281 : 右席の話の者です[sage] - 2011/02/10 08:58:32.03 fUaEFp1DO 1/18

続き書けましたっ
ホントは昨日の内に投稿するつもりだったんですが、寝てしまったという

では投下しますね


※関連

ヴェント「はぁ? フィアンマの生存を確認しろぉ?」
http://toaruss.blog.jp/archives/1022568156.html

ヴェント「はぁ? フィアンマの生存を確認しろぉ?」2
http://toaruss.blog.jp/archives/1022568304.html

ヴェント「はぁ? フィアンマの生存を確認しろぉ?」3
http://toaruss.blog.jp/archives/1022570125.html

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
282 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 08:59:19.32 fUaEFp1DO 2/18



ヴェントは山の雪道を歩いていた。
吹雪は吹いてないものの、現在並木道は小降りの雪がしんしんと降り、山全体を白銀の世界に染める。
気温にしてマイナス三度程度。正直彼女は極寒の中で歩く格好ではない軽装。それでも寒さを微塵も感じないのは術式の効果か。


「…………」


ザッ、ザッと真っ白に彩られた雪道に足跡をつけながら目標地を目指す。
目を配らせれば所々の樹木が抉られていたり、薙ぎ倒されている。
明らかに自然の猛威で作り出されたモノでは無い。人の手によって現象されたモノだ。考えなくても判断出来る、戦争時の人害だろう。

その有り様をヴェントは些か目を細めるだけで気に留めない。彼女は先刻ロシアでの件を振り返る。

283 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 08:59:52.13 fUaEFp1DO 3/18



『第七の質問ですが、最近イギリス清教の一部の動向が活発なのを知っていますか?』

『イギリス清教が?』

『はい。と言っても一部だけですが。補足説明しますと、東洋の聖人が先導を切ってロシアの雪山を中心に活動を行っているようです』

『それがどうしたって言うのよ? 有力どころかゴミクズのように要らない―――』




『上条当麻を、ご存じですか』

284 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:00:31.62 fUaEFp1DO 4/18



「…………」


一瞬でも、言葉が詰まらせてしまったのを明確に覚えている。
上条当麻という名前が挙がるだけで敏感に反応を示す自分が居るのも自覚している。それは決して、好意とか友好的な物ではない。対照的の『悪意』だ。

別に憎んでる訳では無い。憤りを感じてる訳でも、怨恨という訳でも無い。
ただ、気に食わないだけ。



―――死に掛けてたお前の弟は、お姉ちゃんを助けてくださいって、どんな気持ちで言ったんだよ!!



偽善立てて綺麗事を並べた言動も、



―――自分がどんな状況にいるのか全部知った上で、それでもそいつはお前を助けたいって願ったんじゃねえのか!!



狼狽しないその心も、



―――そんな人間が、科学に対して復讐して欲しいなんて言うと思ってんのかよ!



屈服しない精神も、



―――お前の幸せを誰よりも願っていた人間がッ!!



怯む事のないその姿勢がただ、



―――少しだけお前を救ってやる。もう一度やり直して来い、この大馬鹿野郎!!



……気に食わない。

285 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:01:15.55 fUaEFp1DO 5/18



「……ケッ」


彼女は自身の行為に唾を吐く。
実に不愉快だ。反吐が出る。


(何であのガキに掻き乱されなきゃならないワケ……クソが!!)


ガシガシと乱暴に頭を掻いて、歯軋りをする。
上条当麻という名が挙がるだけで乱される自分が鬱陶しい。
何故行くトコ行くトコその名前が必ず有るのか、そう考えるだけで煩わしい。


「纏わり付くハエみたいね……」


天を仰いで嘆息する。
彼女は再びサーシャとの会話を回顧する。

286 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:01:52.81 fUaEFp1DO 6/18



『第八の解答ですが、あの少年もフィアンマ同様に姿を消しています。
付け加えて補足しますと、少年が姿を消す直前に『神の力(ガブリエル)』が観測されました』

『大体読めてきたわよ。つまりあのガキが全部持って行ったってワケね』

『そう結果情報を受けています。補足説明しますと、少年が消失に伴い東洋の聖人率いる一部が慌ただしく、捜索に励んでいる事が確認されています』

『ってか、それがどうしたってのよ?』

『第九の解答ですが、簡潔に言いますと、協力を要請するならば彼らが適任かと』

『……そうね。考えておくわ』

287 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:02:35.83 fUaEFp1DO 7/18



使い勝手の良い人員が出るのは甚だしく構わない。聖人という強大な怪物も大いに結構。

しかしだ。

自分は元ローマ正教で、元『神の右席』。闇の奥底に潜み、そのキーワードすら一握りしか知られない存在。
そのような自分と対峙した時、快く受け入れるだろうか? 答えは否。
自分が仮定として、もし上条当麻が目の前に現れたら、迷いも躊躇も逡巡も無く、寸分の動作も与えないまま突っ込んで行き得物を振るうだろうから。


(接触は避けた方がいいわね。すこぶる面倒くさそうだ。
……ってコトは結局、私一人でフィアンマの野郎を捜さなきゃならないんじゃない)


彼女は、ここで一つの失態を犯していた。
思考に没頭していた所為で、周りに配る注意を失せていたのだ。

288 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:03:16.10 fUaEFp1DO 8/18

結果、後頭部に―――コツンと固い何か当たる。同時にカチャッと軋む音。
ヴェントは進めていた歩みを止める。後頭部に感じる感受は消えない。
ここは雪山の奥。見渡す限り白銀に染まる樹木並木道。人気なんて皆無。獣の気配すら絶無。

