184 : Gifted children 1[] - 2011/02/09 18:11:24.89 eJksRg7AO 1/10




「おはよう。 何だかんだであなたは今日も来てるんだね」

「オマエだってそォだろ」

「だって家に居たってヒマなんだよ。 それに私は“図書館”だからね」

まだ開館時間にはなっていないため、扉は閉ざされている。その前で腰を付けずに座っていた少女は最近出来た友人の姿を見つけ立ち上がる。

しゃらん、と修道服に付けた安全ピンが擦れる音がした。

「そのうち、ここの蔵書読みきンじゃねェの?」

「どうだろ? あなたと違って情報の処理には時間がかかってるかも、だから論文とかスッゴく難しい本になっちゃうと人並みのペースなんだよ」

「シスターが論文ねェ」

「専ら食べ物についてかも!」

「偉そォにするところじゃねェ」

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
185 : Gifted children 2[] - 2011/02/09 18:12:36.14 eJksRg7AO 2/10





いつもの如く白い帽子の上に軽くチョップを入れようとしたのだが、彼女の手の中にあるものに気づきそれは終ぞ当たらなかった。

「あのトートバックとでけェ弁当箱は?」

「それが、スフィンクスに紐を切られちゃったから持って来れなかったんだよ」

「スフィンクス? エジプトにでも住ンでンのか」

「ちがうちがーう! スフィンクスってのはうちの猫の名前なんだよ!」

「オマエが付けたのか?」

「そうなんだよ?」

あまりに自信満々に言うものだから、呆れを通り越して笑えてしまう。

凄いセンスだと口走ったら腕に噛みつかれた。どうやら照れ隠しの甘噛みらしかった。

186 : Gifted children 3[] - 2011/02/09 18:13:59.06 eJksRg7AO 3/10





「ンで? 替えの鞄とかはねェの?」

「うん。 全部とうまが使ってるみたいで何にもなかったかも」

少女はよいしょっ、と呟きつつ借りていた本を返却ポストに入れた。
若干身長が足りず、背伸びをしていたのだが。

「だったら、買ったら良いじゃねェか」

「お金持ちのあなたとは違って、い、イギリス清教は清貧を謳ってるかもっ!」

「つまりのところォ」

「すいはんきーを買わなくちゃいけないみたい…」

彼女の同居人の少年の物持ちはかなり悪い。
それは彼ががさつだからというわけではなく、持ち前の不幸体質は生物の垣根を超え、電化製品にまで及ぶらしいからなのだ。

しかし、生憎(?)彼にとっても炊飯器は最も近しい家電だったのだ。

「――炊飯器ならよォ、腐るほどあるとこは知ってる」

「え、ほんと?」

「あァ、いわく旧型には興味がねェンだと」

187 : Gifted children 4[] - 2011/02/09 18:14:52.76 eJksRg7AO 4/10






ふと実家の居間を思い出すと、一つのコンセントに炊飯器が群がっている。
そして、物置には箱に入ったかっての一軍たちがゴロゴロと…、悪寒がする。

「一つ持ってけ」

「ほんと? やったやったあ! ありがとあくせられーた!」

シュールな想像図に突き動かされ、ほぼ無意識で勝手に口走っていたのだが、まあ沢山あるのだし許されるはずだ。


「昼はどォすンだよ、家にあンのか」

「…あ、鍵、置いてきちゃった」

「確か完全記憶能力者だよなァ?」

ジト目でインデックスは答えた、オプションでむくれ顔までサービスだ。

「そこはかとなくバカにしてるね?」

実のところ、完全にバカにしていた。

188 : Gifted children 5[] - 2011/02/09 18:17:59.41 eJksRg7AO 5/10






携帯で時刻を確認すると、もう開館時間から10分経っている。雑談で忘れていた。

しかしまだ、扉は開かずのまま。

「お弁当は夜に食べるとして、……えへへ、空腹から満腹へのカタルシスを味わっちゃおう作戦の出番だね! 若しくは図書館の水は」

「……1500円までなァ」

いつものファミレスへ行くことになるのだろう、とりあえずスープバー全滅させる前には帰ろうと心で決意した。


「あなたに神の御加護があらんことを」

「シスターのくせに調子良すぎンだよ」


十字を切る小さな聖職者に憐れみの目を向け、何となく入り口に目を向けてみた。

彼は昨日は無かった張り紙に気づく。


189 : Gifted children 6[] - 2011/02/09 18:19:08.52 eJksRg7AO 6/10




「どォいうことだよ……」

「うん? どうしたのかな?」

「ここ見ろ」

白く細い指は、数多くの中から最も劣化していなそうな、新しく白い紙を指していた。
インデックスは正面に立ち、その紙をじっくりと読み、そして疑問符を並べる。




内容は『特別休館日のお知らせ』


「そっかそっか、今日って図書館はお休みなのかも?」

「かもじゃなくて休みなンだろ。 ……つゥかよォ、こンなフォントの小ささで気づくわけねェ」

「確かに私たちは分からなかったもんね」

190 : Gifted children 7[] - 2011/02/09 18:19:44.00 eJksRg7AO 7/10






「俺は気づきましたァ」

かたん。
杖に手を掛け、舗装された道を引き返す彼に少女は問いかける。

どこへ行くの? と。

特に振り返りもしないで一見するとおざなりに、しかし確かに歩みを止めて一方通行は答えた。

「猫にかじられても平気そォなやつ探しに行くぞ」

とことこ、階段で修道服を引きずらないように気を付けて、彼が待っていてくれる間に右手側へ移動した。

「良いの?」

「死ぬほど人にメシたかっといて、今更しおらしくなってンじゃねェ」

「それもそうなんだけどね?」

191 : Gifted children 8[] - 2011/02/09 18:22:03.51 eJksRg7AO 8/10




良いから、と頭を一つ掻いて吐く言葉は息が混じる。

「あー……、オマエとあの三下に、俺は頭が上がンねェンだよ」

「そうなの?」

はてさて、何か自分たちは彼の弱みを握っているのかと禁書目録は検索をかけるが、めぼしい答えはヒットしない。


「あのクソガキを2回も助けたのはオマエだろ」

「助けたって……、それは私がシスターだから」

「俺が良いから良いンだよ」


彼にとって大事な家族である少女の命の恩人は、同時に彼自身によく似ている。

科学の最終兵器と魔術の申し子は今や孤独ではない、しかしどうしようもなく孤高なのだ。


天才は天才にしか分かり合えない?
それはノーである。

しかし、共感し易いのはやはり天才同士で。

192 : Gifted children 9[] - 2011/02/09 18:22:55.37 eJksRg7AO 9/10





返せないぐらいの恩義と、めったに存在しない同類としての親近感の結果、歩く横暴と揶揄される彼であってもどことなく柔い感情が出で来るのだ



「そういうものなの?」

「そォいうもンだ」

「それなら、お願いするんだよ?」

「あァ、ったく何で開いてねェのかね」

「そう言えばね、こばやしさんが風邪気味って言ってたかも」

「あの司書の野郎…」


雑貨屋なんてめったに行かない白い2人が、あちらこちら求めてさ迷うのはまた後の話になるのだろう。

194 : おわり[] - 2011/02/09 18:26:24.38 eJksRg7AO 10/10

この2人、ちゃんとお互いを知ったらめちゃくちゃ意気投合しそうじゃないかと思いまして、何となく流行れ!白コンビ!
それにしても早くアニメで見たいです。
お付き合いいただきありがとうございました。