553 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2011/01/10 21:11:35.70 Ch02CzFc0 1/16

書いてた話の続き。
>>407と>>434(自称『十人十色の幸福シリーズ』)の派生エンドの1つ。
>>488とは別物です。こっちに比べれば鬱展開ではないかと。
心臓の弱い方はご注意ください。


※関連(>>407)
十人十色の幸福と、――――
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704478.html

※関連(>>434)
十人十色の幸福と、その結末に伴う不幸――――
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704850.html

※関連(>>488) 派生エンド
十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D.
http://toaruss.blog.jp/archives/1020185940.html

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-21冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294925147/
554 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 1/14 [saga] - 2011/01/10 21:12:51.06 Ch02CzFc0 2/16










「ねえ。このまま逃げちゃおっか?、ってミサカはミサカは提案してみたり。
 ミサカもあなたも知らない世界、遠い遠い綺麗な場所へ――――――――――――――」








555 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 2/14 [saga] - 2011/01/10 21:14:14.98 Ch02CzFc0 3/16




未だ放心状態の一方通行を連れて打ち止めが逃亡した。
同居人且つ保護者である黄泉川や芳川にも何も告げずに、しかし財布や着替えをこっそりと持った計画的な犯行だった。



「―――――― イギリス清教は何だって?」



一方通行を見失ったとの報告を本国と済ませたインデックスに上条が尋ねれば、何やら彼女は苦々しい表情で顔を顰めた。
最悪の事態である事が聞く前から解ってしまった。



「『今回の一件からも解る様に学園都市には預けておけない。発見次第早急に回収に入る』、って……」



やはりか。
恐れていた事態が起こってしまった。

一方通行の早期回収。
学園都市に置いておけば正しく自分達に回ってくるか定かではないと判断したイギリス清教が4年を待たずして彼の回収を決定したのだ。



「学園都市側だって、多分大人しく一方通行を引き渡そうとはしねえだろうし……
 学園都市に見つかっても研究所で隔離されるか最悪始末処分になるかが妥当なんだろうな――――ちくしょう!!」



今の一方通行には科学サイドにも魔術サイドにも居場所はない。
否、どちらにも『一方通行』を必要とする声はある。
しかしそれは『学園都市最強の第一位』を求めるものであり、意識ある彼自身の拠り所は失われた。



「問題は『一方通行を逃亡させる事』を打ち止めが何処まで理解しているか、だ。
 ただ単に病院以外の場所に連れてってやりたいくらいの感情で出て行ったなら大変な事になる……」



未だ、両者からも二人の発見報告はない―――――――。




556 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 3/14 [saga] - 2011/01/10 21:15:26.37 Ch02CzFc0 4/16











「――――――― 寒くない?ってミサカはミサカは尋ねてみたり。このひざ掛けね、おねだりしてヨミカワに買って貰ったんだよ」



一方通行の足元に置かれたひざ掛けをきちんと掛け直してから、打ち止めが小さく尋ねた。
当の一方通行から返事など来ない事は理解していたが、人や自分の感情に素直になった彼の気持ちは表情で何となく解る。


こうして彼を無理やり連れ出してから、もう3日経った。
すれ違う人々が稀に彼の白髪を珍しそうに眺めてゆく、
心優しい人が兄ほどの年齢の少年を介抱しながら歩く少女を見てお菓子や飲み物を分けてくれる。


此処は、二人の全く知らない世界だった。
二人を、全く知らない世界だった。


「ミサカがトイレ行ってる間にさっきの駄菓子屋のおばあちゃんと何話してたの?ってミサカはミサカは興味津津に聞いてみる。
おばあちゃんニコニコしてたね、あなたがお孫さんと同じくらいなんだって言ってたね」



カラカラ、カラカラと一方通行の座る車椅子の車輪が回る音だけが辺りに響いた。
人の喧騒も大きな事件も珍しい田舎町が当ての無い二人を暖かく包み込んだ。







557 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 4/14 [saga] - 2011/01/10 21:17:24.89 Ch02CzFc0 5/16







