どーん!
フレンダ「いたたたた」
禁書「いったーい」
フレンダ「ごめんなさい、前みてなくて、大丈夫?」
禁書「うー、私のほうこそごめんなさいなんだよ……」
フレンダ「ほら、立てる?」
スッ
禁書「ありがと」
フレンダ「……」
禁書「……」
フレンダ「(何この子、なんでこんな格好してるの?)」
禁書「(わー、きれーな金髪なんだよ)」
フレンダ「(身長は……絹旗と同じくらい?)」
禁書「(よく見ると目も蒼くて綺麗かも)」
フレンダ「(……どこの子なのかな、外国の子? だったら学園都市には旅行で来てるのかな)」
禁書「(くんくん、なんだか良い匂いがするんだよ、香水かな?)」
フレンダ「(……結局……)」
禁書「(……う~ん……)」
フレンダ「(結局、なにこの子~~~超かわいいっ、このままお持ち帰りしたいわけよ!)」
禁書「(お腹減った……)」
ぐぅぅううぅぅぅうう~~~……
フレンダ「あなた、……ひょっとしてお腹すいてるの?」
禁書「うん……、朝から何も食べてないんだよ……」
フレンダ「(チャーンス! このままファミレスに拉致監禁って訳よ!!)」
禁書「お腹すいたんだよ……」
フレンダ「よかったら私、ファミレスに行く途中だったんだけど一緒に来ない?」
禁書「いいのっ?!」
フレンダ「う? いいわよ?」
禁書「ほ、ほんとにっっ?!」
フレンダ「なはは、任せときなさいって」
禁書「食べていいのっ?!」
フレンダ「たーんと食べると良いわけよ」
禁書「あ……」
フレンダ「どうしたの?」
禁書「でも私、お金持ってないんだよ……」
フレンダ「財布落としちゃったの?」
禁書「ううん」
フレンダ「そっか、家に置いてきちゃったのかな? でもだいじょーぶ! ファミレスくらい私がおごってあげる訳よ!」
禁書「でも、そんな初対面なのに悪いんだよ……」
フレンダ「それじゃあさっき曲がり角でぶつかっちゃったから、そのお礼って事でどうかな?」
禁書「ぶつかったのにお礼?」
フレンダ「細かい事は気にしない気にしない、さっさとレッツゴー!」
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「これと、これと、あとそれからこのデザートも」
フレンダ「……あの、インデックス……さん?」
禁書「ふぁに?」 ※何?
フレンダ「とっても、とーーーーっても、お腹すいてたんだね?」
禁書「ん、ほうあんあよ!」 ※うん、そうなんだよ!
フレンダ「あ、……うん。食べてていいよ、なはは」
禁書「ん」 ※うん!
フレンダ「(やっべー……持ち合わせで足りるかな……)」
────────
────
──
禁書「ごちそうさま!」
フレンダ「お粗末様でした」
禁書「とってもとってもおいしかったんだよ!」
フレンダ「あなたの胃は宇宙にでもつながってるのかしら?」
禁書「インデックスだよ」
フレンダ「?」
禁書「私の名前は、インデックスなんだよ」
フレンダ「インデックス? 辞書みたいな名前ね」
禁書「あなたの名前も教えて欲しいかも」
フレンダ「私は……私はフレンダよ」
禁書「フレンダね」
禁書「何かお礼をさせてほしいんだよ」
フレンダ「いいよそんなの」
禁書「とうまに言われたの、いっしょくいっぱんの礼をしないといけないんだよ」
フレンダ「ん~、じゃあインデックスの連絡先が知りたいな」
禁書「そんなのでいいの?」
フレンダ「うんうん! 結局、それが一番知りたい訳よ!」
禁書「いいよ、えっとね090×××……アドレスは……」
◇ ◇ ◇ ◇
携帯電話のアドレスを聞かれたので、
記憶してあった番号と、アルファベットの羅列を教えてあげた。
これがフレンダとの出会いだった。
ぱぁぁっと明るい笑顔で、よく笑う人。
「結局」と「訳よ」が口癖の、
私の大切な、大切な人。
家に帰ると財布と一緒に置いたままの携帯電話からデフォルト設定の着信メロディが鳴って、
ちょっとびっくりした。
アドレスを教えるのなんて、とうま以外の人だと初めてだったから。
その夜は、とうまに助けてもらいながらなんとか1通だけメールの返信をする事ができた。
【ふれんだ、いんでくすだよ】
打つだけですごく疲れたので、また明日ねフレンダ。
それから一日数回、多いときで数十回メールのやり取りが続いた。
さすがに何日もしていると私の操作も上手くなって、だんだん返信のやり取りの間隔が短くなっていき
「結局、電話した方が早い訳よ」
フレンダから電話をかけてくる事が多かった。
ほぼ毎日電話をしているのに通話料金とか大丈夫なの? うちは食費が毎月大変なんだよ? って心配したら
「なはは、私はお金持ちだから大丈夫っ」
いつもの軽い口調で笑ってた。
フレンダ、何してる人なのかな。
「フレンダ」
名前を呼ぶと心が少しきゅんとなった。
私の完全記憶能力のどこを探っても見当たらない、この感情は一体何なのかな。
ねえフレンダ。
教えて、くれないかなぁ。
フレンダ。
うん。
ステキな名前だなぁ。
────────
────
──
どっちからメールをするだとか
どっちから電話をするだとか
そんな事は関係なく毎日私たちは連絡を取り合っていた。
たまにファミレスで一緒にご飯もたべたし
なんだかよくわからない映画も見たし
服を買いに行ったりぷりくらという写真を取ったりした。
フレンダと一緒に居るととても楽しくて
フレンダが笑ってくれるだけでこっちもうれしくて
うん。
……、うん。
うん……。
◇ ◇ ◇ ◇
prrrrrrrrrrrrrrrrr.......
