597 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」1[sage] - 2010/10/13 22:17:35.75 ai8eT1I0 1/39

――アイテムの専用ワゴン車

「ねぇ…そういえば電話の女ってどんなやつなんだろうねぇ…」

学園都市の暗部組織アイテムのリーダー麦野沈利が唐突に切り出す。

「確かに。気になるかも…」

アイテムの爆破魔で白人ブロンドの脚線美フレンダが相槌を打つ。

「超気になりますね」

まだ小学生という印象がぬぐえない中学生の絹旗最愛。こうみえてもレベル4の窒素装甲という能力を持っている。

「おんな、って事以外分からないよね。あ。あとハイテンション」

アイテムの照準。名実ともに地の果てまで能力者を追い詰めるAIM追跡者の滝壺理后。

「誰なんだろうな…」

アイテムのガチパシリであり、バニーガールに目がない浜面仕上も車を走らせつつ、ボソと発言した。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-15冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285633664/
598 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」2[sage] - 2010/10/13 22:19:06.77 ai8eT1I0 2/39

♪プルルルルル

「うわさをすればなんとやらってか…!」

浜面が言う。運転する大型ワゴンに電話の女から連絡が入る。

「じゃ、ちょっと聞いてみるね。はい。こちらアイテムの麦野沈利」

モニター付き電話には『sound only』の文字が。

『アイテムしょくーん!元気かな?』

普段なら音声のみの電話に何ら疑問を抱かない。

むしろ興味すら湧かなかったが、今回の麦野の一言が電話の女の正体を知りたいという探究心に火をつけてしまった。

599 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」3[sage] - 2010/10/13 22:20:02.18 ai8eT1I0 3/39

『はーい。クソども、ヤローども。こんにちわ。今日もお仕事よー!!』

(ほんっとにいつもハイテンションだな…コイツ)

麦野がそんな事を考えつつ質問を切り出す。

「なぁ、お前っていつも何してんの?」

『電話だけど』

電話とは…よく言ったもんだ。

「いや、違くてさ。電話してる以外に何してるの?」

『……………』

600 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」4[sage] - 2010/10/13 22:20:48.91 ai8eT1I0 4/39

電話の女は喋れなくなったのだろうか?全く返事が聞こえてこない。

「おーい、何だまっちゃてるんだにゃーん?☆」

その後、しばらく沈黙が続きやっと音声が聞こえてきた。その声はひどく動揺している。

『…………普通に?え?は?あたしがなにしようが自由でしょ?バーカバーカ』



601 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」5[sage] - 2010/10/13 22:21:48.79 ai8eT1I0 5/39



「ハハハ!おいおい!何動揺してんだよ!!お前はこっちの素性知ってるんだから教えてくれたっていいだろ?」

『こいつと来たらー!!何でお前らそんなにあたしの事聞くんだー!!』

「いや…ねぇ?」

麦野がアイテムの面々を見渡す。

「だってあんたいつも通話してる時もサウンドオンリーな訳よ。結局、顔ぐらい見たいっておもうのは普通じゃない?」

「うん。知りたい…。声かわいいし、容姿もきれいだろうなって話をしてたの」

アイテムの面々が滝壺にグッ!と親指を立てる。GJ!滝壺!


602 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」6[sage] - 2010/10/13 22:22:26.83 ai8eT1I0 6/39



『え、じゃぁ仕方ないなぁ………じゃ今からTV通話モードに切り替えるわよ?』

アイテムの面々から歓声が沸き起こる。

「超期待ですね…!!」ワクワク

おそらく皆絹旗の様な心持だろう。アイテム女性陣は全員後部座席に座っており、モニターにくぎ付けだ。

浜面は大型ワゴンを運転しながら後ろが気が気でないようだ。

…しかし、いくらたっても車載モニターには『Sound Only』の文字が。

そこからいきなり電話の女の声が聞こえてきた。

『なんていうと思ったかボケー!!みせませんよー!!ベーだ!!じゃ、仕事のファイルは麦野のipadに転送しといたからねー』ガチャ ツーツー

603 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」7[sage] - 2010/10/13 22:23:05.81 ai8eT1I0 7/39


「超切れてしまいましたね…」チッ

ちょっと声が子供っぽかったと思う絹旗だが、実態はわからない。

「ノリで顔見せてくれるかと思ったのに…」ハァ

機転を利かせた滝壺の作戦にひっかからないと見るとやはり相手は相当な大人なのだろうか?

