869 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/03/07 16:25:18.35 m4ev/Oq20 1/9

五レス貰います。
とてもとてもシリアスな上インです。一通さんもシリアス出演。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-24冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298034529/
870 : 貴方の証明 1/5[sage saga] - 2011/03/07 16:26:32.62 m4ev/Oq20 2/9


 結局、上条当麻はもう死んでしまったのだ。
 それでは彼は、かつて上条当麻であった彼は一体誰なのか。
 分からない。
 分からない。



「帰って」

 インデックスの声が、俺に突き刺さる。
 彼女にそんな冷たい声で拒絶されたのは、今日が始めてだった。

「ま、待てよインデックス。俺だぞ? 上条さんですよ?」

「……っ、帰って!!」

 インデックスが叫ぶ。震えた声が寮の廊下に響いた。
 俺は動けない。今にも泣き出しそうな彼女の前で、呆然と立ち尽くしている。
 こんなはずでは無かった。
 少々噛み付かれたり泣かせてしまったりすることは覚悟していた。
 けれど、ここまで明確に拒絶されるとは思ってもみなかった。
 罰なのかもしれない。ずっと彼女を騙し続けてきたくせに、その優しさに甘えてきたことへの。
 俺は、彼女を助けた『上条当麻』ではないのだから。
 
「とうまは、絶対帰ってくるもん……」

 俯いたインデックスの呟きが聞こえた。何か言おうとして、何も言えずにドアが閉じるのを見送った。
 
「は」

 嗤う。ふらふらと後ずさって、手すりに身を預けた。
 今日のこの街の空は、どんよりと曇っている。

871 : 貴方の証明 2/5[sage saga] - 2011/03/07 16:27:54.70 m4ev/Oq20 3/9


 いっそ雨が降ればいいのに、と心の底から思う。
 みっともないほど濡れてしまえば、この愚か者を思う存分笑い飛ばすことが出来るのに。
 俺はふらふらと街の人混みを歩く。強い風に吹かれてマントの白黒がちらちらと視界の隅を掠める。
 ジーンズの穴から忍び込む風が少し寒い。こんな状況でも、馬鹿らしいことに寒さは感じる。
 
 ああそうだ、もう全てが馬鹿らしい。
 徹頭徹尾偽りで塗り潰された俺の人生も、何もかも。
 不意に吹いた風で飛ばされそうになったテンガロンハットを、右手で押さえつける。
 右手。これも馬鹿らしい。何が幻想殺しだ。俺自身が卑しい幻想そのものではないか。
 結局、この右手はどこまでいっても役立たずの欠陥品なのだ。肝心なときに役立たない。
 
 これからどうしようと思いはするのだけれど、考えがそれから先に進まない。
 真っ黒いロングブーツがやけに重たく感じる。だというのに足は止まらない。
 止まったら、決めなくてはいけない気がして。
 伸びた髪を弄びながら、延々と迷い続けて

