901 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage] - 2011/03/27 17:53:16.70 1crJIa4G0 1/8

久しぶりに暖かくなったから書いてみた。
通行←止めのほのぼの話。4レスほど頂きます。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-25冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1299734320/
902 : 打ち止めは思春期だったようです 1/4[saga] - 2011/03/27 17:54:28.14 1crJIa4G0 2/8




薄く開いた唇がミサカのそれに触れる瞬間、ミサカはとても興奮した。
ごくり、
あの人の白い喉元が音を立ててそれを啜る。僅かに白濁したそれが口を小さく彩った。
微かに射さる朝日を浴びてギラギラと光るその様は、実に厭らしく艶めかしい。


「あっ……ダメだよ、そんな……っ!」
「あァ?」
「だってそれはミサカの初めての……っ、ってミサカは、ミサカは………っ!!」


口元に残る白い雫を、熟した果実の様な舌を出しペロリと舐める。
常なら何気ないその挙動も、一挙一動感じてしまう。

心成しか高揚した頬、荒く聞こえる息遣い、薄く上下する白い胸板。
あの人の熱が高まっている。早く何とかしてあげなくちゃ。
理性はずっとそう訴えるのに、もう、興奮が治まらない。


「そんな艶っぽく飲んじゃらめぇええええええええ、ってミサカはミサカはぁあああああああああ」
「だから枕元でンなに騒ぐなァあああああああああゴホッゲホッガハッゴフゴホゲホ」


そして苛立ちをぶつけた様に、あの人が強くグラスを置いた。
カチリ。理不尽な叫びを訴えたのか中の氷が小さく鳴った。
そう、カルピスの、グラスの中の。


「あぁああああああああああああああああああああ!!」
「煩ェえええええええええええええガハグフゲボォ!!」




903 : 打ち止めは思春期だったようです 2/4[saga] - 2011/03/27 17:55:35.09 1crJIa4G0 3/8




現在あの人は絶賛風邪に感染中なう、な状態である。
昨夜から熱が治まらず、カエル顔をした医者の下へと駆け込んだ。
しかし急激に熱を下げるのは体にも悪いと判断され、僅かな熱は未だ体を蝕んだままあの人を苦しめ続けている。

「コーヒー飲みてェ」というあの人に「体に障るよ」とカルピスを作ってあげた。
いつもヨミカワが作ってくれるカルピスを、解熱シートを買いに行ったりお粥の準備に奔走したりと大人達のいない中で、
ミサカが初めて作ってあげた。

はァ、はァ、はァ……
頬を高揚させながら、荒い息の合間を縫って白いカルピスが喉を通る。
注文したはずのコーヒーで無かったにも拘らず素直にゴクリと飲み込んだのは、
最早水分なら何でも良い領域にまで入っていたのかもしれない。

生理的な反応なのか。
潤んだ赤く艶めく瞳が真っ直ぐミサカを射抜いてくる。
「もっとォ……」掠れた声に鼓動が疼いた。

ズクン、ズクンと響く心臓にミサカはとうとう寿命が来たのかと勘違いした。
だと言うのに死ぬ気配もない自分に小首をそっと傾げながら、ミサカは追加のカルピスを大人しく注いでいく。

「ハイ、」と渡せば意表を突いて「ありがとォな……」と囁かれた。
耳元を声が支配する。頭の中をあの人の、カルピスを飲むその姿だけが渦巻いた様に取り撒いて。
ミサカはついに、


「そんな艶っぽく飲んじゃらめぇええええええええ、ってミサカはミサカはぁあああああああああ」


声を嗄らすかの如く、叫んだ。




904 : 打ち止めは思春期だったようです 3/4[saga] - 2011/03/27 17:56:19.13 1crJIa4G0 4/8




打ち止めは思春期である。
別に自分が自慰する光景や、女達の誘いこむ様を見たわけでもないが、その知識だけで頭を占める毎日だ。
これが年頃という物だろうか。一方通行は考察する。

知識がある事に関しては別に何の疑問もない。
性交渉の存在は、一方通行も彼女の歳には知っていた。
生物学に構造学、はたまた跳んで環境学から世の理の一環としてそれがあるのを認識していた。

