704 : とある学園都市の傭兵達1[sage] - 2010/10/20 21:31:33.12 7hlV29k0 1/5

10月の第一週の某日。学園都市上空に一機の木製飛行機が飛んでいた。

飛行機の名前は『デハビラント・モスキート』。第二次世界大戦で大活躍したイギリスの戦闘機爆撃機だ。

こんな骨董品が何故飛来しているのだろうか?

この飛行機は全木製であるため、レーダーに映りにくい。また念には念を入れてレーダー波反射塗料も塗布してある。

グォォォォォ…警戒にひびくエンジン音。

特別に三人乗りに改造してあるモスキートは日本国と学園都市のレーダーに捕捉されずに富士山北方を旋回している。

“ここを旋回すれば後はジェットストリームにのってものの数分で学園都市上空に出る”

機長が副機長と爆弾改造口にいる人物に無線で告げる。

機内電話で機長が爆弾口の改造席にいる男にむかって告げる。

ザザザ…機内電話が出力される。

“……砂皿、そろそろ落下ポイントだ。パラシュートの準備は?”

機長からの最終点検が行われる。

“無論だ。今すべて確認した。オールグリーン。いつでも降下できる”

どうやら爆弾投下口にいる男は砂皿というらしい。

機長がカウントを始める。どうやら投下までのカウントダウンのようだ。

“5、4、3、2、1 Go!Go!”

ウイーン…と爆弾投下口が開くとパラシュートを着用している砂皿が音もなく学園都市の森林部に消えていく。

落下ポイントは第二十一学区で森林やダムがある地域だ。

“Mission Accomplished(ミッション成功)”

と砂皿が無線でどこかに告げると最高速度でのモスキートは学園都市上空から消えていった。

後日、学園都市上空に紛れ込んだ飛行機を報道した新聞は学園都市の地域新聞だけであった。

それも、『民間セスナ、一機日本から学園都市の警備空域に誤侵入』とだけ――。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-15冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285633664/
705 : とある学園都市の傭兵達2[sage] - 2010/10/20 21:33:26.63 7hlV29k0 2/5


それより一週間程前、つまり九月三十日。学園都市に堂々と侵入する人物がいた。

堂々と言っても、さも当然かの様に歩いているのではなく、魔術を応用して人に姿を見えなくさせているのである。

九月三十日に同胞の一人、ヴェントが学園都市で戦って敗北した相手である上条当麻を探して街を徘徊していた。

しかし、いまだに見つかる気配を見せない上条だが、後方のアックアは別段きにもとめていなかった。

“果報は寝て待てと言う諺が日本にあるのである。気長に待つのである。近いうちに必ずあう。そんな気がするのである”

彼がそんなことを考えている場所は学園都市でも比較的に静かな場所である第二十一学区。夜になると星が綺麗に見える。

とそのとき、ガザガザガザザ…夜空をぼんやり眺めている後方のアックアの後ろから草を掻き分ける音が聞こえてきた。

(いのししか?それとも野生化したサル?)

動物の類を色々と連想するアックアだが、彼の予想はことごとく外れる。答えは人間だから。

夜間降下用に上下真っ黒の軍用ツナギに白い絹のマフラーを着用している砂皿だった

彼は降下用のパラシュートを簡易スコップキットで埋めて、GPS着き携帯電話にあわせて道路の方向へ向かって歩いていたのである。

よく考えてほしい。こんな深夜の雑木林でたまたま大人二人が鉢合わせること自体が異常な状態である。

上下真っ黒の服を着て、大き目の軍用バックを背負っている砂皿と、青いロンTの上に白のポロシャツを着ている白人。

なんとも奇妙な組み合わせである。

「貴様、何者だ」

砂皿が眉一つ動かない平坦な声で後方のアックアに聞く。

「あいにくだが、事情があり名乗れない。そちらこそ何者であるか」

と返す後方のアックア。

「あいにくだが、事情があり名乗れない」

と返す砂皿。

「フッ。どうやら、根っこのところでは同業のようだな」

砂皿緻密がそうつぶやく。アックアの体躯は砂皿を驚愕させた。
恐らく、無駄なく鍛え上げられているだろう脚の筋肉、腕、腹筋、盛り上がった型、背筋。

(敵対組織の人間か?だが、白人男性で敵対組織に加入している人間はいない。白人女性なら情報バンクでみたが…)
と学園都市に降下する以前に拝見した学園都市の暗部能力者たちのリストを思い返す砂皿。