「結局ガードはかたかった訳よ…」ダウー

フレンダも、期待した分だけなんともあっけない幕切れに落胆した。

「チッ。あと少しだったのに。浜面ー!いつものレストラン行って三時のおやつにしましょ」クラップクラップ

パンパンと手をたたく麦野。取りあえずいつものファミレスで会議と言う名の雑談に興じることになった。

「へいへい」

ファミレスの必殺ドリンクバー運び人浜面が憂鬱そうに言うと車は一路第七学区のファミレス「ジョセフ」に向かっていった。




604 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」8[sage] - 2010/10/13 22:24:13.86 ai8eT1I0 8/39


――第七学区柵川中学校近辺の学生寮

学校から帰宅して制服を着たまま電話している女の子が一人――

「あー、何なの?あいつら!そんなにあたしの顔が気になるのかな?」ムシャクシャ

ふつうの女の子なんだけどなぁ、と一人心の中でグチる。

「あーあー、役作りすんのも疲れるのよねー。ハイテンションは維持できるんだけどなぁ。」

彼女は見た目、ゴクゴク普通の女の子で実際にごくごく普通の生活を送っている。

「やっぱ年上に敬語使わないのもここまで行くと若干ひけるわー」

電話の女はPCのweb電話を切る。

605 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」9[sage] - 2010/10/13 22:25:02.04 ai8eT1I0 9/39


「ったく、幻想御手使っただけで何でこんな事しなきゃいけないのよ?しかも顔見せろなんていわれちゃったし…」ハー

電話の女はため息をつく。




彼女は夏休み中に幻想御手に手を出した前科がある。

そして新学期が始まり、少しして、彼女の学生寮に一通の封筒が届いた。内容は――

――幻想御手を使ったことを不問に付す代わりに…



(代わりに、電話をしろ、かぁ…)

幻想御手とは音楽ソフトの事でつい最近までちまたに流通していた。

(ま、電話するだけでお金もらえるからいいんだけどね)

彼女はそれにより自身のレベルをゼロか幾分か挙げることに成功したが、結局昏倒した。

606 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」10[sage] - 2010/10/13 22:26:35.17 ai8eT1I0 10/39


(昏倒してしばらくしてから手紙が来て…暗部堕ちした…)

彼女の友人、知人はよく不思議な騒乱に巻き込まれる。

それが彼女を“電話をする仕事”をしようと駆り立てたきっかけだそうだ。

(私の友達たちも風紀委員とかレベル5とか何か私が知らないようなこともしてそうだろうし――)

(私も人に言えないことの一つや二つあってもいいよね…?)

彼女は学校の度重なる能力判定検査で無能力者の烙印を押されていた。

そうした経緯が、ただの無能力者であるという現実から脱したいと彼女に強く思わせたのである。

607 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」11[sage] - 2010/10/13 22:27:16.97 ai8eT1I0 11/39


彼女の数少ない友人達はほとんど能力者。

そんな環境と自分の無能力者っぷりに苦悩し幻想御手を使い一時、能力者気分を味わったが、先述したように昏倒。

昏倒してからは順調に回復した。

しかし、幻想御手の一件で友人に散々迷惑をかけた。

彼女も友人たちに泣いて謝罪した。

(昏倒から回復した時に…もう絶対こんな危険な事なんてやるかって思ったよ。そりゃ)

にも関わらず、こうして学園都市の暗部へ堕ちた彼女。

608 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」12[sage] - 2010/10/13 22:28:27.61 ai8eT1I0 12/39


幻想御手を用いて昏倒して、二度と危険な事をやるまいと誓った彼女が暗部へ堕ちた理由は?

