583 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/03/01 01:52:37.54 7g/8hD950 1/10

すみません、かなり読む人を選びそうな話で6レスほどもらいます。

人によってはかなりきついかも知れないから、閲覧注意でお願いします。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-24冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298034529/
584 : 1/6[sage] - 2011/03/01 01:53:52.96 7g/8hD950 2/10

「最終信号はどこだ」

冷徹な声が響く。
外れた肩を踏みつける脚が、さらに重たく圧し掛かって来た。

「それだけを教えれば良い。それでテメェを解放してやる」

最終警告。
これに従わなければ、殺される。
少女の行き先を教えれば、解放される。
この男から。この激痛から。
死から。

しかし、初春飾利は、痛みと恐怖で途切れそうになる意識の中で、必死に抗う。

こんな男に居場所が知れたら、あの子はどうなってしまうのか。
こんな男に屈していいのか。
私は。

風紀委員だ。


「……、なに……?」

焦れた顔で聞き返される。
呟いた声はあまりに小さく、相手には届かなかった。
だから、今度はもっと大きく。

もう迷わない。


「聞こえ、なかったんですか……?」

「あの子は、あなたが絶対に見つけられない場所にいる、って言ったんですよ。嘘を言った覚えは……ありません」



「……良いだろう」

言って、男は脚をどけた。
しかし、それは解放を意味するのではない。
足を振り上げ、思い切り彼女の顔面を踏み抜くため。

今度こそ最後だった。


「ここでお別れだ」

585 : 2/6[sage] - 2011/03/01 01:54:35.37 7g/8hD950 3/10


"死"が振り下ろされる。


初春飾利は目を閉じる。
ぎゅっと。

後悔はない。
……後悔なんて、しない。


凄まじい轟音が響いた。
しかし自らの体には衝撃を感じない。

「………………?」


パラパラと崩れ落ちた壁の破片が舞落ちる音を聞きながら、
初春はそっと目を開けた。

そこには。


「……ったく、シケた遊びでハシャいでンじゃねェよ。三下」


彼女をかばう形で"恐怖"に向かって立ちはだかる、真っ白な少年。



「もっと面白い事してモリモリ盛り上がろォぜ。悪党の立ち振る舞いってのを教えてやるからよォ」



白熱し白濁し白狂した、悪魔のような超能力者。

586 : 3/6[sage] - 2011/03/01 01:55:06.03 7g/8hD950 4/10


「痛ってえな」


本当に痛がっているのかいないのか、垣根提督は平静だった。

「そしてムカついた。流石は第一位、大したムカつきっぷりだ。やっぱテメェからブチ殺さなくちゃダメみてえだ」

「ハッ。俺と戦うのが怖くてハンデを求めたチキン野郎が何を凄ンでンだ。
 あのガキを狙うなンつー手を選ンだ時点で、もォ戦力差はキチンと決まっちまってンだよ」

「バッカじゃねえの。そいつは保険だよ。誰がテメェみてえなクソ野郎相手に五分五分の勝負なんか仕掛けるか」

「イイから掛かって来いよ。ゴブっと言わせてやる」

「…………」

「…………」


学園都市第一と第二位。
一方通行も垣根提督も、こそこそとした隠蔽など気を配っていなかった。
そういった後始末は、どこかの誰かに任せれば良い。


「ブタが。丸焼きの下拵えは終わってンだろォな」

「にしても、流石は『滞空回線(アンダーライン)』。まったく予想以上に早く登場してくれたもんだ」

「アンだァ?」

「…………」

「…………」

「笑えるな、犬野…郎……笑えねえな、犬野郎。そうやって、弱者を守るために戦ってりゃ善人になれるとでも?」

「ハッ。分かってねェな」


第一位の周囲を、邪悪な気配が渦巻いた。

体を支える杖を放り捨てる。
スイッチが入ったという、証。


「超ド級にちょうどイイ。悪党にも種類があるって事を教えてやる」

587 : 4/6[sage] - 2011/03/01 01:55:37.40 7g/8hD950 5/10



二人の超能力者が衝突する。
爆風。
そして爆音。

周囲は一瞬にして大騒ぎとなるが、当の本人たちは気にも留めない。

ぶつかり合った二人は反動で後退する。
しかし差はあった。
一人は吹き飛ばされ、一人は静かに地面へと降り立つ。


ただし、吹き飛ばされたはずの垣根提督は、顔に笑みさえ浮かべていた。
彼は、傷一つ追ってはいない。

その背中から生えた純白の翼で、全ての衝撃から身を守っていた。


「似合わねェな、メルヘン野郎」

「心配するな、自覚はある」


再び、二人の体は宙に舞い、激しい攻撃の応酬が繰り広げられた。
周囲に被害をまきちらしながら。

しかし、そうしながら、垣根は余裕を見せつけるつもりなのか、静かに一方通行へ向かって語り出した。

「知ってるか。この世界は素粒子によって作られている」

「素粒子ってのは、分子や原子よりもさらに小さい物体だな。
 ゲージ粒子、レプトン、クォーク……。
 さらに反粒子やクォークが集まって作られるハドロンなんてのもあるんだが、まあ、
 大概はいくつかの種類に分けられる。この世界はそういう素粒子で構成されてる訳だな」

