695 : 打算と私とアイツと 1/6[] - 2011/02/02 22:40:58.05 L3Zlh7pl0 1/6

これは打算じゃないとは言わない。
でも、私にも思いやりはあるのだ。
アイツ以外にはむしろ……。

美琴「……風邪ね。ナントカはひかないんじゃなかったっけ?」

サークルに顔を見せなかったので、もしかしたらと思ったら
案の定、このざまだ。
顔を真っ赤にしてうんうんと唸る、二学年上の先輩。

上条「……御坂ぁ? 何でここに?」

目の前のばかが、かすれた声で言う。
なんとなく目の焦点も合ってないようだ。
私の少し上の方を眺めているように見える。

美琴「今日、サークルでしょ。来ないから、様子を見に来たのよ」

上条「ああ、そっか。……カギは?」

美琴「開いてたわよ」

上条「そっか」

ぼんやりと言葉を漏らしている。
どうやら、思った以上みたいだ。
こうなったら……

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-22冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295367884/
696 : 打算と私とアイツと 2/6[] - 2011/02/02 22:41:25.37 L3Zlh7pl0 2/6

美琴「今日、なにか食べた?」

上条「食ってないけど……」

食欲がなくて、と予想通りの言葉が続く。
もしかして、朝起きた時から、動いてないんじゃないだろうか。
私を胡乱げに覗きこむ瞳を見つめ返す。

美琴「おかゆなら食べれそう?」

上条「まぁ、多分」

美琴「じゃ、作ってあげる」

上条「へ?」

心底不思議そうな顔をする。
どういう意味だろうか。
そこについては、治った後で、
問いただそうと思う。

美琴「看病してあげるって事よ」

上条「いいのか?」

美琴「ほっけないでしょ」

上条「わりぃ……」

美琴「気にしないでよ。困った時はお互い様だし」

そこに打算が無いわけではないし。
もちろん、ただの親切心もあるけど。

697 : 打算と私とアイツと 3/6[] - 2011/02/02 22:42:02.97 L3Zlh7pl0 3/6

美琴「寝ちゃったわね」

お粥を食べさせた後、すぐにこいつは眠ってしまう。

私は椅子を持ってきて、ベッドの脇で文庫本を開く。
文字列に視線を落としながら、
ちらちらとアイツの横顔を盗み見てみる。

付き合いは長いから、もう見慣れているはずなのに、
何故か、見ていて飽きがこない。
まあ、何故かって言いつつも理由は、大体わかっている。

美琴「ん、携帯?」

携帯を開くと、サークルからのメール。
今日の決定事項と、こいつの体調を気遣う内容だ。
大学からの友人ばかりだけど、大分仲良くなったと思う。

美琴「大学かぁ」

自分で言うのもなんだけど、私の大学は学園都市でも最高峰だ。
だからこそ、こいつが受験したと聞いた時は驚いた。
正直、受かるなんて全く思わなかった。
でも、こいつは一発で合格した。

だから、私は2年間同じ大学に入るために
勉強で手を抜く事ができなくなってしまった。

上条「……ックス」

美琴「そっか、まだ」

ただの寝言なのに。
もう、結構経つのに。
こいつの中にはまだあの子がいる。
遠い異国の空の下に居るのに、
同じ学校に居る私じゃなくて、あの子。

多分、必死で勉強したのも、
あの子がいなくても、自分は大丈夫だと証明したかったのだろう。
アイツ自身に……。

698 : 打算と私とアイツと 4/6[] - 2011/02/02 22:43:15.28 L3Zlh7pl0 4/6

美琴「ま、べつにいいけど」

だって、そんな事はわかりきってるじゃない。
アイツはあの子の事を簡単に忘れたりしないし、
忘れる奴であってほしくも無い。

ただ、立ち直った時に
傍に私がいる事に気付いてほしい。

この看病だってそのための、
計算でやってるのかといわれたら、
完全には否定できない。
いや、否定しちゃいけないと思う。

美琴「とっとと好きって言えばいいのかな」

多分、それが正解なんだろうし、
いつかは言うつもりだ。
でも、少しでも可能性を
高めてからって考えてしまうのは、
私の弱さかもしれない。
弱くて悪いか! って思ってしまうトコもアレかもしれなけど。

美琴「……アレ?」

いつの間にか眠ってしまったらしい。
肩に、アイツのジャケットがかけられてる。

上条「お、起きたか」

私に声をかけながら、
エプロン姿のアイツが部屋に入ってくる。
手にはお玉。いつものフル装備だ。

美琴「動いて大丈夫なの?」

上条「だいぶ良くなったよ。お前のおかげだな」

そう言って朗らかに笑う。
なんとなく気恥ずかしくなって、顔をそらす。

美琴「ま、当然よね」

照れ隠しからそんな事を口走ってしまう。
私の悪い癖だ。黒子とかも昔から言ってるし、
直さなきゃとかはおもうけど……。

上条「ほんと、助かったよ」

美琴「困った時はお互い様よ」

本心からもそう思う。
でも、こいつの時だけは、それだけじゃないのも本当だ。

上条「やっぱりさ、病気の時に誰かがいてくれるのって良いもんだな」

美琴「……うん」

あの子だったらもっと良かったでしょ。
そう冗談めいて言えたらどんなに良いんだろうか。
でも、私にそんな度胸はない。
命がけで戦う度胸はあっても。

699 : 打算と私とアイツと 5/5[] - 2011/02/02 22:44:21.47 L3Zlh7pl0 5/6

上条「メシ作ったからさ、食ってけよ」

美琴「いいわよ、別に」

上条「せっかく作ったんだ。食っててくれよ」

美琴「……じゃあ、いただくわ」

上条「よし! ちょっと待ってろよ」

言いながら、台所に姿を消す。
読みかけの文庫本を閉じて、
椅子から立ち上がる。

美琴「何か手伝う事ある?」

上条「良いよ。待っててくれ」

私の言葉に、台所からアイツが返事する。
たったそれだけの事が何となく嬉しい。

美琴「待ってるだけなのも、悪いし」

上条「良いっていってるだろ。今日は助かったよ」

「お前がいてくれて、良かったよ」

美琴「どーたしまして」

適当に返事をしながら、
アイツの言葉を噛みしめる。

同じ言葉を、いつか
私が勇気を出せた時にも、
返ってくるように願いながら。



700 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/02/02 22:45:23.56 L3Zlh7pl0 6/6

以上です

書き溜めをコピペする際にミスって短くなりました。申し訳ないです。

お目汚し失礼しました。