612 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/02/14 01:16:11.11 PINZA7xWo 1/4

このくっそ寒い季節によりによって日付の変わった直後に呼び出すとかふざけてんのかテメエ俺を凍死させる気かとか思うのだけど何やら様子がいつもと違っていたので少し心配になってしまい結局のこのこ出向いてしまう自分のお人好しっぷりに嫌気が差すのだけどコートの襟を合わせて寒さに身を震わせながら向かったお馴染みの公園で自販機に寄り掛かりながらコーヒーの缶を両手で抱え空を見ていたアイツを見た瞬間にどこかに吹っ飛んでしまってしばらくの間白い息を吐く暗闇の中にぼんやりと浮かんだ姿を遠巻きに見ていた。


「…………おい。黙って突っ立ってンじゃねェ」


こちらを見もせず呟かれた声は明らかに不機嫌そうでなんだいつもの調子じゃねえかと少し安心してしまったなどとはまさか言えるはずもなかった。


「遅せェ。何時間待たせる気だオマエは」

「いや、今メールきたばっかじゃん」

「すぐ来いっつったろォが」

「すぐ来ただろ」

「寒みィンだよ、クソが。三分で来い」


どうしてだかいつもに増して不機嫌なアイツの相手をしながらもしかしてコイツはメールをやり取りしている間もずっとここにいたのだろうかなどと思ってしまい愛想笑いを浮かべながら近付いて観察してみるといつもは雪みたいに真っ白な頬は元より銀糸みたいな髪に隠れている耳まで赤くなってしまっていて予想は多分的中しているのだけど指摘したら何を言われるか分かったものではないし俺もまだ死にたくないので無難に黙っておく事にした。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
613 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/02/14 01:16:45.04 PINZA7xWo 2/4

「で? 何の用だよ」


そう言うとアイツはあーとかうーとかしばらく唸っていたのだけどやがて諦めたように俺に向き直りどうにもばつの悪そうな表情でそっぽを向きながらあさっての方向を差すアイツの細い指の示す方向を見ると誰もいないベンチの上に見るからにセンスのいい=高級そうな小さな紙袋が肩にリボンで花をあしらわれちょこんと座っていた。


「……は?」

「その……なンだ………………やる」

「……はい?」

「クソガキがよォ、何故か俺にまで絡んでくンだよ……馬鹿二人も煽りやがるし。クソっ、なンで俺がこンな事しなきゃならねェンだ。どう考えてもおかしいだろがよォ」

「いまいち話が見えないんですけど」

「だから今日、その……十四日だろ」

「………………あ、そうか日付変わったからもうバレ」

「言うな。頼むからそれ以上言わないでくれェ……」


会う度毎に剣呑なやり取りをする相手の疲労と悲哀に塗れたどこか遠いところを見ているような俯き気味の顔がなんだか妙に可哀想になってきたので空気が読めると評判の俺はコイツは多分妙に知識の偏ったお子様が今回のイベントを面白おかしく勘違いしてそれを面白がった教職の風上にも置けないような人たちが酒の肴に囃し立てて引くに引けず半ば強制的に罰ゲームっぽい事態になったのだろうなと察してそれ以上追求はしなかった。


「……まァ、その……オマエ……色々、あったから」

「っはは、その結果がこれかよ」

「うるせェよ!」


こんな機会はめったにないだろうから少しくらいからかってもバチはあたらないだろうけれどその前にアイツがブチ切れそうだったから我が身が大事なのでもったいないけどそれ以上言わないでおくことにした。

614 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/02/14 01:17:33.32 PINZA7xWo 3/4

「おい。オマエ何開けてンだよ」

「だって家持って帰ると間違いなく食われそうだし」

「はァ……?」


我が家の同居人はこの手の気配には敏感なので家でゆっくり食べようとすると間違いなく横から奪われる破目になるのは目に見えているので寒いのは我慢してここで食べてしまう事にしたというのも半分くらいの名目で後はやっぱりコイツをからかうためなのだけど。


「うめえ」

「……そォかい」

「寒みぃ」

「……なンだよ。こっち見ンな」

「コーヒーくれ」

「それくらい自分で買えよ」

「金欠だっつってんだろ」

「はァ……仕方ねェなァ、恵んでやンよ」

「ありがたやありがたや」

「拝むなっ!」


そんな感じにしばらくの間ばれない程度にいじっていたら普段なら絶対に口にする事はないような高級チョコレートはあっという間に消えてしまってもう少しゆっくり味わって食べればよかったかなーなどと若干後悔に打ちひしがれながら温くなったコーヒーをちびりちびりと飲みつつアイツを見ればまだ何やら吹っ切れていない様子でどう見ても意図的にこちらに視線を向けないようにしたまま腹を空かせた熊みたいに唸りながら右往左往していた。


「ホワイトデーはあんまり期待すんなよ。こちとら常時金欠なんだから大した物用意できねえだろうし」

「いらねェよ。何考えてんだオマエ」

「それオマエが言うなって。それに後からコイツをネタに脅されちゃ堪んねえもん」

「脅すかボケェっ!」


よし来月も堂々とコイツを弄れるなとか思いつつ深夜なのをまったく考えず騒がしく過ごした珍しく物騒な事も何もなく平和万歳のそんな日付が変わった直後の冬の公園での出来事。

615 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/02/14 01:18:58.77 PINZA7xWo 4/4

以上。長文注意ってのと表題付け忘れた
『チョコレイトホリック』