706 : とある学園都市の傭兵達3[sage] - 2010/10/20 21:35:25.21 7hlV29k0 3/5

「はっきり言おう。貴様は暗部組織の一員か?」

砂皿がアックアに向けて発言すると、アックアは一瞬だけ眉をしかめる。

「なぁに、安心しろ。ここら周辺の滞空回線(アンダーライン)とか言われる機械は俺の持ち込んだジャミング機器で破壊した」

(この男…私ほどではないが、いや?任務遂行上もっとも有用且つスタイリッシュに身体を鍛え上げている?それに学園都市に
散在する滞空回線を破壊するとは…)

アックアが砂皿の体躯と技術を一瞬で分析し、答える。

「私はある人物を追っているのである。今は潜伏するためにここにいる。また数時間後には繁華街へ向かわなければならないのである」

続けてアックアが言う。むやみに敵を作らないほうがいいと判断したのであろう。

「私の名前はアックア。ウィリアム=オルウェルとも。職業は――」

「兵(つわもの)」

砂皿がタイミングよくあわせる。ギロと砂皿を睨むアックア。

「そうきつく見ないでくれ。俺だって同じさ」

そういうと砂皿も自己紹介をするのか、同じ傭兵としての礼儀か。背負っていたリュックをおろし、脚をガカッとくっつけ姿勢よく

「私の名前は砂皿緻密。訳あってここに着た。職業は――」

と言う。するとアックアがニヤと笑い――

「兵」

と絶妙なタイミングで返す。

二人はザッと握手を交わす。お互いの手はゴツゴツしており、歴戦の戦場を疾駆したことが容易に想像できる。

「この街は一見のどかで平和だが、狂っている時もある。気をつけろよ。アックア」

この砂皿の発言にアックアがフッと鼻で笑う。この鼻笑いは馬鹿にしているわけでない。
戦場を知悉している男の経歴がなせるものだ。

故に砂皿も何もそのことに関してはいわない。いう必要がない。

707 : とある学園都市の傭兵達4[sage] - 2010/10/20 21:36:31.09 7hlV29k0 4/5

「科学の発達したこの街も。オルレアンも、ロシアの平原でも」

アックアは過去の戦いに思いをはせる。

「コスタリカでも、華僑のうごめく猥雑な街でも、これからかわることなく」

砂皿も過去の戦いに思いをはせる。しかし、二人は決して武勇を誇る事はしない。
あくまで、本当にあくまで、過去の自分に落ち度がないか精査するだけである。

それが生き残る為の、生への道標であり、指針なのだ。

「「闘うだけだ」」

(砂皿緻密ともう少し、話していたい気分である)

(アックアか覚えておこう)

「市街地の近くまで送ろう。行くんだろ?戦場へ」

砂皿がさらりと言う。どうやら下部組織に命令し、近くの駐車場で車を待機させているらしい。

「もしかしたら、私の敵に貴方も含まれているかも知れないのである」

アックアが懸念を隠さずに言う。

(わかっているさ…もし。そのときがきたら…)

頭の中でひとり考える砂皿。いや、今はただ市街地へ向かう事だけ考えよう。と切り替える砂皿。

「そしたら、その時までさ。後腐れはなし。だぞ?アックア」

「了解したのである。砂皿緻密。貴方は騎士団長(ナイトリーダー)に次ぐ、親友になれそうである」

騎士団長?と首をかしげる砂皿だが、おそらくはアックアの盟友なのだろうと推測する。

「ほう。この戦いが終わったらヴァルハラで会おうか」

今から戦地へ赴く男の軽い冗談。しかし、砂皿もアックアも不死の信念を内で燃やす。

(死ねないのである。絶対に。守るべき人があるから)

そう。アックアには遥かイギリスに思い人が。

(死んでたまるか。絶対に。まだ弟子の腕も不安だしな)

そう。砂皿緻密にはまだまだ未熟な弟子がいる。

708 : とある学園都市の傭兵達ラスト[sage] - 2010/10/20 21:37:39.64 7hlV29k0 5/5

「フッ、砂皿緻密は冗談がきついのである」

ヴァルハラとはあの世にあるとされる死後の世界だ。

「ハ、硬く、内で決めたんだろ?絶対死んでたまるかって」

ニヤと返す砂皿。アックアはこぶしを突き出す。砂皿もこぶしを突き出す。

グッと付け合せると二人は車が駐車してあるポイントまで向かった。



この後二人は砂皿の所属する組織の下請けが置いたハマーに乗り、市街地へ向かう。

数時間後と数十時間後、地下都市で、講演会場で二人の男が学園都市で動き出した。

終わりです。

長編SS書いてる途中に短編思いついてつい書きました。
では失礼。