488 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2011/01/10 12:27:44.32 Ch02CzFc0 1/10


ちょっと8レスほど頂く。
>>407と>>434(十人十色の幸福シリーズ)の派生エンドの一つ。超鬱展開です。
心臓の弱い方はご注意ください。


※関連

十人十色の幸福と、――――
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704478.html

十人十色の幸福と、その結末に伴う不幸――――
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704850.html

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-21冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294925147/
489 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] - 2011/01/10 12:28:46.51 Ch02CzFc0 2/10






一方通行が介護を受ける病室には、魔術サイドが用意した監視カメラが置かれている。
そして普段の生活においてローマ正教,ロシア成教,イギリス清教から派遣された魔術師がそれぞれ監視員兼護衛として配備されている。


一方通行は現在、酷く複雑な立場にあった。


学園都市という科学サイドの総本山に第一位として君臨しながら、
最終信号を人身御供とする事で全てを解決しようとしていた上層部の意向に反し魔術サイドと勝手な条約を締結させた彼。


第一位に注ぎ込まれた数多くの先端技術、そして学園都市最強が魔術サイドの武装兵器とされる事を恐れた科学サイドが彼に危害を加えぬよう
魔術サイドは心血を注いで一方通行という『最終兵器』を奪われまいとしている。


結局、一方通行は何処へ行っても『一方通行』でしかなかった。


学園都市第一位。
科学サイド最強の存在。
実験動物。
最終兵器。


何処まで行っても彼の扱いはモノでしかなく、それを俺がやっと理解したのは既に彼が動けなくなった後だった。







俺は、―――――― 上条当麻は、それをとても後悔している。







490 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 2/8[saga] - 2011/01/10 12:30:08.80 Ch02CzFc0 3/10







上条当麻とインデックスが一方通行の監視担当として任された任務は、彼に来客申請があった際のチェック係であった。
それが本当に彼の知り合いなのか。彼に危害を加える人間ではないか。
それを見極める係。


だが、上条とて彼の交友関係全てを網羅している訳ではない。
今回の一件で彼が土御門の紹介から尋ねてきた事で初めて友人二人の間に関係があった事を知ったし、
学園都市の奥深くに居た彼には、恐らくは彼の家族でも知らない友人知人がいることだろう。


一方通行の病室に立ち入るには必ずこの面会申請が受理されなくてはならない。
正規ルート以外を使おうとすればたちまち幾人もの魔術師たちと対峙することとなる。










そんな現状の中で一人の少女が上条と接触を図ったのは、彼が全ての活動を停止して1ヶ月が過ぎた頃の事だった。








491 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 3/8[saga] - 2011/01/10 12:31:12.87 Ch02CzFc0 4/10












「………なあ、アンタが学園都市の遣いで来た人間だって知っててこんな事言うのも何だけどさ、―――― ちょっとだけ、待ってくれねえか」



少女は何も答えなかった。
それを良い事に上条は自分の言葉を続けていく。



「まだ引き取りには4年もあるじゃねえか!アイツに……アイツらに時間をやったって別に構わねえだろ?なあ、頼むよ……」



少女は『切片』でしかない事くらい、上条だって解る。
ここで彼女を撃破したとしてまた次から次へと同じ様な人間が集まってくるのは簡単に予想が付いた。



「―――― それで?それで本当に良い訳だ?」



初めて少女が口を開いた。
学園都市暗部組織の一つ、『アイテム』の代表を名乗った麦野沈利は上条当麻に向けてこう放つ。



「こっちだって直ぐに殺す気ならアンタに接触なんてしないわよ、そんな面倒な事。まあいずれウチに第一位の処分命令は来るだろうけど……
 ………確認しに来たのよ。第一位をどう対処すべきか、第一位の周りにね」



今度は上条が押し黙る番だった。
麦野は続ける。



492 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 4/8[saga] - 2011/01/10 12:31:54.33 Ch02CzFc0 5/10




「同情ってワケじゃねえけどさ、こっちも長い事暗部でやってきたから何となく第一位の気持ちも解るのよねえ………
 アイテムは別に学園都市の駒として動いてるワケじゃないし、どっちが良いのかなとか考えてたのよ。柄にもなく。」

「―――――『どっち』?」

「第一位を殺す、あるいは学園都市側に渡す事で今の不安定な学園都市の現状を何とか保つ方法。
 対して第一位を大人しく魔術サイドに引き渡して全てを丸く収める方法。
 ――――――― この2つのメリット・デメリットは当然理解出来てるわよね?」



麦野の言う『第一位を殺す、あるいは学園都市側に渡す事で今の不安定な学園都市の現状を何とか保つ方法』を取った場合、
学園都市は「学園都市に離反した第一位が勝手に結んだ条約である為にこれは非公式のものである、認められない」といった対処を取る事となるだろう。
それでは魔術サイドの大きな反発が必ず襲ってくる。

が、演算補助装置さえ用意してやれば活動再開できる『化物』があちらの手に渡らない、あるいは戻ってくると考えれば
未来永劫可能性が否めない魔術サイドとの第四次世界大戦に備える学園都市にとって優位に働く。


しかしアレイスター統括理事長のいなくなった現在の学園都市では魔術サイドからの批判の声に耐えきれるだけのチカラがあるかも厳しい状況でもある。
そこで『大人しく魔術サイドに第一位を引き渡す』という方法があるのだが―――――






