639 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2011/01/11 23:26:07.82 mPJ2dP160 1/11

>>407と>>434(自称『十人十色の幸福シリーズ』)の派生エンドの1つ。8レス頂きます。
>>489とは別物、>>554とは続きとなる可能性の1つの範囲。
途中そこそこ過激なグロ描写があるので心臓の弱い方はご注意ください。


※関連(>>407)
十人十色の幸福と、――――
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704478.html

※関連(>>434)
十人十色の幸福と、その結末に伴う不幸――――
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704850.html

※関連(>>488) 派生エンド
十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Last Order ; End type D.
http://toaruss.blog.jp/archives/1020185940.html

※関連(>>554) 派生エンド
十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Accelerator ; End type NⅠ
http://toaruss.blog.jp/archives/1020186032.html

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-21冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294925147/
640 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 1/8[saga] - 2011/01/11 23:27:08.04 mPJ2dP160 2/11






イギリス清教に学園都市から一人の人間が運び込まれてきたのは第三次世界大戦から四年ほど過ぎた頃だった。
同じイギリス清教に所属する土御門元春と同年代の青年。


シェリー=クロムウェルはその青年に嘗ての友人エリスを重ね、小さく溜息を吐いた。






「私にこのガキをどうしろってんだよ……一体……」






シェリーの呟きにも青年は一切反応を示さない。
病院義を着せられ簡素なベッドに身を委ねた青年は、焦点の合わない瞳を終ぞ天井へと向けていた。








641 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 2/8[saga] - 2011/01/11 23:28:10.71 mPJ2dP160 3/11






シェリーが最大主教であるローラ=スチュアートから青年を任されたのは3日前の事である。
学園都市から回収してきたという車椅子に乗った青年に半ば無理矢理引き合わされ、簡単な説明と共に押し付けられる事となったのだ。



「此処にあるは学園都市最高峰の能力者、『一方通行』なる者―――――――――。
 シェリー=クロムウェル、貴女もクローン問題の件で学園都市と交わした契約については聞いたるでしょう?」

「ええ、まあ噂程度には……」



シェリーの返答にくつくつと笑ったローラは口元に細やかな指を当てながら「ならば話は早い」と続きを切り出す。
人を小馬鹿にしたようなその態度に、シェリーは気付かれない程度に顔を顰める。



「『一方通行』は学園都市で施された技術も最高峰ながら、第三次世界大戦時にはミーシャ=クロイツェフ相手に奮戦し勝利した能力者。
 しかも『天使の力』に酷似した大量のチカラを纏め上げ最終的には自身の姿さえも天使と化した稀有な存在……

 ――――― と聞けば暗号解読専門官の貴女としては興味が湧くものと思いたるのだけれども?」


「それはまあ、魔術的観点から徹底的に調べ上げれば何が浮き彫りになるのか、興味はありますが……」


「よし、ならば決定という事で。シェリー=クロムウェル、貴女を『一方通行 生態調査責任者』に任命するっ!拒否は許さざる、なのよ!」





「…………は?」




642 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 3/8[saga] - 2011/01/11 23:31:00.79 mPJ2dP160 4/11





当初全く行動を見せない人形同然と思われた『一方通行』は、接してみればそれなりの反応があった。
調査の為に腕や顔を手に取ってみるとその感触がこそばゆいのか小さく微笑む。
その反応がなかなかに面白くて本格的に擽ってみればしゃくりを上げながらケラケラと笑っていた。


食事や風呂の手伝いを押しつけた世話好きのオルソラ=アクィナスにはより懐いているらしく、
偶に二人で居る所を見掛けると青年がシェリーに見せるものとはまた違う類の満面の笑みを浮かべていた。
料理上手なオルソラが作る食事が気に入った様で彼女が皿を持ってくる度に目を輝かせているのが窺えた。


