土御門「今日お前たち三人に集まってもらったのは他でもない」
浜面「集まったっつーか、捕まったんだけど」
上条「おい、土御門。お前一体どういうつもりだ?」
一方通行「……もぞもぞ」
土御門「お前たちに、ある実験に付き合ってもらうためだ」
浜面「付き合うっつーか、無理やり付き合わされてるんだけど」
上条「……俺たち友達だよな?」
一方通行「……もぞもぞ」
上条「なあ、土御門」
土御門「何だ? かみやん」
上条「何で俺たちは両手両足縛られてるんだよ!!」
土御門「……テヘ☆」
上条「テヘじゃねえよ! さっさとこの縄を解け! 早く帰って飯作らないと、うちの腹ペコシスターが……」
土御門「うんうん、それなんだぜよ、かみやん」
上条「?」
土御門「今回の企画は、題して『愛されヒーロー決定戦』なんだぜい!」
上条「あ、愛され……?」
浜面「今『企画』っつったぞ……」
一方通行「……もぞもぞ」
土御門「ご覧の通り、今三人の主人公たちは身動きの取れない状態にある」
上条「ご覧も何も」
土御門「何者かに監禁され、仲間と連絡を取ることもできない。つまり大ピンチってわけだにゃー」
浜面「何者かって」
土御門「そこで、お前たちの麗しのヒロインに、ヒーローが悪者に捕まって動けなくなっていることを手紙で伝えてある」
浜面「何!? ま、まさか滝壺に……!?」
上条(俺の麗しのヒロイン……? 誰だろう。インデックス……とかかな?)
上条(でもあいつは寝て食ってアニメ見て猫で遊ぶだけのぐうたらシスターだし、ヒロインっていうのとはちょっと違うよな……)
上条(だとすると、ビリビリ、とか?)
上条(いや、確かにあいつとはただの知り合いじゃないし何度か死線を越えたけど(主にあいつの攻撃で俺が)、そんな殺伐とした関係でヒロインはないだろ)
上条(あとは知り合いの女の子っていったらええっと、神裂、姫神、吹寄、御坂妹、(ry……いやいや、みんな俺なんかをヒーローだなんて思ってないよな)
土御門「……かみやん? お前今、物凄くむかつくことを考えてないかにゃー?」
一方通行「……もぞもぞ」
土御門「とにかく続けるぜい。ヒーローの身を案じていち早く立ち上がり、危険を顧みず闇の中を突き進み、彼のもとへ辿り着くのはどのヒロインなのか!?」
土御門「つまり一番ヒロインから愛されてるヒーローを判定する実験っていうわけなんだぜい」
浜面「ふざけたことに滝壺を巻き込みやがって……! 大体何だよ三人のヒーローって。俺はただのチンピラだっつうの」
上条「ああ。俺も、誰だか知らないけど、何も分からず変なことに巻き込まれる女の子がいるってんなら、黙ってられねえ」
上条「一体誰だ、こんな企画考えだした奴は! 教えろ土御門! こんなふざけた企画は、俺がこの手で丸ごとぶっ潰してやる!」
浜面(こきぶ……?)
土御門「企画だなんて、遊びみたいなことを言わないでもらいたい。これは正式に依頼を受けた実験だ」キリ
浜面「へいへい……実験ね、実験……」
上条「で、結局どこのどいつの差し金なんだよ」
土御門「学園都市統括理事長アレイスター=クロウリー、及びイギリス清教の最大主教ローラ=スチュアート」
上 浜「「」」
一方通行「……もぞもぞ」
土御門「じゃあ、事前説明も承諾も済んだことだし、早速始めるぜよ」
浜面「また学園都市かッ……! どうして俺と滝壺をそっとしておいてくれないんだ……」
上条「待てよ。俺は承諾なんかした覚えはないぞ。誰なんだよ俺のヒロインって。関係ない子を巻き込んだら絶対にただじゃ済ませないからな」
土御門「失礼なことを言ったらだめだぜかみやん。この実験では被験者の身の安全はきっちり保証されてる」
土御門「本人たちはそんなことは知らないけど、悪役は彼女たちを傷つけないように完璧に演技をこなすし、その他の危険はスタッフが事前にヒロインから遠ざけておいてるんだぜよ」
土御門「だから安心して騙すんだにゃー!」
上条「安全だから騙していいなんて……」
土御門「ちなみに、どういうわけか分かってないみたいだから教えてやるけど、かみやんのヒロインは禁書目録だぜい」
上条「え? い、インデックス……?」
土御門「浜面のヒロインは滝壺理后。一方通行は打ち止めな」
