692 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] - 2010/12/19 12:58:02.02 EFjLloAO 1/9

某所某所の素敵なお話と設定が肉薄していて非常に申し訳ないのですが、六年後の通行止めを投下させていただきます。7レスほど頂きます
どうやら一方さんがとても丸いです、苦手な方はお気をつけて下さい

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-19冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292144549/
693 : 『私の愛しい数学者』1/7[] - 2010/12/19 13:00:36.95 EFjLloAO 2/9





『偏屈で無表情で何を考えてるか分からなくて、数式の方が私より良いかもしれない』

『それでもあなたを愛してるのよ』



日付がそろそろ変わる頃、明日は学校も無いし、若干の眠気をこらえつつ、洋画の再放送を一つしかないソファに座りながら見ていた。


「今日のは外れだなあってミサカはミサカは残念がってみる」

何を言いたいのか伝わってこない、ただ撮ってる自分に酔っているようなそんな陳腐な作品に2時間も時間を潰してしまった。全く勿体ないことをしたものだ。


「あなたもそう思うでしょ」

「…よく分からねェ」

心あらずと言うべきか、彼はどことなく落ち着きがない。

「ミサカにはこの映画、ちっとも面白くないんだよね」

「先週もそンな事言ってたじゃねェか」

「あれ、そうだったかな?」

相変わらずこの人の頭脳は素晴らしい、高校生のミサカにもいただけないものか。

『俺なんかで良いのか』

『あなたが良いのよ』

694 : 『私の愛しい数学者』2/7[] - 2010/12/19 13:02:06.30 EFjLloAO 3/9


「最後はまあまあなんだけど、最初のこの人の変人っぷり見ちゃったから、どうにもこうにも感情移入出来ないというか」

「数学者なンて大体こンなモンだ」

「あなたも含めて?」

「言うじゃねェか」

隣の彼が少しむくれたから、おかしくなって笑ってしまった。


「あははっ! きっとあなたはあなたたちの中でも一番変わってるよ」

「ほォ」

「数学者なのに数式に狂ってないもの。まだまだ理性がある感じ」

「ひでェ偏見持ちやがって。他の奴が聞いたら卒倒すンぜ」

「他の奴って、変わってる自覚あるんじゃないってミサカはミサカは確信をついてみたり」

「ハイハイ、その通りですゥ」

「素直でよろしい」

この何気ない会話がミサカにはとても愛おしい。


695 : 『私の愛しい数学者』3/7[] - 2010/12/19 13:03:55.61 EFjLloAO 4/9






--ミサカとこの人が出会ってから、これで6回目の冬を迎える。

月日と言うのはなかなか偉大で、実験終了の直後と今のミサカの隣に座る彼とではまるで別人のようだ。戦闘から遠ざかっていれば自然にこうなるのかもしれないが、今の彼はとても穏やかなのだ。そして、これが誰からも虐げられてきた、この人の本質なんだろうと思う。


激戦の末に手に入れた、この平和な学園都市でこの人は学者をやっている。本人曰わく、ただの自己満足で居られるから数学を研究しているそうだ。自己満足の癖にその世界ではとんでもない天才らしく、一年前には莫大な懸賞金のかかった問題を解いてお金を貰っていた。

おかげで、2人で住むのには広い部屋を借りるお金はあるらしいし、打ち込める物が見つかったあの人を見るのはこの上ない幸せだから数学者の道を頑張ってもらいたいなと密かにミサカはミサカは応援していたり。


696 : 『私の愛しい数学者』4/7[] - 2010/12/19 13:05:27.19 EFjLloAO 5/9




そして、ミサカ。ミサカは現在高校一年生をやっている。特筆すべき点も無いような、普通の一高校生である。まあ、検体番号を名前にするわけにもいかないし、ちゃんと戸籍上の名前もある。まあ、友達にもミサカや打ち止めと呼んでもらうようにお願いしているのだが。

何故か、御坂美琴のクローンであるのに、高校生だったときのお姉さまよりは背が低くて胸が大きい、具体的には身長160cmのあとちょっとでDカップ。
お姉さまや下位個体や番外個体には「男受けする体をしやがって」と睨まれるが、結構女性としては平均的な体型だと自分では思う。
つまり、姉妹の体が貧相…と昔に言おうとしたことがあったがヨシカワに止められた。妹に負けるのは姉として辛いものがあるのよ、とも言っていた。


697 : 『私の愛しい数学者』5/7[] - 2010/12/19 13:07:12.74 EFjLloAO 6/9



「先輩は超まあまあ好きって言ってたんだけどなあ」

「どっちなンだよ」

「うーん。好きなんじゃない?ってミサカはミサカは半信半疑」

「そォかい」


茶色のショートカットをした二個上の先輩を思い出す。

“そうですね。今の御坂たちには超ぴったりだと思いますよ”

うん、確かそんなことを言っていた。
公称C級映画の申し子も珍しく外すこともあるものだ。

そんなことを言ってみると、何故かこの人は落ち込んだようだった。

「…おせっかいのつもりかァ…?」

「思うところがあったり?」

「まァ少なくとも、お前がちゃンと見たことに意味があンだろうよ。俺にとってはそォだ」

「うん?」

「…分かンねェならそれで良い」

がっくし、と音がしそうな程に背中を丸めたものだから何が何なのかよくは分からないが、申し訳なくなってくる。

698 : 『私の愛しい数学者』6/7[] - 2010/12/19 13:08:47.68 EFjLloAO 7/9




「ごめんね?」

「謝るな、俺が惨めだ」

「ますます意味が分からないんだけどってミサカはミサカは首を傾げてみる」

こんな読解力では次回の現国のテストは厳しいんじゃないか、あの優しくて美人の先生(先輩は猫を被っているだけだと言っていた、ブチコロシカクテイには超気を付けて、とはどういうことなのか)に迷惑をかけるのかと思うと背筋がゾッとした。

「よぉし!ミサカは小説文の演習でもするよ!」

「…マジ?」

「大マジ!ってミサカはミサカは焦ってみたり!」

「そ、そォかよ…。…俺はまだ起きてるから分かンねェことあったら聞きにこい…」

「うん、ありがとう!」

「あァ…」

床を見ているため横顔しか分からないが、苦しそうな、辛そうな、恥ずかしそうな色んな表情がごちゃごちゃした複雑な顔をしていた。

「何か疲れてる?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

「自分に落ち込ンでるだけだァ…」

「そう?何かあったらミサカのこと呼んでねってミサカはミサカは言ってみたり」

「…あァ」

「それじゃあお休みっ!」

「…お休みィ」


699 : 『私の愛しい数学者』7/7[] - 2010/12/19 13:10:34.91 EFjLloAO 8/9



結構彼はナイーブで、最近は特にそれが顕著だ。

ミサカを呼びかけてやっぱり良いわとか、顔を凝視してきたりとか、やたらため息を吐いたりとか、人見知りの小学生女子と遜色ない行動をとる。


全く困ったものだが、それより大事な問題が一つ。


「なんで皆はあの行動の意味分かるのかなあ」

自分以外は彼のその行動の真意を掴んでいること、そしてニヤニヤ笑ってくること。

「とりあえず問題でも解こう」

さすれば、汝の真実を手に掴めんや。


何となく天の声が聞こえた気がして、ミサカは勉強机に向かうことにした。


700 : 終わり[] - 2010/12/19 13:14:09.37 EFjLloAO 9/9


通行→止めが書きたかったのと麦のんに教えてもらいたい欲望が詰まってます。あとこのヘタレな一方さんはリーマン予想でも解いたのではないでしょうか。
お付き合い頂きましてありがとうございました