上条「おう、久し振りだな神裂」
神裂「お、遅いですよ上条当麻!」ゲシゲシ
上条「悪い悪い。来る途中の信号に全部引っ掛かってさ。ん? なにやってんだ神裂?」
神裂「私、にも、分かりません。この、変な、ドラム缶、みたいなのが、離れなくて」ゲシゲシ
上条「はあ? ちょっと見せてみろよ。……あーこの掃除ロボ、スーツケースのアクセサリーかなにか吸い込んじまったみたいだな」
神裂「なっ! そしたら尚更これをどうしかしないといけませんね!」ゲシゲシ
上条「お、おいそんなに乱暴に扱ったら……」
掃除ロボ「ケイコク、ケイコク」
神裂「ドラム缶が喋った!?」
上条「だあっ! 言わんこっちゃねえ!」
神裂「わ、わわわ私、どうしたららら!?」アタフタ
上条「落ち着け神裂! ええぃこうなったら! お隣さんの義妹式掃除ロボしつけ術、半接状態<ハンクラッチ>を使うしかねえ!」
――ポチットナ?
清掃ロボ「ケイ、ケイ、ケーイ!?」
神裂「ひぇ!?」ビク
上条「今のうちに逃げるぞ神裂!」
神裂「ままま待って下さい上条当麻! 私を一人にしないで下さーい!」ペタン
上条「はあ!? ってなに腰砕けてんだよ……あんたはそれでも聖人ですか!?」
神裂「そ、それは今関係ないでしょう!?」
掃除ロボs「イジョウカクニンイジョウカクニンイジョウカクニン」
神裂「ひぃ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」ガクブル
上条「だめだこいつ……早く、なんとかしないと。神裂、スーツケースをしっかり抱えてろよ!」
神裂「は、ひゃい!」
上条「ちょっと静かな所まで突っ走りますから暴れないでおくんなはれ!」ガバッ
神裂「ひぇ!? まさかこ、この体勢で走るのですか!?」オヒメサマダッコー
上条「そうだ! 女性一人+αを持ち上げられないほどヤワな体はしてませんよ上条さんは!」ダッ
神裂「ですがこれは大変恥ずきゃん!」
上条「口閉じてないと舌噛むぞォ!」ダダダダダッ
神裂「――っ!? ――、――!」
掃除ロボ「ジャッジメント、ジャッジメント」
――――
上条「はぁ、はぁ。ここまで、くれば大丈夫、だろ」ゼェハァ
神裂「大変な目に遭いました……」
上条「なんか年々機械音痴が進んでるんじゃないか?」
神裂「うるっせぇんだよ! それに私はまだ19だ!」ガバッ
上条「分かってるって! 冗談だよ冗談! だからそのブン投げようとしてるスーツケースを下ろしなさってはいかがでしょうか!」
神裂「……ふん」
上条「ほっ。にしても二泊三日なのに、なにをそんなに詰め込んで来たんだ?」
神裂「インデックスが前に読みたいと言っていた本とお土産のお菓子が沢山」
上条「……」
神裂「ああ、もちろん私の分もありますよ!? 女性はなにかと入り用ですからね!」
上条「いやいや、そういうので言葉を失ったわけではなくてですね」
神裂「……はい?」
上条「そんなに持ってくる物があるなら向こうから送れば良かったんじゃないのか?」
神裂「え、送る? え?」
上条「ほら、極普通に宅急便的なもので……」
神裂「そんなことが出来たのですか!?」ガシィ
上条「あー、まぁ、そりゃもちろん」
神裂「何故、周りは誰一人教えてくれなかったのですか!?」ユッサユッサ
上条「俺にそれを聞かれましてもぉ……(あぁ、きっと生暖かい目で見てたんだろうなぁ)」グラングラン
神裂「……で、す、が! 私一人、正規のルートで学園都市に辿り着けたことは大きな進歩です!」
上条「掃除ロボに惨敗してたけどなー」
神裂「あ、あれはあのドラム缶が悪いんです……」
上条「そういえば最近、コスト面や安全性がクリアされたみたいで近々全世界に向けて売り出すらしいぞ」
神裂「ぜってぇぶった斬る!」
上条「神裂が言うと冗談が冗談に聞こえないからやめてくれ……」
神裂「冗談ではありませんよ! あんな恐ろしいドラム缶は私がこの手で必ず……!」
上条「はいはい。それじゃあそろそろ行くか」
神裂「あ、はい。それもそうですね」
上条「あんまり外にいると何にも知らないインデックスが暇を持て余してひょっこりどっか遊びに行っちまうかもしれねえしな」
神裂「はい。それであの、そのぉ……ですね」
上条「ん、家のことか? だから俺は友達の家に泊まりに行くから気にすんなって。自由に使ってくれ」
神裂「それもそうなんですが、先程の……」
上条「先程の? あー。あれも別に気にすんなよ。今頃常盤台のジャッジメントが無駄に報告書を書いてるだけだろうし」
神裂「ではなくてですね……。……あぁ、もうっ! 助けてくれて感謝しまし!」
上条「……もしかして、噛んだ?」
神裂「~~っ」
上条「あ、うん。なんか可愛かったから上条さんは許す!」
神裂「か、かわっ『あれ、かおりだ!』」
神裂「インデックス!?」
禁書「あ、とうまも! ねぇどうして二人は一緒にいるのかな?」
上条「はは、インデックスにサプライズするつもりが逆サプライズになっちまったな」
禁書「さぷらいず?」
神裂「お久しぶりです。インデックス」
禁書「ひっさしぶりなんだよ!」
上条「それじゃあ後は二人で楽しくやってくれ。またな」ピッ
禁書「とうま?」
神裂「訳は後で話します。さぁ行きましょうインデックス」
禁書「? よく分からないけど分かったんだよ!」
神裂「ふふっ、なんですかそれは」
終わり