携帯電話が震えた。着信画面を見ると、そこには珍しい名前が浮かんでいた。私は不思議に思いながらも、携帯電話を耳に当てる。そこから飛び込んできたのは、いつも聞いているのと少し違った同僚の声。
黒子「……初春ですの?」
初春「白井さん、どうしたんですか?めずらしいですねー、電話してくるなんて」
黒子「ちょっと相談がありまして……」オズオズ
こんなに遠慮がちな白井さんは初めてだ。少し呆気にとられながらも、私は小さく頷く。相手に見えていないのは分かっているけれど。
初春「……私にできることならお手伝いしますよ」
黒子「感謝しますわ……実は」
初春「はい」
黒子「恋をしてしまったかもしれませんの」カァァ
初春「……はい?」
――
初春「で、どういうことなんです?」
黒子「わざわざ呼び出して……電話でもよかったんですのに」
初春「だって白井さんが御坂さん以外に恋!だなんて!大事件じゃないですか!」バーンッ
黒子「声が大きいですの……」アワアワ
初春「(白井さんが、可愛い……だ、と……)」
黒子「何か失礼なことを考えている気がしますの」ムッ
概ね正解です、白井さん。見慣れていないからか、もじもじと頬を染める彼女は、可愛らしくも気味が悪い。
私は気になる本題に入ろうと、前にグッと身を乗り出した。
初春「それで?相手は誰なんです?」
黒子「それが……名前は存じませんの」フゥ
初春「?どういうことです?」
黒子「……笑いませんの?」
一瞬の空白。
白井さんが眉を潜めた。慌てて私は首を横に降った。
初春「もちろんじゃないですか!笑いませんよー」タブン
不安げに私を見ていた白井さんだったが、意を決したのか唾を呑み込むのがわかった。
早くしろって思ったのは秘密だ。
黒子「実は、一目惚れでして……」
白井さんが言うには、なんでも女の子に暴力を奮おうとしていた悪漢を取り押さえようとしたところ、その人に会ったそうだ。
なんとも分かりやすいことに、その人に゛助けられた゛のがきっかけらしい。
初春「助けられた……?」
黒子「えぇ……非常に言いづらいんですが」
初春「また、一人で無茶したんですね?」
黒子「……はいですの」ショボーン
初春「まぁそれは後でまた聞かせてもらいます。どんな方だったんですか?」
黒子「なんでしょう……本当に真っ白な方でしたの」ポワーン
初春「真っ白な人、ですかぁ……」
私は佐天さんから聞いた都市伝説を思い出していた。いわく、゛学園都市第一位は白い化け物である゛とか。話半分に聞いていたため、詳しいことまでは分からない。しかしそれはないだろうと、私は考えを頭から振り払った。
初春「でも名前がわからないんじゃ、また会えるかも分かりませんよね?」ウーン
黒子「そうなんですの……」ズーン
初春「わっ落ち込まないでくださいよ!」
黒子「別に……落ち込んでなんてないですの」プイッ
初春「キャラが変わってますよー!白井さぁん」
私だってせっかくの白井さんの恋だ。応援したくないわけがない。
初春「(でも名前もわからないっていうのはなぁ……真っ白、かぁ)」フゥム
黒子「……まだ、恋とは限りませんもの」ムー
初春「そうなんですかー」
黒子「初春?聞いてますの?!」
初春「聞いてますよー」ハイハイ
適当に相槌を打ちながら、私は佐天さんに明日詳しく聞いてみようかと考えを巡らせていた。
807 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/04/10 22:25:25.13 wueE+PxDO 3/3おわりです
無理矢理な感じですが、なんで助けたのかとか考えると長くなりそうだったんで
黒子可愛いよ黒子