89 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] - 2010/11/20 03:27:36.96 hUl0lC.0 1/14

流れに乗って僭越ながら投下。

数年たって精神的にちょっと成長した「あの人」と思春期真っ盛り打ち止め。
長くなるかもですが、どうぞお付き合いください。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-17冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290001348/
91 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:28:36.65 hUl0lC.0 2/14

いつからだろう。あの人のYシャツを着なくなったのは。
小さい頃は毎日のようにワンピースの上から羽織っていた、
あのYシャツ。
箪笥の中に大事にしまってあるそれは、
高校生になってからは一度たりとも着なくなっていた。

ミサカが離れたわけではない。
あの人が離れていったでもない。
それなのにいつの間にか、あのYシャツには全く手を触れなくなっていた。

そうだ。久しぶりにあのYシャツを出してみよう。
暖かい日の下へ。
あの頃みたいに羽織ってみて、あの頃みたいに手を繋いで街へ出よう。
あの頃みたいに、
あの頃みたいに。

防虫剤の臭いが染み付いてしまったYシャツへと袖を通す。
外出は洗濯してからかな、と少し残念に思いながら一つずつボタンを留めてゆく。
上から学校指定のブレザーを着こんで鏡の前で一回転。

「うん、やっぱり……………




 ……………………なんで入ンねェんだよォォォォォ!!!
ってミサカはミサカはあの人の真似をしながら叫んでみたりィィィィ!!!!」

92 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:29:38.38 hUl0lC.0 3/14


『部屋とYシャツとミサカ』




「ちくしょうぉ……なんでピチピチ高校生が着てるのにパツンパツンなんだよぅ……
 ってミサカはミサカは涙目になりながら愚痴ってみたりちくしょうぉ……」

箪笥の肥やしと化していたYシャツは、やっぱり箪笥の肥やしだった。
誰かこの幻想をぶち壊してくれ、ギブミー上条。

「……ハッ!!胸囲があるんだからそりゃパツンパツンなわけだよ!!
 ってミサカはミサカは僅かな可能性に縋りついてみたり!!!!!!」

「…………」ジィィーー ← 僅かな可能性

「…………」ペタペタ ← 僅かな胸囲

「…………」チラリチラリ ← Aカップ

「…………」モミモ… ← 揉むほどない

「    」

「 Orz 」


93 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:30:26.52 hUl0lC.0 4/14


あの人とは相も変わらず一緒に生活している。
黄泉川とは流石に彼女が結婚した際にあの家を出たから離れたし、
芳川はそれより前に新たな職に就くと共に出ていったから
今はあの人と二人きりなわけだが。

あの人はミサカを妹か娘のように見ている節がある
(結婚どころか彼女すら出来たことの無い雰囲気なのだがそれでいいのだろうか)。

そりゃぁ学園都市からの支援金があるとはいえ
好きなモノを買えたり友達と出かけたりと周りの同級生に比べ手持ちに余裕があるのは
あの人がくれるお小遣いのお蔭なので文句は言えない。

