27 : ベンチ 1/3[] - 2011/01/19 23:03:01.45 vO0TjU/L0 1/4

僕にも、気に抜ける瞬間はある。

昼下がり、学園都市の公園。
あの子の様子を見に行った帰りに
ベンチで少し時間を潰す。
飛行機がでるのはしばらく先だから、
いつも通りの一服をしようと、
ポケットに手を入れて気付く。

ステイル「ああ、切れてる」

近くのコンビニで、買ってこようとも思ったけど、
それよりも睡魔が僕に乗っかってきて……

ステイル「まだ、時間はあるしな」

時差ぼけは流石に無いけど、
疲れなら溜まっている。
あの子のためなら、僕は何だってできる。
でも、それ以外の事にはやる気が出ない事だってある。
そんな事を考えながら、意識を手放す。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-22冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295367884/
28 : ベンチ 2/3[] - 2011/01/19 23:03:45.76 vO0TjU/L0 2/4

「ねぇ、こんなところで寝ていると風邪ひくよって、ミサカはミサカは起こしながら言ってみる」

ゆさゆさと揺り動かされて、
僕は夢から覚める。
良い夢だったのに。
あの子が笑っている夢。
ただ、その隣にいるのは、僕じゃなかったけど。

ステイル「なんだい。疲れてるんだ。放っておいてくれ」

目を開けるのも億劫で
僕は声の主に、返事だけして意識を手放そうとする。

「無視! ってミサカはミサカは抗議の声をあげながら、ますます揺さぶってみる!」

もはや、完全に起きてしまったけど
こうなったら意地だ。
最後の最後まで、目を閉じ続けようと決めた。
瞼に力を込め、全身の力を抜く。

揺さぶり続ける気配。
寝たふりを続ける僕。

どれほどの時間、膠着状態が続いたのだろうか?

「もう! こうなったら……」

ようやく、声が遠ざかっていく。
勝った。
僕は勝利の余韻に浸りながら、
再び眠りの世界へと落ちていく。

29 : ベンチ 3/3[] - 2011/01/19 23:04:27.57 vO0TjU/L0 3/4

ステイル「ん、毛布?」

目覚めると、僕は見覚えのない毛布に包まっていた。
ずいぶんと小汚い。まるで何日も、これ一枚で彷徨ったりしたみたいだ。
そして、僕の隣に座っていたのは……

ステイル「寝てるのか」

上条当麻と良く一緒にいる女子中学生に、良く似た幼い少女。
妹か何かなのだろうか。本当にそっくりだ。
僕の隣に座り込み、すやすやと安らかに眠っている。

ステイル「まいったな」

流石の僕も、公園で眠る幼い少女を放っておくことなどできない。
自分でもたまに忘れるけど、僕も神に仕える身なのだ。
彼女が起きるまで待っていないと。

ステイル「飛行機の時間どうするかな……」

もう行かないと、搭乗時間に遅れてしまう。
しかし、少女に起きる気配はない。

ステイル「まぁ、仕方ないか」

この少女が起きるまでここにいよう。
乗り遅れたら、上条当麻のところにでも
押しかけようか。
少女に毛布をかけて、伸びをひとつ。

僕はあの子のためなら、なんでもできる。
でも、あの子以外にも、これくらいはするのだ。


30 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/01/19 23:05:21.84 vO0TjU/L0 4/4

以上です

お目汚し失礼しました