをえない。

然しなんなんだアイツら、今度見つけたらとっちめて縛ってなぶり殺しにしてやらなくては。

神田川に餌をやりつつ、服はまだあると安心するが今後このような事に対する訓練を積まなくては。

……尚何処に服を入れていた、という質問は全裸疾走してても次の瞬間には重装備可能な主人公達に聞いてください。


「今日もひどい目にあったね神田川、明日はもーっとひどい目に合わせようね神田川」

(ご主人マジおっかねぇー……)

「おやすみ神田川」

(お休みなさいご主人)

「……あ、武器の仕舞う場所どうし…まあそのまんまでいいか」

(暴発してもしらないですよご主人)

(……)

433 : 12555「洋ゲーミサカ…?」16/25[sage] - 2010/06/27 11:37:55.66 ASIt.KU0 17/26

朝起きて能力の確認、成程コレは些か奇妙だ。

ミサカネットワークに接続する時、普段は脳内で演算を練り、演算算出、接続するわけだが。

ここ最近は違う、普通に、如何にもコンピューターを使っているように無計算、無算出で接続会話をしている。

言うならば普通のミサカシリーズがWinシリーズ、私がLinaxみたいな感じだ。

また無計算で接続するため、速度が飛躍的に向上、奇妙な接続差が発生している。

……コレは実に奇妙な事態だ、そしてデュアルスキル。

火焔、氷、念動力、電撃、超常加速、薬物耐性、放射線耐性、肉体強化、電子偽装、視覚偽装等々。

その他諸々の能力の説明がつく、わけだが恐らく体内は素晴らしい事に成っているだろう。


(ブルッ……)

(おはようご主人)

「……おはよう神田川取り敢えず飯か」


恐らく昨日のクッキー、通り魔達は学園都市の上層部の手配だろう。

故に高能力者、推定レベル4~5を当たらせてきたわけだ。

だが不審なことが有る、貴奴等の行動は緊迫していたというよりは、何かを確かめているような行動に見える。

まるでこっちの出方、能力、性格を把握するためのデコイ。

多分あの刺客達は数人殺されようが、殺されまいが構わないレベルの下っ端なのかも知れない。

……それとも……


「取り敢えず哀れな行き遅れとゆかいな仲間たち乙にゃーん」

(ねこまんまうめぇ)

「ベーコンエッグうめぇ」


取り敢えず、今日は服をまた買いに行こうと思う。

行動は昼過ぎからでも十分できるだろう、まあ貴奴等が手招きしていたとしていても精々団扇で仰ぐ程度の罠だろう。

然し服が団扇で仰いだだけで消滅するのは頂けない、何とかしなければ。

434 : 12555「洋ゲーミサカ…?」17/25[sage] - 2010/06/27 11:38:33.29 ASIt.KU0 18/26

然し初夏に突入したこの時期、タンクトップに掛物一枚ジーパン靴下靴だけだったとしても暑い。

まあ自分の手が凍っているので、うっすらと汗が出るだけで済んでいるのが幸いだ。

某ファッションセンターにて服の選定を行っていると、冷房で少し寒いのでハンドクール(自家製)を停止。

然し考えてみるとこの体はこの体で便利だと思う、不都合な事も無いしいっそこのまま行ってしまうのも良いかも知れない。

適当に服を見繕い(前に買った服と似た服なので描写カット)家に荷物を置くと、部屋に鍵を掛けて裏路地通りを歩き回る。


「紅蓮の怒りは古から時をまたたいで……遅いじゃないか」

「……はぁ、結局こうなる訳よおーにさんこーちらっ!」

「HAHAHAHAHA待てよスージー」

「早っ!」

「追いづいだらベロベロしてにどどと表に出れねようにしだっがぁなぁ」

「け、結局何弁な訳よそれぇ!」


フレンダが全力疾走で裏路地を駆け、後を12555が早歩きで追いかける。

フレンダが角を曲がり、12555号が曲がろうとした瞬間、角から爆音と爆風が吹き荒れる。


「殺った訳よ!」

(フレンダ、まだ!)

