370 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/11 17:52:52.07 Xjtb0Y9/0 1/6

4レスほどお借りします。
闇条さんと暴力表現にご注意下さい。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
371 : 英雄崇拝とアンチヒーロニズム 1/4[saga] - 2011/02/11 17:53:39.20 Xjtb0Y9/0 2/6




要は特撮番組を見た子供が戦体ゴッコをしたがるのと同じだ。
途方もなく輝かしい英雄に焦がれ、自らもそう成りたいと憧憬する幼稚で単純な感情。
吐き気がするほどに純粋な行動指針。


「おィ、終わったぜェ」


端的に言えば、馬鹿なのだ。コイツは。


「おう。手伝ってくれてサンキュな」


学園都市第一位という優等生の肩書を有する故の馬鹿。
亡くしてしまった幼少期を取り戻すが如きの無様な子供返り。


「お前が駆け付けて来てくれたお陰で本当に助かった。これで此処らの女の子達も安心して外歩けるな」

「……何言ってやがンだ。助けた女と追われてるから来いっつったのはお前だろォが」




372 : 英雄崇拝とアンチヒーロニズム 2/4[saga] - 2011/02/11 17:54:22.77 Xjtb0Y9/0 3/6




――――ンで、その女は?
尋ねながら照れ臭ったように頭を掻きむしる彼に、俺は変わらぬ表情を向けられているか心配で堪らなかった。
具体的には、嘲笑していないか、とか。


「女の子の方は途中で先に逃がしたから。……まあ、それで俺が集中して狙われる嵌めになったんですけど」

「相変わらずだなァ、お前は」


俺の言葉に、彼の手で死なない程度に撃破されたスキルアウトの一人が声を張り上げる。
「殺すな」と告げたとき第一位の彼が流石だという視線を向けてきたのは余談だ。

だからこそ、何処までも俺にある種の崇拝を送る彼は、
不良の敗者曰く「俺達は女なんか襲っちゃいねえ!寧ろソイツが先に俺達の根城を襲撃してきやがったんだ!!」という真実=禁句にブチ切れた。


「………次に巫山戯た嘘吐かしてみやがれ、今度は腸が床に染み込むまで踏み潰すぞ」


倒れ込んだスキルアウトの腹を能力を纏った細い脚で容赦なく圧迫する彼が、極めて冷淡な低い声で罵る。
内蔵が傷ついたのか地面と背中合わせになった男の口から真っ赤な鮮血がゲホゲホと零れ出た。

ああ、愉快だ。
何とも言えない昂揚をお得意のポーカーフェイスで隠しながら、しかし俺は今日も今日とて彼憧れのヒーローとして慈悲深い牽制を表向きにする。




373 : 英雄崇拝とアンチヒーロニズム 3/4[saga] - 2011/02/11 17:55:37.72 Xjtb0Y9/0 4/6




「やめろ、一方通行。相手がどんな悪党だって、それを殺しの理由にしちゃいけない」


ピタリと彼が動きを止めた。そして、思い詰めたように此方を見遣る。
今彼の中ではどれ程の自分自身を責める言葉が飛び交っていることだろう。

この陰気腐れインポの事だから、その無駄に良い頭をフル回転させて俺なんかには考えつかない語彙まで持ち出しては
自分で自分を罵倒しているに違いないのだ。
馴染みの白っ顔こそ青褪めてはいるものの、コイツはとんだドM野郎だ。


「………大丈夫。大事なのは今お前が何を思って何をしているか、だ。ウチのシスターだって言ってたろ?
『如何なる罪人の償いも神たる父は必ず見てる』って。――神様はどうか知らねえけど、俺はちゃんとお前の後悔も努力も見てきたし、認めてるよ」


ヒーローらしい台詞を持ち出すのは案外と簡単だ。三流映画からクサいと思った口説き文句を引用すればいい。


「………そォ、か」

「そうだよ」


どうしよう。
その縋る様な視線と安堵に満ちた溜息に、僅かに口角がニヤリと上がってしまった。
バレなかっただろうか。まあ、英雄像の崩壊に狂っていく様を見るのも楽しいかもしれないけれど。




374 : 英雄崇拝とアンチヒーロニズム 4/4[saga] - 2011/02/11 17:56:59.45 Xjtb0Y9/0 5/6




頑なに英雄像に依存するコイツといい、
不躾な罵詈雑言を精神の交わし合いだとか吐かす純情派シスターやら、恋に恋する喜び勇んだ金ヅルお嬢様やら、
年下に弄ばれて愉悦する爆乳聖人やら想い人を楯に取られて自分がそれを救えていると実感する不良神父やら
歪みきった俺色に染められる事を望む軍用クローン達やら



……―――――本当に、この街は退屈しない。




「お前だって、きっと誰かのヒーローになれる日がくるさ」



溢れんばかりの『玩具』を望む自分こそが誰より子供である事を、俺は誰より知っている。





《 英雄崇拝とアンチヒーローニズム 》(完)




375 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/11 17:57:46.70 Xjtb0Y9/0 6/6

以上です。お目汚し失礼致しました。

一方さんは『玩具』の一人に過ぎないという。でも他の『玩具』の方々共々以外と皆それぞれ楽しんでいます。
『玩具』を満足させつつ自分が一番満足する。それが闇条さんのテクニック。亡くしてしまった幼少期=記憶を求めるのは彼も同じ。