土御門「どっちも自分のヒーローを想う気持ちは強い」
土御門「そんな強力なライバルたちより先に、禁書目録がここにかみやんを助けに駆けつけてくれるかどうか、かみやん、興味はないかにゃー?」
上条「べ……別にそんなの興味はねえけど、まあ、インデックスが勝つんじゃないか?」
上条「何せあいつは、上条さんがいないとご飯にありつけないわけですし? まあ、俺が大切だからっていうわけじゃないだろうけど?」
上条「浜面の彼女だとか打ち止めだとかよりは、ずっと必死になってくれるんじゃないかなーなんて」
浜面「……何だって……?」
浜面「おいおい、ヒーローさんよ」
浜面「インデックスとかいうのが何モンなんだか知らねえけどな……(人名?)」
浜面「滝壺は、俺の癒し系隠れスーパーボディな滝壺は、俺のことをものっすごく大事に思ってくれてるんだ」
浜面「お前は今の今までヒロインが誰だか分かってなかったんだろ? そんな半端な絆で、俺と滝壺の愛の力に勝てるわけねえよ!!」
上条「うぐ……だったら正々堂々と勝負だ!!」
土御門(ちょろいぜよ)
浜面「……ところで、もう一人承諾してない奴がいるよな?」
土御門「んー?」
上条「そうそう。何かつっこむのが怖くて黙ってたんだけど、何で一方通行はさっきから床で無言で蠢いてるんだ?」
一方通行「……もぞもぞ」
土御門「ああ、そいつはすぐ暴れるからシャットダウン中だ。気にするな」
一方通行「……もぞもぞ」
土御門(実際こうでもしてもらわないと、こいつを拘束なんてできないしにゃー)
土御門「それじゃ早速、禁書目録のモニタリングから始めるぜよ」
上条「げ! つ、土御門! お前、いつの間に俺の部屋にカメラを……」
浜面「『俺の部屋』!? くそ、同棲までしてやがるのか! それで何で自分のヒロインが分からないんだよ!?」
上条「うるせえな! そういうんじゃねえんだってば!」
浜面「じゃどういう関係だ!?」
土御門「お、禁書目録が手紙に気づいたぜよ」
上条「!」
『むむ。切手も宛名も差出人の名前も無い手紙なんて怪しすぎるんだよ。直接投函しに来るくらいなら口で言えばいいのに』
『とうまはいつまで経っても帰ってこないし。おなかすいてるのに……』
『急ぎの用事だったら大変だから、わたしが開けて見ちゃおうかな?』
『……もしラブレターとかだったら……うぐぐ……』
上条「な、なぜそこで歯をカチカチ鳴らせていらっしゃるのでせう……?」
浜面「ははっ、信用されてねえな」
『と、とにかく見てみるんだよ。なになに……』
『上条当麻は預かった。彼の命が惜しければ、三日以内に自力で探し出すことだ。謎の怪人MTより』
『……微妙に猶予があるんだよ』
『三日間、かあ……』
『こもえ……あいさ……いつわ……うん、大丈夫そうかも』
『とうまは何があっても絶対帰ってきてくれるから。三日間は他の人にごはん食べさせてもらうからわたしは平気』
『とうま。待ってるんだよ。さあ、スフィンクス。行こう。まずはこもえの家だね』
上条「…………………………………………」
浜面「…………………………………………」
土御門「…………………………………………」
一方通行「……もぞもぞ」
上条「チクショウ……チクショウ…………」
浜面「ご飯のためですら必死になってもらえないとは……」
土御門「っていうか、始終飯のことしか考えてなかったぜよ」
一方通行「……もぞもぞ」
上条「うるせえよ! お前今笑っただろ!?」
土御門「動けない上に考えられない一方通行に八つ当たりはよすんだ、かみやん」
浜面「これは余裕で滝壺優勝かなあ?」フフン
上条「うわーーん! 不幸だーーーーー!!」
土御門「じゃ、次はその滝壺でも覗き見するんだぜよ!」
浜面「!? お、おい! もしかして滝壺の部屋にもカメラを!? やめろ! もし滝壺が着替え中だったりしたら……」
上条「おい、鼻血」
『……手紙』
土御門「早速郵便受けに気づいたみたいだ」
上条「残念だったな。ジャージ着てるぞ」
浜面「あ、あー! よかった! 本当によかったー!!」
『……はまづら』
浜面「えッ!! た、滝壺!? 見てるのか!?」
土御門「落ち着け浜面。手紙を読んだら思わずお前の名前を呼んでもおかしくないだろう」