「え”?」

「フレンダァちゃぁああん、でーておーいでぇえ」


爆破方向の皮膚が禿げ、表面の筋肉が露出しているものの、何とも無さそうに追いかけてくる12555。

フレンダは事の異常さに再び息を飲むものの、再び全力疾走で逃げ出す。

再び後ろを向くと、露出していた筋肉も再生しきり、元の見た目に戻っている。

息を吐くと白い息がプカーと、場違いな感じで浮き上がる。


「ッッー!!」

「タバコは暫く要らねぇなぁフレンダちゃああん!?」

435 : 12555「洋ゲーミサカ…?」18/25[sage] - 2010/06/27 11:39:28.69 ASIt.KU0 19/26

次の角を曲がり、次は跳躍指向性地雷。

至近距離で指定方角にショットガンを浴びせるような地雷だ。

12555が地雷の側に来たのを確認、起動、爆破。

瞬間12555が両腕で顔を覆うようにしたが、フレンダが勝利を確信した、が。

鉄の小さなボールがコロコロと落ちる音を聞いて、背筋が凍ったような気がした。

12555は傷ひとつ無く、全弾が肌の表面で停止、玉は地面に落下していた。


「そ、そんなっ……馬鹿な事がある訳……」

「ふーれーんーだーちゃーん、あっそびーましょー」

「ひっ!」


急いで逃げる、最後の爆弾の元に逃げる。

だが12555は余裕綽々と言った感じで、普通に早歩きで追いかけてくる。

捕まったら殺される!そういった恐怖に怯えつつ走って次の爆弾の所にまで逃げる。

あと少し!あと少し!見えてきた、あの角を曲がれば爆弾の場所まであと少し……


(やっ、やった辿り着いた!結局コレに耐えれる生き物なんているわけない訳よ!)

