950 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage] - 2011/03/28 00:03:53.86 56QdcSQv0 1/8

グループ時代でちょっと性別が特殊な一方さんとあわきんの結構に生々しい話。本番は一切なし。
ネタバレになるので特殊としか書けないけど注意が必要。6レス頂きます。
座標通行です。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-25冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1299734320/
951 : 少年少女と夜と楽園 1/6[saga] - 2011/03/28 00:05:42.35 56QdcSQv0 2/8




夜を共にした事は何度もある。
初めは堕ちた者同士の、傷の舐め合いに近かった。
つまりは雰囲気。その場のノリという何とも心許無い、ある意味若者らしい始まりだった。

だからこそ、結標淡希は不信がった。何故一方通行は自分に手を出してこないのか。

否、この言い方には語弊がある。手だけだったら何度も出された。
同じ年頃の少女達と比べれば幾分かふくよかな胸元も、本番を体験した事のない女性器も、何度だって弄られ何度だって愛撫された。

そう。『本番を体験した事がない』のだ、結標は。
一方通行は彼女の体に触れるものの、一向に致す気はないらしい。
同じベッドで何度一晩を過ごした所で彼が脱いだ事は一度もない。



元々がセフレに近い関係だっただけに、結標は似合わないと自覚しつつも心配だった。
もしかしたら自分に求められているのは、変わらず体だけなのではないか。

闇に生きる人間にとって心の拠り所というのは何においても重要だ。
もしかしたら彼が必要としているのは結標という一人の人間ではなく、同じ年頃の女という存在なのではないか。
責任を恐れて本能的に直接のソレには至らないのではないか。
一方通行自身にも自覚がなく、セッ○スという行為で理不尽な世界への苛立ちを昇華し精神を安定していた可能性は十分に在り得た。
寧ろそれにより始まったのがこの関係だ。

だが結標は一線を超えてしまった。
体を通して体を超えて、愛してしまったのだ。一方通行という、同じく闇に生きる少年を。




952 : 少年少女と夜と楽園 2/6[saga] - 2011/03/28 00:06:48.15 56QdcSQv0 3/8




「ねえ、……一方通行」
「あァ?ンだよ」

甘える様に結標は腕を彼の首へと絡ませる。少し右手を動かせば、クシャリと仕立てのいいスーツが絹鳴りをした。
誘うかの如く胸を押しつけ白い耳元へ唇を寄せる。
本職みたいで恥ずかしかったが、淡白な彼が相手ならこれくらいが丁度良い。

「今日はソレ……入れて欲しいんだけど……」

囁くように掠れた声で『お願い』してみる。
右手は彼の首に絡ませ、左手で彼の下半身を撫で――――――――

下半身を、撫で――――――――……

「?」

想像していた膨らみがない。不感症だったとしても、ここまで感触がないのは不自然だ。
敷いて言うならスカッ、と手が擦れた感覚。
端的に言えば、殆ど感触がない。

一変した空気に目を見開いた彼を押しつけ、長いTシャツを首まで捲る。
見た事なかった白い柔肌が目に眩しい。
浮き出た肋を通り越してその先、赤く色付く両乳首が付き出る源。

「…………胸………?」




953 : 少年少女と夜と楽園 3/6[saga] - 2011/03/28 00:08:10.16 56QdcSQv0 4/8




一端服に隠れれば気付かぬ程度のささやかな胸。
更に上から医療用の包帯をキツク巻きつける事で見事周囲を欺いてみせたその胸元。
だが直に触ればすぐ分かる、ただの脂肪じゃ再現できない独特の手触り。

「――――――騙してたの……?」

一方通行は何も言わない。

「女に触られてイく私を見て、心の何処かで嘲笑ってたの……?」

しかし非難から逃れる様に顔を逸らす事などもせず、一心にこちらを射す赤い瞳。

「答えてよ、一方通行!!」

ハ、と嘆息した様な溜息が洩れた。
結標のものではない。すなわちこれは、残された―――――――

「俺が少ォし弄っただけで馬鹿みてェに喘ぐオマエは最高だったぜェ?何度イきゃァ気ィ済むンだよ、って話ィ。
 なァ感想聞かせろよ、惚れてた相手が実は同性でしたってどういう感覚だァ?一人前に悲しかったかァ?
 ンな訳ねェよなァ。俺もオマエもそンな資格これっぽっちもねェ、人殺しなンだから」

酷い……気付けば口に出していた。
用は遊ばれていただけなのだ。自分とこれからどう生きていくか、どんな関係を作っていくかなど真剣に考えていたのは結標の方だけだったのだ。
心の中に抱えていた、色々なモノが音を立てて崩れていくのを肌で感じる。
終わった、んだ………静寂の中、実感した。




954 : 少年少女と夜と楽園 4/6[saga] - 2011/03/28 00:09:22.01 56QdcSQv0 5/8




その後どうしたのか分からない。気付けば小萌の家に帰っていた。
仕事があったらどうしよう。
関係のない海原や土御門に迷惑を掛ける事には気が引けたが、今日ばかりは休みたかった。
何より彼――――……彼女と顔を合わせたくなかった。

だが現実は残酷だ。

ピリリリリリリ、『着信3』と書かれた名義が携帯電話に表示される。
タノシイタノシイお仕事の時間。
幾ら溜息を吐いた所で事態が急変する事もない。
休みたいなんて言えば休めるだなんてはずもなく、仕方がなしに例のキャンピングカーへと向かった。



