261 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/01/24 16:52:39.07 aEWWWGwSO 1/5クロス物で少し貰います。中途半端でふ
空腹で睡魔を退ける、ある種黄金のように絶対的な不変の体内時計を持つ彼女よりも早く起きた朝。
珍しいこともあるのだと思いながら同居人を起こしにかかる。
俺の手元から離れて懐かしいベッドに飼い猫と一緒になって丸まっている。随分と和ませてくれる光景だ。
見ていたい気もするが、理由も無しに一人の朝御飯にしてしまったら怒りの程がどうなるか想像出来ない。
カーテンを開く。
大きな声で名前を呼ばなくとも、身体を揺すってあげなくとも生き物は起きる。
大いなる太陽から降り注ぐ莫大な光の栄光によって。
薄暗い部屋が暖かな明るさで満たされた。
「んん……」
意識を掬われ、彼女の思考が萌芽し始める。
後、一歩。
「おはよう、インデックス」
俺の声で引き上げてあげる。
「……とうま?」
重く眠気を乗せた目蓋を半分開き、青い瞳に俺の姿が映される。
「……ッ!」
一瞬、その目が大きく開かれた。
「ぁぁあぁぁあああぁぁあ!!」
俺がそれを疑問に思うより遥かに早い速度で状況は駆けていく。
絶叫。
目を両手で覆い隠してベッドから転がり落ち、苦悶を訴えながら身体を捻らせる。
「インデックス!!」
その時
その時、俺は
愚かにも
その原因を魔術と直観的に決め付け
目が痛いと泣き続ける彼女の小さな身体を
カーテンを閉めるのも忘れて
抱きにかかってしまった
失敗、失策、失格
救えた数時間を無駄にした
痛む。
胸の奥に何千、何万と言う針が突き刺さっているように鈍く鋭く痛む。
内臓が動転する。掻き回される。
こんなに気持ちが悪い病院は初めてだった。
「上条くん」
診察室から先生の顔が見える。
名医という肩書きの責任の重量に潰されない優秀な人物。
絶対な信頼を置いている。幾度も命を繋げてもらった。
だが、俺の気持ち悪さはそこで更に悪化した。
展開する寒気が払えない。
「……っ先生!」
口元にはい上がった酸味を拭って駆け寄る。
「入りなさい」
暗い声色が俺を部屋へ誘った。
部屋は薄暗く、闇に落ちる一つ手前の状態だった。
レントゲン写真を透かす為の機材が唯一の光源として、弱々しく稼働している。
インデックスは黒い布を巻かれて座っていた。
「と、とうま?」
不安が空気を震わせる。
俺はその肩を強く引き寄せた。少しでも安心させてやれるように。
「先生、それで様態は……」
「結論から言おうか。何の病気か或いは怪我か僕には分からない」
医師として余りに無鉄砲な言葉。
「分からない?」
身勝手な怒りと無意味な放心が渦を巻き、声におかしなトーンを添付した。
「そうピリピリしないでくれるかな。詳しい診察が出来ないから原因の探究が出来ないだけだよ」
力が抜ける。
「光を酷く痛がってね」
悔いが頭を縦横無尽に駆け巡った。
朝、光に原因が在ることに気付かずに漠迦をした映像。
カーテンを開いた時。
外へ連れ出した時。
部屋へ一人残した時。
目蓋を開かせた時。
その度に彼女の恐怖は募り、今を呼んだのだ。
闇の中にでしか視界を得られない状況。
当たり前だ。医者のせいではない。技術の進歩が届かぬせいではない。
俺がもう少し早く光の脅威にに気付いていたら良かっただけの話。
「でも、治らないという訳じゃないよ」
「えっ!?」
光明と疑惑が閉鎖した思考に一抹の切れ目を入れた。
原因も名も分からなくて治る症状があるのだろうか。
それとも、それがかの冥土返しの力ということか。
「友人に電話したら、一人だけ良い返事をくれてね。そろそろ来てくれるよ」
機会の折り合わせ。絶妙な采配。
丁度、扉を誰かがノックした。
「来たみたいだね。入ってくれ」
「おぅ」
薄暗い部屋に白い靄が入り込んで来た。
煙草のようで違う苦さと清涼感のある煙。
煙たさの中に僅かに草の匂いがした。
不思議と落ち着く。
腕の中のインデックスの怯えも弱まっている。
「さて、蟲につかれてるのはどっちだ?」
脱色したような白い髪と深緑の瞳を携えた、胡散臭そうな雰囲気の、コートの男だった。
265 : むしーん[saga] - 2011/01/24 16:59:54.12 aEWWWGwSO 5/5以上!禁書と蟲師クロス
此処で力尽きました。ごめんなさい