不良「へへへ、姉ちゃん俺達とイイことしねえか?」
不良「大人しくしてたら痛くはしないぜえ?」
少女「あっ…あの…その」
「よっ、待たせたね。じゃ行こうか!」
困り果てた少女の目の前に現れたのはおそらく同年代の少年。年相応の体格でとても喧嘩が強そうには見えない。
少女「へっ?あのあなたはいったい」
「いいから早く!逃げるよ!」
不良「んだコラァ!!街やがれ!!」
路地裏を抜け人混みをかいくぐり、何とか不良を撒いた2人。
少女「あの…ありがとうございました…」
「いやいや、大した事はしてないよ」
少女「そんな事ありません!あなたが居なかったらもっと酷い目にあっていたと思います…」
「まぁまぁ、無事だったから良かったじゃないか。では僕はこれで、歩く時は気をつけてね!」
少女「あっ、あの!せめてお名前だけでも!」
「上条です。また会えるといいね、じゃ!」
少女「あっ、行っちゃった…」
少女「上条さんか…。また会えたらいいのですが…」
そうやって少女はその小さくなる背中に恋心を抱いた。そして2人はまた再会することとなる。
6月の午後、街には梅雨らしく雨が降っていた。
少女(上条さん…。いったいどうすれば会えるのでしょうか…)
雨の降る中を少女が歩く。すると目の前には一つのダンボール、その中には一匹の猫。
少女「あらあら、猫さんはこんな狭い所がお気に入りポイントなのかしら。そんな事無いわよね?」
おいで、と一言。ずぶ濡れの猫は少女に飛びつく。
少女「キャッ、冷たい!もう…悪い子ですね。よしよし」
なおー、とひと鳴き。
少女(多分捨て猫かな…連れて帰りたいけど家じゃ無理かな…)
「かわいい猫だね。君の家族かい?」
少女「あっ、上条さん!」
上条「やっ、久しぶり」
本当にまた逢えるとは思っていなかった。いい事ってするものだ、こうしてすぐに返ってくる。
少女「お、お久しぶりです!先日はありがとうございました!」
上条「いやいや、ところでこの猫は?見たところ…」
少女「はい…捨て猫だと思います」
上条「そうか…。こんな梅雨の時期にちょっと信じられないな…」
少女「なんとかしてあげたいんですけど…。私の家では…」
上条「よし、じゃあ僕の家族になって貰おう」
少女「へっ!?」
少女「いや!その家族とか!私達知り合ったばっかりだしその!」
あまりの急な申し出に少女は混乱する。確かに気になってはいたがそんな急展開までは今はまだ望んでいない。
上条「ん?いや、僕の家でこの猫を飼おうって事なんだが…。言い方が悪かったかな?」
少女(そ、そうよね…。猫の話よね…)
上条「なかなか可愛い猫だし家に来てもらおうと思うんだけど、ダメかな?」
少女「い、いえ!願ったり叶ったりで何も問題ありません!」
上条「よし、ならばお前は上条さんの家に来るんだぞ!感謝しろよー、うりうり」
なー、と撫でられた猫がひと鳴き。
上条「さて、じゃあ雨も降ってるしさっそく連れて帰りますか」
少女「そうですね…。では上条さん、よろしくお願いします!」
上条「ん?何を言ってるんだい、君も来なくちゃ」
少女「え?」
上条「ここで君が帰ってしまうと猫さんが可哀想だ。それとも用事でもあるのかな?」
少女「いえ!じゃあお邪魔します!」
上条「ははは、僕も可愛い女の子と話す機会は逃したく無いしね。じゃ行こうか」
少女「(かわいいって…)は、はい!」
6月の雨の中、2人と1匹は街を歩いて行った。
詩菜「これが私と刀夜さんの出会いよ、当麻さん」
上条「はあ…」
(多分)久しぶりに家に帰ったのはいいが記憶が無い事を悟られる訳にはいかない。という事で上条当麻は会話ではなく質問責めでこの場を乗り切ろうとしていた。しかし待っていたのは
詩菜「その時の刀夜さんは本当にカッコ良かったのよー。クサい台詞にお母さんやられちゃったって訳」
あまり知らない両親の知りたくない話だった。
刀夜「実の息子にあまり恥ずかしい話をするものでは無いよ」
上条「俺もそう思う…」
詩菜「まぁまぁ、だから当麻さんも助けた女の子には優しくした方がいいわよ?きっとあなたの事を大切に思っていてくれているはずですから」
上条「助けた女の子ねえ…」
思い付くだけでも1、2、3、飛んで1万…とここで上条は考えるのを止めた。
詩菜「あらあら、当麻さんは思い当たる節がありすぎるのかしら」
刀夜「女性を助けるのは紳士の義務だからな。でもあまり複数の女の子と親密になってはいけないぞ、当麻」
詩菜「刀夜さん、それはあなたが言える事かしら…?」
上条親子「ひぃっ!?」
詩菜「当麻さん。もしこの人と決めた人が出来たら、あまり他の女の子と親密になってはいけませんよ?」
上条「えーっと、仰っている意味が良く解らないのですが…」
詩菜「つまりそんな事ばかりしてたら相手の女の子は傷ついちゃうのよ。そんな女の子は…何をするか解らないですからね?」
上条親子「ひぃっ!!」
詩菜「あらあら、親子揃って怯えてどうしたのかしら?」
上条「(…色々あったのでせうか?)」
刀夜「(色々な…。当麻が生まれた事にも関係が…)」
上条「(深くは聞かない聞きたくない!)」
あの父あってこの息子あり。今後も親子共々数多のフラグを作りへし折るのであろう。と上条詩菜は愛する2人のこれからに頭を悩ませていた。
753 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/03 09:03:41.83 FYwhYXKAO 6/6以上です。妄想垂れ流しですいません…
朝から失礼しました