なんとなく対抗意識が湧いて珍しく作ってみた料理を食べさせてみると心なしか神妙な顔をされた。
モグモグと咀嚼して呑み込んだ後、次を寄越せと口を開くのでとりあえず放りこんでみる事にする。
最初の反応が気になって一方通行が咀嚼している間にシェリーが自分の作った料理を口に運んでみると―――――


「うぇ、マズっ!なんじゃこりゃ」


どうやら砂糖と塩を間違えるなんていうベタな失敗をしてしまったらしい。
うぇ。と最早自分が作った料理であるにも関わらず食べる気の失せた皿を机の端に寄せると、再び青年の口が開かれた。


「……えぇ?お前、これ本気で食うのか?」


皿と青年を見比べて尋ねるが、一向に口を閉ざそうとしない一方通行の口へ仕方なしにもう一度運ぶ。
そしてモグモグと咀嚼している間気まずそうにその光景を眺めるシェリーに目を遣り、―――― 唐突に、ププッと笑った。


「て、テメェ!さては味オンチなんかじゃねえなっ!」


廃人とも言える人間に気を遣われたのだと悟ったシェリーは顔中を真っ赤に染めながら、
人を騙した罰だと言わんばかりに一方通行の頭をグシャグシャと乱暴に掻き撫でた。
だがそれすらも気持ち良さそうに目を細めて撫でつける手を強請る彼を見て――――――――――――、


「………はいはい。お前には負けたよ」



シェリー=クロムウェルが一方通行に釣られて、小さく笑った。




643 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 4/8[saga] - 2011/01/11 23:32:05.81 mPJ2dP160 5/11




詰まる所、シェリーは一方通行という青年を気に入ってしまったのだ。
観察対象としてではなく、10歳近く年の離れた弟の様な存在として。



「ま、偶にはこんな仕事もいいか」



近所の洋菓子店で一方通行に与える菓子を購入しながら、
シェリー=クロムウェルは自分らしくないと自覚しつつもそんな事を考えていた。



「おい喜べクソガキ、今日はスコーン買って来てやったぞ」



ついつい弟分を甘やかしてしまうシェリーはよく彼にこっそりとおやつを与えていた。
別に秘密裏に行うことはないのだが、他人にバレると後ろめたいというか、恥ずかしい。


実はジャパニーズである彼の為に神裂にわざわざ頼みこんで和菓子を分けて貰ったこともあるのだが、
嘗て一方通行が自分の意思で行動していた頃の彼が和菓子どころか甘味や菓子を殆ど口にしていなかった事など彼女は知る由もない。



「クソガキー?」



オルソラ辺りが風呂にでも連れて行ったのだろうか?自分では動けない筈の一方通行の姿が見当たらない。
嫌な予感がした。
慌てたシェリーが『必要悪の教会』の談話室へと駆けこむと、






「ああ、シェリーさん。あなた『一方通行 生態調査責任者』から外されちまってましたよ?
 まあ良かったってもんじゃないですか。学園都市の人間、しかもその第一位なんてのに関わったってロクな事ねぇでしょうし」



644 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 5/8[saga] - 2011/01/11 23:33:56.15 mPJ2dP160 6/11



自分に気付いて発せられたアニェーゼ=サンクティスの言葉に、シェリーは絶句した。
一方通行の担当官を外された?何故?



「何でも餅は餅屋って事で、最先端科学によって造られた能力者『一方通行』は
 やっぱりイギリス最高峰の科学技術研究所で調査するのが妥当だろうって話になったらしくて――――」



ペラペラとアニェーゼは語り続けるが、シェリーの耳にはその半分も入ってこない。
何種もの薬物を投与し催眠術を施され電気刺激といった特殊な能力開発技巧を幾つも受けてきた
『一方通行』という素材を科学的に調べようとすればどうする?


