723 : 「14日」という日[sage] - 2011/02/15 00:34:19.09 ytxUlJHAO 1/6

「お姉様……結局渡せなかったのですか?」

「……うん」

「はあ……学園都市第三位、
憧れのお姉様がたかが殿方一人にチョコをわたすだけでそんな」

「わ、分かってはいるのよ!? ただ……」


 そういうと美琴は俯きながらか細い声で続ける。


「……アイツにチョコを渡すっていうのは、私にとって多分特別な事なの。
 義理とか思われたく無いし……でもきちんと伝えるのは恥ずかしいし……」

「……お姉様」

「なに……?」

「ベタ惚れですのね」

「なっ……!」

「違いまして?」

「……うん」


 ついに他人の前で認めてしまった。アイツへの想いを、自分では無い人に。


「お姉様、まだ14日です」

「何言ってるの……もう12時過ぎたのよ」

「察して下さいな、『14日』は終わっておりません」

「……! でも、もう最終下校時刻なんてとっくに……」

「わたくしを誰とお思いですの?
 お姉様をお運びする事位容易いのはお分かりかと」

「……いいの、黒子?」

「この白井黒子、お姉様の幸せのためなら命はいりません」

「ありがとう!」

(その笑顔が自然とあの殿方に向けられればいいですのにね……)

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
724 : 「14日」という日[sage] - 2011/02/15 00:34:47.47 ytxUlJHAO 2/6

「うー……さみぃ。御坂のやつこんな時間に呼び出しやがって……」


 2月15日、関東は今シーズン一番の雪に見舞われていた。
学園都市には珍しく、白い化粧が施されている。


(電話があったと思ったら今すぐあの公園に来なさい! だもんな……)


 マフラーに全幅の信頼を起き、上条当麻は積雪の中を急ぐ。
ようやく見えた公園には、見知った顔が二つ。


「く、黒子! アイツ来ちゃった! どうしよう……」

「お姉様……どうしようじゃなくてしっかりとお渡しして下さいな」

「う、うん! 頑張る……」

「ではわたくしは寮監の見回りもありますので一旦寮に戻りますの」

「黒子……ありがとう」

「お姉様、最後に一つだけ。今日は勇気を出しても誰も怒らない日ですの」

「うん……」

「それではまた――」


 一瞬で姿を消してしまった黒子。そして現れたのは、アイツと呼ばれる少年。


「あれ、白井は帰ったのか。で、何のご用事ですか御坂センセー」

「えっと……その、あのね……」

「……何も無いんだったら帰るぞ。雪も降ってるし」

(今日は勇気を出しても怒られない日……よし!)

「あの! これ、チョコレート!」

725 : 「14日」という日[sage] - 2011/02/15 00:36:09.48 ytxUlJHAO 3/6

 上条はこんな時間に呼び出され、何か事件かと不安だった。
しかしそれはどうやら杞憂だったららしく、ホッとしていたのだ。

 すると今度は何故呼び出されたのかと思い、少し腹が立った。
しかも相手は楽してここまで来たのに対し、自分は白銀の世界もどきを徒歩。

 なので、よっぽどの事じゃない限り、小言の一つや二つ言ってやろうと意気込んでいた。いたのだが――

 目の前に居るのは一人の顔を真っ赤にした少女。そして用事は、バレンタインのチョコレートだった。


(文句なんて……言えるわけが無いな)

「えっと、こんな時間に呼び出してごめん……。でもどうしても渡したくて……」

「あー……その、ありがとな、御坂。開けていいか?」

「う、うん……。でも美味しく無いかも……」

「もしかして手作りってやつ?」

「……一応」

「何か悪いな……。じゃあ開けるぞ。どれどれ……」


 赤いリボンが掛かったラッピングを解く。
すると中には、六つの丸いトリュフ型のチョコレート。


「美味そうじゃないか! さっそく一つ……あむっ」

「ど、どう?」

「うん……すげえ美味い! 本当にありがとう御坂」

「……良かった、本当に」

726 : 「14日」という日[sage] - 2011/02/15 00:36:38.44 ytxUlJHAO 4/6

 チョコを渡すというイベントには成功したが、問題が一つある。
このチョコレートは一体何を意味するチョコレートか、という事だ。

 いつもの自分なら義理だ、仕方ないからあげる、などと言ってしまう。
しかし、黒子の顔が頭をよぎりそれをさせない。

 告げようかどうしようか迷っていると、意外にも向こうからその機会がやってきた。


「でもたかがチョコ一つにわざわざ呼び出さなくても」

「たかがって……!」

「えっ? だって『義理』チョコだろこれ」


 忘れていた。コイツは超が付く程の鈍感野郎だという事を。
だがここで勇気を出さなければ、また明日も明日のまま。


(勇気を出す……うん……!)

「どうした、御坂?」

「義理……じゃない」

「えっ? 何だって?」

「義理じゃないって言ったのよ! この鈍感野郎!」


 訪れる沈黙。一秒が長く感じるというのは本当だ。
言ってしまった、そして訪れた沈黙。

 それを破ったのは、男の声。


「あのう……つまり……そういう事?」

「……うん」

「えっと……なんで?」

「私だって知りたいわよ……!」

727 : 「14日」という日[sage] - 2011/02/15 00:38:03.73 ytxUlJHAO 5/6

「あのさ……」

「何よ……」

「俺でいいの……?」

「……アンタじゃなきゃ嫌」


 またもや訪れる沈黙。今度はこれを破らなければならないのは決まっている。
そうすべき男は、口を開く。


「えっと……、その……よろしくお願いします」

「へっ? アンタ今何て言ったの……?」

「いやだから……よろしくお願いしますって……」

「……何がよろしくなのよ」

「それを言わせますか!?」

「……言わなきゃ分かんないわよ?」

「あー……んー……やっぱり無理! 限界!」

「何よそれ!? あーあ、好きになった人がヘタレだったなんてなー」

「い、今なんと!?」

「何でも無いわよ、ばーか」


 雪が少し積もる学園都市の公園で彼女の「14日」は終わった。
そして明日からは違う「明日」が始まるのかもしれない。

728 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/15 00:39:27.79 ytxUlJHAO 6/6

以上です、間に合わなかったかけどそこは許して下さい…
駄文やら何やら失礼しました