764 : とあるフレンダのワンシーン:1[saga] - 2011/02/15 21:03:45.47 d+ITPO1do 1/5



(すー、はー、……深呼吸)


彼女の中でこれから赴く場所は戦場だと定義づけられていた。
理由はいくつかある。
第一に、この気持ちはハッキリ言って他人に知られたくないから。
第二に、正直自分がデートする相手としてふさわしいかどうかがわからないから。

そして第三に。


(結局、なんで私がアイツなんかを、す、す……す)


―――ああ、もう!!

フレンダは鏡の前で服装を整えながら、ため息をついていた。


(いや、こーゆーのは別に恥ずかしいことじゃない。そうだ、そうなんだ。うん、麦野だって多分言ったら理解……、)

(……してくれないか。じゃ、じゃあ絹旗は? 絹旗ならほら、『超ロマンチックです』とかなんとか言って理解……、)

(……あー、ダメだ、想像できない……。たっ、滝壺は!? 滝壺なら絶対、『大丈夫だよフレンダ、応援してる』とかなんとか……、)

(……いや、あの子は何言ってもそう言うし……、というか他人に理解を求めてる時点でどうなのよ私……)


prrrrr―――。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-23冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297083486/
765 : とあるフレンダのワンシーン:2[saga] - 2011/02/15 21:04:37.14 d+ITPO1do 2/5



「……っ!」


だうー!と思わず声をあげてしまいたくなったが、ここぞというタイミングで携帯が思考に割り込んできた。
経験からして(大層なモノがあるわけではないが)これは、多分、意中の相手からだ。
名前が表示される前から胸が鎖で締め付けられる。

鎖を引っ張っているのは、誰だ。どこの馬鹿だ。
ブロンドの癖毛をくしゃくしゃとやりながら、フレンダは受話器を丁寧に掴む。


「も、もしもし……」

『……おう、フレンダか? 元気か』

「うん……」


声を聴いた瞬間に、用意していた会話がすべて吹き飛んでしまった。
「うん……」、じゃねえよと自分に突っ込みをいれてしまう。いつもの勝気なアレはどこへ飛んでいった。


(な……、何なのよこの声色……っ? なんで私がこいつに、……もう……ああ、……うう……)


もちろん相手だって少しは緊張しているようなのだが、どうしても自分の方が気持ちをかき乱されているような気がしてならない。
そうなのだ。恋は駆け引きとは言うが、彼女の場合はその駆け引きに耐えられるような精神力は元々兼ね備えていない。

空気を測ったような、曖昧な主従関係がそこにあった。
もちろんそんなものは駆け引きの材料に使えるはずもない。
ただただ、頭の中の態度と、口から出てくる言葉がつり合うことなく、気持ちを加速させるだけ。


「は、浜面こそ元気っていうか……えっと……、あっ、そうだ私今日は行きたいお店がある訳よ! 
 ふふん、浜面にはもったいないっていうか、それなりにイイトコなわけで、感謝しなさ……」

『わりぃ、今日さ、予定が入っちまって』

「えっ……」

766 : とあるフレンダのワンシーン:3[saga] - 2011/02/15 21:05:32.51 d+ITPO1do 3/5



不意に鏡に視線を戻す。
そこに写っていたのは、明らかな落胆を表面に貼り付けた自分だった。
徹夜して考えたコーディネート。今はピエロに見える。


「それって……、行けないってこと?」

『ん? ん、んーと、まあ、端的にいうとそうなんだけどさ。ほら、麦野から頼まれてた雑務が溜まっちまってて』

「そっ、そうなんだ……。……そう……、なんだ」

『……気にしてんのか?』

「えっ!? いやーはは! よくよく考えたら私もほら、浜面ごときに一日費やすとか何でそんなバカなこと考えたのかって、ちょっと思ってた訳よ!」

『なにー!? お前が一日付き合えって言ってきたんじゃねえか! せっかく誘ってくれたんだから誠意を持って謝ろうとしてたのによ!』

「……まあ仕事なら仕方ないし」

『おう、そう言ってくれると助かる』

「……た、助かるって、……そーゆー言い方は……んと……」

『ん』

「……なんでもない。まぁせいぜいがんばれっての」

『おうよ。んじゃ、またな』


プツッ………

767 : とあるフレンダのワンシーン:4[saga] - 2011/02/15 21:06:48.04 d+ITPO1do 4/5



(バーカ。バカ面。アホ面。バカバカバカバカ……、)


イライラする。頭が沸騰する。足をバタバタさせても一向に元に戻らない。
次には自分の気持ちに整理をつけるために、結局これでよかったのだと、自分を納得させようとする。


(あーもうホント、なんで私がバカ面な訳よ? 正直客観的に見て、アレと一緒に歩いてる私とか、ビジュアル的にどうな訳よっ!!!)

(浜面よりイイ男なんていっぱいいるし。……うん。いっぱいいる。はははー! 気にすんなって私!)


どかっとベッドに転がり込んで、携帯を握り締めた。
そして頬を引っ張る。
笑え笑えー!と自分に呪文をかけるように、フニフニと表情を乱してみる。

―――何の効果もない。

今日は一日の予定がなくなってしまった。


(……やっぱりちょっと、寂しいっての)



―――、―――。

768 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/15 21:07:38.97 d+ITPO1do 5/5

終わりですー。フレンダ難しいなあ。