480 : 旅に出るから[] - 2010/12/08 16:32:34.69 7qnNF9M0 1/5

大きな荷物を背負って、夜の街を歩く
慣れ親しんだこの道とも今日でお別れ

眠りについた街に名残惜しさも感じるけど
これが一番いいと思うから
大切なあの子に手紙を一枚残して抜け出した

「上条当麻……」

上条「おう、お前らか」

交差点に立つのは見慣れた影
年下の大男と、浮かび上がる

一方「本当に行っちまうのかァ」

上条「ああ。後の事いろいろ頼む」

ステイル「……あの子には話したのか」

上条「いいや、手紙は書いたけどな」

幻想殺しの奥にあった力
それを学園都市の暗部と世界中の魔術師
に知られてしまった
いや、中には最初から知っていて
待っていたような連中もいるかもしれない

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-18冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1291435546/
481 : 旅に出るからその2[] - 2010/12/08 16:33:24.25 7qnNF9M0 2/5

上条「インデックスの事頼むな」

だから、大切な人たちの為に離れよう
自分を狙ってくれば
みんな安全になるはずだから

上条「みんなによろしくな」

それだけ言って二人と離れる
これ以上いたら余計な事まで言ってしまうから

上条「いろいろあったな」

この街での思い出は多すぎて
必要なものだけ持っていくつもりだったのに
随分と大荷物になってしまった

483 : 旅に出るからその3[] - 2010/12/08 16:34:15.99 7qnNF9M0 3/5

「ちょっと待ちなさいよ」

ふりむくと、やっぱり
大切な腐れ縁の少女で

上条「……御坂」

美琴「随分と大荷物じゃない」

上条「お前こそ」

そう、美琴も上条のように
大きな荷物を背負っている
彼女も、これからどこかに行くかのように

美琴「どこいくのよ?」

上条「わかんねぇ、特に決めてない」

美琴「アバウトね」

上条「別にいいだろ、じゃあな。お前にも世話になった」

あまり話していると
この街にいたくなってしまう
だから、強引に話を切り
美琴に背を向けて歩き出す

484 : 旅に出るからその3[] - 2010/12/08 16:35:21.27 7qnNF9M0 4/5

上条「……」

美琴「……」

上条「……」

美琴「……」

上条「いつまでついてくるんだよ」

ずっと上条の後を一定の間隔をあけて
美琴がついてくる

美琴「いつまでかしらね」

上条「はぁ、俺これからこの街でるんだけど」

美琴「そうなの」

上条「わかってんのか」

美琴「この街にも飽きてきたところだしね」

上条「危険なんだぞ」

美琴「知ってる」

上条「だったら!」

美琴「アンタだって危険じゃない」

上条「俺は別にいいんだよ」

美琴「別に良くないからついてくの」

485 : 旅に出るからその5[] - 2010/12/08 16:35:58.43 7qnNF9M0 5/5

上条「いいの」

美琴「良くない」

上条「何で良くないんだよ」

美琴「アンタがこの街を出てくのと、同じ理由よ」

上条「……俺は狙われてるんだぞ」

美琴「知ってるわよ」

上条「だったら!」

美琴「アンタを守りたいって思っちゃいけないの」

「アンタは勝手にみんなを守ってるのに、アンタを守るのに許可が必要なの?」

上条「ぐぅ」

美琴「置いてっても追いかけるからね」

上条「……はぁ、しかたねぇ、ついてこいよ」

美琴「これからよろしくね」

そういう彼女の笑顔に
寂しさが少しだけ薄れて

上条「じゃ、いくぞ」

これからの旅路がほんの少しだけ
楽しみになった