603 : 佐天「嫁にして下さい」一方通行「ゴメン、ちょっと待って」[sage] - 2010/11/28 22:34:51.00 O3yqJbc0 1/5


佐天涙子は上機嫌であった。

気合を入れて望んだ学校のテストは中々の出来であり、ベスト10内も射程距離だ。

超電磁砲のBRDも買ってしまうというものだ。自分へのご褒美乙ww


「早く超電磁砲帰ってみなきゃ~早くも売り上げ三万枚余裕で突破っていうしさぁ~ホント見ないと駄目だよね」


独り言が宣伝臭いのもご愛嬌だ。スキップでもしそうな調子で佐天は裏道を通る。近道であるが、どうにもこうにも物騒極まりない。

そもそもこの都市は治安がすこぶる悪い。拳銃も怖いが、軍隊相手に無双出来る中坊がいる都市などホラーだ。

能力開発で芽が無いのだからさっさと故郷へ帰れば良いものをというツッコミは決してしてはいけない。

そんな都市で裏道を無能力者の美少女が一人で歩く。フラグだ。フラグが立った。


「ようようお姉ちゃんよぉ」

「くぁわいいじゃねぇかよ」

「ちょっと付き合えよ」


ホラやっぱりと大半の人がそう思っているだろうし、他のSSでも腐るほど目にしてきた展開なので今更真面目ぶって書くことは非常に馬鹿馬鹿しい。

馬鹿馬鹿しいのであるがそれでも書かなければならないが文章の辛いところだ。だから嫌々書く事にする。

モヒカン(世紀末w仕様)が三人現れた。

股間は臨戦態勢バッチリである。しかし、悲しいかなハンドガンレベルなので遠目にはわからない。

モヒカンは佐天さんに近づくと、臭い息を吐きながら荒々しい声で言い寄る。


「ちょ、まじ、まじパネェ。ッパネェ。ッネェって」

「うほ、いい女。しかも手に持ってるのは超電磁砲じゃねぇかよ」

「はぁ!?マジで。発売以来ランキング1位独走のあの超電磁砲かよ!?」

「うひょー、見なきゃ損だよな!」



舐るように佐天さんとその手に持たれたBRDを眺めるモヒカン達。


(こ、怖い…ッ)


佐天さんは貞操とBRDに危機を抱く。そして彼女の直感は正しかった。


「へ、姉ちゃんよ。怖いことされたくなかったら俺達に着いて来いよ」

「痛いどころか気持ちいいことしてやんよ」

「アレ、でも最初は痛いんじゃネェ?あれってそうだろ」

「ああ、そうか。でもマジで痛いのか?膜破くんだから痛いのか」

「まぁ、経験ねぇからわからないけど、とにかく姉ちゃんよ、俺らといいことしようぜ、あとそのBRDも見ようぜ」


「や、やめて下さい……初回特典も付いているBRDをどうするつもりですか!あと私のこともどうするつもりなんですか!?」


佐天涙子の背筋に寒気が走る。脳裏に浮かぶのはとらの○なで販売されている数々の彼女そっくりの少女が出てくる薄くて高い本。

複数の男達にもみくちゃにされる姿は最早食傷気味のネタに過ぎないが、今の佐天にはこの上なくリアルな展開に思える。

まさかアレと同じ目に遭わされるのではないだろうか?遭わされそうだ。クスリ漬けにされるのだ。

しかし、それは薄くて高い本であればの話。二次創作のSSにおいて、彼女は十割の確率で救いの手を差し伸べられるように世の中は出来ている。



元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-17冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290001348/
604 : 佐天「嫁にして下さい」一方通行「ゴメン、ちょっと待って」[sage] - 2010/11/28 22:36:18.37 O3yqJbc0 2/5

「オイオイオイ。人がせっかくの休みの日によォ、優雅にコーヒーでも飲んで過ごそうかなァって思ってる時にだ。なァにわかりやすいことしてんだァお前等ァ」


白髪、赤目、華奢、悪人面のイケメン、杖付いてる。

あらゆるパーツを貪欲に取り込んだチートキャラが其処には立っていた。


「ああ?」「なんだテメェは?」「すっこんでろ」「ボコられてぇのか?」「痛い目見る前にさっさと帰んな」「モヤシやろうが」「wwww」「wwww」「wwww」


既にオチが見えている人ばかりなので、もう改行せずに台詞を書く事にした。レスの節約ってとっても大切だし。

実にわかりやすい挑発であり嘲笑であり中傷に佐天は「うわぁ」と内心引いてしまったが、彼らは知らなかった。自分達が今相対している男は学園都市最高の頭脳と学園都市最低の沸点の持ち主であることを。