無能力者や低能力者へ向けた薬物投与や無理な実験に頼らない能力開発を
研究するあの人は、その傍らカエル先生の下で助手やら勉強やらと何やら忙しい。

ミサカたち量産型能力者の不安定な肉体をより安定化させるために、
あの人は汗水垂らして頑張ってくれているのだ。

本職の研究者としても優秀らしく、
学園都市の名のある学会などによく呼ばれては
スーツを着てネクタイを締めて出席している。

昔からは想像もできないが、
学園都市第一位の頭脳を持ってしては当然なのかもしれない。


94 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:31:11.89 hUl0lC.0 5/14


話を戻そう。
今ミサカが通う高校では学校指定のブレザーの下に
恋人のYシャツを着込むのが流行っている。

「恋人同士、離れていてもいつも一緒にいるからね」という意味らしい。
その話を聞いた時、どうしてもあの人のYシャツをまた着たくなった。

この気持ちが、周りが言うような『恋』と同じかなんて知らないけれど。
あの人が、今もこれからもそういう目では絶対見てくれないことは知っているけれど。

それでも、あのYシャツが着たかったのだ。
それなのに。

それなのに。





「何で入らないんだよコンチクショォォォォってミサカはミサカはァァァァァ!!!!!」

95 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:31:47.24 hUl0lC.0 6/14


>コンコン
「おい打ち止め、さっきから煩ェぞ!コッチは朝帰りだってのに!!!」

ハッ、
我に還る。

「ご、ごめんね煩くしちゃって!ってミサカはミサカは
「さっきからギャーギャーどうしたァ?………入るぞ?」
「え、ちょ、待って………!!!」

>ガチャ

「   」← ザ・パツン パツン
「   」← 茫然

「   」
「………」

「   」
「………どォした?ンな古ィYシャツなんか出して。
 それ俺がオマエくらいン頃に着てたヤツだろ?入るワケねェじゃねぇか」

96 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:32:16.30 hUl0lC.0 7/14




………… そ う だ っ た !!!!!!

可笑しいと思ったのだ。
出会ってから何年立っている。

能力に頼らなくなったあの人は自力で物事をこなす内に
自然と薄らとした筋肉がついてきたし、
男子特有の成長期を迎えて更に背が伸びたりした。

同じ年ごろの男女では体つきに違いがある。
女子は全体のフォルムが丸みを帯びてくるわけで。
同じ年でガリガリだったあの人のYシャツなどハナから着れやしなかったのだ。

97 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:32:48.17 hUl0lC.0 8/14


「ね、ねぇねぇ!あなたの今のYシャツ1着貸して欲しいかな~
 ってミサカはミサカはお願いしてみたり~」

「あァ?別に構わねェが、何でまた?」

「ホ、ホラ!大覇星祭が近いでしょ?体育祭の練習で汗いっぱい掻いちゃうから
 予備にと思って、ってミサカはミサカは~」

「買ってあるだろォが、予備。足りねェならまた買ってやるが
「明日すぐ必要なの!使うの!要るの!着なきゃいけないの!だからつべこべ言わず貸せ、ってミサカはミサカは胸倉掴みかかってみたりィィィ!!!」



よかった。何とか誤魔化せた。
興奮冷めやらず未だゲホゲホ言っている彼にこのモヤシがと毒づきながら
部屋のカギを閉めYシャツ(NEW!)を羽織る。

98 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:33:33.03 hUl0lC.0 9/14




………………。

・学会用
・オーダーメイド
・このモヤシが
・背が伸びた

「…………」チラ ←袖は余っているのに丈が足りない

・背が伸びた(※手足に限る。座高は低い)

「…………」

「チクショォォォォォォォォ!!!!!!!」



99 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:34:24.65 hUl0lC.0 10/14




「というわけなの、ってミサカはミサカは電話越しの黄泉川に相談してみたり」
「相変わらず状況説明に便利な口調じゃんね、って愛穂も愛穂も便乗してみたり」

ふざけんなよ黄泉川コンチクショウが。
………最近あの人に似てきた気がする。

「私も旦那のYシャツなんて入らないし、気にすることないじゃんよ?」
「黄泉川の場合入らないのはその巨乳でしょ、ってミサカはミサカは~……うぅ~~」

入らないのがせめて胸なら。
せめて胸なら諦めがついたのに。

オリジナルか。オリジナルが悪いのか。
お姉様は態度(ツンデレ)もお胸も相変わらずである。

「あ、でも……」

もういいよ、黄泉川。
その胸に何を言われようが虚しいだけさ。

この幻想は誰にもぶち壊せないんだよ、
ってミサカはミサカは[ピー]音が入らないように自粛してみたり……ハハ……ハハh



「急いでるのに自分のYシャツ見つからない時なんかは、私の着ていくじゃん」



そ の 発 想 は な か っ た !!!!!!

100 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:35:16.85 hUl0lC.0 11/14


イける……!!!!それならイける……!!!
確かにミサカのYシャツなんてあの人は素直に着てくれないだろう。

だがしかし、長年一緒に生活していないのだ。
ミサカはあの人の攻略法を網羅している!