定期連絡の時間だった。
こちらでの現状報告と、イギリス清教の対応を情報交換する場。



「ま、待って欲しいんだよ!!らすとおーだーにはもうこんな事しないようこっちで説得するから………」

『――――― 申し訳ありませんがインデックス、これは最終決定事項です。………最大主教の判断に、私や貴女如きが口を出せはしません』

「待って、かおり!お願い待って!!」



強制的に電話を切られたインデックスが真青になった顔に涙を浮かべながらとてとてとゆっくり近づいてきた。
インデックスがこんな表情になる様な事を告げねばならなかった神裂も思いやられる。
しかし、今はそれより―――――――



「らすとおーだーの自主的な帰還を待ったけど連絡すら一向にないから探索魔術を行使した、って―――――
 準備ができ次第回収班を向かわせて、あくせられーたを幽閉するって……―――――――とぅまぁ……」

「そんな……―――――――」



幽閉。


考えていた以上に重かった。
一方通行がイギリスに連れて行かれても、もしかしたら彼の家族を偶にとは言え合わせてあげる事くらいできるかもしれない。
そんな風に考えていた。
だが、実際は。


よくよく考えれば、イギリス清教にとっての彼は『実験動物』や『武力兵器』といったモノに過ぎないのだ。
学園都市の技術を測る為に解剖に近い事をしても赦されてしまう存在。



「何か、何かアイツらを助ける方法はねえのかよ……―――――――――っ!!」



558 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 5/14 [saga] - 2011/01/10 21:18:32.65 Ch02CzFc0 6/16




上条の能力は右手に宿った『幻想殺し』しかない。
インデックスには10万3000冊の魔道書の知識が詰まっているが、魔力を使用する事は出来ない。



「……――――くそっ!」



壁に拳を叩きつけた。
万事休す、そんな状況の中で嘗て『上条勢力』と称された上条を支える仲間だけが自分の足で立ち上がった。



「なにボサーッとしてんのよ。私は確かにマジュツ云々は良く解らないけど、相談くらいしなさいっつーの。
 ………学園都市の外に出られた所為で厄介だったけど、こっちも漸くあの子の居場所が掴めたわ。
 ヘリの一つでもかっぱらってさっさといくわよ、この馬鹿!!」



住人の居なくなった一方通行の病室唯一の出入り口に、有名私立女子中学校の制服を纏った少女が立っていた。
上条当麻を追って単身ロシアまで出向いた御坂美琴だけが、この絶望的な状況の中で足掻く事を忘れてはいなかった――――――――。









559 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 6/14 [saga] - 2011/01/10 21:20:02.43 Ch02CzFc0 7/16







広大な田園風景。
牛や馬といった家畜も見かけるのんびりとした田舎町では大きな事件は何も起こらない筈だった。
はず、だった。






最初に二人の下へやってきたのは、縁あって二人が泊めて貰った八百屋の女性だった。
心なしか蒼褪めた表情でそっと近づき、言いづらそうに口を開く。



「あ、あのねミサカちゃん……なんか外にお兄さんの知り合いって人達が来てて……
 おばさん、どうしてもって言われて連れて来ちゃったんだけど……ゴメンね、ゴメンね……――――」



脅されでもしたのだろう。女性は事情を話し切るなり泣き出してしまった。
女性の後ろから押し入る様にして二人の居た客間へと入ってきた男女数名は、古びた修道服のようなものを纏ったいかにも怪しげな連中だった。



「―――――イギリス清教の人?ってミサカはミサカは警戒してみる」



誰一人として答えなかった。
ただ、リーダー格なのか横一列に並ぶ一団で一人だけ前へと躍り出た男が首だけで合図すると
他の人間が一斉に一方通行の下へと向かっていった。




何処の人間とも解らぬ輩が、あの人の腕に、脚に、背中に、触ろうと――――――




理由は、それだけで十分だった。



560 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 7/14 [saga] - 2011/01/10 21:20:58.49 Ch02CzFc0 8/16




「あの人に、触るなぁああああああああ!!!!!!!!!!!」



打ち止めから放たれた電撃が魔術師達(と、打ち止めは判断した)を襲う。
だが襲撃する相手が妹達の統率個体である時点である程度の攻撃想定はしていたのだろう。
魔術師でありながら、あろうことか軍用の絶縁装備を纏い強能力者クラスのその電撃を妨げる。



