ヴェント「アンタ嫌いよ、 歪んでるわ」
フィア「そりゃ世界が歪んでるせいだか(ry
ヴェント「じゃあね」バタン!
フィア「あ……」ショボーン
フィア「………。」
フィア「………別にいい、 どうせ誰かに理解してもらえるとは思ってないんだ、俺様だけが分かればいいんだ……」ブツブツ
フィア「………はぁ……」
ため息とともにのど元までせり上がる言葉。
フィアンマは自らの気持ちに気づいていた。 だが、認めなかった。認める訳にはいかなった。
神の右席として。 世界の歪みを正す為に。
だが今はもうヴェントがいると、この気持ちを抑えるのが精いっぱいで、周りの事まで気が回らない。
だから、後方で緑のエリマキトカゲが、「バレバレなんですけどねー」と呟いてたのは彼は知らない。
フィア(……明日は、幻想殺しのいる学園都市へヴェントが行く日か。)
彼はこの事はうまくいくとは思ってない。 虎の子の超能力者が7人いると聞いてる。
それだけならまだしも、問題は幻想殺し。
恐らく、ヴェントの天罰は効かないだろう。
もしかすると―― ヴェントは負ける。
フィア(……それがどうした、 ただの捨て駒だろう。)
フィア(そうだ。 捨て駒にいちいち心配してたら身体が持たない)
フィア(捨て駒にいちいち、仲間だとかそんなの思ってたら、心が、持たない。)
どうせ、この第三の腕がある限り、誰も――。
そこまで考え、嫌になって目を閉じる。
数時間後
アックア「何を立ち止まってるのであるか。」
フィア「!?」ビクゥウウウ
フィア「な、何だ…… お前か。」
アックア「さっきからいないと思えば……。 そこはヴェントの部屋の前なのであるが?」
フィア「うっ、 それくらい分かってる……。」
フィアンマは何故かヴェントの部屋の前にいた。
しかも、ずっと扉の前で右往左往していた。不審者極まりない。
そんな彼を見てあまりの異常事態に、アックアは声をかけたのだが――
彼が何か持っている事に気づく。
それに気づいたフィアンマが急いで隠すが、聖人はそれが大体何であるかを予想する。
アックア「――今時指輪、であるか。」
フィア「よしぶち殺す今すぐぶち殺す他言無用だぶち殺す」
アックア「別に『指輪』と言っただけであるが?」
アックア「それとも、その指輪に何かあるであるか?」
フィア「ぐっ!」
ジリッ、と一歩下がり――扉にガツン、とぶつかる。
ヴェント「……何よあんたら。 人の部屋の前で喧嘩とかやめてほしいんだケド?」ガチャ
ヴェントが部屋の中から出てくる。フィアンマが反射的にビクゥウウウ!と彼らしくない動作をしたのを気にしつつ。
フィア「べ、別に何でもない! 俺様は戻るッ!」タッ
何かしらの奇跡の応用で、一瞬にして『奥』へ戻るフィアンマ。
アックア「あの男はどうやら……いや、やはり野暮であるな。」
ヴェント「? ? 何のコト?」
まるで子供を見守る保母さんのように、微笑ましいという風に、フィアンマが行った方向を見つめるアックア。
突然の事態に、頭に大量のはてなマークを浮かべるヴェント。
それを離れた所から見つめるエリマキトカゲ(小麦粉)
奥で、フィアンマは箱からヴェントに渡そうと思ってた、とある指輪を取り出す。
金色の、簡素な指輪。
ヴェネチアの、一年に一度の祭事で使われる指輪と酷似している。
全身銀のアクセサリーの彼女にどうだろうかと思い珍しく外に出て選んできたもの。
これならウリエルの加護を色的に、ギリギリ受け取れるし、というのを建前に渡そうと思ってたが、結局逃げ出してしまった。
フィア「……ふん、これでいいんだ、俺様らしくないし。」
指輪をおさめる。
もう渡さないであろう、後はただのゴミになったそれ。
だが、捨てる気にはなれなかった。
自分が彼女に対して何かしようとした証を、捨てる気にはなれなかった。
もし自分がただの人間なら、と思ってしまう。
今更、戯言だ、と思う。
こんな事を考える自分は傑作だと思う。
だが――
指輪を収めると中的な顔を歪める。
フィア「…………これも世界の歪みのせいだ。」
ポツリ、と言った言葉。
それが本気で信じてない事ぐらい、知っている。
フィア(……幻想ぐらい抱かせろよ、イマジンブレイカー。)
fine.
741 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] - 2010/09/02 20:39:40.88 v2bGxT.o 5/5尾張。
最後のセリフが言わせたかった反省してるし後悔してない(キリッ
つか右席SS何でこんなに少ないん?
何で原石SSも少ないん?
モツ鍋さんがドMになっちゃうSSとか俺得なんだけどなー