793 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:21:05.55 cyIqbAMe0 1/8


時系列はとりあえずロシア戦後
何故か麦のんと垣根は元の身体に戻ってる気にないでくれ

第2位×第4位。苦手な方はご注意を。

6~7レスかります

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-22冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295367884/
795 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:22:46.63 cyIqbAMe0 2/8

【選ばれた/麦野】


 ロシアで再再戦をした時、アイツは言った。

 
『俺は滝壺を選んだんだ!!』


 下っ端役がお似合いの野郎なのに。
 選んだのは滝壺なのだと全力で叫んだ浜面は、浜面の癖してやけにかっこよかった。
 ヤツをカッコいいと思ったのは後にも先にもその時だけだけど。
 本当にその時だけだから。
 他はない。
 絶対にないったら、ない。
 記憶を掘り起こしたって塵一つしない。ここ重要。


(選んだ、か……)

 
 別に金も地位も外面もない男の事はどうでもいい。
 今、麦野が興味を抱いているのは、『選ばれる』という一点に尽きる。

 
『俺は、麦野沈利を選ぶよ』


 いつか。
 そんな風に。
 『俺』が誰なのかまでは見当もつかないが。
 気障でサブイボがたつ臭い台詞を、自分のためだけに言ってくれる人は現れるのかな。


「……微妙ね。つーか、言われても鳥肌だわぁ」


 自分で言ってみて予想以上の寒さに1人突っ込み状態。
 こんなもんドラマとか少女漫画の世界にしかない産物で。
 言うヤツなんて本当に居るのか?(実際、浜面は口にしていたけど)

796 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:24:00.80 cyIqbAMe0 3/8


(でもなぁ)


 浜面に選ばれた滝壺はとても嬉しそうで。
 滝壺を選んだ浜面もとても嬉しそうで。
 誰かを選び誰からに選ばれ、誰かの唯一の人になる。
 想い想わる二人だけの関係は外野から見ても、『幸せ』そのもののように見えた。
 
 だから。


「―――――羨ましいって思うのよね」


 ポツリと本音が零れた。
 誰かに選ばれたなら、麦野自身も、彼らのような笑みを浮かべることは出来るのだろうか。
 『幸せ』なのだと、柄にもないことを思えるようになるのだろうか。

 
「ありえないけど、さ」


 両手の掌を広げしげしげと眺めてみる。
 手入れのゆきとどいたネイル。
 ひび割れのないきめこまやかな肌。
 それでも、べったりと塗りこまれた血の感触はありありと残る、己の手。
 こんな恐ろしくて無様な手を持つ自分には到底ありえない事だと。
 麦野だってわかっている。
 
 けれど。
 願望くらい口にしたって良いじゃないか。


「そうね。出来るならばいつか選ばれる立場になってみたいもんだわ」

「――――だったら、選んでやろうか? 俺が」
 

 諦めたように麦野が言った願いに、一人の男が答えた。
 聞き覚えのある憎たらしい声に気がついた麦野が振り返る。


「……はぁ?」

「久しぶりだな『原子崩し(メルトダウナー)』」


 そこには。
 一応、金も地位も外面もある男。
 学園都市第2位でありかつての宿敵であった、垣根帝督の姿があった。

797 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:25:17.19 cyIqbAMe0 4/8

【萌えが足りない/垣根】


 垣根が麦野を『選んだ』のは気まぐれだ。
 
 人ごみの多い繁華街の喫茶店。
 1人ティータイムを決め込んでいた彼女を偶然発見した。
 ぶつぶつと言っていた独り言の内容があまりにも面白かったため、一口乗ってやることにしたのだ。
 
 好いたはれたという理由は全然ない。
 キレイさっぱり見当たらない。
 ぼんやりと遠くを見つめる横顔につい目がいったとか。
 はあ、と何気なく漏れた吐息がやけに色っぽかったとか。
 「いいなぁ」と乙女的思考をしている姿にズキュンときたとか。
 決して、ないったらない。ここ大切。