「――――――っ!!」



電撃が通じないのなら、別の方法で攻めるまで。
実戦経験はないが打ち止めも妹達の一人としてそれなりの体術知識が組み込まれている。
『実験』の中他の個体が経験した記憶もミサカネットワークが精通していた当時共有した。


勢い良く間合いを詰め、小さく細い脚に重心を注ぎ込みながら素早く繰り出す。
体重も脚力もそれほどない為蹴り自体はあまり大きなダメージにはならないだろうが、思わず膝を折った男の顔面へと今度は電撃を加える。
素肌を晒した顔面へ直接与えられた電気攻撃に男が悲鳴を上げた。


男の後ろに控えていた別の魔術師が舌打ちしながら重厚な槍を構えた。
現代においてその武器はとても合理的とは思えない。
現に魔術師はその重量ある槍を持っているのが精一杯といった風で、振りまわして戦う槍術のような戦法はとれないように感じた。


だが、相手は魔術師。
打ち止めどころか学園都市最高峰の頭脳を誇る一方通行でさえ全てを把握し切れていない魔術を行使する相手に
打ち止めは一方通行の座る車椅子を力任せに無理矢理移動させながら間合いを計る。


古ぼけ染み付いた畳の敷かれた床を移動する座席に一方通行の首が不安定にガタガタと揺れる。
そんな光景にゴメンなさい、ゴメンなさいと心中で必死に謝りながら打ち止めは狭い室内の奥へと走った。
玄関に繋がる唯一の出入り口は魔術師達が塞いでいる為使えない。
仕方なく襖続きに繋がった隣の部屋へと移動し、縁側を抜けての庭からの脱出を試みる。


しかし、イギリス清教の魔術師達もそんな打ち止めの行動に黙っていなかった。
先程槍を構えた男が左肩で槍を支えながら右手で宙に歪んだ図形を描きとる。
そしてブツブツと一般人には理解出来ない不穏な詠唱を発するとその指で槍を鷲掴み、咆哮を轟かせた。



561 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 8/14 [saga] - 2011/01/10 21:22:00.12 Ch02CzFc0 9/16




ブチリ。
ふいに打ち止めは自分の左型が爆発したかのような錯覚を起こした。
実際、その揶揄はあながち間違っていなかった。



「……あ、あ、ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」



横目で患部を窺えば、自身の左肩から少なくはない血液がドクドクと外へ流れ出していた。
心臓が鼓動を打つ度破れた血管から大量の赤い液体が、命の結晶が放出していく。
認識した途端猛烈な痛みが打ち止めを襲った。灼熱を直接宛がわれた様な激しい熱が左肩に集中する。


でも、それがどうした。


あの人が極寒のロシアで自分を助けてくれた時、あの人は悲鳴の一つも上げなかった。
こんな傷とは比にならない怪我を体中に負いながら暖かい表情で自分を抱きしめてくれたじゃないか。
自分の傷など気にも留めず、ミサカ達を護ろうと天使という強大な存在に立ち向かう為に再び立ち上がってくれたじゃないか。



「――――――― 負けるわけにはいかないって、ミサカは、ミサカは……――――――っ!!!」



だが、無情にも自分の体は動いてくれない。
それどころか膝を折ってその小さな体を地に着けてしまう。


動け、動け!
どれだけ命じても致死量に近いだけの血液を流してしまった打ち止めの体は足の一歩も進めてはくれない。



562 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 9/14 [saga] - 2011/01/10 21:23:57.29 Ch02CzFc0 10/16



崩れた体の先には、車椅子に乗った一方通行が居る。
目に移る光景から状況を把握するだけの判断力を持たない彼が、
それでも倒れた打ち止めを心配する様に上手く機能しない右手を必死に差し伸べながらこちらを見つめている。


無理に体を動かした所為だろう。
重心の定まらない彼の体が車椅子の上から冷たい床へと放りだされた。
自分用にと嘘を吐いて黄泉川にねだり、芳川に選んでもらった膝掛がはらりと落ちる。


