247 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/22 23:16:12.55 QFGL60ED0 1/8

58~63で『座標移動と折り鶴』を投稿した者です。
今度は土御門と上条を出演させてみました。
7レスほどお借りします。


※関連
座標移動と折り鶴
http://toaruss.blog.jp/archives/1024419250.html

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-24冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298034529/
248 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:18:30.33 QFGL60ED0 2/8

 放課後のファーストフード店。

 授業を終えた学生たちで賑わう店内の一角に、上条当麻と土御門元春はいた。


「俺たち二人でこういうとこ来るのは久しぶりだぜい」

「そうか?まあ、いつもだったら青髪がいるか」

 たまたま期限切れ間近の割引クーポンを見つけた土御門は、放課後にデルタフォースと呼ばれる親友二人を食事に誘った。

 青髪ピアスは下宿先の手伝いがあるという理由で先に帰ったが、クーポンを無駄にするのも嫌なので、二人だけで店を訪れたという次第である。

「しかし、何で俺の家にはそのクーポン来てなかったんだ?学生寮全体に配られたんだろ、それ?」
「配達員が忘れたんじゃないかにゃー?」
「俺の部屋そんな端っこにねーぞ。……不幸だ」

 上条はうなだれつつ、ジュースのストローに口をつけた。

 まあ、仮にクーポンが来ていても、同居人のシスターに使うはめになっただろうが。

249 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:20:18.83 QFGL60ED0 3/8

「しかし、カミやんが補習でないとはこれまた珍しいぜい」
「うるせー。きっちり特別課題をいただきましたよ」

 上条は鞄からプリントの束を引っ張り出した。

「おーおー、また大量だにゃー」
「全くだな……ん?」
「どうした?」

 一枚のプリントを上条は凝視し始めた。

「土御門、こんなこと勉強したっけ?」

「見せてみろ」

土御門は上条のプリントを見た。内容は先日授業でやったものだった。

「やったはずだが……あーなるほど」
「え?」
「このときカミやんは入院してたんだにゃー」
「何ぃ!?それ明日提出しなきゃならないんだぞ!」
「教科書にもこの内容あんまり書かれてなかったし」
「ふざけんなぁぁぁ!!!絶体絶命じゃねーか!!!」

 思わぬ事態に頭を抱えだした上条を土御門はニヤニヤしながら見た。

「てめえ土御門!人の危機を笑うんじゃねえ!」
「だって他人事だし~。せいぜい頑張ってくれい、カミやん」
「突き放すな!!!せめて心配ぐらいしろぉぉお!!!」


そろそろいいか。

デルタフォースの結束はどこへ行った、と嘆く上条を尻目に、土御門は自分の鞄を取り出した。中から取り出したのは、一冊のノートである。

「カミやん」

「何だよ?」

 不機嫌な顔で上条は土御門を見る。

「俺のノートでよければ授業内容を写すか?」

「え?」

「ま、日頃からカミやんには世話になってるからな」

 土御門の手に挟まったノートを、上条は数秒間ぽかんと見ていた。
 そして。

「ありがとうございます!!!土御門様!!!」

 周りが引くぐらい恭しくノートを受け取った。

250 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:22:00.35 QFGL60ED0 4/8

(あ~、舞夏のメシが恋しいにゃー)

お世辞にもきれいとはいえない土御門のノートを必死に写す上条を横目に見つつ、土御門はハンバーガーを食べ終えた。

 上条は知らないが、土御門はこの後グループの仕事がある。そのため、この食事は早めの夕飯でもあるのだ。

 クーポンが使えたので外食代としては多少お得だが、やはり仕事の前は義妹のごはんを食べたい。そっちの方が気合いが入るような気がする。

 だからといって、仕事に手を抜くつもりはないのだが。

(あ、そうだ)

