594 : Dear my benefactor 1[] - 2011/02/13 23:19:52.88 K9NN2NvAO 1/9






インデックス「私に贈り物?」

狭い部屋に素っ頓狂な声が響く。

上条「ああ、帰ってきたら郵便ポストの中にさ」

可愛い赤の包装紙は、インデックスの手のひらと同じぐらいの大きさの物を包んでいるらしい。

インデックス「何かな?」

上条「とりあえず開けてみろって」

インデックス「分かったんだよ」

彼女は破らないように剥いでいく。慎重に、慎重に。


インデックス「缶…と、手紙?」

重さからして、何か物が入っている缶の上にはちょこんと四つ折りのメモ用紙が。

とりあえず手紙から手にとる、これまた可愛らしい紙だった。
上部には『Index-Librorum-Prohibitorumさんへ』と、きっと英字になれていないからなのだろう、大きさの違うバラバラな字体で書いてあった。

あまり呼ばれないフルネームから下の文へ、インデックスは目を落とす。


元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
595 : Dear my benefactor 2[] - 2011/02/13 23:23:06.45 K9NN2NvAO 2/9





『Index-Librorum-Prohibitorumさんへ

あの日、あの人と一緒に探してくれてありがとうございました。

あの日、あなたの歌でミサカのことを助けてくれてありがとうございました。

絶対に覚えてはいないけど、それでも、あの時のあなたの声はきれいだったなあってミサカは思い返してみます

お陰で、今ミサカはとっても元気です。

あの人もあなたにありがとうと言っていました。

ミサカも、とっても嬉しいです。



直接、会ってお話したかったけど、あなたがどこに居るのか分からないので、ヒーローさんに渡しておきました。

届くと良いなあ。

クッキー、良かったら食べて下さい


ラストオーダー』

596 : Dear my benefactor 3[] - 2011/02/13 23:25:24.60 K9NN2NvAO 3/9







インデックスはそのまま缶を開ける。
キツネ色に焼けたハート型のクッキーが何個も何個も入っていた。

一つ摘んで口に入れる。
その鼻へ抜けるバニラの香りに彼女の顔はほころんだ。

インデックス「うんうん! とっても美味しいんだよ!」ニカー

インデックス(でも、せっかく作ってくれたんだから、ゆっくり大切に食べなきゃ…)モグモグ

上条「そうか、それは良かったなあ。 

……つーか俺にも来たんだけど…これ、誰からだ……?」

通常なら『粗品』との欄に、細く達筆な字で『いらなきゃ捨てろ』と書いてある高級そうな菓子を眺める。
それだけの情報なので、誰から来たのか皆目見当もつかない。
とりあえず感謝をしながら開けることにした。

インデックス「らすとおーだー……。 ねえとうま、どんな子か知ってる?」

上条「例のあの、チビミサカだよ」

インデックス「あっ! あの白い人が探してた子かも」

上条「白い人……、ロシアでも一緒だったし一方通行のことだな、多分」

インデックス「そっか、元気になったんだね。 良かったあ……。」

モグモグと咀嚼する彼女を見つめて

上条(!)

