837 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:33:15.62 Zd+XryUN0 1/12

ちょっと場所借りる。ステインSSで22~新約の間の妄想。

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-27冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1302720595/
838 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:34:21.34 Zd+XryUN0 2/12


第三次世界大戦は終了して五日間が経過した。
科学と魔術の争いは表面的には矛を収め、一時の不気味な沈黙を保っている。

そんな中、
『必要悪の教会』に所属するステイル=マグヌスは戦争で起きた事後処理を済ませ、漸く身体を休める事に成功していたのだが。

(……はぁ)

どうやら。
まだ彼には仮初の平和すら味合うのを許されていないらしい。
ステイルがいるのは『必要悪の教会』に宛がわれた特別な個室。魔術的にも物理的にも厳重な警戒を引かれた大理石で構築された堅牢な空間。
そんな空間に居るのは彼だけでなく、もう一人の少女が同席していた。

禁書目録。

白い修道服を纏ったインデックスは、備え付けられた簡易式のベッドを上で体育座りをしながら表情を隠している。
その姿からは、いつもの元気で破天荒さとは結んでも結び付けられなかっただろう。
ステイルからは表情を窺う事は無理だった。
少女の付き人から訊いた報告では、頬が扱け落ち、色は青白く、目元には黒い隈が汚してしまっているらしい。
食事も、睡眠も、まともに取っていないらしい。
まさに病人そのものだった。

(困ったものだね)

この個室に踏み込んでから幾度目かの溜息を吐いたステイル。
戦争の事後処理に追われ、漸く守りたいと誓った少女と対面したかと思えば、このような有様だ。

(あの子の元を離れるべきじゃなかっただろうか)

自分が傍を離れなければここまで酷くはならなかったと考えるが、

(結果は同じだったろう)

下手な希望的観測を挟むことなく断じたステイルは、微かに顔を顰める。
原因は解っている。
その大元が解決しない限り、彼女の表情に笑みは戻ることが無い事も。

839 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:35:20.82 Zd+XryUN0 3/12


「……お腹は減っていないのかい?」

黙していても始まらないと口を開いた。
重たい沈黙が横たわっていた空間に、優しげに響く音が木霊する。

「……」

木霊に返ってきたのは木霊では無かった。
だが声こそ無けれど、蹲めた頭が横に振られたのはせめてもの僥倖だった。

(まだ全てを閉ざした訳じゃない。彼女は救いを求めている証だ)

もしくは必死の抵抗か。
受け入れがたい現実を認めようとしない足掻き。

「お腹が減っていないのは分かるが、少しは食べないと保たないんじゃないかい?」
「……」
「もう四日。ほとんど食事に手をつけてないのだろう」
「……」
「必要なら直ぐにオルソラにでも消化の良いものを用意させるが」
「……」

返事は無い。
返答は無い。

「……」
「……」

両者ともに、無言状態に陥ってしまった。
ステイルは所在なさげにインデックスから視線を外すと、悟られないようにまた溜息をついた。
元々、慰めるという行為そのものが苦手なのだ。
気遣いや労わりというのに無縁の生活を送った弊害なのか、自分が捻くれすぎてしまったせいなのか、どうにも慣れることが出来ない。
精一杯の励ましも少女には届かず、困り果ててしまうのも無理は無かった。

そもそも。

常から寡黙で全てを語ろうとしないステイルと、普段ならば喧しいぐらいに騒ぐインデックスは無言を貫いている時点で。
二人の間に聳え立つ無言の壁は必然的だったのかもしれないが。

840 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:35:58.02 Zd+XryUN0 4/12


(……)

どうすればいい?
そんなのは決まっている。決まっているが……。
自分にはどうすることもできない。
無力だ。少女を守ってやりたいと願いつつも、その想いは儚く散っていく。
何故なら。彼女が求めているのは――。

(――クソがっ)

不愉快な結論に至った答えに、内心で気持ちが荒れてしまうステイル。
もう四日。
四日間も、似た様な状況に陥っている。
インデッスクが目覚め、一人の少年が行方不明になり、大規模な戦争が終戦を告げてから。 前進も、後退もしない。
無効率で、無意味で、無価値な。
どうしようもないほどの停滞。 ――それが現在の状況だった。

(情けない。何が彼女の守護者だ。苦しんでいる、と分かっていて、僕にはどうすることもできないなんて)