ある意味大人より詳しいと言える。
精子を動かすエネルギー源は精子中片部にあるミトコンドリアが呼吸しながら運ぶATP、などきっと大抵の大人は知らない。
つまりはそういう事だ。何の危険性も道徳観念の外れもない、至って平和的なモノ。
だから黄泉川も芳川も、保護者二人は彼女に訪れたささやかな時期を、笑みを浮かべて見守っていたのだが……――――――――


――――――――………最近、顕著に酷い気がする。


熱でハァハァと苦しめば、隣でハァハァと息が聞こえる。
移しちまったかァ?と目を向ければ子供ケータイのカメラと目が合う。
向け続けるとはまさかムービーか。静止する前に「ああっ、ミサカに熱い視線がぁ!」
怒る気も失せ、心の中が恐怖で埋まった。

気を回し過ぎた所為だろうか。痛む喉に何か欲しかった。
無意識の内にコーヒーを所望していたらしい。「体に障るよ」と悪戯っぽく注意される。
ああ、いつものアイツだ……そう思ったのも果たして束の間。

「そんな艶っぽく飲んじゃらめぇええええええええ!!!」
俺は熱に魘されていたのだ。きっとそうだ、違いない。




905 : 打ち止めは思春期だったようです 4/4[saga] - 2011/03/27 17:57:22.93 1crJIa4G0 5/8




アイスを舐めればカメラが向く。
チキンを食べた後に指をしゃぶれば、俺の親指と自分の親指を交互に見ては虚空を見つめる。
口を開いてバナナを齧れば「最っ高だねぇ!」と声掛けられた。

もう駄目だ。
実質ゼロ歳児のガキが、こんな調子で良いわけがない。
焦った俺は冥土帰しの下に駆け込んだ。


「うん、それは思春期だね」
ンな事ァ分かってンだよ、それを何とかしろって言ってンだ!

「無茶な話だよ。君自身は育った環境やホルモンバランスの影響でまだ未経験かもしれないが、思春期とはそういうものさ」
人がトイレ行ってる間にドアへばり付いて息荒立ててる事もですかァ!?

「かくゆう僕もそうだった。ナース服を身に纏いながらいきり立った息子に手を伸ばして―――――」


冥土帰しの思春期講座を五時間に渡り受けた俺は、過剰な反応を示していたそれまでとは打って変わった様に満ち足りた心で理解した。
思春期だから、仕方ないのだ。


一緒に風呂に入っていると腰のタオルを執拗に捲ろうとする事も、人が寝てると潜り込んで上半身を剥いて行く事も、
飯食った後の皿を舐めまわし御満悦的な顔をする事も、トイレの前で聞き耳立てては息荒立てて録音する事も、
人の自室に勝手にカメラを設置してDVDを何本も取り溜めしていく事も、あなたは何で自慰してくれないの?と直接的に聞いてくる事も、
自分の所業を武勇伝の様にネットワークへ流す事も、ナース服を着て鏡を見ながら自分のカエル顔に吐き出す事も、
自分似のカエル顔の男優の出るビデオを探して奔走する事も、カエルに囲まれる夢を見ながら自分のカエル顔が一番と考え夢精する事も、


全部、思春期だから仕方ないのだ。


「あぁん、そんなにお口を開かれたらミサカのパンツ詰めたくなっちゃうよぉお、ってミサカはミサカはぁああああん!!」


欠伸しただけでそう言われるのも、全部全部、仕方がないのだ。




≪打ち止めは思春期だったようです≫(完)




906 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage] - 2011/03/27 18:00:29.47 1crJIa4G0 6/8

以上です。
春だからこんなの書いても仕方ないんです、春だから。

911 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage] - 2011/03/27 20:04:57.40 +qFzqUfAO 7/8

ワイシャツの人かしら
誰にせよ乙

912 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage] - 2011/03/27 20:14:10.33 1crJIa4G0 8/8

だからなんで皆俺を特定できるんだ
そんな独特かなぁ……?