392 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] - 2010/08/02 21:03:33.34 aP51Vfk0 1/6取り合えずワンシーンだけ書いてみた。
さっきの結婚式のかなり前。
二人が付き合う前の、最初らへんの部分。
関連
『とある科学の通行止め』
http://toaruss.blog.jp/archives/1012312079.html
「平和だねー、ってミサカはミサカは貴方に同意を求めてみる」
「……あァ」
タッタッタッ、と横を駆け抜け、前方でクルンと舞う打ち止めを、一方通行は見る。
今日一日付き合って分かった。
彼女はあの頃とは比べ物にならないくらい成長している。
身体的にも、精神的にも。
もう、自分という存在が近くに居て守らなくてもいいくらいに。
「……あのね、一方通行」
「っ……」
名前で、呼ばれた。
彼女はいつのまにか立ち止まり、中学の制服を風によって揺らしている。
顔は、影になってハッキリと見えない。
その時、オレンジ色の光が迸った。
雲の切れ間から現れた夕暮れの太陽は、空気を温め、光を迸らせる。
その綺麗なオレンジ色の光に照らされた打ち止めの顔は、何かを決意したような、不安を押し込めるような、一方通行が、彼が見たことの無い顔をしていた。
(マズイ)
直感的に、一方通行は感じる。
彼女は、とんでもないことを口に出そうとしている。
一方通行が、一番聞きたく無い言葉を、彼女は言おうとしている。
よりにもよって、彼女は自分という『悪党』にとんでもないことを言おうと、している。
「ミサカは、ね?一方通行のことがーーー」
「やめとけ」
「ッ!」
だから、彼はストップをかけた。
ストップをかけられた打ち止めは、突然の出来事に茫然としながらも前を見る。
彼は、ただただ、無表情。
それを見て、打ち止めは悟る。
自分の恋は、終ったのだと。
「……じゃァな」
背中を向け、杖をついて歩いて行く彼に、彼女は声をかけれない。
声が、出なかった。
十分程たち、まだその場に立っていた打ち止めにポツンと、何かが落ちる。
それは、水滴。
先程の太陽はどこへ行ったのか、空は灰色の雲に覆われており、雨がゆっくりと降り始める。
ポツポツとゆっくりだった効果音は、やがてザーと言った風に巨大になり、視界が見え難くなる程の豪雨が降り注ぎ始める。
その段階になって、始めて打ち止めは地面に膝を着いた。
先程までなら、彼が居た先程までなら、汚れるからと、手を伸ばしてくれたのだろう。
だが、その彼は、もう、居ない。
「ーーーあァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
雨が降る中、打ち止めは絶叫を上げ、泣いた。
唯一、今の彼女に声をかけれる彼は、居ない。