――理由はカンタン。

まず、善悪の区別がつきにくい子供。

友人たちは能力者で何かしら私の知らない所で活躍している。

ならば私も皆に知られていない何かが欲しい――。

という念は幻想御手の弊害から回復しても消えなかった。

判然としない『暗部』というものに対する憧れ、能力者に対する未だに消えない羨望の気持ち、ちょっとした非日常的な生活を夢見た。

これらの要素が重なった時、彼女が暗部へ堕ちるのはそう長くはなかった。

極めつけは住所のみ記載されていた差出人不明の手紙に記載されていた内容。



『――あなたの身には危険は及ばないように格別の配慮をすることをここに誓います』

609 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」13[sage] - 2010/10/13 22:43:19.74 ai8eT1I0 13/39


差出人不明の手紙に電話の女をやってみたいという返信の旨の文書を送り返す。

(あん時はまさか返事がくるなんて思わなかったよ…。だって…手紙に書いてあった住所は空き地だったから…)

しかし、数日して専用の携帯電話とPCが差出人不明で送られてくる。

しかも寮のルームメイトがいない時間帯を見計らって。

(この時、自分がホントに暗部に足を踏み入れてるっておもった。どうしようって思った)

眼光虹彩スキャンと指紋、音声スキャン、16ケタのパスワード入力を全てミスなしでやらなければ起動できない携帯とパソコン。

それらはルームメイトの少女に気付かれないように枕の中にひそかに忍ばせている。

610 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」14[sage] - 2010/10/13 22:44:17.17 ai8eT1I0 14/39


(にしても、まさかアイテムのやつらがあたしの顔に興味を持つなんてね…)

あれこれ考えている時、制服ポケットに入れてある私用の携帯電話が鳴っている事に気付く。

「あ、電話だ。誰だろ」プルルルルルルル

携帯電話に目をやるとディスプレイには『初春飾利』と映し出されていた。

初春は彼女の友人である。

611 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」15[sage] - 2010/10/13 22:45:03.26 ai8eT1I0 15/39



『佐天さーん宿題が終わらないですー!!助けてくださいー!!』ガヤガヤ ザワザワ

ピッと通話ボタンを押すと少女の助けを求める声が聞こえてくる。

彼女はウウン!と喉を鳴らし、“仕事”の癖を抜くと通話に応じた。

「はいはーい。初春、今どこにいるのー?あたしが助けにいってやろうではないか」エッヘン

電話の女、もとい佐天涙子はルームメイトの初春の宿題の山を終わらせる作業要員に抜擢され(てしまっ)た。

「んで、初春ー、場所はどこなのー?まだ学校?結構後ろの声がうるさいんだけど」

学校じゃありませんよ、と否定する初春。

『ファミレスのジョセフです。わかりますか?風紀委員の仕事ばっかで学校の宿題たまりまくちゃって…』

612 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」16[sage] - 2010/10/13 22:45:51.64 ai8eT1I0 16/39


電話越しに初春のため息が聞こえる。

どうやら佐天のヘルプが相当助かったようだ。

(ま、偶然いあわせるってこともないよね?あはは…)

佐天は気楽に考えようとするが、どうにも会ってしまいそうな予感がしてならない。


『じゃ、ファミレスのジョセフで待ってますからね!?座席は窓側の所ですよ!目印で近くに学生っぽい人が五人います』

「はいよー了解!あ、じゃ今から向かうわねー!」

佐天が左肩と左耳で携帯電話を挟みつつ、柵川中学校の制服を器用に脱ぎ、私服に着替える。

(あれ?そう言えばアイテムも五人組一人は下部組織の構成員って聞くけど――)

佐天には一つ思い当たる節があった。

613 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」17[sage] - 2010/10/13 22:46:30.54 ai8eT1I0 17/39


アイテムの面々は確かファミレスでよくだべっているというのを以前通達で見たことがあったからだ。

(うわー、あいつらいつもジョセフでだべってるんだっけ…会ったら気まずいけど。まさかいないよね?うん。居ないに決まってるわ)