  
「なんつーかさ。お前には『萌え』が足りないんだよ。『萌え』が」

「…………あぁ? なに馬鹿なこと言ってんだよ。メルヘン野郎」

「おいおい。せっかく恵まれた面してんだからメルヘン野郎とか言うなよ。彼氏が泣くぞ」

「何処をどうみたらアンタが泣いてるように見えるってのよ」

「うっせぇ。心の中で号泣してんだよ」

「あっそ」

  
 垣根の主張を一蹴した麦野は、再び手元にあるプリンを食す作業を再開する。
 弾力のあるプリンにスプーンを指す表情は年場のいかぬ子どもの様で。
 口に入れる前からにやにやとしている所は、特に尚更。

798 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:26:41.81 cyIqbAMe0 5/8


(コイツ。案外、甘い物とか可愛いものとか好きなんだよな)

 
 売女だの面白現代風オブジェだの×××だの。
 年齢指定や放送コードに引っ掛かる言葉を連発する癖に、麦野の趣味は案外子供っぽい。
 これは、垣根が麦野を『選んで』―――、俗に言う『彼氏彼女の関係』になってから気がついたこと。
 

「それ、うまいの?」


 あまりにも麦野がニコニコと美味しそうに食べるから。
 見ている側の垣根もプリンの味が気になるのは当然で。


「わたしがハマってるプリンよ? 美味しいに決まってんでしょ!」

「マジでか」

「マジだっつーの! 食べてみれば一目瞭然」

 
 ほら、と。
 垣根の前に差し出される一口大プリン・オン・ザ・スプーン。
 予想外の展開に垣根の動きが止まる。


「さっさと喰ってこのプリンの美味さの前にひれ伏せ」

「……………えぇっと、麦野さん?」

「なによ。――――ハッ!?
 アンタ、まさかプリンが嫌いとか抜かすんじゃねぇーだろうなぁ……っ!? 
 いい!? プリンを馬鹿にするやつはプリンに泣くんだかんね!!」
 
 違う。
 まったくもって違う。
 論点はそこじゃないんですよ、ハニー。
 プリンを馬鹿にしたつもりもプリンに泣くつもりもない。
 問題なのは、プリン愛の火を猛烈に燃やしている麦野が差し出してくるブツなんですって。

799 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:28:00.52 cyIqbAMe0 6/8


(……まぁ。わざわざ女に恥かかすこともねぇか)


 目の前の女に自覚があるのかどうかは兎も角。 
 据え膳喰わぬは男の恥とも言う。
 女が甘えてきたら徹底的に甘えさせてやる。
 それが垣根の男のとしての甲斐性でもあるので、ココは素直に反応することにした。


「うん。……美味いな、コレ」

「でしょー?」


 シャケ弁と一・二を争う程の美味だからねと語る麦野。
 ひょいひょいと一口大のプリンが消失したスプーンを小刻みに動かしながら得意そうな笑み。
 

「おう。マジで美味かったわ。ごっそーさま」

 
 ええ。
 それはそれは。
 美味しかったぜ?

800 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:28:36.66 cyIqbAMe0 7/8


「プリンの味にひれ伏した?」

「麦野の唇の味にひれ伏した」

「…………は? アンタ、何いってんの?」

「なにってオマエ」


 スプーンを指差しながら、ワザとらしい笑みを浮かべて、一言一言強調して教えてやる。


「だって、今の、間接キスだろ?」

「…………ッ!?!?」


 ガタガタガタガタッッ!! と、麦野が椅子に座ったまま器用にテーブルから後ずさる。


「な、なぁぁあああああっッ!?!?」

 
 地面にひっついてる椅子じゃなくて良かったなと呑気に考える半面。
 ゆでダコのように顔を真っ赤に染め、口をパクパクとさせる麦野の姿をみて、


「なんだよ。結構『萌える』ところあるんじゃねぇか」


 と、割と真面目に感想をこぼす垣根であった。

801 : あなたのこころにメルトダウナー[saga sage] - 2011/02/04 01:30:55.04 cyIqbAMe0 8/8

以上で終りです。

麦野に「あなたのこころにメルトダウナー」と言わせたかったのに
何故か間接キスになったんだぜ!
次こそは麦のんに「め、めるとだうなぁー…///」と言わせたいものです。

お邪魔しました。