男はおもむろにチョーカーのスイッチを入れる。カチリと渇いた音が路地裏に響くと共に、白髪頭の男の瞳に険悪な光が増した。

白い前髪を縫うように覗く赤い瞳に、佐天は心を打ち抜かれた。

普段、日常という温かい舞台に立つ彼女が目にしたこのない、そこいらのチンピラでは決して持ち得ない鋭く、同時に強靭さを秘めた瞳。

正直、こんなチンピラ相手に大人気ないことこの上ないのだが、佐天はそんなこと気にしない。

DQNでブサメンに人権が憲法で設定されていないのは何処の国でも同じなのだ。

カパリと三日月のように開いた赤い口。白いモヤシな少年が、学園都市最強の怪物へと切り替わった瞬間であった。


「ひでぶ!」「あべし!!」「たわば!!!」


虐殺は一方的だった。そもそも虐殺とは一方的なものであるが、そんな虐殺の中でも特に一方的すぎんじゃね?っていうくらい虐殺だった。

半殺しではなく九分の八殺しという感じだ。あとワンパンで死ぬ。そういう感じの理解で大体合ってる。

そんな光景を佐天は半ば放心したまま見つめていた。呆然とした彼女の脳裏にある日の会話が甦る。だから此処から先は回想シーンだ。



一部の噂では花飾りはパイルダーであり、其処が本体となって指示を出していると噂の初春飾利との会話でのことだった。

『佐天さん、佐天さん、学園都市最強のレベル5ってどういう人なのか知ってます?』

『え、知らない知らない。都市伝説では冷蔵庫に似た人って…』

『それは第二位ですよ~第一位です第一位。掲示板に書かれていたんですけど、目撃者の話だと白髪で、赤目で、もやしで、黒翼で悪人面で顔芸でイケメンでCV岡本信彦だっていう噂なんです』

『ちょw白髪w赤目wってw黒翼www』

『黒翼www』

『そんなラノベみたいなw』

『中二乙wwですよねwww』

『だよねwwwいるわけないしねwww』




「いたよ…」

「あ゛ぁ?」

モヒカンA、B、Cを血祭りに上げた一方通行を見ながら佐天は呟く。

ラピュタは本当にあったんだ。そう呟いたルフィの中の人の気持ちが今ならよくわかる。無能力者の自分にとっては、第一位という存在はラピュタに等しい。

じゃあ龍の巣は何だよとか、そういう細かいことは言ってはいけない。こういうのはフィーリングで理解するものだ。

「ったく、見たところ無能力者のガキのよォだが、こんなとこでうろついてんじゃねェよ。輪姦されたって不思議じゃねェンだからよ」

「あ、あ、あの…その…」

自分の迂闊さに今更ながらに気付き、佐天は俯く。羞恥で頬が赤く染まる。『輪姦される』という言葉への恐怖心よりも、目の前の少年に無知な子供だとはっきり思われていることが恥ずかしいのだ。

少年は小さく舌打ちをすると踵を返す。

「あ…」

「コレに懲りたら変なとこうろつくんじゃねェぞ」

こつこつと杖を突く音が遠ざかっていく。

徐々に小さくなっていく後姿を佐天は逸らすことなく見つめ続けていた。




605 : 佐天「嫁にして下さい」一方通行「ゴメン、ちょっと待って」[sage] - 2010/11/28 22:40:30.01 O3yqJbc0 3/5

一方通行が佐天涙子を助けてから一週間後。



「インデックスが最近可愛くて生きているのが辛いんだけどどう思うあー君?」

「死ねばいいんじゃねェかァ?大体よォかみやン、最近可愛いってお前それ何度目だかわかってるゥ?」


『昼飯一緒に食べようぜ』という上条からの電話から30分後、一方通行は早くも帰りたい衝動に駆られていた。

いつも不況のせいでボーナス八割カットされたお父さんのような不景気な顔をしているツンツン頭の少年が上機嫌な顔であった時点で嫌な予感はしていた。

そして一方通行の予想通りファミレスに着くなり始まったのはウチの嫁自慢だった。第三次世界大戦を切欠として友情を加速的に深め、親友同士となった彼は、どうやら同時に居候シスターとの間にあった見えない『壁』を乗り越えたようだ。それ自体は構わない。そもそも付き合っていないと聞いて驚いたくらいだから、あるべき関係にようやく収まったと捉えるべきであろう。問題は、定期的にこうしてのろけてくるところにある。正直しんどい。同じ言葉がループするのだ。ボキャ貧の惚気ほど性質の悪いものはない。なお、二人の交際を知っている者は一方通行と此処にはいない浜面くらいだ。


「確か『最近料理の手伝いしてくれて、なんだか新婚みたいだ』って言ってたなァ。で、その前が『後片付けしてくれるなんて優しいにも程がある』でその前が『帰ったら風呂の支度がしてあって、押し倒しそうになった』だっけか?」