「まあ、いずれにせよ『兵器』としての処遇は変わらないでしょうけれどね。……そんなもんなのよ、レベル5なんて」



座っていた来客用のいすからスクリと立ち上がった麦野は徐に病室の監視カメラに目を向け、
それが電気ジャックされている事を知りながら―――――――



「よく考えておくのね。私達は多分、近いうちにアナタに牙を向く………『学園都市の安寧』にはそれがてっとり早いもの、どうしても」



静かに寝息を立てる一方通行の髪をひと撫でし去っていった。






493 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 5/8[saga] - 2011/01/10 12:33:02.17 Ch02CzFc0 6/10










『よく考えておくのね。私達は多分、近いうちにアナタに牙を向く………「学園都市の安寧」にはそれがてっとり早いもの、どうしても』









その問い掛けを上条ではなく自分へのものであると監視カメラ越しに受け取った打ち止めは、
幼い外見にそぐわない冷めた目でカメラをジャックした画面を見つめながら








「考えてるよ、いつだって……いつだってミサカが考えるのはあの人の幸せだけだよ、ってミサカはミサカは呟いてみる――――――」









494 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 6/8[saga] - 2011/01/10 12:34:52.81 Ch02CzFc0 7/10




いつも通りの光景だった。
一方通行を尋ねた打ち止めが彼の座る車椅子を押しながら病院の庭先を散策する、いつも通りの光景。


しかしその日常も一瞬で、僅か3.2秒の短い時間の中であっけなく崩れ去った。
突然起こった爆発。
そして、爆煙の中で消えた二人。



「一方通行と上位個体が消失した際、2億ボルト以上の電気的攻撃が感知されました――――― 恐らく番外個体も一枚噛んでいるのでしょう、
 とミサカは推測します」



これは上条当麻が御坂妹から二人が消えた日の午後に聞いた話だ。
聞かされたままに探してみれば、番外個体の行方も二人が消える直前から足取りが掴めなくなっていた。



「恐らく上位個体は学習装置で強制入力された『証拠隠滅マニュアル』に従って行動しているのでしょう。
 ………身動きの取れない一方通行を連れているのでそう大きな動きは出来ないでしょうが、だからこそ危険な一手に出かねません、
 とミサカは危惧します」



『証拠隠滅マニュアル』を徹底的に煮詰めれば打ち止めの逃亡は成功するかもしれない。
だがそれは魔術サイドに対してだけだ。
学園都市には暗部組織が所有する最新鋭の探索システムがそれこそ山の様にある。


故に、打ち止めが何か間違った手段を取ろうとしないか。そればかりが心配される。



「こんなときミサカネットワークが使えないというのは不便ですね、とミサカは今更ながらの発言をします」





打ち止めが起こした一方通行を連れての逃亡劇。
上条には、何か嫌な予感がしてならなかった。




495 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 7/8[saga] - 2011/01/10 12:36:14.23 Ch02CzFc0 8/10








「――――――― でも、よく最終信号に協力なんてしたわね。話に聞いていた姿からは想像もつかないのだけれど?」



「別に。色々と借りもあるし、ミサカはそれを放っておくのも気持ちが悪かっただけだよ―――――
 ――――――それに、ミサカにはアンタも全く同じ事が言えると思うんだけど」




高圧電流による空気爆発を起こした番外個体がテレポートで回収された先で尋ねられたのは、何故今更というようなチンケな台詞だった。
よくもまあ言う。
自分だって結末を知りながら、似たような立場から協力したというのに。




「………別に。私だって借りがあっただけよ、『凱旋』とか言って暗部から抜けるの手伝って貰ったし―――
 ―――――――まあ、アイツの幸せなんて私には想像もつかないけど」




そう言って結標淡希は用意していたコーヒーを一口含んだ。
珍しく手にとって見たブラックコーヒーは思った以上に苦く、深い味わいがした。







496 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D. 8/8[saga] - 2011/01/10 12:37:43.96 Ch02CzFc0 9/10







打ち止めと一方通行が見つかったのは、それから一週間後のことだった。
よく学園都市相手に一週間もったと思う。
学園都市の外まで逃亡を果たした二人は、しかし海辺の砂浜で二人寄り添っている所を発見された。



上条は打ち止めのポケットに残っていた携帯電話の録音機能から最後に登録されたデータを呼び出した。
もう何度目の行為になるか分からない。
この携帯電話が手元に届いてから、上条はこの行為を続ける事から抜け出せないでいる。






『――――― 大好きだよ、ってミサカはミサカは吐露してみる。
 あなたが大好き。ミサカの幸せはあなたの幸せ。

 あなたがミサカを護ってくれたのは知ってる、その代償があなたなのも知ってる。
 でもミサカはミサカが笑うとあなたが笑ってくれるのも知ってる、笑顔のあなたが幸せなのも知ってる。

 ねえ、ミサカが一番ニッコニコなのがあなたの幸せ?
 ………えへ。好きな人からニコッってされるのってこんなに恥ずかしいのね、ってミサカはミサカは頬を染めてみたり。

 ほら見て。ミサカはいっつもニッコニコ。
 あなたの隣に居られると、ミサカはずっと笑ってられるの―――――ありがとう、あなたも笑ってくれるのね。

 あなた、幸せ?………そう、なら――――――――――――――――――』







そして最大録音時間が過ぎ去り――――――――
上条当麻は、墓前に備えた花の隣へと携帯電話を戻して去っていった。




―――――――― 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式。 Ver. Last Order ; End type = Dead End (完)


497 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] - 2011/01/10 12:39:50.87 Ch02CzFc0 10/10


とまあ、以上で終了。
皆の考察から妄想して書いたらなんか自分の痴態想像してオ○ニーするみたいになった。……誰得?
因みに幾つかのノーマルエンドとバッドエンドがあるんだがまた書いていいならここで書いてもいいか?
気にしてくれる人はまたいずれ!じゃ!