上条「さ、どうするのか見てみようぜ」
土御門「かみやん、吹っ切れるのがはやいな」
『大丈夫。はまづら。私ははまづらを信じてる』
『はまづらは弱くなんかない。こんなダサい手紙のやつにやすやすと捕まったりなんかしない』
『こんなのは嘘だって、私は信じてる』
『……』
土御門「……昼寝をはじめたにゃー」
浜面「うう……滝壺、すまねえ……」
上条「全然信頼に応えられてないな」
土御門「やすやすと捕まってたにゃー……ダサい手紙のやつに」
浜面「ちくしょう……」
一方通行「……もぞもぞ」
上条「両手両足縛られてご覧の有様だもんな」
土御門「女の子に助けに来てもらわないと逃げられない身の上になっちまってるもんにゃー……ダサい手紙のやつから」
上条「あれ書いたのお前か、土御門」
土御門「……とっとと次に行くんだぜよ」
土御門「他二人のヒロインが試合放棄した以上、この子に賭けるしかないぜよ! さあ! 打ち止めモニタリングスタート!」
一方通行「……もぞもぞ」
上条「打ち止めかー。どうなんだろうな。ロシアで一方通行にものすごく大事にされてるのは見たけど」
浜面「果たしてあの思いは空回りなのか両想いなのか……」
一方通行「……もぞもぞ」
浜面「心なしかそわそわしてないか?」
一方通行「……もぞもぞ」
『はぁ……あの人に会いたいなってミサカはミサカは甘いため息をついてみたり』
『今頃どこにいるんだろうってミサカはミサカは憂いを帯びた瞳で窓の外を眺めて見る……はあ』
<打ち止めー。何かお前宛に手紙が来てるじゃんよー
『えー? なになに? 誰から? ミサカに手紙をくれるなんて、思い当たる人は一人しかいないんだけどってミサカはミサカは、ん? でもあの人手紙なんか書くかなあ?』
『……宛名書きが明らかにあの人の字じゃないんだけどってミサカはミサカはあからさまに落胆してみたり』
『えーっと、なになに? 一方通行を預かった……えーっ!? 大変大変! すぐに助けに行かないとってミサカはミサカはあわてて滑ってしりもち! いたーい!!』
土御門「……お?」
上条「こ、これは」
浜面「まさか……」
一方通行「……もぞもぞもぞ」
<どうした打ち止め? 炊飯器ビーフストロガノフ出来たじゃんけど?
『わーい!!! ってミサカはミサカは最優先事項をいきなり変更!! いっただっきまーす!!』
土御門「えっ」
上条「えっ」
浜面「えっ」
一方通行「もぞっ」
上条「……いやあ……」
浜面「これはまた……」
土御門「きっちり落としてくれたぜよ……」
一方通行「………………」
浜面「あれ? 動かなくなっちまった? 一方通行? おい、一方通行ァァァ!?」
土御門「電池切れだぜい」
上条「他にも色々と尽きたみたいだな」
土御門「……さて犬ども」
上条「…………」シーン
浜面「…………」シーン
一方通行「…………」シーン
土御門「お前たちはふがいないことに、誰一人としてヒロインには愛されていなかったことが判明したんだにゃー」
上条「別にヒロインなんかじゃねえって言ってるだろ……」ブツブツ
浜面「滝壺は俺を信頼してくれてんだ……俺が応えられなかっただけで……」ブツブツ
一方通行「…………」シーン
土御門「言い訳は見苦しいぜッ!!」ドンッ
土御門「アレイスターには、最初のヒロインが来るまで誰も帰すなと言われてる」
土御門「だがこのままじゃ誰も助けに来る気配がないんだにゃー」
上条「じゃあどうするんだよ?」
浜面「信じて待ってくれてる滝壺のもとに、俺は早く帰ってやりたいんだけど」
一方通行「…………」シーン
土御門「うむ。メインヒロインは全滅。となれば……」
土御門「スペアプランで行くしかないぜよ」
上条「え?」
浜面「ん?」
一方通行「…………」シーン
土御門「ま、次で誰か来てくれれば帰れるんだ。気軽に待つぜよ」
浜面「……なんか物凄く嫌な予感がする」
おわじ
731 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/03 01:32:18.37 ExR3bwJ60 14/14
おわりですー
長々と付き合ってくれたひとはありがとう
は?