5 : 君の街1/4[] - 2010/12/22 23:18:57.89 wwFr/VI0 1/4

美琴「はいはい、じゃ、待ってるからね」

上条「長かったな。誰から」

受話器を置くと
テレビから視線を外さずに
夫が尋ねてくる

美琴「ん、気になる」

上条「べ、別にそういう訳じゃねえけど」

ちょっとだけ照れたように
上条が言う
昔は美琴がそっち側だったのに

美琴「じゃ、秘密で」

上条「お、おう……」

しょんぼりした声で夫が言う
ここでかわいそうと思ってしまうあたり
自分はやはり、甘いのかと思う

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-20冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1293023260/
6 : 君の街2/4[] - 2010/12/22 23:19:36.66 wwFr/VI0 2/4

美琴「うそうそ、刀旅からよ」

上条「なんだぁ」

息子の名前を聞いたとたん
ほっとした声を出す
ほんと、わかりやすい

美琴「夏休みに帰ってくるって」

上条「ああ、そうか」

今度は嬉しそうに呟く
でも、これは美琴もうれしい

上条「学園都市はどうだって」

美琴「『僕も自分が変な名前だと思ってたけど、上には上がたくさんいた』だって」

上条「じいさん二人の字を取った、いい名前じゃないか」

美琴「むかしから嫌がってわよ、あの子」

上条「むう」

悔しそうに呻く
自信があったのだろう
あの子の名前に

生まれる前に悩んでいる姿もおぼえている

7 : 君の街2/4[saga] - 2010/12/22 23:20:14.36 wwFr/VI0 3/4

美琴「あと、今年こそ『超電磁砲』を倒してみせるだって」

上条「……お前、手加減しないからなぁ」

美琴「獅子はわが子を千尋の谷に突き落として、這い上がってくる最中もレールガンよ」

上条「鬼か、お前は」

美琴「おほほ、負けイヌが言うわね」

上条「ぐう」

そう、幻想殺しは一度負けている
去年の春休みに帰ってきた時
どうせ打ち消されてしまうのならと
能力を使わなかったあの子に

8 : 君の街4/4[] - 2010/12/22 23:21:15.57 wwFr/VI0 4/4

上条「ま、仕方ない。年には勝てない」

美琴「そう?」

そんな事を言いつつ
雪辱戦の為
夫がボクシングジムに通い始めた事を
美琴は知っている

負けず嫌いなのだ

上条「ま、それはいいとして楽しみだな」

美琴「そうね」

上条「あの街でアイツがどう変わったのか、早く見たいもんだな」

美琴「そうね」

あの街で過ごした事は
美琴の宝物だ

だから、あの子にも
なにかを掴んでほしい

ただ、それだけを願う