決まっている。身体の至るところを切り開いて、無理矢理その全てを暴きだすしかない――――――


シェリーの脳内におぞましい想像が走った。
想像どころかいずれ現実となってしまうであろう光景。


弟の様に可愛がっていた青年がその体を何の気遣いも温かみもなしに無機物の様に切り刻まれボロボロにされる。
友人だったエリスと同じく、科学と魔術の混在した身勝手な世界に巻き込まれ何の罪もなしにその命を削ってゆく。



「あの女ぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!!」



最終判断を下したであろうローラ=スチャートへの怒りが一気に込み上げ蟀谷に血管が浮かび上がった。
懐に携帯していたチョークに手を据えゴーレムを形成しての襲撃すら試みる。
しかし、


常任の目には理解出来ない早さで彼女の右手にあったチョークが粉々に砕けながら弾き飛ばされた事で、
彼女はその決断も阻まれた。



「――――― 彼について、少しばかり知る所があります。………付いて来て下さい」



天草式十字凄教の女教皇、聖人・神裂火織によって反逆の意さえ圧し折られたシェリーには
ただその要求に静かに頷き彼女の後を追う選択肢しか許されなかった。

645 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 6/8[saga] - 2011/01/11 23:35:48.20 mPJ2dP160 7/11




「あの青年………一方通行の友人に当たる人物にひとり私達の知り合いが居るんですよ。――― 上条当麻。
 私は彼から一方通行の現状を伝える様頼まれていまして、先日はシェリーさんが彼に和菓子を与えていたと話して喜ばれました」

「………気付いてやがったのか」



存外、貴女も分かりやすいお方ですからと語る神裂の真意を掴み取れないシェリーはただ黙って彼女の話に耳を傾けるしかない。
神裂もそんなシェリーの態度に余計な事をこれ以上挟まずに正直に話そうと姿勢を正す。



「一方通行は此処へ、自らの意思で赴いたそうです。………大事な家族であるクローンの少女を助ける為に」

「………か、ぞく」

「貴方が大事なご友人の為に学園都市を攻めた様に、彼もまた大事なご家族の為に此処までやってきたのです」



神裂の言いたい事は何となく解った。
これは一方通行自身の意思である。だからイギリス清教全体を敵に回す様な馬鹿な事はやめろと、そう言いたいのだろう。



「……でも、私にはそんな事関係ないね。あのガキが庇ったっていうクローンも今は安全だって保証が付いたんでしょう?だったら――――」



シェリーの台詞に、神裂が緩く首を振った。
悲痛な面持ちでシェリーを見据え、言い聞かせるようにゆっくりと言葉を吐く。



「――――― 彼の研究が第三者の介入によって成されなかった場合、イギリス清教は彼本人に条約違反の意思があると見做し彼のご家族……
 ………学園都市が製造したクローンの上位個体を、ネットワーク切断を虚偽した危険因子として学園都市へ殺傷処分の要求する予定だそうです」



目の前が真っ暗になった。
科学サイドも魔術サイドも、ここまで腐っていたというのか。


此処で彼を全ての悪から奪おうとすれば、それこそ彼が命を賭けて護った少女を見殺しにする事になってしまう。
彼本人の命と、彼が護ろうとした少女の命。
シェリー=クロムウェルはどちらを立てる事が一方通行という青年にとって一番の幸せであるかを自分なりに考え、そして――――――

646 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 7/9[saga] - 2011/01/11 23:37:51.98 mPJ2dP160 8/11








「…………シェリーさん、科学技術所の方からお荷物が届いているのでございますよ」

「ああ、そこ置いといて」



遠慮がちに交わされたオルソラの言葉に、シェリーがぶっきら棒に返事をする。
荷物の内容は解っていた。DVDだ。


一方通行の『科学的見地からの研究』を纏めた映像資料。


どのタイミングで彼の『天使の力』が最も高調するのか把握できていない現状では
科学的な研究を行いながらも魔術解読の専門官もその研究に同席した方が良いだろうとの判断を下したイギリス清教は、