「フレンダちゃぁああん、あっそびーましょー」

「死ねッ!この化物がぁッ!!」


次の瞬間、大きな揺れと爆発音が響く。

オクタニトロキュバン、理論上最強の爆発力を誇る爆薬。

一角すら吹っ飛ばす程の火力を誇るが、学園都市で現在出回る火薬で一番の高値でもある。

もっとも外では実用すら値段の問題で、使用されていない火薬である。

風力の強さに30m離れている此処までかなりの風圧が来る、そしてモクモクと上がる煙。

安堵感の余り膝をついて、頭のヘッドセットを外して障害物の影で一息つく。


「ハハハ……結局化物でもアレでは死に切る訳よ」

436 : 12555「洋ゲーミサカ…?」19/25[sage] - 2010/06/27 11:40:28.70 ASIt.KU0 20/26

「そう、面白い冗談ね」

「……は、は、はー…はっ…はっ、はっ、はっ」


後ろから聞こえる声、うまく吸えない空気、震える体、高鳴る心臓、どうして?分からない。

段々と声が後ろから隣、隣から正面にそして視線を足元から上に向けると。

いつの間にか服を取り替えて、迷彩服を着ている人間。

上司から攻撃命令の出ている、ミサカシリーズの12555番。

そして近づいてくる手のひら、手のひらが肩に触れた瞬間、フレンダは気を失った。


「……フレンダの反応が薄くなった」

「……超死んでは居ないんですよね?」

「多分」

「クソッ、何なんだあの化け物……」

「……絹旗、行って」

「超勿論です!行ってきます!」

「……気をつけろよ」

「何ですか浜面、超キモイです」

「んなっ!てめっ!」

「大丈夫だよ、きぬはた、私はそんなきぬはたを応援してる」


そう言ってバンのドアを閉めて、急いで滝壷の示す廃業地帯に向かう。

フレンダと12555の反応はソコにあるという。

急いで向かい、そして廃屋に入るとイスに座って待っていましたと言わんばかりの12555が鎮座していた。

隣には簀巻きにされたフレンダが、マットの上で気絶していた。


「Ruktun or Die Ruktun or Die 外来語じゃ……遅いじゃないか」

「……アナタを直ぐにぶっ殺してソコのフレンダを返してもらいますよ!」

「焦るなよぉ、時間はあるんだ話したいこともあるしさぁ」

「生きてたら答えてあげますよ!」

437 : 12555「洋ゲーミサカ…?」20/25[sage] - 2010/06/27 11:41:19.62 ASIt.KU0 21/26

次の瞬間絹旗は12555に飛びかかり、拳を振り上げ頭上に落とす。

が12555は手首を多う数センチの窒素装甲ごと掴み、そのまま勢いを利用して体を地面に叩きつける。

が絹旗は窒素装甲の反動で立ち上がり、反撃と言わんばかりに回し蹴りを浴びせるものの。

足を捕まれ、また地面に思いっきり叩きつけられる。

反動を利用し息を整える為距離をとる絹旗、成程最初の攻撃の時点で大抵の特製を見抜かれていただけは有る。

だがそれでも窒素装甲の攻撃力を無視して、地面に小物の如く叩きつける馬鹿力。

やはり、強化系なのでしょうか、と思いつつ体制を立て直す。


「お喋りしようよー」

「超馬鹿力女め……」

「ったくしょうが無いなぁ、チョットだけよ?」

「……え?」


次の瞬間左腕が見る見るうちに真っ赤に変色し、陽炎が発生している。

身体強化じゃないのか?然しただの筋力とも思えない、まさかデュアルスキル?

そんな筈はない、そんな化物が、そんな生き物が居ていい筈が無い。

そしてこの窒素装甲との相性は、最悪。

火は窒素を酸素と反応させて、窒素酸化物と化してしまう。

窒素酸化物となったら、また別の計算式を壱から練らなくてはならない。


「君のその全身を覆うそれは、恐らく酸素、もしくは窒素故に炎で窒素を窒素酸化物にしてしまえば良いと思ったんだが……違うかね?」

「……ふー、まあ超其れぐらいならこのスプレー缶で超対応出来ます、超良いでしょう付き合ってあげますアナタと私の全力どっちが上か!」

「残念だけど其れは面倒だから止めておこうかなぁ?」

「……?」



438 : 12555「洋ゲーミサカ…?」21/25[sage] - 2010/06/27 11:41:46.82 ASIt.KU0 22/26

次の瞬間12555は背中から例の70口径、命名ピースメーカーと呼ぶことにする、を取り出し絹旗のおでこを狙う。

絹旗も絹旗で突然の銃の出現に驚いて見ていると、ピースメーカーから火が吹き出し絹旗を吹き飛ばす。


「まあ分かってたけど、窒素装甲で銃弾の勢いは止めれても自分の飛ぶ勢いに変わっちまうんだなぁ」

「!?!?」

「アデュー、サロー」

「んー!!んー!んー…んー…ん………ビクン……」

「……よし、こんなもんか」


絹旗の頭に掛かった70口径を完全に止める代わりに生じたGは、絹旗の固定されていない脳をガクガクと揺すり。

正常な脳の動きができなくなり、脳の計算が完全に停滞。

能力のレベルも其れに伴い低下し、防護膜が薄くなった所に窒息させ気絶に追い込む。


「イッツパーフェッ!」

「……はぁ……虚しい」


―――――――――――――――――――


「きぬはたも反応が薄く……」

「……麦野……今回不味いんじゃないか?コレ」

「…私が出るわ」

「……無理すんなよ……」

「大丈夫だよ、むぎの、私はそんなむぎのを応援してる」

「……よし!」


相変わらず例の建物内部から動く気は無いらしい。


「馬鹿にしやがって……」


半ギレで内部に突入すると、例の如くイスに座りふんぞり返る12555。

益々イライラする麦野、そして後ろで縛られて気絶する二人にブチ切れる麦野。

439 : 12555「洋ゲーミサカ…?」22/25[sage] - 2010/06/27 11:43:35.72 ASIt.KU0 23/26

「誰がテメェなんか……テメェ何か怖かネェェェェ!」

(麦野!それは死亡フrブチッ)

「!?」

「悪いけど電波障害で音信不通になってもらうよん」

(な、なんなのよコイツ……薄気味悪い……)

「むーぎのーちゃーん、あっそびーましょー」

(いつの間に右に!?)

