669 : とある男児の根性理論[saga] - 2010/06/29 17:51:36.92 EthLsvc0 1/4

※関連
とある男児の根性理論
とある男児の根性理論2
とある男児の根性理論3


  電撃中学生を振り切って(御坂はほぼ同じ超能力者である削板に突っかかってくるだけなので、あまり根性無しというわけでもない。
 よって路地裏の不良のように殴って追い払うのは気が引ける)ファーストフード店でおやつに買ったハンバーガーをもぐもぐ食いながら
 学生寮に戻ってきた。七人しかいないLevel5の第七位が第七学区の寮の七階なんてすごいなと、エレベーターの七階のボタンを押す。
  チーンという安っぽい音を聞き、ファーストフード店でハンバーガーを大量に購入していた巫女さんのことを考え、宗教つながりで
 今朝のインデックスのことまで考えて、削板は部屋の前の異変に気付いた。清掃ロボットが三台ほど群がっている。

 削板(いやな予感しかせんな…)

  清掃ロボットはけっこうパワフルだ。それが三台がかりでもてこずっているとなると、近くの部屋の上条がついに不良にボコられ、
 自室の前で倒れているところをゴミと認識され、排除されそうになってでもいるのだろうか…。
  兎にも角にも確認せねば始まらない。とりあえず近くに寄ってみて―――

  ―――血だらけで倒れているインデックスを発見した。

 削板「…お、おい………いん…でっくす?」

  インデックスは動かない。ピクリとも。
  清掃ロボットがジャマだ。能力をつかってふっ飛ばすと、壁にぶつかり、警告音を鳴らすことなく三台とも行動停止した。
  良く見ればインデックスの腰のあたりが横にスッパリと切られているようだ。真っ赤な体液がまだまだ溢れてくる。
  ギリッと歯を強く食いしばる.

 削板「誰だ…!こんなことした根性無しは………!」

 ステイル「うん?僕達『魔術師』だけど?」

  気配も感じなかったのに、その赤髪の少年はもう削板の五メートルほど後方にいた。大柄でタバコを吸っているが、顔立ちからして
 、年齢はおそらくインデックスと同じくらいだろう。

 削板「…そうか。お前ら魔術師がやったのか。……こんな華奢でか弱い女の子を追い回してる根性無しが……」

 ステイル「うん?実際に斬ったのは僕じゃなく神裂だけどね。それに追い回すって言ったのはソレから事情を聴き出したからかな?」

 削板「―――ぇな」ボソ

 ステイル「なんて言ったのか聞こえなかったけど、他人の遺言には興味がないから訊かないよ?ああ、事情を知った君には―――」

  魔術師は煙草を手でつまみ、削板のほうに無造作に放る。

 ステイル「―――死んでもらおうか。Fortis931、巨人に苦痛の贈り物を!」

  虚空を舞う煙草が描く軌跡の、延長線上から燃え上がった灼熱の炎が、学生寮のてすりを溶かしつつ削板を飲み込んだ。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-8冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277220435/
670 : とある男児の根性理論[saga] - 2010/06/29 17:53:02.52 EthLsvc0 2/4

  削板を包み込む炎を満足げに眺め、ステイルはインデックスに目をやった。

 ステイル「途中から『歩く教会』の魔力がまったく動かないのに、キミの姿が確認できなかった。確認できたと思ったら
      今度は無敵の防御機能が失われている。……おかしいと思ったんだけど、まさか『歩く教会』が破壊されていただなんてね。
      ここにずっと反応があったことを考えると、無くなっているフードをここらで落としてしまったのかな」

  再び炎に視線を戻す。

 ステイル「大方、さっきの少年の部屋にでも忘れたのかな?で、いったん別れたがフードに気付き、少年に危険が迫る前に回収しようと
      したところ神裂に遭遇。背中を切られてしまい現在に至ると。こんなとこだろうね」

  インデックスをそろそろ回収しなければ彼女の生命にかかわる。治癒の術式は専門外だし、神裂は『歩く教会』を破壊し得るような
 危険な存在が、この街にはいるかもしれないと別行動をとっている。
  ステイルが思案しながら新しい煙草を取り出すと


 燃え盛る業火の中から、少年が一人、歩いてきた。

671 : とある男児の根性理論[saga] - 2010/06/29 17:53:54.88 EthLsvc0 3/4

 削板「根性が足りてねぇなって言ったんだよォ!」

 ステイル「ッなぁ!?」

  魔術師―――ステイル=マグヌスは目の前の状況が理解できない。
  この街の住人がおかしな能力を持っているのは聞いてはいた。だがステイルは若干十四歳にして現存するルーン文字二四字を解読し、
 力のある文字を新たに六つ開発した天才魔術師だ。多少力があるからといっても、そこらの学生にその魔術を防がれるハズがない。
  そのはずなのに。

 削板「女の子を追い回し、空腹で倒れさせ、背中を切って、悪びれもせず、どこぞの教会と同じようにソレとモノ扱いにする!!」

  目の前の少年はその身を溶かさず、その白い学ランを焦げつかせず、三〇〇〇度の炎の中からツカツカと歩いてくる。

 削板「お前の炎も熱かったが!今!俺の中には!お前に対するさらに熱い怒りが渦巻いている!」

 ステイル「い、魔女狩りの王!!」

  彼の奥義、紅蓮の巨人が二人の間に顕現し、歩いてきた削板を包み込むように迎撃した。

 削板「ぬおォォォ!」

  炎の巨人の黒い芯にぶつかり、削板の歩みは止まる。焼けるような熱さが削板の体力をじわじわと奪う。

 削板(こんなところで立ち止まる暇はない!助けなくちゃならない少女は、殴らなければならない根性無しは―――)

 ステイル「よし、いいぞ魔女狩りの王!そのまま焼き殺せ!」

 削板(この向こうにいる!根性出せよ削板軍覇ァ!)
 削板「ふるわアァァァァァ!!」

  削板の正体不明のチカラがさらに強まる。

 ステイル(!?左腕が魔女狩りの王を突き破っt)ガシッ

 削板「覚悟、しろよ。根性無し」ギリリッ

 ステイル「イノケンティあつっ!やめろ!はなせ能力者!」

 削板「自分で痛みを負う覚悟も根性もねぇのに―――」

  削板は力いっぱい握り締める。あのとき少女に差しのべられなかった右手を。

 削板「他人のために犠牲になるような、根性ある奴にひでぇことしてんじゃねエぇぇぇ!!」 

  そして振りぬいた。プロだからと、出会って間もない、自分をも守ろうとしてくれた少女のために。

672 : とある男児の根性理論[saga] - 2010/06/29 17:58:44.70 EthLsvc0 4/4

…ふぅ。………いつかスレ独立してみたいですね。

さぁ、GJから批判まで受け止める根性はあるです。
ばっちこぉい。