680 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga] - 2011/05/15 19:37:56.26 B6j1nkCO0 1/18流れをブツ切ります。すいません
途中で挫折したやつ、折角なので投下させてください
・なので未完です
・むぎのんと一方通行です
・ほんのちょっとだけ残酷な描写があります
変わった子供だった。
蟻をプチプチ踏みつぶして喜んでいる子供はたまにいるが、彼女の場合はそうではない。
蟻をチリチリと焼き殺して喜んでいるような子供だった。
指からビーム☆
冗談みたいな事が本当に出来てしまう、人間兵器のような女の子。
学園都市で能力開発を受け、見える範囲一帯を破壊しつくすような力を得た麦野沈利を、人々は恐れた。
嫌われ者の沈利ちゃん。
幼かった彼女は、小さいながらもそれが当然だと思った。
自分が嫌われる理由が何となく分かる。
でも、やめられない。
殺すの大好き。
命を溶かすって、とっても素敵。
変わった子供だった。
さすがにもう大きくなったのでそんな事はしない。
「だって、蟻さんがかわいそうなんだもーん」
なので。
かわいそうな蟻さんの代わりに、高校生になった彼女がチリチリするのは――――
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「ひぃぃぃっ! た、た、助け、許して下さいぃぃ……」
「はーい残念。そうは問屋が卸さないのでした」
形のいい手に光が集まる。
『粒子』でも『波形』でもない、曖昧な形で強制的に固められてしまった電子が、悲鳴を上げるように白く輝いている。
現在の彼女の標的。
発見した瞬間にその男の名前も忘れてしまったのだが、人間である事は間違いない。
媚びへつらう姿がどうも犬っぽいのだが。
「ねえ。ワンちゃん?」
「へ、へ……?」
その男が間の抜けた返事をした次の瞬間、彼の左耳が吹き飛んだ。
「ぎ、ヤぁ、アアアアアアアアアッ!! うああぁ、ウガぁああアアア!?」
のたうち回る人間。
彼女の右手から放たれた光線は、対峙する相手の耳をもぎ取って壁にぶつかり、その壁にも綺麗な円い穴を開けた。
大の男が悲鳴をあげて苦しむ姿に吹き出しそうになるのを堪えて、麦野は真面目に、しっかりと睨みつける。
真剣な雰囲気を作るのに笑い転げてはいけない。
「へ、じゃねぇよ負け犬野郎。犬が『屁』って鳴くのかァ!? ブーブー言うのは豚だろうがよッ!」
「はっはっはっ……はひっ……?」
泣きながら、息も絶え絶えに返答する男。
「じゃあ、ワンちゃん。いいお返事できるかなー?」
にっこりと、美しい顔に笑顔を貼り付け、麦野は猫なで声を出した。
(あれ? おっかしいな。相手、犬なんだけど)
「あ、わ、わん! わんわん!」
人間の男改め犬は、とてもいいお返事をした。
それを見て、麦野は豊かな髪を指先でくるくる弄りながら満足げに頷いた。
「合格。じゃ、苦しまないようにしてやるよ」
「わっ……?」
空いている方の手で『能力』を発動する。
白く太い光線が宙を引き裂くように伸び、犬の腹を刺し貫いた。
『原子崩し(メルトダウナー)』。
彼女の必殺技は、文字通り狙った相手を必ず殺す。
宣言どおり、彼は苦しまなかっただろう。
何かを感じる暇も無かったはずだ。
この圧倒的な力をもって、彼女は学園都市第四位の『超能力者(レベル5)』と認定されている。
輝く電子が人体を溶かす瞬間、彼女の体にも電流が走る。
正しく言うなら、電流のような、痺れる快感。
(ほんと、癖になっちゃうにゃーん)
――――そういうわけで。
大きくなった彼女は、人肉をチリチリするのがとても好きだ。
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『麦野。こっちは超終わりました』
携帯電話から少女の声が漏れ出てくる。
通話の相手、『同僚』、絹旗最愛が、リーダーである麦野に戦況報告しているのだ。
「ん。こっちも制圧完了。このまま解散でいっか。私寄るとこあるから回収しに来なくていいわよ」
溶けた死体の傍らで、電話のストラップをチャラチャラと鳴らしながら応答する麦野。
彼女は現在、『アイテム』という暗部組織のリーダーである。
学園都市が抱える闇の一員だ。
組織といっても、正規メンバーは四人しかいない。
リーダーの麦野、今電話をしている絹旗、他二人も年若い女の子である。
一応、男手もあるにはある。
下部組織に名前も知らない使い捨ての駒が沢山いるのだが、麦野の中では数に入っていない。
「しっかし、うら若き乙女たちにこんな物騒な事させるかねえ」
『それを麦野が言いますか……』
麦野の物憂げなため息に、絹旗の呆れたようなため息が重なった。
『アイテム』の任務は学園都市内の不穏分子を取り除く事。
場合によっては殺人すら要求されるこの仕事に、一番喜んで取り組んでいるのは誰あろう麦野である。