「こっちこっち」

(今度は左!?)


「じゃーん」


「二人に増えた!?」


「さて、多人数12555にむぎにゃんはかーてるかなぁ?」

「(ブチッ)ナメ腐りやがってぇええええ!学園都市のレベル5舐めんじゃねぇええええええええええ!」


次の瞬間麦野を取り囲んでいた12555(偽)数体が、瞬間的に麦野のレーザーに掻き消される。

然し全員消しても本体は居ない、逃げたのだろうか?


(クソッ、ナメ腐りやがって……)


次の瞬間後ろの方で爆発音がし、振り向いた瞬間腹に重い一撃を喰らう。

いつの間にか後ろに回り込んで腹にぶち込まれた、然し普通なら回り込まれた瞬間能力で感知して気づく筈……

然し向き直った瞬間、やっぱり12555は消えている。

そしてまた後ろから爆発音がして、振り向くと腹に重い一撃。

腹の中のモノが衝撃で出そうな気がしたが、何とか堪える。

そしてやはり12555は視認でも、能力の応用でも確認はできない。

若干焦りが混ざり始める、このままではなぶり殺しではないか。

そしてまた後ろから爆発が、急いで前にハンドスプリングで回り込もうとするも。

手が地面について逆立ちした次の瞬間、背中を物凄い脚力で何かが蹴っ飛ばした。

肺の中の空気が全部押し出され、まともに呼吸が儘ならない。


「クソッタレ!何なんだテメェはぁああああ!」

(能力の断定も儘ならない!爆発から炎系、量子変速か?だが何故能力の網を掻い潜って…)

440 : 12555「洋ゲーミサカ…?」23/25[sage] - 2010/06/27 11:44:35.98 ASIt.KU0 24/26

そしてまた後ろから爆発音がし、能力を周囲にばら蒔いて対処しようとするが。

次の瞬間電気でこじ開けられ、スキマとなった前方から腹に再び重い一撃を食らって遂に絶えきれなくなり吐き出す。

能力も不安定化し、消滅、すると目の前に12555がニヤニヤしながら現れた。


「おーおー気分悪くなっちゃったかぁ」

「クソが!死にさらせぇ!」


全力で目の前に光線を放ち、光線は12555ごと消失した。


「ううっ…ぐえぇ……ハァ……ハァ……ザマァ見ろ……クソッタレ……」

「当たらなければどうということはない、まさのその通りだな」

「う、そ……」

「来たよ麦野」

「がっ……ん……ん…………」


12555は呆然とする麦野の肺に目掛けて、パンチをぶち込み。

麦野は再び肺の空気が回らなくなり、フラフラとしている所を後ろから押さえ込み、窒息させて気絶に追い込んだ。


「……んっ……ゴホゴホ(こんな声だったかな)はーまずらぁ……よし」

「ザ……ザザッ…麦野!麦野か!?」

(麦野声)「はーまずらぁ、対象ブッ殺したから早くコイツら運びにさっさと来い!」

「(イライラしてんなぁ……四の五の言わずとっとと迎えに行こ……)分かった今行く」(ブチッ)