「だが、俺の『未元物質』に……」


そこへ、一方通行も不敵に答える。

「ほォ。ソイツは難しい話だなァ。理解するには骨が折れる」

「難しい問題を解決するには……そォ、『解決法』が必要だ」


「つまりソリューショ「俺の『未元物質』に、その常識は通用しねえ」


「…………」

「…………」

588 : 5/6[sage] - 2011/03/01 01:56:33.30 7g/8hD950 6/10



翼が天へ広がる。
風を唸らせ、垣根の背中から六枚の羽根が生えた。

「俺の生み出す『未元物質』は、この世には存在しない物質だ。
 『まだ見つかっていない』だの『理論上は存在するはず』だのってチャチな話じゃない。
 本当に、存在しないんだよ」

「それが存外存在してるっつゥワケか。オーケー。クソと一緒に埋めてやる」


一方通行は臆さない。
存在しようがしまいが、すべてのベクトルを操る彼には問題などなにも無い。
そのまま垣根の方へ踏み込み、その心臓を握りつぶそうとする。

しかし。

「分かってねえな。テメェ」


垣根の翼が、突然光り輝いた。

謎の光が一方通行の肌を焼く。
あらゆるベクトルを反射するはずの、彼の体を。


「今のは『回折』だ」

「ほォ、解説ありがとォよ」

「光波や電子の波は、狭い隙間(スリット)を通ると波の向きを変えて拡散する」

「スリットをスルっと」

「高校の教科書にも載っている現象だ。複数の隙間を使えば波同士を干渉させられる。
 ま、何にしても応用次第というヤツだ」

「およっ、ソイツはスゲェな」

「日焼けで死ぬ気分はどうだ」

「ヒヤっとしたぜ」


「…………」

「…………」


589 : 6/6[sage] - 2011/03/01 01:57:15.43 7g/8hD950 7/10




「……物理の勉強がブッツリ足りてねェようだなボケ。
 いくら『回折』を利用したって、太陽光を殺人光線に変えられるはずがねェだろォが」

「それがこの世界にある普通の物理ならな」

「ふゥン。つゥかよ、

「だが、俺の『未元物質』ってのはこの世界に存在しない新物質だ。
 そいつに既存の物理法則は通じない。
 そして、『未元物質』に触れて反射した太陽光も独自の法則に従って動き出す。
 異物ってのはそういうもんだ。たった一つ混じっただけで、世界をガラリと変えちまうんだよ」

「マジで混じっただけで?」

ズァ!! と六枚の羽根が勢いよく羽ばたいた。
巻き起こる烈風を反射で押さえつけた一方通行は、そこで相手の意図を掴む。
正面を睨みつけると、垣根は薄く笑っていた。


「――逆算、終わるぞ」
「ッ!!」


六枚の羽根が、一方通行の体に衝突する。
骨や内臓が悲鳴を上げる音が、彼の体内を響き渡った。
彼の体は烈風に飛ばされ、大木に打ち付けられる。


「一方通行。テメェは全てを『反射』するって言ってるが、そいつは正解じゃないな」

優雅に。
空中散歩でも楽しむかのように。
口元に笑みを浮かべて、垣根はゆったりと近づいてくる。

「音を反射すれば何も聞こえない。
 物体を反射すれば何も掴めない。
 テメェは無意識の内に有害と無害のフィルタを組み上げ、必要のないモノだけを選んで『反射』してる」


回避行動を取る一方通行の体を、未元の風が追いかける。
烈風は、街を、人ごみを切り裂いていく。

「『未元物質』の影響を受けた今の太陽光と烈風には、それぞれ二万五〇〇〇のベクトルを注入しておいた。
 後はテメェの『反射』の具合から有害と無害のフィルタを識別し、
 テメェが『無意識の内に受け入れている』ベクトル方面から攻撃を加えれば良い」


「これが『未元物質(ダークマター)』」

「異物の混ざった空間。ここはテメェの知る場所じゃねえんだよ」


「ダー! こいつはクマッター!!」



「…………」

「…………」

590 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/03/01 01:57:48.44 7g/8hD950 8/10

今日のところはこれで引きさがってやるけど、
まだ続くかもしれないから覚悟しとけよ

595 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/03/01 02:06:01.40 YnImrie+o 9/10

これは第二位が第一位に殺意を抱いてしまっても仕方ないwwww

597 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/03/01 02:57:03.38 42Ttobalo 10/10

ジワジワ来るなwwww