「流石学園都市最高の頭脳。よく覚えてらっしゃる」

「何度も聞いてりゃ覚えちまうんだよォ」

「何度言っても言い足りないってことだよな!!」

「皮肉も通じネェときたもンだ…」

とりあえず注文したハンバーグステーキが来てから、それが冷めないうちに話を切り上げて欲しい。切実な願いだ。

「昨日インデックスがさ、初めて料理を作ってくれたんだ。カレーライスな」

「王道だなァ…」

それでこの上機嫌か。よほど美味かったのだろうか。ハンバーグステーキ早く来ないかなァとお冷を口にする。

「でさ、まぁ味自体は美味くなかったんだよ。不味くもないけどルーは溶け残ってるし、具はちぐはぐのサイズでご飯は水が多かったから柔らか過ぎだし。けどなんていうか、そういう不慣れなところがまた可愛いっていうか、頑張ったんだな俺の為にって思えてさ。娘が始めて手料理作ってくれた時ってこんな気分なのかって感動しちまって」

三杯も食べちまった、と照れくさそうに言う上条を冷めた目で一方通行は見る。何となくこの話の着地点が見えてきた。

「で、感動した上条クンはデザートにシスターをいただきました、なんて言うつもりかァ?」

「嫌だわあーくん、とっても下品」

「違ったかァ?」

「いえ、頂いたんですけどね」

テメェ、さっきまで娘が云々とか言っておいて結局ヤッたんかい、と氷を噛み砕きながら内心毒づく。


「ご注文のハンバーグステーキセットになります。此方はレバニラ定食です」


ナイス、ウェイトレスのお姉サン!!喝采を心の中であげる一方通行。ここからピンク全開のエロトークをされたら敵わない。

流石の上条も最低限のTPOを弁えているのか、会話を中断させる。レバニラ定食というやたら精の付くものを頼んでいるのが何となく嫌だ。安いから頼んだに過ぎないと信じたいところである。

「お前さぁ、外食の時必ずハンバーグかステーキ頼むよな」

「うるせェ…外食でくらい肉食わせろ」

溜息を零しながらナイフで丁寧に切り分けていく。溢れる肉汁が食欲をそそる。

「例の『通い妻』は健在ってことか」

「通い妻じゃねェし…ありゃァ単なる嫌がらせだァ」

下品な笑い声の憎いあんちくしょうの顔が浮かび、ナイフを握る手に力が篭る。


「アイツ昨日もよォ…」

606 : 佐天「嫁にして下さい」一方通行「ゴメン、ちょっと待って」[sage] - 2010/11/28 22:43:14.05 O3yqJbc0 4/5

『やっほー殺しに来たよ、第一位』

『帰れ』

『げひゃひゃひゃ、バッカじゃねぇ?ミサカがアンタの言う事聞くわけないじゃん。台所借りるよ。勿論勝手に使っちゃうから』

『オイ、コラ』



『けけけけ、番外個体様特性野菜尽し料理、モヤシは共食いでもしてろよ。キャハッ』

『テメェ…性懲りも無く野菜ばかりじゃねぇか!!肉はどうした!!』

『ミサカの生きがいはアナタに嫌がらせの限りを尽くすこと。15種類の野菜なんてアナタには拷問でしょ?しかも塩分控えめの薄味で物足りなさを味わいな』

『チッ…しかも量多過ぎんだろォ…』(後でファミチキでも買いに行くつもりだったのによォ)

『これだけ多ければ後でファミチキでも買おうかなんて気も起こらないでしょ?』

『そこまで考えてやがったかァ!』

『ミサカがアナタの喜ぶことするわきゃねぇだろ~げひゃぐひゃひゃひゃッ』



『オイ、何勝手にベッドに入ってきやがる!?』

『この距離ならチョーカーに手を伸ばすよりもミサカがアナタを殺す方が早いよ?つまりアナタの命はミサカの手の中ってわけ。寝首かかれる恐怖に怯えて、眠れない夜を過ごしな』

(く…そこまでしやがるか…そこまでしてオレを殺そうっていうつもりなのかよォ…いや、オレはそうされても文句が言えないだけのことをコイツらに……)

『けけけけ、こうすればアナタは逃げられないね~』

(コイツ……オレの背中に腕を回してきやがった!?そうかコレはつまりいつでもオレの背骨を圧し折ってやれるってェ意思表示かッ)




「へッ………わかってたハズなんだがなァ…オレ、オレみてェな極悪人が許されるはずがねェってことくらいよ」

「番外個体いい奥さんになるよ…」






(通い妻?奥さん?)

佐天涙子は凍り付いていた。二人の座る席とついたてを挟んだ斜め後ろに位置取っていた彼女は、二人の会話を盗み聞きしていた。



607 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] - 2010/11/28 22:45:18.34 O3yqJbc0 5/5

とりあえず、今日は此処までにさせて頂きます。
キリが良いところなので。続きを書き溜めたらまた投下させて頂きます。
お見苦しい文章かもしれず、誠に恐縮ですが、出来るだけ最後まで書ききれるようにしていきたい所存です。それでは失礼いたします。