『じゃ、待ってますねー!!』ピ プープー

「さ、私服に着替えて初春の宿題手伝ってスカートめくってやりますか!」

手ぶらで白スニーカー、ジーンズ、でシンプルに白シャツに黒のパーカーを羽織った佐天は第七学区のレストランジョセフに足を運んで行った。

(どうかアイテムのやつらがいませんように…)

と祈念しつつ。

614 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」20[sage] - 2010/10/13 22:47:02.59 ai8eT1I0 18/39

――ファミレス『ジョセフ』


アイテム五人はジョセフの窓側の座席にいた。

「おいおい、お前ら、俺の頼んだミックスグリルとライス冷えちまうだろ」

アイテム下部組織の構成員浜面仕上は悲鳴を上げていた。それもそのはず。

30分待った挙句に料理が来てさらに30分経過しても料理を一口も食べていないからだ。

計一時間。ハンバーグはすでに冷え込んだいた。ライスも表面が固くなりどうしようもない。

615 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」20[sage] - 2010/10/13 22:47:51.64 ai8eT1I0 19/39


「別に超構いませんから。喉乾いたんではやく野菜ジュースお願いします」

「絹旗、ぜってぇ泣かす!」

言った瞬間に浜面の足は絹旗に踏まれる。

(ただの踏みつけ?違う。これは窒素をまとった足による踏みつけだ!)

と踏まれつつミシミシと音を立てる足を見つつ浜面は心の中で自分で説明する。

616 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」21[sage] - 2010/10/13 22:48:40.85 ai8eT1I0 20/39


「結局、私はー…うーん…コーラ。早くしてね☆」

(おいおい、フレンダ、お前はサバ缶にコーラかよ…普通ジンジャエールだろうが…)

と浜面のチョイスもおかしいのだが、自分がハンバーグを食べれないいらいらについに耐えきれなくなって浜面はブチ切れる。

「おい!俺を誰だと思ってやがry」

「「「「でね、それでねry南南西からryはーまづらぁぁぁぁ」」」」

(てんできいてねぇえええええええええ)

もはや浜面のプライドはズダボロである。

「スキルアウトをまとめてたry」

いつもの決め台詞を言おうとした所に麦野が口をはさむ。

「メロンソーダ7コーラ3の比率。ミスったらそげぶね」

小学校の時のぼろ雑巾(?)のようになった浜面は重い足を上げ、DBに向かう。

(よし、絹旗が野菜ジュースでフレンダがコーラで麦野がry)

浜面が頭の中で復唱している最中に滝壺理后が一言。

「オレンジジュース。がんばれはまづら」

「…?もうおぼえらんねぇええええええ」

(落ち着け、素数を数えて…やりなおそう…)

617 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」22[sage] - 2010/10/13 22:49:17.47 ai8eT1I0 21/39



もはや立て直しが出来ないほどに浜面の思考能力がメチャメチャになってしまった。

「よし!えーっと…コーラとぉ?野菜ジュースと、ジンジャエールだっけか?もうわかんねぇえええ」

「はい、ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い☆」

麦野の死刑宣告。

「イッヒwイッヒwwイッヒwww」

浜面は壊れた。


618 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」23[sage] - 2010/10/13 22:49:52.87 ai8eT1I0 22/39



♪ピロピロ♪

ファミレスの入店を知らせるベルが鳴る。

パートのおねぇさんがやってくる。

「いらっしゃいませ!お客様は一名様ですか?」

「あ、待ち合わせで、もう来てるので…」

そういうと、店員は忙しいらく、裏側にせわしなく消えていった。

佐天がキョロキョロとあたりを見回す。




その時、窓側の座席を見ると女の子四人と男一人の計五人がワイワイ騒ぐ声が聞こえた。

ビク!っと肩を震わす佐天。

(ウワー。アイテムいたー!気まず!!)ヒエー

ここで変に取り乱しても何もならない。

取りあえず花を見つけなければ、と思考の切り替えを済ます佐天。

619 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」24[sage] - 2010/10/13 22:50:33.99 ai8eT1I0 23/39