閃いた。

上条「インデックス。 お前に提案があるんだ……」


597 : Dear my benefactor 4[] - 2011/02/13 23:26:37.30 K9NN2NvAO 4/9






―――――

所変わって、ファミリーマンションの一室。


打ち止め「シスターさん達、ちゃんと食べてくれたかなあってミサカはミサカは思いを馳せてみたり」

一方通行「知らねェ。 直接渡せば良かっただろ」

打ち止め「だって初対面で急にクッキー渡されたら怖くない?ってミサカはミサカは思案してみる」

一方通行「オマエ、初対面の三下に食い物たかってただろォ」

打ち止め「うぅ……、でもでもミサカはね、年が近くて上の同性って下位個体達ぐらいしか知らないからちょっぴり緊張というか…ってミサカはミサカは」

芳川「あら? それはわたしと愛穂に喧嘩を売ってるのかしらね」

打ち止め「ひぃ、ヨシカワの目がマジだってミサカはミサカは逃亡を試みる!」

ガチャンと扉の開く音がする。


黄泉川「たっだいまじゃーん」

打ち止め「あっ、お、おかえりっヨミカワ!」

ソファーをスルリと抜けた打ち止めは、全力でダッシュしていく。

打ち止め「ねーねー聞いてよヨミカワ! ヨシカワが…って、えぇぇえええ!!??」

598 : Dear my benefactor 5[] - 2011/02/13 23:28:46.03 K9NN2NvAO 5/9





一方通行「クソガキの叫び声?」

芳川「あら、何が起きたのかしらね」

程なくして、真相は明らかになる。

インデックス「うわぁー広い、広いよとうま! うちとは大違いなんだよ!」

上条「インデックスさん、普通の学生なんてあんなものだからな! あはは……、お邪魔しまーす」

芳川「あら? お客さん?」

黄泉川「そう。 隣のクラスの子とその同居人じゃん」

上条「急にすみません、黄泉川先生」

黄泉川「全然気にする事じゃないじゃん? って、2人とも黙ってどうしたー」

衝撃が大きすぎて何を言えば良いのか分からない一方通行と、命の恩人のお姉さん(しかもこの町ではあまり見ない外国人)が訪れて来てモジモジする打ち止めは、とりあえず隣同士で座った。

例えるのなら、物まね番組でご本人が出てきたような。
そんな雰囲気だ。

599 : Dear my benefactor 6[] - 2011/02/13 23:32:59.44 K9NN2NvAO 6/9





インデックス「白い人が居るってことは、本当にここのお家なんだね」

上条「お前まだ信じてなかったのかよ」

黄泉川「まぁ立ち話もあれだから座るといい、紅茶で良いじゃん?」

芳川「じゃあ、わたしもお菓子でも出してきましょうか」

上条「すみません、お構いなく」

インデックス「おっかし! おっかし!」

上条「お前さっき打ち止めがくれたクッキーバクバク食ってたじゃねえか!」

インデックス「失礼しちゃうかも! 美味しいからちゃんとセーブしたもん」

打ち止め「ちゃんと、食べてくれたんだ――ってミサカはミサカは……ミサカ」

そこでインデックスはハタと気づき、アホ毛の特徴的なとある少女へと目が向かう。
少年に聞く話だと天真爛漫で人見知りとは真逆な存在なはずだから本人か疑ってしまっていた。

インデックス(もしかしてわたし怖い……、いやそんなことはないんだよ!)

600 : Dear my benefactor 7[] - 2011/02/13 23:34:00.81 K9NN2NvAO 7/9




インデックス「ええと、あなたがらすとおーだー?」

打ち止め「」コクリ

インデックス「とっても美味しいクッキーをどうもありがとう! 私の名前はインデックスって言うんだよ…って、あなたは知ってるんだっけ」

打ち止め「う、うん。 この人に聞いたのってミサカはミサカは頷いてみる」

インデックス「白い人もあの時はどうも!」

一方通行「……あァ」

一人だけハイテンションなインデックスは、この上質な部屋に興味を隠せないでいた。
きょろきょろと辺りを見回すと、薄型のテレビが視界に飛び込んで来て、思わずふぉおと歓声があげてしまった。

上条「」

インデックス「ねえねえあのクッキーってらすとおーだーが作ったのかな?」

打ち止め「そうだよってミサカはミサカはシスターさんに頷いてみる」

インデックス「凄いんだよ凄いんだよ!! 今まで食べたクッキーの中でも一番美味しかったもん!!

あとね、私のことはインデックスで構わないんだよ?」

打ち止め「分かった!ってミサカはミサカは了解してみたり」

601 : Dear my benefactor 8[] - 2011/02/13 23:35:05.01 K9NN2NvAO 8/9





インデックス「あんなにいっぱい本当にありがとうなんだよ!」

打ち止め「あなたはよく食べる人だってこの人が言ってたのってミサカはミサカは思い出してみる」

インデックス「あはは、お恥ずかしい限りかも……」

この後、意気投合した彼女たちが暇な平日にお互いの家に遊びに行く仲になるのはまた後のお話。


602 : Dear my benefactor 9[] - 2011/02/13 23:36:35.74 K9NN2NvAO 9/9





余談

上条「ええと、その節はうちのインデックスがお世話になったようで」

一方通行「監視ぐらいしとけェ」

上条「へいへい。 んでさ、あの高級そうな和菓子ってお前がくれた?」

一方通行「……知らねェ」

上条「でも金持ちの男の俺の知り合いって、お前ぐらいしかいないと思うんだよな」

女子には今日貰ったし、とさり気なく勝ち組宣言をして。

上条「まだ残ってるけどめちゃくちゃ美味しかった!」

ごちそうさまと手を合わせてはにかんだ。

一方通行「……知らねェっつってンだろ」

上条「そんなん字書いてもらえば一発だろうけど…、まあ良いや。 じゃあどこぞの誰かさんにお礼言うことにするわ、本当にありがとうございました」

一方通行「ちィ……」


とりあえず、顔を合わせたら殺し合いの事態は防げた2人も、まあ仲良くなるのかもしれない。