目からしても顔色が優れないと判別がつく少女。
あの少年が行方不明なのに気が気でないのだろう。巻き込んでしまった苦悩や後悔で、小さな体が弾け飛ぶぐらい悩んでるに違いない。

(上条当麻……君は一体何をしているんだ)

ギリッ、とステイルの口から歯軋り音が鳴った。

(僕では……ステイル=マグヌスでは。彼女を本当の意味で救ってやるのが出来ないなんて周知の事実じゃないか)

ステイルだけでは無い。他の何者で無く。

きっと。
間違いなく。

彼女を救えるのは、太陽のように燦々と輝く満開の笑みを失わせている闇を取り払えるのは。上条当麻という存在だけなのだ。
その大役は、ステイル=マグヌスでは代行できない立位置。

841 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:36:32.91 Zd+XryUN0 5/12



(所詮、僕に可能なのは……)

裁きの炎操りし魔術師に可能なのは、彼女を脅かす脅威を灰にしてやることのみ。

外敵という外敵を、全てという全てを。
壊し、砕き、焼き、熱し、滅し、裁いてやるだけの。

力による証明のみである。
そんな血に濡れた、真っ赤な罪を背負う彼が、本当の意味で少女を救うことができるはずがないのだ。

「……どうしたの?」

思考の隙間を縫うように、ステイルに声が飛んできた。
どうしようもない程に聴きたくて、どうしようもなく聴けなかった筈の声が。

「大丈夫?」

気付かなかったが、いつのまにかインデックスは顔を上げ心配そうに自分を窺っていた。

「僕は大丈夫」
「でも辛そうだったよ」
「そう見えたのかい?」
「……うん」
「そうかい」

ステイルは懐かしそうに目を細めた。
その目で生気のない少女の顔を見つめる。

「君には敵わないな」
「なんのこと?」
「君が知らなくてもいいことさ。ずっと昔の、昔の話だから」

もう戻る事はない。
遥か昔の過ぎ去った過去。失ってしまった過去の残滓。

「でも。そうだね」
「?」
「君は変わらない。いや変わったけど優しいままだ」

他人を心配するような余裕なんてないだろうに。
でも自分が悔いているのを敏感に察しては、そうやって他人を気遣ってしまう態度。本当に昔のままだ。
成すすべも無く膝を折る自分に対して、真っ白な状態に記憶を消去される間際まで笑みで支えてくれていたのは少女だった。
現在と同様に、他人を気遣う余裕なんて皆無のはずの少女は、いつだって他人を優先してしまう。
上条当麻しかり、そしてステイル=マグヌスをも。
記憶を失おうが、どれだけ弱ろうが、その本質が捻じ曲がる事は無い。
ステイル=マグヌスが守ると誓った少女のままだ。

842 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:37:15.93 Zd+XryUN0 6/12


(だったら……僕はどうなんだ?)

変わりながらも強さを失わなかった少女に対して。
ステイル=マグヌスはどう相対する。

(また同じように膝を屈するのか)

過去の自分と同じように。
また少女を見殺しにしろと言うのだろうか。次はやり直しは効きはしない。そもそもアレはやり直しじゃない。純粋に幾度も地獄を味合わせた拷問だ。一度だって許されることじゃない。
そんな辛さをまた少女に甘受しろと、このフザけた口は吐き出すつもりだと言うのか?

(まさか。僕だっていつまでもあの頃のままの僕じゃない)

少女のためだけに、守るためだけに、誓いのためだけに人生を費やしてきたのは。
こんな情けない結末を迎えるために生きてきたんじゃない。

「……いつだったか」

ポツリと零れた言葉は波紋として空気を振動させた。
また俯き始めていたインデックスが釣られるように顔を表に上げた。
まるで引き寄せられるように。
ステイルの声質が変化したのを見逃さなかったのだろう。先ほどまでと違う、どこか楽しそうで、そして信念を含んだ揺らぎない意思を感じ取ったのかもしれない。