「ま、人を溶かすのは好きだし、仕事を通して実力を見せ付けてやればやるほど、理想に近づくからね」
歌うように話す美貌のリーダー。
電話の向こうの絹旗は、一瞬考えるような間を空けた後、言った。
『理想……例の、超第二位になる、ってやつですか?』
「こらこら。『超』第二位って、第二位超えたら一位になっちゃうじゃない」
『超分かりませんね。そもそもどうして一位じゃなくて二位なんですか?』
「んー。教えてあげてもいいけど……やっぱやめ」
『むむっ。そういわれると超余計気になります。何なんですか? どうして三位でも一位でもなく超二位なんですか?』
「だから『超』二位は……」
女の子が一度電話を持つと、なかなか手放さないものである。
ひとしきりガールズトークを終えた麦野が電源ボタンを押した時、時刻は午後六時だった。
(結局内緒のままにしちゃった。大した秘密じゃないんだけど)
驚きの真相もないのにあまり引っ張ると、本当の事を話した時にがっかりされそうである。
(今度話してやろうかなー。でも引かれるかなー。いやー、その心配は今更かなー)
思案しながら一歩踏み出した。
少し前まで何かの工場だったらしい廃屋。
その広々とした屋内で、彼女は悠然と出口へ向かって歩く。
その通り道に障害物が何も無いのは、下部組織の人間達がさっさと事後処理を済ませているからだ。
リーダーが電話で喋っている間に、闘争の証拠隠滅はすべて終わっていた。
通話しながら彼等の仕事ぶりを眺めていた麦野は、その手際の良さに少なからず感心していた。
(普段はやる事殺ったらさっさと帰ってたから、雑用の仕事なんか見た事なかったけど……)
(マニュアルでもあるのかね? すごい早さで死体が運ばれて行ったわ。バラバラのグチョグチョだったのに)
どうでもいいか、と扉に手を掛ける。
暗い屋内に夕日が差し込んで、少し目を細めた。
廃工場を出た彼女は、二度とそちらを振り向かない。
もうほとんど興味がないからだ。
今日の仕事は相変わらず不穏因子を消す事だったのだが、彼女にとって特別に有益な事が一つあった。
それは、ターゲットがある計画を潰すために暗躍している組織であった事。
『絶対能力進化計画』。
とある超能力者を絶対能力者(レベル6)へシフトさせるための計画だ。
それがただ研究者達の知的好奇心を満たすためだけの実験であったなら、
特に問題は起こらなかっただろう。
「ただの」で済まなかったのは、その方法が非人道的であったからだ。
計画はごく秘密裏に行われていたが、規模が大きいのでどこからか情報が漏れた。
もしくは内部からの反発かもしれない。
とにかく、その凶悪な実験を止めようという人間達が手に手を取って、一つの組織を作り上げた。
その組織こそが、今日『アイテム』によって潰されたターゲットだったのだ。
そう、彼等は正しい事をしていたのである。
悪い実験を止めようとしたヒーロー達。
彼等に足りなかったのは、外敵から身を守る力と、単純に運だ。
学園都市第四位を抱える『アイテム』に目を付けられては、生き延びられる方が奇跡である。
精神はとても立派だったのだが、惜しまれるのはそこだった。
そんな良い人達の一人を犬扱いして、アジトを消し飛ばした彼女は、悪者という事になるのだろう。
(別にいいけど)
麦野は軽い足取りで歩く。
潰してきた組織のアジトは、彼等の標的の近くに構えられていた。
つまり、彼等が潰そうとしていた実験の現場が、歩いて行ける距離にあるのだ。
先ほどの犬を殺す前に脅して手に入れた情報である。
今日の仕事の特典はそれ。
本日の実験がどこで行われるのか、知る事が出来るという点だった。
今夜はフリーとなった彼女は、嬉々としてそこへ向かう。
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麦野がこの実験の存在を知るに至った経緯は至極単純だった。
仕事を通じて、である。
去る八月十九日、『アイテム』はある研究施設の防衛を命じられた。
襲撃者はなんと、学園都市第三位の超能力者である御坂美琴。
夢が一歩近づいたと思った。
御坂の能力が麦野のそれより学園都市にとって有用であると考えられている以上、
彼女の序列が上がる事はそうそうないだろう。
例えば、御坂美琴が死亡したりしない限り。
その異常事態を起こすチャンス。
このタイミングなら大事な御坂美琴を殺しても「お仕事だったから仕方なかったんだもん」という言い訳も立つ。
そして、邪魔な少女がいなくなれば麦野は第三位になれる。
理想に一歩及ばないが、大きな前進だ。
麦野は張り切って襲撃者の抹殺に取り組んだ。
しかし、それは叶わなかった。
彼女には、勝ちそうになると勝負の最中に油断するというお茶目な癖がある。
大抵の場合は油断したままでも勝てるのだが、相手は第三位だった。
一瞬の隙を突かれて取り逃がしてしまう。
麦野沈利、一生の不覚。
足場を崩されて御坂から引き離された麦野は、追うか退くか判断に迷っていた。
(そもそもあのクソガキ、どうして研究施設なんかを襲う?)