苛立ちや不安をぶつけていれば、呆気ないほどに早く仕事は終わった。
今日に限って用事があるという海原と学校で降りる土御門が早々と車内を出ていく。

静寂。
彼女を同性としったあの日の空気によく似ていて、結標は消えてしまいたかった。
座標移動を使えば文字通り何処か遠くへ消える事もできるが、こんな不安定な精神で能力を使う事は恐ろしかった。
カチャ、カチャ……最近の気に入りらしい、珍しくドリップコーヒーの入ったカップを弄る彼女の音だけが響いた。
耐えきれない。

「ねえ、」

沈黙に耐えきれず、ついに声を出してしまった。
彼女の赤い目がこちらを射抜く。試す様なその視線。
居心地悪いが、一度言葉を発してしまった。取り返しは、もう付かない。

「言ってた、わよね?惚れてた相手が実は同性で、どう思ったか、って――――――――」

ピクリ、彼女の肩が跳ねる。
表情の消えたその顔に微かな違和感を覚えながらも、結標は続ける。

「それでも私は、やっぱりあなたが好きだった。何度も何度も考えたって、あなたの事が………」




955 : 少年少女と夜と楽園 5/6[saga] - 2011/03/28 00:10:52.39 56QdcSQv0 6/8




「あなたは遊びだったかもしれない。女だって知った時は私だって驚いた。それでも――――――
 ………それでも、気持ちは変わらないわ」

何を言っているんだろう、私は。
自分で言葉に出してるじゃない。あなたは遊びだっただろうけど、って。
けれども惨めな気持ちには不思議な事にならなかった。逆に感じる清々しい気分に、想いを吐き出すと言う事がどれほどの物か学び知る。

「ゴメンねなさいね。迷惑……だったわよね。でも覚えておいて。私はあなたが好きって事、」

所詮は一方的な感情だ。
遊びの一環的な彼女には少々荷が重かったか。それも罰という事で。
彼女の反応を見たくなり、俯きながらボソボソと喋っていた結標が徐に顔を上げる。
そして、

「馬っ鹿じゃ、ねェ、の………?」

潤んだ瞳と、目が合った。



「馬っ鹿じゃねェの……?女が女を好きになるとか在り得、ありえねェ、だろォが……」

言葉に混じった嗚咽が目立つ。
震える肩、充血した目。泣いているのだと全身が発していた。

もしかして。疑問の波が胸を打つ。
あの日彼女は、バレたその時、普段に背いて饒舌だった。
仕事を皮肉る事はあるものの、後悔する様な素ぶりもそれで自分を卑下する事も、何一つだって示さなかった。

「在り得なくなんてないわよ。現に、私が此処にいる」

もしかして彼女も同じく、苦しんでいたのではないだろうか。

「私は一方通行が好きよ。男も女も関係なく、あなただから好き。最初は……戸惑ってしまってゴメンなさい。
 でもだからこそ、よく考えてみて分かったわ。もう無理なの。女同士だからとかそんな細かい事なんて気にしていられないくらい、あなたが好きなの」

彼女も私を愛した事で、必死になっていたのではないか。
あまりにも都合の良い解釈かもしれないけれど。




956 : 少年少女と夜と楽園 6/6[saga] - 2011/03/28 00:12:28.36 56QdcSQv0 7/8




「………仮性半陰陽なンだよ、本当は女じゃなくて」

ポツリと呟かれた言葉に、聞き入る様に相槌打った。

「遺伝子の方は男のクセに、体の方は殆ど女。戸籍表記は性別保留。一応男の証みてェなモンもなくもねェが、それだって見せられるほどありゃしねェ。
 寧ろ乳房の方が一人前で、陰毛だって生えてこねェ。男と考えるには酷ェだろ?………二次性徴前のホルモンバランス崩壊の影響、なンだとよ」

『反射』に伴う、能力弊害。
彼女は決して、『彼女』でなかった。彼は彼で、苦しんでいたのだ。
自分の様な体で人を愛していいものなのか。自分の様な人間が人に愛されるものなのか。

「何度も言わせてるんじゃないわよ………」

そして今も、試している。
本当の自分を晒しても結標淡希が逃げないか。

「『結標淡希』は『一方通行』が好きだって、愛してるって何度だって言ってるでしょうが!!」

ならば答えは、叫び出す程の愛をもって。




「ねえ、いつもみたいに触ってよ」

呆気にとられた様に目を見開いた彼に向って、いつだかの如く囁いた。

「あなたが欲しいの」
「…………俺には入れるだけのモンはねェぞ」

挿入だとか子供だとか。本当に欲していたのは体で得られるモノじゃない。
彼は本当に、自分を求めているのか。
あの日あの時、私はそれを確かめたくて。

「あなたの愛で、イかせてよ」
「―――――上等じゃねェか、淫乱娘」

足りないモノは、全部あなたの愛で埋め尽くして。
私はあなたの愛でる手だけで、楽園の海に流されるから。




957 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)[sage] - 2011/03/28 00:13:31.94 56QdcSQv0 8/8

以上です。
性別不詳の一方さんには鈴科百合子ちゃんとか色々な設定のSSが見受けられますが、男じゃない設定の話は初めて書きました。
寧ろ普段は別カプばかり書いてるから新鮮だったけどこういう系統はアリなのでしょうか……?
もしもこのまま本番に至った場合に、可哀想なのはキャンピングカーの運転手 (*ノД`*)