床に転がった一方通行が腕だけで地を這いながら体を進め大量の血液を流し意識を朦朧とさせた打ち止めを抱きしめた。
彼にはそこまで計算する事は出来なかったが、幸いにも『回収対象』の一方通行が彼女との距離をゼロにまで突き詰めた事で
研究が出来るほどには無事な状態で回収しろと命じられていた魔術師達は無暗に彼女を攻撃する事が出来なくなった。


「あ、あー……」


言語機能を失った一方通行が打ち止めに何かを伝えようと口を開く。
しかし今の彼には自分の感情をどう並べればメッセージを形成する事がどころか想いを単純な単語にすることさえ出来ない。


意識を朦朧とさせていた打ち止めが一方通行の声に反応した。
幼いからだがピクリと疼き、震える小さな手を何とか一方通行の背中に回す。



「―――――――― ずっと、一緒にいたいよ、って、ミサカはミサカはお願いしてみる」



一方通行は答えない。
応えられない。



「あなたと、離れたくないよ……ミサカ達の知らない色んなものを、
ヨミカワやヨシカワや番外個体や他の妹達やお姉様やヒーローさんやシスターさんやカエルの先生や沢山の人と、
………でも、何よりも『あなた』と、一緒に見たいよ……まだ足りないよ……あなたは色んな物を見せてくれたけど、まだ、全然足りないよぉ……」



気付けば自分の両目からはボロボロとした大粒の涙がおかしな程に零れていた。
何処までも自分の為に行動し自分の為に犠牲になってくれた彼にこんな事を願うのは傲慢と言うものだ。
解っている。
なのに、もう既に抗う事を諦めてしまったかのように自分の口からは言えなかった我が儘ばかりが溢れだした。


563 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 10/14 [saga] - 2011/01/10 21:25:18.76 Ch02CzFc0 11/16











業を煮やした魔術師達が、打ち止めも一方通行も動けないのを良い事に彼女を抱きしめる一方通行を無理矢理引き剥がそうとした。
少年の背中に回された少女の両手を乱暴に外し、一方通行を持ちあげようとする。


キンッ……――――――――


ふいに、微かな金属音が一人の魔術師の耳に届いた。
小さな金属の破片が何か擦れて発せられた様な不自然な擬音。
そして、それを耳に捉えた一瞬ののち、絶対的な有利に立っていた魔術師達の全てが襖を貫き出口とは反対の室内奥地へと弾き飛ばされることとなる。



「私の妹に、何してくれてんのよおおおおおおお!!!!!!!!」



激しい爆音と共に年若い女の怒声が響いた。
超電磁砲が巻き上げた爆風を、紫電を纏った片手で薙ぎ払い、土足のまま縁側から屋内へと入り込む。



「次、浴びたい奴からかかってらっしゃい」



蟀谷に血管を浮かび上がらせた御坂美琴が次弾となるゲームセンターのコインを構えながら冷淡な声と共に笑みを浮かべた。



564 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 11/14 [saga] - 2011/01/10 21:27:26.86 Ch02CzFc0 12/16




怒り心頭といった美琴に多少鳥肌を立たせながら同じ様に踏み込んだ上条とインデックスが大怪我を負った打ち止めへと駆け寄る。



「無事か、打ち止め!!」



血溜まりの中から打ち止めを抱え上げ叫ぶが、ハアハアと荒い呼吸をする彼女からは何の返事も返ってこない。
ただ大粒の涙を浮かばせた目線だけは一方通行から絶対に外さずに、彼へと必死に両手を伸ばす。


応急措置を施して急いで病院へと運び込まなければ助からない事は明白だった。
これだけの怪我を何の後遺症もなしに治すには、しかし学園都市に頼るほかない。


インデックスにはこの怪我を治すだけの魔道書の知識はあってもそれを実行するだけの魔力がない。
超能力者の電撃使いである美琴も電気信号を操作して痛みを和らげてやることが精々だろう。
上条の能力は言わずもがな、この様な場面では何の役にも立たない。