 土御門はあることを思い出した。
 再び鞄をまさぐり、今度は折り紙の束を取り出す。

 そして、机の上で折り紙を折り始めた。一分も経たないうちに、掌にはきれいな折り鶴が乗っていた。

 土御門は満足げにそれを見る。

「何やってんだ、土御門?」

「お、もう写し終わったのかにゃー?」

 作業を終えたらしい上条が折り鶴を見る。

「折り鶴ってことは……もしかして」

「ああ、これは魔術の道具ですたい」

 土御門は陰陽術を元にした魔術を使う。その媒体として使うのが折り鶴なのである。

 今日の仕事では魔術を行使する可能性がある。土御門はその下準備をしていたのだ。

「……何かあるのか?」

 上条は土御門が魔術を多用できない体であることを知っている。
 何か危ない状況に立たされているのかが気になるのだろう。

「心配するな、カミやん。これは予備だ。俺だっていつも魔術を使うわけじゃない」

「だったらいいけどさ……。無理すんなよ」

「はいはい。写し終ったんなら、ノート返却な」

「お、おう」

 いつもながら、上条当麻の考え方は甘い。
無理をしなければ、この世界では生きていけないのだ。

 だが、それがなければ、上条当麻ではないとも思う。

 彼に考え方を変えてほしいのか。それともそのままでいてほしいのか。

 そんな疑問を腹の中に隠しつつ、土御門はノートを受け取った。

251 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:23:04.89 QFGL60ED0 5/8

「そういや、学園都市で折り鶴を見る機会ってあんまりないよな」

 上条は土御門に作られる折り鶴たちを見つめながらつぶやいた。

「確かにな」

 現代では、折り紙をする人はそう多くない。学園都市ならなおさらだろう。

「あ、でもこの前見たっけな」

「どこで?」

「入院してるときに見た。小学生くらいの子が千羽鶴をもらってた」

「ほう、千羽鶴か」

「それ渡してたのが何と小萌先生でさ。ほんと子供好きだよなーあの人」

 入院生活を送る子供たちのボランティアでもやっているのだろうか。
 あの先生ならやりかねないなと土御門は思った。

252 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:24:45.88 QFGL60ED0 6/8

「こんなもんか」

土御門はできあがった折り鶴たちを、懐から出したビンに入れた。

「そういや土御門」

「ん?」

「千羽鶴って何か魔術的な道具になるのか?」

 上条の問いに土御門はしばし黙考する。

「今のところ道具にはなってないな。千羽鶴というのはあくまで願掛けという意味合いだからにゃー」

「願掛けか」

「ただ、願掛けも馬鹿にはできないぞ、カミやん。人の想いってのは時にとんでもないことを引き起こす原因になる」

「……」

 かつて『御使堕し』という大魔術が発動したことがあった。
 その原因は上条の父が世界中から集めたおみやげ、そして何より彼の不幸な息子を救いたいという強い想いであった。

「ま、魔術は日々進化しているからにゃー。いつかは千羽鶴の魔術も作られるかもしれないぜい」

「そっか」

「何でそんな質問をしたんだ、カミやん?」

 何か事件が起こっている時以外で、上条が魔術のことを聞いてくるのは珍しい。

「いや、大した理由じゃないけどさ」

「?」

253 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:26:04.01 QFGL60ED0 7/8

「千羽鶴の魔術ってのがあったら、幸せな人が増えるのかなって思った」

「……」

「ま、俺は不幸で構わないんだけどさ。どんな境遇でもみんなには幸せになってほしい」

 上条は自身の右手を見ながら言った。

 「みんなに幸せになってほしい」という信念を、堂々と言える人間はこの男ぐらいしかいないだろう。馬鹿らしいと言えばそれまでだが、その信念があったからこそ救われた人間もいるのだ。

 やはり、上条当麻はこうでなくてはいけない。
 甘ったれた信念を貫き、目の前の壁(幻想)をぶち壊し、不幸な人間をすくい上げる。

 それは、土御門元春にはできない。上条当麻だからできるのだ。

「はっ、相変わらずだにゃーカミやんは」

「呆れた感丸出しで言うなよ……」

 ああ、確かに呆れている。

 こんな馬鹿げた信念を持つ親友を、支えようと思う自分に。

  了

254 : ウソツキと折り鶴[sage] - 2011/02/22 23:28:56.54 QFGL60ED0 8/8

以上です。失礼しました。

この折り鶴シリーズはもう一つ作る予定です。
近日中に投下するので、またよろしくです。