(さ、気を取り直して初春見つけますかね…花、花、花と…)

只今の時間帯はランチの時間が終了したアイドル(ディナーへのつなぎの時間帯の事)。

ランチの時間帯から雑談している客(主に学園都市在住の研究機関員や企業の方々)もいる。

デザートを食べながらしゃべる人たちもいて店内はランチほどではないが若干にぎやか。

そして花、もとい初春を佐天は発見する。最悪なことにアイテムの連中の隣の座席だ。

(うーいーはーるー!なんで寄りにも寄ってアイテムの隣の座席なのよー!!)ハァ

初春が先ほど言っていた学生五人組とはアイテムの事だったのだ。

620 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」25[sage] - 2010/10/13 22:51:20.44 ai8eT1I0 24/39


佐天の親友である初春飾利はアイテムの五人がワイワイやっている隣の四人掛けの座席に座っていた。

彼女は黙々と宿題にとりかかっている。

「うーいーはーる!」

「あ、佐天さぁん!やっときてくれましたね!ホント助かります!」

「どれどれ?あたしが見てあげよう…フムフム…全くわからん!!ゴメン!!」チラッ

佐天が初春の宿題を見つつ、隣の座席を覗く…

“あれ?あの男は…下部組織の人間かな?…確か上からもらったリストだと浜面仕上?だっけか”



「イッヒwイッヒwwイッヒwww」

発狂してアホになった浜面は相当うるさかったらしく。隣の佐天達の卓にも聞こえるうるささだった。

「あの…さ、佐天さん?きいてますかー?」オーイ

「あぁ…ご、ごめん初春!ちょっと隣の人たちがうるさいなぁと思って」

「ちょ!…ちょっと…佐天さん!き、聞こえますよ…!!」

その時、一番年長者であろう長身のお姉様系の服装をし、シャケ弁当を食べている女が初春達の方を向いた。

621 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」26[sage] - 2010/10/13 22:52:25.72 ai8eT1I0 25/39


「もしかして私たち、うるさかったかな?ごめんね?」

(麦野沈利ってこいつの事かぁ…第四位の原子崩し…となりの金髪ブロンド…あれがフレンダか…)

「い、い、いえ!とんでもありません!すいません!」ビクビク

佐天が生で初めて見るアイテムの面々を上からもらったリストと照合していく。

「あ、そう。ならよかったわ」

本来ならこれで収まるはずだったが佐天が余計なひと言を発してしまう。

「おいおい、レストランでシャケ弁当かーい」

初春は佐天と麦野の顔を交互に見かえしている。

622 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」27[sage] - 2010/10/13 22:53:06.29 ai8eT1I0 26/39



「駄目?好きなもの食べたいんだからいいじゃん。第一てめぇに指図される筋合いないよね?関係ないんだから」

(麦野さん…初対面なのにメンチきらないで!怖すぎる…でもねぇ…理由知りたいし)

「さ、さささ、佐天さん…ちょっとここは撤退した方が…」ビクビク

初春がアタフタしつつも佐天は全く動じていない様子。

(われながら、あたしのこのクソ度胸には恐れ入るわ…)

むしろ初春の忠告など聞かず、チラチラとアイテムの面々を物色し始めた。

(麦野さんって普段こういう恰好してるんだ…奥でぼーっとしてるのが滝壺さんかな…?)

テレスティーナの一件でもそうだったように佐天は結果はどうであれ、クソ度胸の持ち主だ。

623 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」28[sage] - 2010/10/13 23:05:41.37 ai8eT1I0 27/39


「ってかお前頭の頭何?花植えてるの?」

麦野の視界にふと花畑が写った。

「はい?何のことでしょう?」キョトン

(…ヴィオランテか?コイツ…。取りあえず、堅気じゃねぇな。やめとこう…)

「あのー…初春にその事は聞かないであげてもらっていいですか?」

「初春?あぁ、こいつの事ね。はいはい」

(ん?こいつの声どっかで聞いたことあるよーな…)