しかし談話室でゴーレムを召喚しようとする騒ぎを見せたシェリーを素直に研究所へ立ち合わせるのではなく
DVDの映像から解析を行うよう彼女へ指示を出した。




シェリーはいつも通り箱を漁ってDVDのケースを取り出すと、
古書に囲まれた図書館の様な室内には似合わない薄型テレビのスイッチを入れて再生ボタンを押す。


何てことない。これが、『日常』だった。






647 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 8/9[saga] - 2011/01/11 23:41:03.44 mPJ2dP160 9/11






『あ``、あ``う、あ``あ``あ``……』



少量の麻酔を投与しただけで意識を保ったまま体にメスを入れられた一方通行が声にならない呻きを上げながら誰かを求める様に手を伸ばし揺らす。
だがその両手は誰にも握り返される事無くただひたすら空を切る。



『あ``、 あ``、 あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``!!!!!!!!』



脳を直接掻き回す様に弄られ、監察官として傍に控えた魔術師によって術式で心を暴かれた一方通行がもがき苦しむ。
身体を。精神を。思い出を。決心を。償いを。絶望を。人生を犯されてゆく光景、
全てのトラウマを無理矢理引き摺り出され、それを勝手に人に覗かれ、身体の全てを切り刻まれた一方通行が強烈な叫びを上げた。



『あ``う!あ``、あ``、 あ``あ``あ``!!』



水流操作を施した魔術が一方通行の細い体に叩きつけられる。対天使戦の再現だとでもいうのだろうか。
心拍や体温など様々な計測機を覗きこんだ科学者達が何の変化も見せない事を確認し、より強力な魔術を術者へ促した。


無遠慮に叩きこまれた攻撃にバタつかせた腕をキーポイントとでも見做したのか、研究者はそこに再びメスを入れ、
得体の知れない薬物を血管に繰り返し投与してゆく。



『あ`` あ``!! あ``あ``!!あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ````あ``あ``あ``あ``あ``!!!!!!!!!!!』



一方通行が今日一番の叫びを上げる。
最も効果のあった深層心理へ干渉する魔術を行使され催眠効果のあるらしい薬に思考の全てを奪われた一方通行が
大量の汗と涙を浮かび上がらせながら、再び誰も応えない非常な天へと向けて必死に腕を伸し――――――――。





648 : 十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type B 9/9[saga] - 2011/01/11 23:42:00.81 mPJ2dP160 10/11







シェリー=クロムウェルは、貞操以外の全てを犯され尽した弟分を画面越しから無表情に眺めていた。
同じ様な映像は何度も見させられた。通算にして23本。
始めの頃はまともに見ていられなかった映像も、今では何の抵抗もなしに観察し続ける事が出来る。



「なあ、お前にとっては本当にこれが幸せだったんだよな――――――?」



少女の為に決断した青年の意思を尊重する道を決断した女は
彼に引き合わされた時の様にその姿に嘗ての友人を重ね、―――――――――― 弱く儚い声で、小さく呟いた。



「――――――― 何もしてやれなくて、ゴメンな………アクセラレータ」








十人十色の幸福と、三者三様の解釈方式 ――――――― Ver. Shelley Cromwell ; End type = Bad End.(完)




目を反らす事は冒涜だった。
そして、彼女は初めて名を呼ぶ。



649 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2011/01/11 23:43:59.75 mPJ2dP160 11/11


以上です。ゴメンなさい、途中から9レスに変更しました。

シェリーたんと一方さんなんて珍しい組み合わせのほのぼのに見せかけて一気に落としてみる作戦。
>>554からの続きの場合はねーちんの「ええ。一方通行なら無事に生活してますよ」って嘘報告が入る。

とゆうか皆グロ平気だった?俺はちょっと感覚狂ってる節があるからそこが恐い……
皆さんのご迷惑も考えずにこんな公共の場でダラダラと続けちゃって申し訳ないです、ハイ。