「君が『自働書記』状態になった時だ」

ステイルは続ける。

「君が待っているあの男は言っていた」
「ッ!?」

上条当麻の事だと気付いたのだろうインデックスは、どこか怯えたように身動ぎをした。
ステイルは構わない。聞いているのなら別にいいと。

「長ったらしくて臭くて、聞いている方が恥ずかしくなりそうな台詞だったけどね」

インデックスと上条当麻が出会った運命の日。
記憶の消去以外の手段を講じ、『自働書記』というモードになったインデックスに苦戦する中、あの少年は叫んでいた。

843 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:37:54.25 Zd+XryUN0 7/12


「そんなアホで愚鈍で馬鹿な男から、君は一つ約束されたんじゃなかったのかな」

ステイルは直接は知らない。
だけど推測するのは容易だった。あんな台詞を恥ずかしげもなく言い切る男が、絶対に言わない筈がないだろう。
間違いなく伝えているはずだ。
通信越しではなく、己の口で直接伝えたいと。
だから、

「必ず、戻る。なんて約束を取り付けられたんじゃないのかい?」
「――ッ!?」
「やっぱりね。見え見えすぎて逆に馬鹿らしくなってくるよ」
「でもっ!!でもとうまは!!」

嘆息してみせたステイルに、張り裂けそうになるほどの声で叫んだインデックス。
その表情は悲しみに彩られ、目尻には零れ落ちそうになる雫が光っていた。

「とうまはっ……とうまはいないもん!ここにとうまはいない!いないんだよ!!」
「そのようだね」
「ミーシャ=クロイツェフを止めようとして……っそれでっ!!」
「何を考えたのか。まるで自殺願望者のように大天使の進路上に割り込んで、決死覚悟で突貫したようだね」

結果は今の現状の通り。
人類は生存し、一人の少年が行方不明になった。

「とうまを悪く言わないで!!」

金切り声だった。
今まで必死に隠し溜め込んでいた負の感情を、ステイルに刺激されたせいだろう。その表情は痩せ細りながらも、いや尚の事なのだろうか。鬼気迫る形相になり歯を剥き出しにして怒りに感情に染めていた。両の目尻から大粒の雫が扱けた頬を伝い地面に染みを作っていく。

「とうまはわたしたちを守るために命を懸けたんだよっ!それを……っ……ひくっ……そんな風に言わなくてもっ――」
「その結果、君はこうして泣いてしまっているんだけどね」

ステイルは冷酷に真実だけを口にした。
今はただそれでいい。スマートな方法なんか元より自分には不可能だ。
どれだけ恨まれようが、どれだけ嫌われようが、知ったことじゃない。インデックスを生かすためならば、例え本人に拒絶されようが躊躇う必要はどこにも有りはしないじゃないか。

(履き違えるなステイル=マグヌス。僕の操る系統は火の属性。壊し、砕き、焼き、熱し、滅し、裁いてやるだけの破壊の象徴。そんな僕が癒すなんていうのがおこがましいじゃないか)

だから。
破壊しよう。

(君を支配する暗鬱たる闇を。徹底的に、塵すら残すことなく、燃やし尽くしてやる)

上条当麻にしか果たせない大役? 癪だが認めよう。確かにインデックスを救うのはあの少年にしか無理かもしれないが。

844 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:38:39.00 Zd+XryUN0 8/12


(だから――だからどうした)

本当に。だからどうしただ。
この場にいない役立たずなんて捨て置け。
右手に不思議な力が宿っているとか言うが、猫の手より劣る犬畜生なぞに頼るのはこちらからお断りだ。

「インデックス」

覚悟を決めたステイルは静かに声を紡いだ。
初めて、少女の名前を直接口にしながら。その口調は優しくも厳しい神に仕えし神父の口調であり、少女を見守る父親の表情だった。

「ひっ……ぐすっ……っ……」
「君はどうして泣いているんだい?」

まるで理解が追いつかないとばかりに、ステイルは抜け抜けと言ってみせた。
インデックスは涙に赤く腫らせた相貌を、感情のままに動かしたのが憎しみとして昇華し、やはりステイルを睨み付けてきた。

(きっと自分の感情すら把握できてないんだろうね)

10万3000冊を身につけた少女の精神コントールは生半可なものでは決して無い。
そして曲りなりにも魔術師としては一流のプロだ。平常時ならこんな軽い挑発には乗りはしないだろう。