「……麦野ちゃんお持ち帰り☆」


10分後バンで迎えに来た浜面だが、居たのは気絶した絹旗とフレンダだけであった。

気絶から復帰した二人から問いただしても、思い出せるのは12555にヤラれた直前までらしい。

それから十日ほど立ったが麦野は帰ってこない、今では12555に連れ去られたという仮説が主流だ。

何故なら滝壷は麦野の信号を、ほんの微かだが感じているからだそうな、但し場所は今一分からないんだとか。

仕事は最近入ってこない、どうやら上でも色々悶着があるらしい。

441 : 12555「洋ゲーミサカ…?」24/25[sage] - 2010/06/27 11:45:46.22 ASIt.KU0 25/26

「はぁ……」

「超浜面キモイです、が、まぁそうですよね、超麦野もあんな最後になってしまいましたし」

「然しどんなレベル5でも、最後となると意外と呆気ない最後だった訳よ…」

「……」

「……これからどうなるんだろうな、俺たち」

「最悪チーム解散、良くても仕事の安全性がグッとあが……あれ?それって良いことな訳?」

「まあ、今度麦野の墓でも超作ってあげましょうよ」

「むぎのの電波を感じる……」

「!今何処に居るんだ!?」

「超今すぐ迎に行きましょう!」

「結局麦野もレベル5で超しぶとい訳なのよ!」


浜面その他諸々は勢い良く車に乗り込み、第七学区のオリャ・ポドリーダに向かう。

途中ワクワクしながら向かう、麦野はどうやって逃げたのか、今までどうして反応が薄かったのか。

そしてファミレスを見渡すとどこかで、強いていうなら十日前に見たようなミサカ大と。

金髪の幼女(麦野似)が、スペイン料理を食べいていた。

……金髪の、少女……?


「ほ、本当に今日はまづらむかえに来るんだよね?」

「あーうんくるくる、後ナプキンにボロボロ落とすな」

「あーうー……」

「ほら泣かない泣かない、(麦野声)早くこいよはぁーまずらぁ!」

「は、はい!」


目の前の少女は、浜面に気がつくと笑顔でトテトテと抱きついてきた。

先ず口の周りの赤いものを拭けとか、お前誰だよとか取り敢えず聞きたいことは山ほどある。

アイテムメンバーはゆっくり、12555と同席に座り込んだ。

442 : 12555「洋ゲーミサカ…?」25/25[sage] - 2010/06/27 11:47:37.15 ASIt.KU0 26/26

「えー先ずアイテムは麦野氏(故)によって解散になりました」

「……」

「そして麦野氏は責任問題を果たすため、表面上は死亡、実際は幼女に生まれ変わりました冥土帰しマジパネェ」

「え、超意味分かんないです」

「シャラップ!後麦野名は死亡で消えたので、この子は浜面沈利ちゃんですちゃんと育ててあげてくださいね」

「……私とはまづらの子供……認知します」

「え”?何?認知症ってそういう」

「超どういう事ですか、超どういう事ですか、超意味分かんないです」

「どうしてこうなった」

「……まあアレだよね、私に歯向かう組織なんぞ要らないよね、って事で解体」

「君たちの上司も、 快 く 麦野氏(故)のアイテム解散を承諾してくれました」

(脅しましたね)

(脅しだな)

(脅した訳よ)

(子供は11人……)

「まあぶっちゃけ、君たちに対する被害は麦野氏(故)が全部支払ってくれたから、安心して良いんじゃない?」

「はまづらー!」


何ということだ、アイテムはいつの間にか解散、麦野は少女に。

そして養子縁組で、義理の妹になっていた。

そこで疑問が残る、麦野の資産、持ち物、その他諸々は何処に?


「冥土帰しの手腕に感謝しろよ?全部私の預り資産だ、欲しけりゃ指定する家に住め住んでたら月額で渡してやる」

「それ俺ら不利じゃね?」

「敗北者に権利など無いのだよ、はーまずらぁ」

「何…だと…後麦野声でそれ止めろ!」

「……何で私と同じ位の身長何ですか?」

「……いや何となく?ソッチの方が面白そうかなって……」

(まさか、コイツ私達の事を知ってて……!)

「さーて話は終わり、当面家は此処で、私は金払って帰るからよろしくー」

「……結局本当にコレからどうする訳?」

「はまづらー!おうちかえろー!」

「……取り敢えず帰るか……」

「超そうですね……」

「結局わけがわからないわけよ」

「浜面子供で野球チーム作ろうね」

「え?あ、うん」


後で分かった事だが、その家は12555の部屋の隣の部屋という事が分かった。

恐らく彼女は喧嘩を売られたので、一生レベルでこの先ついてまわるつもりだろう。

ああ、目の前が暗くなってきた、あんな仕事引き受けなけりゃ良かった。