佐天の声を聞いた麦野が何か勘付いたようだが、佐天は気付かない。

(生で見た麦野の雰囲気ぱねぇww)



624 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」29[sage] - 2010/10/13 23:09:37.75 ai8eT1I0 28/39


その後はお互いに喋らず、佐天達は宿題に取り掛かり、アイテムの面々は相変わらずやかましく雑談に興じている。

しかし、事件が起きる。

「佐天さんー!ここもわかりませんよぉー!」ウルウル

「おーい!初春ときたらぁー!さっきも言ったじゃんかー!」

佐天の声を聞いた麦野の肩がピクリと震える。

(おい…今の声…もしかして)



麦野がねぇねぇ、小さい声でアイテムの面々に言う。


「おい、後ろの女の声、電話の女にめっちゃ似てね?ハイテンションだしさぁ」

「えー、中学生で私より年下だよー?結局、あの年齢で暗部って考えられなくない?」

通路側で麦野の左隣に座る白人ブロンドの少女フレンダが言う。

ちなみに本日サバ缶2缶目だ。

「フレンダ、私はまだ中学生なのに超暗部堕ちしてますよ?」エッヘン

フレンダ(そこは胸張る所じゃないだろ…)オイオイ

ちなみに絹旗は中学一年生。佐天と同学年だ。

「ちょっと試してみようよ。麦野」

いつもぼんやりしている滝壺理后が珍しく目を輝かせている。

「ごにょごにょ」

アイテムの面々が座席の真ん中寄りに集まって滝壺の話を聞く。

「「「「ふむふむ」」」」ホウホウ

625 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」30[sage] - 2010/10/13 23:10:23.96 ai8eT1I0 29/39


「…さっきも教えたじゃん!ココをこうしてこうすると…」チラッ

佐天がアイテムの面々を見るとなにやら話している。気になる。

「ほうほう。わかりました!ありがとうございます!」

「あ!浜面!超電話なってますよ!」

――アイテムの作戦が今始まろうとしている!




突然佐天達のとなりの座席に座っているウールのワンピースを履いた少女、絹旗が声を上げた。

「今ドリンクバーで手が離せないから出てくれー!絹旗!」

ドリンクバー越しから大きい声でいう浜面。

一瞬で店内にいる客の目が浜面に向く。でかい声だしたから当たり前だ。

(ったく何で俺がでかい声出して皆から注目されなきゃいけねぇんだよ!)



とにかく絹旗が浜面の携帯電話を取る。

「はい、絹旗です!浜面の代わりに出ました。超どちらさまですか?」

絹旗が電話の相手と話している。

佐天も特に気に留めなかったのだが、次の一言が佐天を一気に動揺させた。

「え?仕事?今日は終わったんじゃないんですか?え?」

アイテムの面々がわざとらしく動揺する。

しかし、佐天はそのわざとらしい動揺を見抜けない。

626 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」31[sage] - 2010/10/13 23:11:16.55 ai8eT1I0 30/39


「え?え?今日はもうおわったんじじゃないの?どうゆう訳よ?」ニヤニヤ

「絹旗!ちょっと電話かわれ!」ニヤニヤ

フレンダと麦野は佐天側に背中を向けているために彼女たちのニヤニヤした表情は確認できない。

一方佐天はメチャメチャ動揺していた。

何故なら本来なら仕事用の携帯電話とPCには“今日は一回アイテムに連絡するだけでいい”とメールで通達がきていたから。

その通達により佐天は仕事(電話)様のPCも携帯電話も寮に置いてきてしまったのだ。




(え?マジ?ちょっと待て。さっき上からの通達でも今日は終わりって言われたよ?え?え?)

