723 : とある若葉の殉教者たち 14[] - 2010/09/02 15:41:07.86 imCCkeU0 1/1


「思い出したんだ」

フィアンマは知らない。突如この場にふらりと現れたくたびれたスーツの男を。

「たった一人の女の子を救いたかっただけだったって」

フィアンマの「第三の腕」が崩れていく。「制御できない」のではなく、「制御されている」ことを神の右席は感じ取った。

「思い出したんだ」

上条は知らない。長身ながらもどこか頼りない気持ちにさせるこの男を。

「一人の女の子を救えなくて世界を救うことが出来る筈がないって」

倒れふしていた上条は自分の傷が治っているのに気付いた。そればかりかふつふつと自分の中から何かが産声を上げているのが聞こえてくる。

「思い出したんだ」

ステイルは知らない。このどことなく不器用そうな感情を持った人間を。

「始まりは罪無き人々を守ることだったって」

ステイルの腕の中に納まっているインデックスがパチリと目を開けた

「大切なのは信じること」

インデックスは知らない。穏やかに純真無垢に言葉を連ねるこの人間を。

「人を、世界を、信じること」

インデックスは、心が何かにそっと包まれていくのを理解した。ゆっくりと、ゆっくりと、壊さないように引き上げられていく「今の自分」の知らない「自分の情景」に戸惑いながら、知らぬうちに涙が頬を伝っていく。



「……誰だ、お前は」

フィアンマは自分が怯えていることに激怒した。目の前の人間は、神のような力を振るいながら、己は神ではないと一線を引いている。そのことが表情から読み取れた。何かを成し遂げようとしておきながら、下にいることを望む、そんな存在は許せない。

「ただの、全てを信じている人間だ」

ゆっくりと世界が、癒される。そうあることが当然のように。



「黄金練成!」



これは、誰も知らないある男の物語

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-13冊目-【超電磁砲】
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