「もう一度問おう。どうして泣いているんだい?」
「あなたになにがっ……分かるっていうんだよっ!」
「分からないから問うのさ」

自然だろう、と首を傾げるステイル。

「そんなあなたに分かるはずがないかも!ううん、分かってほしくなんかない!」
「ふぅ……。そんなに上条当麻がいなくて寂しいのかい?」
「――うるさいよ。もういいから部屋から出ていってよっ!!お願いだからっ!!」

怒りは生きる活力になるとはよく言ったもんだ、とステイルは自嘲した。

(なかなか苦しいものだけどね。守りたいものを傷つけるというのは)

だけど後悔しない。することすら許されない。
それぐらいで揺れる覚悟なら、元より実行にすら移していないのだから。

「もちろん要件を済ませたら出て行くさ。君からお願いされなくてもね。僕だって暇じゃない」
「訊きたくない。あなたの言葉なんかっ」
「それは困る。なにせ君は一つだけ誤解をしているからね」
「とうまがいなくなって嬉しいっていうこと?」
「ふむ……」

邪悪な表情だ。君にはそんな表情も皮肉も似合わないかな。
内心で処理したステイルは、

845 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:39:41.54 Zd+XryUN0 9/12


「ああ、それは誤解じゃない。むしろ喜ばしい事に本心だから、誤解なんかで取り消されると僕としても反応に困るよ」

火にガソリンを注ぐ始末である。
むしろ幾分嬉しそうだったのが見え隠れしていた。

「怒らないで欲しいな。本心なんだから仕方ないだろう?」
「……」
「おや無視ときたか。じゃあ遠慮なく続けさせて貰おうかな。どうせここまで来たんだ最後まで言わせて貰っても構わないよね?」
「……好きにしたらいいかも」

ボソッと苦虫を潰したように呟いたインデックス。

「では遠慮なく続けよう」

終わらせよう。
いい加減飽き飽きしているのだ。こんな茶番劇は、とステイルは不機嫌そうに息を吐いた。
インデックスを除く『必要悪の教会』のメンバーは心配こそすれ、目の前の少女みたいに落ち込んでいないのには理由がある。
それは――


「――どうして君は上条当麻を死んだように扱っているんだい?」





「…………え?」


見開いた二つの瞳と、ポカンと開いた口。
少女自身すら自覚していなかったのか、「あれっ……」と不思議そうに呟きが零れる始末だった。

「やっぱりね。どうもおかしいと思っていたんだ」

ステイルは被りを振った。
認めたくない事実。だけど心の中で根を張ってしまうのは人間の防衛本能なのか。予め最悪を予想することにより、受ける衝撃を受け流す。
インデックスの場合、それが重たすぎた結果、本末転倒になってしまったに違いない。
最悪を想定するのは悪では無いが、それで鎖に縛られたように身動きができなければ逆効果もいいところだ。

846 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:40:45.33 Zd+XryUN0 10/12


(そう思いたくなる気持ちも無理はないけどね)

上条当麻の生存は、普通に考えれば絶望的だ。
生きている方がおかしい。何かが間違いなく狂っているが、

「狂っていると言えば、初めから全てが狂っているんだし、今更なんだけどね」
「なにを言ってるのか分からないよ。大体、あんな状況でとうまが生きてるって言える根拠はあるの?お世話にきてくれた人達だって、皆そうやって励ましてくれるけど確証なんかないんでしょう!!」
「ああ、うん。確証はないね」
「だったら!!変な慰めなんかやめてよ!私だってとうまが生きてたらって願ってる!今だって願ってるし祈ってるもん!でもとうまは――」
「確証は無いけど、確信ならあるよ」
「へ?」
「言っただろう。生きている方がおかしい。だけど“おかしい”のなんて今に始まった事じゃないって」

ステイルは微笑みながら、インデックスに向けて宣言してみせた。
ここからが正念場だ。準備はいいかいステイル=マグヌス?

「始まりは君たちの出会い、それに続き錬金術師との争い、御使堕しに、法の書の争奪戦、使途十字による学園都市死守、神の右席との熾烈な争い、と」

ステイルは歌を紡ぐように、あの少年の経緯を口ずさんでいく。
簡潔に略すだけでこれだけの戦果を言葉に表せれるのだ。そしてあの少年はただの学生で、決して戦闘のプロなんかじゃないど素人。
これがおかしくなければ、何がおかしいと言うのだろうか?