麦野が絹旗から電話を奪い、絹旗にウインクする。

(絹旗!GJ!)ヒャーオモシレー

(超楽しみです)wktk

「はーい。かわったよー。何?また仕事?ってか何でいつもの電話の女じゃねぇの?」

「おいおいおい。やべぇ。専用の携帯とPC寮に置いてきちゃったよ…何か緊急の仕事かなぁ…)

627 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」31[sage] - 2010/10/13 23:12:58.01 ai8eT1I0 31/39



「へぇ。電話の女を何度呼び出しても電話にでないってか…なぁるほどぉ…」ニヤニヤ

「職務怠慢…電話の女…使えない」ハァ

「え?何?また仕事かよ!ダッル!ちゃんと言えよ電話の女!」チラッ

(あーやばいやばい。帰って確認しなきゃ。ってか今日の仕事はさっきの電話で終わりじゃないの?通達にはそう書いてあったじゃん!)アセアセ

佐天は他人から見てもわかる程、そわそわし始めた。

その姿を佐天の顔が見える位置にいる滝壺と絹旗、ドリンクバーを取りに行き戻って来て通路につっ立っている浜面は見ていた。

(超、ばればれです)

(計画通り)ニヤ

(フィッシュオン!たいりょーう!魚魚魚―!)

フレンダ(あーあーあー結局まだ子供ってわけね)

(中学生に命令されてたって事かにゃー☆)イライラ チッ

628 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」32[sage] - 2010/10/13 23:14:02.12 ai8eT1I0 32/39


プルルルルルル♪

不意に初春の携帯電話が鳴る。

「佐天さん、すいません。ちょっと電話出ますね」

そういうと初春はぽちっと通話ボタンを押す。『白井黒子』という人物からだ。

「はい、はい。第七学区で、ハイ、江頭2:50が?わかりました」

どうやら第七学区で江頭2:50が暴れているらしい。

江頭といえば、無恥全裸(シェイムレスヌード)の大能力者(Level.4)だ。

「わかりました。すぐ向かいます。え?固法先輩が透明能力(クレアポイアンス)を使った瞬間に失神?え?白井さん?ちょっと、白井さん!?」プープープー

携帯電話の通話終了ボタンを押す。

否。

誰かに携帯電話白井黒子のを破壊された様だ。どうやら事態は風雲急を告げるらしい。

629 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」33[sage] - 2010/10/13 23:14:50.35 ai8eT1I0 33/39



「すいません!佐天さん!お金はここに置いときます!ちょっと風紀委員で仕事が入ってしまったので!行きます」

初春は財布からさっと千円を出し、机に置くと初春はジョセフを飛び出して街の喧騒に消えていった。

(え?あの江頭?ちょっと見てみたいかも。ってか私も寮に戻って仕事の確認しなきゃ…!)

初春が立ち上がって第七学区の喧騒に消えていってから数十秒後、佐天も立ち上がって寮に戻ろうとする。

(くっそ―。今日は仕事一件だけって上は言ってたじゃないの?あたしのミスかな…)

佐天は周りの目を気にせずガバっと立ち上がって走り出す。

しかし、そこで声がかかる。



「そこの女の子、おい。そこのあんただよ」クスクス

ビクッと肩を震わす佐天。振り向くと、アイテムのリーダー麦野が佐天をみていた。

「伝票、超忘れてますよ?」サッ

は、はい!?と振り向く佐天。

(早く戻って確認しなきゃいけないのに、こいつらときたらー!!)

先ほどまですわっていた座席に指してある伝票を取りに戻りまた走ろうとする佐天だが――

「ねぇねぇ。花飾りの子が置いてったお金も忘れてるよ…?」

「あははー!すいません、すいません…じゃ、ここらへんで帰るので…」

(やっばい、ばれた?平気よね?あたしはたまたまタイミングよく立ちあがっただけで…!)

