678 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/11/13 15:22:04.18 hDFSxl6o 1/4

8月28日、学園都市

上条「不幸だ……」

一方通行との絶対能力者進化計画 を争う戦いに勝利し、一週間たった。上条 当麻は、買い物の帰りにあと三日しかない夏休みについて頭を悩ませていた。それもそのはず、夏休みの宿題にまったく手を付けていなかったからのだから。湿っぽい雨がより一層気分を暗くさせる。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-16冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288428782/
679 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/11/13 15:23:07.70 hDFSxl6o 2/4

上条「忙しかったからなあ……」

愚痴をこぼしていても宿題が終わるはずもなく、とぼとぼと夕暮れの帰路についている。どんよりと暗雲立ち込める空が何かの暗示の様な気がして、気が気じゃない。たとえば、31日までに宿題が終わっていない、とか。

しかし今、一番の心配事というのが御坂妹など妹達のことで、宿題のことは二の次だと考えている。

冥土返しが「僕が面倒を見る」なんてことを言っていたけれどどうも、上条は彼女達の何か胸にしこりを感じて、後味が悪い気がしていた。

いくら考えてもわからない。

自分が何を気にしているのか。

それはとても不安定で気持ちの悪いものだ。バリバリと頭を掻いて気持ちを入れ替える。こういうのは本人に聞いた方が一番早い。

よし、つぎにミサカを見かけたら話しかけよう、と心に決める。

680 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/11/13 15:26:12.59 hDFSxl6o 3/4

上条「……お?」

見ると、さっそく御坂妹達らしき人間が資料らしきものを手にしてキョロキョロと視線を泳がせていた。頭をパーカーで隠し、雨をしのいでいるのか、顔が良く見えなくはあったがそれは確かに御坂の顔である。

上条「なんか、探し物でもしてんのかな?」

さっきの決意もあるので、話しかけることにした。

上条「もしもーし!」

ミサカ?「……!」

女の子は上条に気付くと、その顔からじっと目を離さなかった。

上条「あのさ、ええと、妹達だよな、探し物でもしてるの?」

ミサカ?「……」

上条「よかったら私めが、手伝いませうか……?」

じいと、怪しんでるのか、それとも確かめているのか睨みつける様に上条を見つづける女の子は、すこしだけ眉をひそめて口を開いた。

女の子「どちら様でしょうか?」

上条「え、はい?」

上条(ミサカ――じゃない?んなわけないよなぁ)

彼女の風貌はパーカーを着ているという変わり種以外はクローンの元である御坂美琴の顔立ちと寸分狂いなく、一瞬オリジナルの方だと勘違いしそうになった。

上条(おかしい。妹達は独自のネットワークを構成して情報を共有してるんじゃなかったか?俺の顔に見覚えがないということは――ネットワーク外の妹達?)

上条「御坂妹――だよな?」

女の子「ミサカ。もしや貴方は絶対能力者進化計画の関係者か何かでしょうか、しかし私は貴方の顔を見たことありませんね」

上条「……」

もしかして――と、上条は考える。

一方通行を上条当麻が倒しただけでは絶対能力者進化計画は集結することなく、今、現在進行形でさらに進められているのではないか?9968体のミサカ達のネットワークに繋がっていない新たな妹達が、生み出されているのでは?彼女はそのミサカのうちの一人なのでは――と嫌な推測が頭によぎる。

女の子「ああ、もしかして貴方が上条さんですか、私は貴方のことは聞いていますよ」

上条「……誰にだ?」

その答え次第では――上条はいますぐにでも駆け出して、同じ様に実験を止める覚悟で構える。

しかし、

ミサカ達のようで、そうでない彼女は不意に顔を上条の横に向けると「ようやく戻ってきました、私は待ち惚けをくらったのですね」とつぶやく。

灰色の雨雲をバックにして、似合わなくも傘をさしているその人物とは――

「――三下ァ……」

681 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/11/13 15:28:34.64 hDFSxl6o 4/4

八月二十三日、上条当麻と一方通行が戦いあった二日後、それは――彼女が間に合わなかった二日間――でもあった。

八月二十三日、第七学区。

一方通行と彼女は再会した。

ただ、それだけの話。

死に損ないとそれを殺し損なった一方通行が、互いを罵り合いながら、もう一度、互いを殺しあう日を目指したお話。

「もう一度殺してくれるのですか、とミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカは――」

「……お前なんか、殺してやらねェ」

彼女――死に損ないの10000号は欠けた身体で立ち上がり、妹達のために一方通行と学園都市を駆ける。

欠陥電気は空間電気へ、どの妹達より年上のミサカ――姉、

みさか姉は地獄の底から這い上がってきた。

みさか姉「10000人目は伊達じゃない」