結論から言えば、学園都市からもイギリス清教からも手の届かない場所へ二人を無事に逃がしてやる事が不可能となった。


どうすべきか。
戸惑う上条の腕を、一方通行が震える手で掴み取った。
焦点の定まらない瞳でこちらを見上げながら上条の腕に収まった打ち止めの髪をゆっくりと撫でてゆく。


ゆるゆると重く塞がっていた打ち止めの瞼が開いた。
意識を辛うじて繋ぎとめながら自身の髪を梳く一方通行をそっと眺める。



「――――――― あ、なた………?」



一方通行の考えが掴めずに、打ち止めが小さく呟いた。
自分を抱える上条の手から無理矢理抜け出すと身を乗り出して一方通行に顔を近づける。


少女の小さな頭が殆どを隠す一方通行の表情の、二人だけの世界の中で行われたやりとりを上条だけが僅かに窺い見た。
そして、予め定めた行動を脳内にインプットしておかなければ電極なしには行動できない一方通行の真意を読み取り――――――――



565 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 12/14 [saga] - 2011/01/10 21:28:38.32 Ch02CzFc0 13/16











「……… 、 、 、 、 、 、 ―――――――――――」


「――――――さよなら、なんだね。ってミサカは、ミサカは――――――――――」










566 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 13/14 [saga] - 2011/01/10 21:30:49.62 Ch02CzFc0 14/16




少女の手が、一度大きく少年の体を握り締めて、そして離れた。
ゆっくりとその身を起こしながら真正面に立ち少年を見つめ静かに呟く。



「ミサカもだよ、って、ミサカはミサカは自分の気持ちを伝えてみる………」



決別の瞬間だった。
詳しい状況を見ていなかった美琴も、打ち止めが彼との別れを終えたのだろうと考え戦闘を停止しこちらへ駆け寄ってくる。
どちらにせよ、打ち止めが重傷を負っている今二人を逃がしてやるという選択はとれない。


大人しく彼を引き渡さなければ、彼が護ろうとしていた小さな少女の命が失われてしまうのだ。


彼がこの後どうなるのか、全てを知りながら上条と美琴、そしてインデックスの3人は一方通行と打ち止めを秤にかけた。
そして『彼の意思を継ぐ』という綺麗事を綺麗事と理解した上で掲げ、打ち止めを選びとった。


一方通行の細い体が魔術師達に抱えられ荒れた屋内を出て行く。
それを見届けると、それまで気丈に立っていた打ち止めの体が崩れ落ちた。


打ち止めに応急措置を施し、上条達は此処へ来るためにハイジャックしてきたヘリコプターへと乗り込んで急いで学園都市の病院へと向かう。
意識を失った少女を除いても、機内で言葉が交わされる事はなかった。







神裂らからの伝え話に時々一方通行の現状を聞く。
最低限人間としての扱いを受けている事にホッとしながら、『最低限』というそのラインに心が痛む。


当人達を除いて、上条だけが知っている。
二人の決別の瞬間を。
少年が自由の利かなくなる前に示していた覚悟の意思と、自分の感情を呑み込んで彼の意思を尊重した小さな少女の決心を。


上条だけが、知っていた。



567 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ 14/14 [saga] - 2011/01/10 21:32:10.87 Ch02CzFc0 15/16












「………だ、い、す、き、だ、っ、た―――――――――――」



「――――――ミサカも、だよ。」











十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type = Normal EndⅠ.(完)




568 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] - 2011/01/10 21:33:57.60 Ch02CzFc0 16/16


という訳で以上です。
戦闘は全て二人を泊めてあげた八百屋のおばちゃん宅で行われました。おばちゃんェ……(´;ω;`)ブワッ
何か長くなってスマン。
そしてこれはバッドエンドではなくノーマルエンドという事実。HAHAHA!

次書くときはノーマルエンド②かバッドエンド、かな。
あと>>500さん悪い、俺もう通行止めスレ現行で立ててるから並行作業なんて出来ない。
向こうでこっちの作業が邪魔になる前にさっさと書いちゃおうと一気にやってるだけでそんな器用な真似できない。でもその言葉は嬉しかったぜb

………もう少し戦闘描写が上手くなればいいのにね。カッコイイおにゃのこ書きたいよお!