「ね、ねぇねぇ!さっきのYシャツ借りてみて思ったんだけどねぇ~~」

「あァ?」

「あなたYシャツ着てる時、ちょっとパツンパツンなんじゃないかなって
 ミサカはミサカは思うんだけど~~~………だってあなた………」



「 昔 よ り 少 し 逞 し く な っ た じ ゃ な い ? 」



「そ、そゥか!!!道理で最近何かキチィ気がしてたんだよ(嬉)!!!」

大丈夫だ、それは気の所為だ。

まぁ兎にも角にも 計 画 通 り。
あの人はコンプレックス(モヤシ、アスパラガス等々)をカバーしてやるよう
煽てれば大抵調子に乗るのだ。

あとはここで上手く誘導して……


「袖先とかはともかくさ~~丈とかもうちょっと長くした方が良いんじゃないかな、
 ってミサカはミサカは筋骨隆々なあなたを思い出して意見してみたり~~~」

「ま、まァ確かにそうかもな!細マッチョだもんなァ俺(照)!!!」

「大きめのヤツをさ、マッチョは汗掻くし予備とかも沢山つくっておいた方がいいよ~~
 ってミサカはミサカは洗脳を施してみたり~~~」

「イエス、マイロード(喜)!!!」


101 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:36:14.14 hUl0lC.0 12/14



嬉々として出かけたあの人は、
ミサカの指示でオーダーメイドではなく(オーダーメイドだと唯のモヤシ向けだ)
普通の量販店にYシャツを買いに出かけた。

絶対ェデケェよそれ……と思うがまぁ上手くいったものだ。




深夜3時。
やっと寝付いてくれたあの人の部屋に忍び込む。
昨日まで3日連続完徹だったために今はグッスリ眠っている。

大人買いされた我が家では誰の身の丈にも合わないYシャツを1枚くすねて
またこっそり部屋を出る。

あぁ、あの人のYシャツだ。
あの人が着たあの人の匂いが染み込んだあの人のYシャツだ。

ミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカは……………



102 : 部屋とYシャツとミサカ[sage] - 2010/11/20 03:40:39.51 hUl0lC.0 13/14


早朝6時。

今日の制服はいつもと一味違う。
学校指定のブレザーの下には、例のブカブカYシャツ。
ムフ、ムフフフフフ…………

自分のお弁当を用意しながらあの人にコーヒーを入れる。
今日は何処か公の場に出るらしく、あのYシャツ(のうちの1枚)を着るらしい。


>ガチャ
「ふあァあ……」

欠伸をかまして目を擦りながらリビングへと出てきたあの人は、
しかし、
ブ カ ブ カ Y シ ャ ツ を 着 て い な か っ た。



「Yシャツはぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!?????」



ビクリ、と肩を震わせたあの人は突然の奇声にはっきりと目が覚めたらしい。
状況についていけないながらもコチラへと機嫌でも窺うかのように目を向けた彼は、

「あ、あァ。一度着てみたらやっぱデカかったし、
コーヒー零して捨てちまった一枚以外は今度三下にでもやることにしたンだよ」



「…………」チラッ ← 自分のYシャツ
「…………」

「…………」チラッ ← 自分のYシャツ(新品)
「…………」

「…………」チラッ ← 自分のYシャツ(×あの人の匂い ○新品特有のアノ匂い)
「…………」



「あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``!!!!!!!!!」
「   」ビクゥ!!



この世とは、真に不条理なものである。

                          『部屋とYシャツとミサカ』(完)

103 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] - 2010/11/20 03:43:12.98 hUl0lC.0 14/14

というワケで『部屋とYシャツとミサカ』完結。
こんな駄作に12レスも消費してしまい申し訳ありませんでした。
処女作ですので御目汚しとなりましても、どうか寛大に指摘くださると幸いです。
というか、


…………皆もっと書こうぜェェェェェェェェ!!!!!
足りないモエは自給自足出来ないと知った、今日この頃。