「それだけの激戦を生き抜いたあの素人が、たかが上空から放り出され海に叩きつけられたぐらいで死ぬというのなら、それこそ何かがおかしくて狂ってると言うしか表現できないよね」

クックック、と喉を震わせるステイル。
言っていて馬鹿らしくなった。絶対に死ぬはずが無い。考えれば考えるほど死んでいる可能性が霞んでいくのだから。

「まだ納得できないかい?」
「でも……とうまは人間なんだよ。不死身って訳じゃない」
「もちろん、死ぬときは死ぬだろうね」

でも。
それは。

「こんな詰まらない終わり方じゃないよ。あの馬鹿の死に様は決まっているんだから」

何故なら。
ステイル=マグヌスは決して許さないからだ。目の前の少女を悲しませた罪深き者を。

「この僕が塵すら残すことなく燃やすと決めているからね」
「なななな、なにそれ無茶苦茶かもなんだよ!」
「無茶苦茶じゃないよ、当然じゃないか。僕の魔法名が全てを証明している」

魔法名――“我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)。
彼の魔法名に刻み込まれた由来の意味を、インデックスは知る由もないが、彼だけはそれだけで確信から確証になるには十分ではないかとさえ思わせる意味が籠められていた。

847 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:41:57.00 Zd+XryUN0 11/12

「あの馬鹿を燃やすのは僕の仕事なんだ、他の何者にも、他の何物にも譲る気は無いんでね」

だから生きている、とステイルは言い切って見せた。
それは優しい嘘のように他者には響くかもしれないが、当の本人は間違いないと一欠けらすら疑っていない。その在り方は、どんな方便や嘘には含まれない、雄弁に語りかける真実性を帯びていた。
少なくとも、目の前の少女に一筋の希望を見出させるぐらいに、は。

「そ、そんなこと絶対にわたしがさせないかも!」

さっきまでの邪悪な表情ではなく、弱弱しいが常の少女が浮かべる表情でステイルに噛み付いてきたインデックス。
空元気かもしれない。まだ心の奥底では信じきれず絶望感に苛まされているのかもしれないが。
それでも十分だと判断できるぐらいには、ステイルの言葉は確かに心に届いたのは事実だった。

「そうかい。だけど君がここでご飯も睡眠もまともに取らないのなら、それは現実問題不可能なんじゃないかな」

馬鹿にした笑みを浮かべたステイルは、そう言い捨てると背を向けた。
背後から唸る少女の声が響く。それを心地良さそうに受け止めたステイルは、漸く唇に純粋な喜の感情を乗せて見せた。

「後でオルソラをそちらに向わす。温かいスープと飲んだら、少し睡眠を取る事だね」
「まだ話は終わってないかも!!」
「僕の要件は終了したからね。言っただろう暇じゃないって。あと君の体調が良好になったら、クソ上司に掛け合って君を学園都市に行くように手配する」
「え。なんで?」
「あの素人がひょっとしたら自力で学園都市に帰還するかもしれないからね。見つけたらちゃんと僕に報告するように。すぐに燃やしにいくから」
「絶対に報告なんかしないかも?!」
「それは残念だ。まあ向こうには土御門もいる。当面は世話になればいい。じゃあもう僕はいくよ」
「ま、待ってってば!」

気持ちいい程にスルーして見せたステイルは、そのまま個室の扉を開き外に出ようとした。
重たい扉が開かれ、寒い空気が室内に滑り込んでくる。
もう半身は外に出ただろう状態になったとき、その背中に向けて声が投げつけられたのだった。

「あ、ありがとうなんだよ……」

精一杯の感謝の言葉。
どうやら真意を悟られたようでステイルとしては面白くなかったが、素直に受け取っておくことにした。
もちろん燃やすのは規定事項だがら後で嫌われてしまうかもしれないが、別に無理に嫌われるのは避けたいのは本音なのだから。

(やっぱり君は優しい子だよインデックス)

返答することなく、外にへと身を飛ばしたステイル。
ギィー、と樫の木製の扉が、重たい音を響かせてバタンと閉じられたのだった。


【閉幕】

848 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/04/29 19:44:17.23 Zd+XryUN0 12/12

原作でステイルとインデックスの絡みがないのが不憫すぎる。
ステイルさんまじイケメンなのになー。本当に原作でいつ和やかなムードにこの二人はなってくれるのか。かまちー先生には頑張って欲しい。

では、お邪魔しました