私はデフォルトに設定してある着信音が鳴ったと同時に通話ボタンを押した。
フレンダとの楽しい楽しい時間が今日もやってきた。
昨日みたドラマの話だとか
どんな服が流行ってるとか
知り合いの女の子がさいきんちょっと厳しいとか。
フレンダのはなし、たくさんたくさん、もっともっと
聞いていたかったのに
「あーっと、ごめんねインデックス。私これから仕事なのさ」
「お仕事なの?」
「うんうん」
「むー」
「あれ? 結局、このままずっと喋ってたかった?」
「べっつにー、フレンダがいつも何の仕事してるか教えてくれないからすねてるだけかも」
「めんごめんご、でも仕事はねぇ、守秘義務ってヤツでいえないのよ、なはは。ごめんね?」
「フレンダ、あんまり危ない事はしないで欲しいんだよ、とうまもだけど……、いつも皆私に内緒で、私の知らない所で大変な思いをしていて……もう私一人取り残されるのは嫌なんだよ」
「なはは、それって私へのプロポーズ?」
「もう!」
「きひひっ、じゃあインデックスさー、来週の日曜日にまたどこか行こうよ」
「来週?」
「うん」
「いいよ」
「そんじゃあちゃんと予定あけててよねインデックス」
「私は毎日暇なんだよ」
「結局、それもどうかと思う訳よ」
なんて。
そんな会話。
いつもの会話。
フレンダの声。
とても落ち着く声。
私の好きな声。
フレンダ。
私の好きな人。
私の好きな人が、そこに居る。
けれど遠い。
携帯電話越しにしか話せないのが苦しい。
はやく会いたい。
会って、
会ってフレンダに触れたい。
フレンダ、ふれんだ。
フレンダ。
ああ。
これが
恋、なんだろうか。
来週の日曜日かぁ
楽しみだなぁ
うん
……うん。
うん……。
何着ていこうかな
いつもこの修道服だから、
フレンダ、見飽きてるかもしれない。
う~、ちょっとおしゃれの勉強しようかな……。
そんな事を考えていた。
けれど
10月9日を境に
フレンダからの連絡は
一切途絶えてしまった。
────────
────
──
お掛けになった電話番号は、ただいま利用されていないか電源が入っていないため……
機械的な音声が流れる。
そんなのもうわかってる。
何百回と繰り返したコールだ。
つながらないのもわかっている。
何千回と繰り返した愛しい人の電話番号をもう一度復唱する。
つながらない。
完全記憶能力が1236回目のコールを教えてくれた。
◇ ◇ ◇ ◇
それ以来、ごはんも喉を通らない日が続いて。
とうまがすごく心配してくれているのが痛々しかった。
ごめんね
ごめん。
とうま。
私。
私ね。
ちょっと。
だめかも……しれない……。
ああ、
こんな
こんなに、
弱かったんだなぁ……。
私……、
いや、10万3000冊の魔道書は、
たった一つの、人間の、感情に負けた。
────────
────
──
街で角を曲がるとき
ひょっこりフレンダが現れるんじゃないだろうかって
何回も期待して
その度に裏切られて
完全記憶能力が
涙が
フレンダの記憶が
消えてくれなくて
苦しくて
死んでしまいそうで
フレンダ
フレンダ
フレンダぁ
ふれん……だ……
あ、い、たい、よ……
ねぇ、どこにいるの
ねぇ、そこにいるの?
次の角を曲がったら会えるかな
ねぇ、フレンダ。
会いたいよ。
──、フレンダ。
33 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/02/07 23:40:18.85 EHO99S7W0 16/17おしまいおしまい。
という訳で「インフレ的な何か」
お粗末様でした。
アイテムSS増えたらいいな。
36 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/02/07 23:42:56.67 EHO99S7W0 17/17>>22で
フレンダ「……あの、インデックス……さん?」
とか言ってその後>>23で自己紹介的な流れになってるけど気にしたらだめなんだよ
……すんませんでしたorz