630 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」34[sage] - 2010/10/13 23:16:20.81 ai8eT1I0 34/39


「結局、何でそんな急いでる訳?」ニヤリ

フレンダが後ろ髪をいじりながら言う。

「え?いや、ちょっとおなかが痛くて…トイレに…えーっと…行こうとして」

そこで自分が犯したミスに気づく佐天。

「あれ?帰るのか?トイレ行くのか?どっちだよ」

浜面の指摘に頭が混乱する佐天。

(え?トイレ行きたいんだっけ?帰りたいんだっけ?あらら…やばいなあたし…)

墓穴を掘る佐天。

631 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」35[sage] - 2010/10/13 23:17:03.61 ai8eT1I0 35/39




そして絹旗がとどめの一撃を放つ。

「伝票を持ってトイレに行くんですか?超不自然ですね…」フフ

佐天が向かっている方向はファミレスの入り口の方だった。

「今日はもう仕事ないよ?電話の女?」ニヤリ

学園都市第四位の大能力者はどうやら眼力の怖さも学園都市トップレレベルらしくて。

「……は?なんの事ですかね?」シラー

シラを切ろうとしているが動揺を隠しきれない…。

(ヒエエ…完全にばれてるわー…)

「ま、こっち座れよ」

麦野の呼びかけに応じたら自分が電話の女である事を認める事になる。

632 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」36[sage] - 2010/10/13 23:17:31.36 ai8eT1I0 36/39



「…私は用事があるので…ここらへんで」

(もう破れかぶれだ、これでいけなかったら認めるしかない)

「あれ?さっきはトイレって言ってたよ?わすれちゃったのかな?」

体晶を使ってるのか?と思うくらいの滝壺の鋭い眼光に射すくめられる。

(ちょっと!滝壺理后はいつも眠そうな顔してるってアイテムのファイルに記載したのは誰!超鋭いじゃないか!)

「……クッ…」ビクビク

嫌な汗が出てくる。もう佐天が電話の女だということはばれたも同然。

(ええい!ままよ!佐天涙子逝きます!)

634 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」37[sage] - 2010/10/13 23:18:50.68 ai8eT1I0 37/39



浜面が滝壺と絹旗がいる座席に座り、ぎゅうぎゅう詰めになる。

「ちょっと!浜面!これ以上つめたら超殴りますよ?」スゴイチッソパーンチ ドカスカ ボコスカ

「し、仕方ねぇだろ?え…おい!ビブルチッ!ティグルッブ!」

「はまづらがすごいコンパクトになった…」

「はやく、ほれ、そこ座りなって」ポンポン

佐天は麦野に指定されて通路側に置いてあった本来浜面が座るべき椅子に腰を下ろす。

(まるで今から屠殺される豚の気分ね…)

635 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」38[sage] - 2010/10/13 23:21:43.42 ai8eT1I0 38/39


「はい、洗いざらい全部話す訳よ!」

フレンダが佐天にフォークをピッ!と指す。まぁまぁ、と麦野がそれを制す。

「その前に…いつものやつ喋ってよww」

麦野がニヤニヤする。佐天の仕事中の口癖を聞きたいらしい。

「確かに…生で聞いてみたい訳よ…!」

フレンダがポンと手をたたく。滝壺や絹旗、浜面も佐天の方を凝視している。

(あぁ、神様、もうどうにでもなーれ!)

「……ゴホン」

佐天が咳払いをする。

(こんなに緊張したことあったけ?はぁ、この後どうなるんだ?ま、いっか☆)

やはりクソ度胸の佐天涙子は健在なようだ。

度胸だけはレベル5に匹敵するのではないのだろうか?

636 : 麦野「電話の女ってどんなやつなんだろうね」最後です[sage] - 2010/10/13 23:25:08.69 ai8eT1I0 39/39


「「「「「ごくり…!」」」」」

アイテムの面々が生唾を飲む…!

佐天がすう…と深呼吸する。

「…もう!こいつらときたらー!!私が電話の女ですよー!」

(ひゃー、言っちゃたよ。まさか私のギャラが減るなんてことはないよね?)

「んで、今日の仕事はなんだっけ?電話の女?」

麦野が試すように聞いてくる。

(なんだっけ…)

佐天が先ほど麦野のipadに転送したデータを思い出す。

「あ、そうだ。思い出した。製薬会社からの依頼なのよー。謎の侵略者からの施設防衛線☆」


「「「「「はーい」」」」」

終わりです!

一言いわせてくれ。

アイテム最高、麦野やばい、佐天と初春は口調よく分からんw

佐天はハイテンションだから電話の女かとおもったので書いた。