522 : Baby 1/7[] - 2011/01/10 17:50:52.23 mmOyN8/E0 1/8

そこには何も無かった
暗いと感じる事のできる心は残っていたが
肉体は存在していないように思える

漂うと表現して良いのかさえ
不明瞭なその状態が
どのくらい続いたのだろうか

時間を計る目安になるものどころか
体内時計さえ無い以上
想像する事もできない

だが、突然
小さな光を感じ取る
久しぶりの眩しさに
思わず無い瞼を
閉じようとする

その光は瞬く間に広がっていき
上条当麻の意識が再び目覚めていく……

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-21冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294925147/
523 : Baby 2/7[] - 2011/01/10 17:51:28.70 mmOyN8/E0 2/8

顔があった

天を覆わんばかりの大きな男女

当麻(な、なんだこいつら!)

周囲を見渡そうとするが
なぜか首が動かない

思わず叫び声をあげる

当麻「だぁ」

浜面「お、こっちを見たぞ」

理后「うん、はまづらのこと、わかってるみたい」

浜面「ああ、そうだな。なんかうれしいなぁ。……あと、名字で呼ぶのやめて。今はお前も浜面だから」

理后「うん。あと、この子も」

当麻(こ、こいつらがおおきんじゃなくて……)

当麻が小さい
その事にようやく気がつく
そして、それは……

理后「きめてくれた?」

浜面「ああ、昔であったヒーローが言ってた『世界を救って消えてしまった少年』の名前をもらって……」

「当麻、この子は浜面当麻だ!」

当麻(被った! 前世? と被った!)

こうして、上条当麻(高校生)は
浜面当麻(乳幼児)として生きていく事となった
なぜか、上条としての記憶を持ったまま

524 : Baby 3/7[] - 2011/01/10 17:52:06.58 mmOyN8/E0 3/8

理后「あくせられーた」

当麻(げ!)

一方「おゥ、オマエのとこは男だってなァ」

母の押すベビーカーに揺られて街を行く
同じ街並みのはずなのに、巨大化して見えるそれに
今の現実を思い知らされていると、
道路の反対側の道から
ベビーカーを押す知り合いがやってきた

……浜面当麻としては初対面だけど

理后「うん。とうまってつけたの。あくせらのとこは?」

一方「ウチはまだだな。世話ンなった黄泉川と芳川から名前貰うってとこまでは嫁も賛成なンだがァ」

親同士が話していると、一方通行の押すベビーカーの中の女の子が
当麻に手を伸ばして髪の毛を引っ張ろうとする
ちょっと痛い

525 : Baby 4/7[] - 2011/01/10 17:52:38.17 mmOyN8/E0 4/8

当麻(何!? このお子様ぁ! 俺に恨みでもあんのぉ!)

一方「俺の考えた『ヨシヨミ』をあの女ァ……『あなたのセンスに期待したミサカがバカだったってミサカはミサカはため息をついてみたり』とか言いやがってぇ……」

理后「大丈夫。私はそんなあくせらのこと応援してるから」

当麻(俺もその名前はどうかと思う)

一方「どういう意味ですかァ……つか、当麻かァ、そいつ」

理后「変かな」

一方「いや、良い名前だァ。昔、尊敬してたヤツと同じなまえだしなァ」

当麻(そ、尊敬だとぉ)

一方「ボウズゥ! 名前負けしねェ立派な男になれよォ!!」

当麻(な、なんでこいつの中の上条さんの評価が高いんだ?)

最後まで当麻に
ちょっかいを出し続けた娘とともに
一方通行は去っていた
相変わらずハイテンションだ

何年たっているのかまだ確認できてないけど
もう良い大人だと思うのに……

526 : Baby 5/7[] - 2011/01/10 17:53:25.16 mmOyN8/E0 5/8

「浜面さん!」

当麻の母を呼びとめる声
しかし、この声はまさか……

理后「みさか」

上条当麻の知っている人物の中では
御坂美鈴に一番似ていると思う
しかし、美鈴よりも幼さの残るその人は……

上条(……御坂、美琴)

ビリビリ、御坂、美琴
そう、上条が呼んでいたその少女が
綺麗な女性となって立っている

美琴「お久しぶりね」

理后「ひさしぶり。日本には何時?」

美琴「ついさっきよ。相棒はシスターとしての仕事があって、まだイギリスだけど、今週中には戻るわ」

理后「そう。あ、このこウチの子」

美琴「かっわいい! はじめまして御坂美琴です!」

美琴が当麻の顔を覗きこんでくる
懐かしさと寂しさが当麻の胸に流れ込む

527 : Baby 6/7[] - 2011/01/10 17:53:58.42 mmOyN8/E0 6/8

美琴「ね、名前は?」

理后「とうま」

美琴「……とうま?」

理后「うん」

一瞬、美琴の顔が強張るのがわかった
でも、またすぐに笑顔に戻り

美琴「とんでもない名前を付けられちゃったね」

当麻「だぁ(どういう意味だよ!!)」

美琴「将来はおんなたらしになるわね」

当麻「だぁ(そんなわけねーだろ!)」

美琴が上条の頭を撫でながら
目を細めて

美琴「だって、私ともうひとりの……」

「女の子を、ふたりも待たせ続けてるバカと同じ名前よ」

当麻「……だぁ」

理后「みさかもいんでっくすも、女の子って年じゃ……」

美琴「う、うるさいわね!」

伝えたい言葉は山ほどあるのに
当麻ののどは其れを音に変換する事はできない

そしてそれを伝えるべきなのは「上条当麻」であって
「浜面当麻」に伝える資格はない

ここにいる人と、イギリスにいる人
そのどちらにも

528 : Baby 7/7[] - 2011/01/10 17:54:28.99 mmOyN8/E0 7/8

浜面「おおきくなれよー」

当麻「だぁ」

にやけ面の父親の覗きこまれながら
今日、再会した二人の事を思う

いや、再会なのは当麻の方だけだが

当麻(命がけで世界を救うってのも考え物だな……)

あの時はああするしかなかった
後悔はない
でも、それによって親しい人たちが
どう思うのか、よく考えてなかったのかもしれない

浜面「へへへ」

上条「だぁ」

ジタバタしても仕方ない
不本意だが時間はたっぷりあるのだ
この人のもとでじっくりと考えよう

当麻がどうあるべきなのかを


529 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] - 2011/01/10 17:56:45.48 mmOyN8/E0 8/8

以上です

古本屋で冒頭だけ立ち読みした某漫画にインスピレーション受けて書きました

お目汚し失礼しました