山奥。そう、ここは山の奥。
しからば答えは一つに辿り着く。


「ひひ、ひひひひ。奇抜な姉ちゃんだ。逃すには勿体無ぇが、こちとら生活が係ってんだ……持ってる物は全部置いてってもらおうか!!」


―――山賊だ。

289 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:03:57.90 fUaEFp1DO 9/18



「…………」


ヴェントは視線を巡らせる。
樹木の陰から背後の声に呼応するように一人、二人、三人……。
数えるのが面倒になる程、続々と背後の仲間であろう山賊が姿を現す。見事に極数秒で彼女を中心に取り囲んだ。
それぞれ山賊が両手に抱えるのは、遠くの獲物を狙う時に用いる、標準サークル付きのライフル。


「ひひ、ハハハッ!! 余計な抵抗はしない方が得策だぜ~? その瞬間、姉ちゃん頭がボーンだぁ!!」


後頭部に当て続けているのは、おそらく周りの山賊と同じ系統の物だろう。
ライフル、又は小型の拳銃。若しくはハッタリか。


「オラどうした!! さっさとしやがれ!! さもねぇと身包み剥ぐぞォッ!!」


ここまでは山賊も完璧だろう。
全て予定通り、一寸の狂いも無いはずだ。『ここまで』は。

290 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:04:27.54 fUaEFp1DO 10/18



「……クク」

「あぁん?」


彼らの誤算は二つ。


「アッハハハハハハ!!」

「な、なんだ……!?」


一つは、彼女が元であれ、『神の右席』である事。


「アンタら最っ高……くくっ。
はーあっ、久し振りにこんな笑ったわ。そうね、ここは発散しておいた方が良さそうだ」


二つ目は、


「上等ね。誰に向かって舐めた口効いてんだ?」

291 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:05:00.79 fUaEFp1DO 11/18





―――彼女は今、非常に恐ろしいくらい、機嫌が悪い事。

292 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:05:39.46 fUaEFp1DO 12/18



バタバタバタバタバタッ!! と。
突如として、彼女の背後に居る男以外全員が、力を失ったように倒れていく。
当然、男は理解が追い付けるはずも無く、狼狽するばかり。


「お、おいっ!? どど、どうしたテメェら!!? 何が起きて―――」

「範囲を限定させてもらったわ。使用制限もあるから節約しないとね」


彼女の手には、何時の間にか全長一メートルを越すハンマーが握られていた。
普段のヴェントならば問答無用で全員気絶させ、転がった人間を跨いで足を進めていただろう。
しかし、今は機嫌が物凄く悪い。故、彼女にとっては足枷すらならないのだ。

293 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:06:53.19 fUaEFp1DO 13/18



「それに、私も遊びたいじゃない?」


ゴシャッ!! と鈍い音が、男の手首と得物から響く。
男が呻き声を漏らす隙も与えないまま、男の腹部と顔面がベコッと、……決して人間が鳴ってはならない音が木霊する。


「がァァァああああああああああッッ!!!??」


ボールを蹴った時のように、彼は綺麗な放射線を描いて十メートル以上吹き飛んだ。

幸いな事に地上は雪が積もってクッションになっている。地面に叩き付けられる事は無かった。
それでも致命傷なのは間違いない。
思考回路が上手く働かない男は、何が起きたか見当も付かない。
一瞬だ。一瞬で立場が逆転したのだ。


「あがっ……ぁがふ……?」


話す言葉すら儘ならない有り様。
鼻はへし折れ、顎が粉々に砕かれた状態で喋れというのも酷な話だが。

294 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:08:21.39 fUaEFp1DO 14/18



「おやおや、大の大人が何とだらしない。露骨にダラダラと血を垂らしてんじゃないわよ」


頭上から声。男にとってはもはや絶望にしか聞こえないだろう。
まるで死神の吐息のようだ。吐く一言一言が、彼を確実に窮地に追い詰める。


「大丈夫、殺しはしないわ」


その言葉に彼は過剰に反応した。見上げてヴェントを目視。
彼女は遊び道具を見つけたかのように、嘲笑っていた。


「殺したらつまらないでしょ。
せっかく狩人と獲物が逆転したんだ。私を楽しませてよ?」


ゆっくりとハンマーを振り翳す。
それを成す意味を、回転が遅い頭でも男は早急に理解する。


「―――!!!!」


声とは程遠い、奇声を上げながら男は逃げていく。
彼も人間だ。生き延びたいのだろう。

295 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:08:52.44 fUaEFp1DO 15/18



「……ふん」


彼女は尻尾巻いて逃げていく男を尻目に興が削がれたのか、踵を返す。
普段通りの澄ました表情に戻り、何事も無かったかのように歩み出した。


(甘くなったな……私も)


自分に敵意を向け敵対したはずなのにワザと逃してる当たり、アックアとフィアンマに「誰かさんの影響を受けているんじゃないの」と、人の事を言える立場じゃ無くなった。


「最悪……」


そこには心底嫌そうに呟くも、足は止めないヴェントの姿が在ったと云う。

296 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/10 09:10:41.54 fUaEFp1DO 16/18

投下終了です

キャラ設定、原作設定、もしかしたら違うかもしれません

297 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[age] - 2011/02/10 15:08:15.28 YkvbdD9I0 17/18

乙 スレ立てたほうがよくないか長さ的に

299 : 296です[sage] - 2011/02/10 17:28:56.38 fUaEFp1DO 18/18

そろそろスレ建てした方がいいんじゃないかと考えています
次に顔を見せる時にはスレ建て報告だと思うので