「いや、普通分からねェだろ。どォしてそォなった」

 不意に、後ろから声を掛けられた。
 振り返ると、知った顔がそこにあった。

「まあ俺の前には知らねェ顔があるけどな」 

「一方通行……」

 相変わらずセンスの欠片も無いウルトラマンみたいなTシャツを着た一方通行が、そこにいた。
 
「ンな格好したテメエに駄目出しされる筋合いはねェよぶっ殺すぞ。つかいっそ泣くぞ」

「久しぶりだな。……変わんねえな、お前は」

「お前は変わりすぎだろ誰だよ。ってかツッコミ全スルーかよオイ」

872 : 貴方の証明 3/5[sage saga] - 2011/03/07 16:29:39.39 m4ev/Oq20 4/9


 こいつは一方通行。学園都市最強の超能力者だ。
 因みにファッションセンスもある意味最強だ。僕にはとても出来ない。

「いやだからテメ三下ゴラァ」

「……ロシア以来か。調子はどうだ?」

「まァ上々ってとこだ。で、テメエはどォしちまったンだよそれ」

「ああ……どうすればいいんだろうな……」

「いやだからその服装が悪いンだよ確実に」

「『いつものとうまが帰ってくるなら』って言ってたけどさ、結局俺が偽者ってことに変わりはねえんだよ」

「だってお前明らかに『いつもの』じゃねェもン。なンだよそのマント縞馬かテメエは」

「馬鹿みたいだよな……。凱旋だなんて浮かれて、イメチェンまでして」

「イメチェンってレベルか? てかそのジーンズダメージ受け過ぎだろ満身創痍だろもう休ませてやれ」

「結局、どれだけ変わっても俺は偽者なんだよ。そこは揺るがねえんだ」

「そのテンガロンハットは揺るぎ過ぎだろ。どンだけデカイんだよ何ガロン入るんだよ」

「ああ、本当に馬鹿みてえだよ……てか、馬鹿だ」

「いや本当に馬鹿だろブーツも髪も長すぎンだろ。なンでソイツ等が出会っちまうンだよ有り得ねえだろ」

「いや馬鹿なのはお前だけどな」

「いや殺すわ。もう殺すわ。泣きながら殺すわ」



「……ほらよ」

「学生服……?」

「それ着て、髪切りに行くぞ。ついでにウニ頭も再現すりゃあいい」

「……そんなことしたって、俺はもう……」

「『いつもの』テメエで帰ってやれ。約束したンだろォが」

「……いつもの、俺」

「オラ、とっとと着替えろ。行くぞ」

873 : 貴方の証明 4/5[sage saga] - 2011/03/07 16:30:50.00 m4ev/Oq20 5/9


 学生服を着て、美容院に行った。
 髪を切った。『いつもの』ツンツン頭にセットして貰った。
 鏡を見る。冴えない高校生の姿が、そこにいる。

「……どう、だ?」

 待ってくれていた一方通行を振り返って訊ねる。
 あいつは俺の顔を見て、一度馬鹿にしたように笑った。
 そして、感想はコイツに聞け、と横に一歩。

 インデックスがいた。
 
 喉が干上がってしまったかのように、言葉が出てこない。
 だから、黙って待った。
 待つ。そのことが、これほど恐ろしいことだと思ったのは。これが初めてだった。
 インデックスは口をぽかん、と開けて、俺を見ていた。
 その口が、固く結ばれる。一度への字に曲がって、すぐに逆になった。
 駆け寄ってきて、飛んだ。
 
「とうま!」

 力の限り、抱きしめた。
 それに応えるでもなく、インデックスも強く抱きしめてくる。

「ずっと、ずっと待ってたんだよ」

「ああ」

「怖かった。辛かった。寂しかった」

「ああ」

「……とうま、」

「ん?」

「おかえりなさい」

「……ああ、ただいま。インデックス」

874 : 貴方の証明 5/5[sage saga] - 2011/03/07 16:31:48.63 m4ev/Oq20 6/9


 今日はいろんなことがあった。
 この街に帰ってきて、インデックスに拒絶されて。
 一方通行が馬鹿みたいにダサくて、そして本当の意味で、インデックスと再会出来た。
 そして今。
 二人で、寮へと帰っている。

「あー、雨降り出してるじゃねえか。まあ傘買うのも勿体無いし、走るぞ、インデックス」

「うんっ!」

 何故か嬉しそうに(さっきからずっとこの調子だ)頷いたインデックスと共に、雨の街を走り抜ける。
 何が楽しいのかも分からないくせに、笑い合いながら。
 雨でぐちゃぐちゃになって、肌に張り付いた服の不快感を感じながら。
 ひたすら笑いながら、走った。

「あー、濡れた濡れた。インデックス、適当に絞ってから入れよ」

 濡れてへなった髪を掻き揚げて、インデックスを振り返る。
 目が合った。なのに、彼女は目を逸らす。
 嫌な予感がした。

「……とうまは?」

 この時。

「とうまはどこ?」

 上条当麻は、二度目の死を迎えることとなる。

「いや待てまさか判断基準は髪型オンリーなのかテメエ。上条さん=ウニなのか」

875 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/03/07 16:32:37.29 m4ev/Oq20 7/9

仕舞いです。アイデンティティって大事よね。

876 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/03/07 16:38:07.09 +GErCzUvo 8/9

完全過ぎたか完全記憶能力

880 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/03/07 19:24:16.85 28N9Za43o 9/9

>>869
おまえいっつも超シリアスな話ばっか投下してるやつだろいい加減にしろwww


※いつもの超シリアス

一方通行「本でも買うか」
http://toaruss.blog.jp/archives/1019704265.html

一方通行「にゃあ」
http://toaruss.blog.jp/archives/1020180001.html

一方通行「オマエ本当に俺の事が嫌いなンだな」 番外個体「ううん、ミサカはあなたの事が大好きだよ」
http://toaruss.blog.jp/archives/1020820449.html

一方通行「家族なンだからよ」
http://toaruss.blog.jp/archives/1020820986.html

一方通行「シリアスってなンだっけ?」
http://toaruss.blog.jp/archives/1021119364.html

一方通行「カレー作るぞ」
http://toaruss.blog.jp/archives/1023525145.html