番外個体「いっぽうつうこうー」
一方「ン?」
隣の部屋から聞きなれた声で呼ばれる
いや、呼ばれたけども
一方「おィ、誰がいっぽうつうこうだァ、アクセラレータって読むンだよォ」
言いながら、隣室の扉を開ける
名前を呼び間違うとは
今度はどんないやがらせか
小学生レベルじゃないか
……小学生時代はいやがらせさえ受けた事が無いが
番外個体「別にあなたなんて呼んでないけど」
一方「あ? イヌゥ?」
そこにはミルクを持った番外個体と
必死にミルクを舐める小さな子犬がいた
一方「で、拾ってきたわけかァ」
番外個体「そ」
一方「動物はお前らの電磁波を嫌うじゃなかったっけ」
そんな事を打ち止めから聞いたような気がする
ねこがなついてくれないとか、どうとか
番外個体「さすが、ロリコン。幼女のお話はわすれないみたいだね」
一方「だれがロリコンだァ! ……で、どうなンだよ」
番外個体「確かにこの子も、ミサカの電磁波が苦手みたいだね。むしろ怖いのかも。でも」
一方「でも?」
番外個体が皿にミルクを継ぎ足しながら
少し微笑む
番外個体「捨てられて、頼るものが無かったら」
「怖い人にだって頼っちゃう事もあるよ」
おそるおそるといった様子で
子犬に手をのばす番外個体が言う
子犬は少し驚くも、その手を拒まない
それは、まるで……
一方「……そっかァ」
番外個体「うん。……ちょっと、くすぐったいよぉ」
子犬が番外個体の指を舐めはじめる
それに対する番外個体の反応が
なんか、ちょっと
一方「おィ、変な声出すンじゃねェ」
番外個体「やめてよ、いっぽうつうこう。あっ」
聞いていると何故か照れてきたので
子犬と番外個体を引き離そうと
近寄った瞬間に
打ち止め「お、おじゃましましたって、ミサカはミサカは聞こえてきた声と目の前の光景に驚きながら逃げ出してみたり!」
打ち止めがひきつった笑顔で立っていた
一方「おィ、クソガキなんか勘違いしてねェか! 俺はただ」
番外個体「ぎゃは。いっぽうつうこうが、ミサカの指をぺろぺろしてただけだよ」
打ち止め「や、やっぱり! ミサカはミサカは大人の世界に驚愕してみたり!」
一方「だァァァァ!!! 違うってンだろォォがァァァ!!」
叫ぶと番外個体のひざ元で
子犬もキャンキャンと吠えだす
まるでだれかさんをまもるかのように
了