(ここでやってる研究を潰したいからなんだろうけど、その狙いは何だ?)
考えている内に興味が沸いた。
そこで、そこら辺で機材を持って逃げようとしているスタッフを一人捕まえ、行われていた研究の内容を吐かせる事にした。
嫌がる研究者を脅して無理やり情報提供させる。
すると、とんでもない事実が判明した。
「『絶対能力進化計画』? 御坂美琴のクローンを二万人用意して、第一位に殺させる……」
二万とおりの戦闘を経験させる事で、学園都市第一位の超能力者を絶対能力者へ引き上げる。
それが、御坂美琴が潰したがり、『アイテム』が守らされている計画の全貌だった。
常軌を逸した実験。
わざわざ殺すためだけに、クローン人間を大量生産である。
「人間のクローン」というだけでも一般の倫理観から逸脱しているというのに。
オリジナルである第三位が止めたがるのも頷ける。
学園都市の狂気もここまで来たか。
それを知った麦野の最初の反応は――
「ギャハハハハハ!!」
大笑いである。
「何だこりゃ!? 第一位様はこんな事やらされてんのかよ」
途端に彼女は上機嫌になった。
「スライムを二万匹ぷちぷち潰してLvアップ!! ってか――――」
(――――素敵!)
蟻を焼いた記憶が蘇る。
第四位の目が輝いた。
何て狂った実験だろう。
他者の命と引き換えに絶対の力を手に入れるなんて。
最強の座にある者だけに許された、最悪の自己中心的発想。
(そうよ、そうだよなあ! この学園都市の第一位に君臨するんだから、それくらいのワガママは許して貰わないとねえ!)
(あははは! 素敵! 本当に素敵! 何より……)
自分は今、第一位の実験に関わっている。
彼の実験を守るために働いている。
彼の役に立っている!
その瞬間、彼女の頭から「退く」という選択肢が溶けて消えた。
(ここで私が追うのを止めたら、あの第三位はまた実験の邪魔をする)
(させねえよ……)
彼女は落下の衝撃で足に怪我をしていた。
走る事もままならなかったが、とにかく動いた。
痛かったが気にしなかった。
一度目標を設定すると、そこに向かって一直線。
これは彼女の長所であり、短所でもあった。
結果的に御坂美琴を殺す事が出来たのかというと、そうではない。
残念ながら病院送りが関の山だった。
夢中になりすぎて人目を集めてしまい、最後の最後まで追い詰める事が出来なかったのだ。
加えて麦野自身怪我をしていて不調だった。
結局、止めに入った絹旗にあっさり気絶させられてしまった。
とはいえ、流石の第三位もしばらくは行動不能だろう。
お互い本調子に戻ったら仕切り直しだ。
御坂を蹴落としてそのポジションに着く事も諦めてはいなかった。
そういう結末で、ひとまずその日の事件は幕を閉じたのだが。
御坂以外にもいたのである。
実験の中止を目論む連中が。
数日経って、今日その指令が来た時、麦野は喜んだ。
また第一位様の役に立てる。
そして、上手くいけば実験の情報を手に入れられるかもしれない。
二つの希望は面白いように叶った。
実験を潰そうとする彼の敵を殲滅し、本日実験が行われる場所と時間を聞き出せた。
(日頃の行いのお陰かな? にゃーんて)
悪い冗談である。
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第一〇〇三五次実験。
今回は一万三五回目に当たるのだそうだ。
つまり御坂美琴のクローンたちは今日までに一万三四人も殺されている事になる。
かわいそうに。
なんて微塵も思わない。
単価十八万で量産できるクローンなどただの実験機材だ。
それに、麦野はもともと他人の死に関心がない。
むしろ人の命を喜んで溶かすような女である。
(それよりそれより、そんな事よりっ、ちょっと遅刻気味かも……)
高鳴る胸を押さえて小走りに足を動かす。
目的地はとあるコンビニの裏手にある狭い路地だ。
(もう終わっちゃったかな? あの人ならスライムぶっ潰すなんて一瞬だろうし……)
ついつい絹旗と話し込んでいたのがまずかった。
聞き出した実験開始時間を十分ほど過ぎていた。
今日の彼女の目的は、第一位に会う事。
何を隠そう、麦野は学園都市第一位、『一方通行』の大ファンなのだ。
本名は不明で、能力がそのまま通称となっているらしい。
「一方通行」と書いて「アクセラレータ」と読む。
なんでだろう。
麦野にもちょっと意味が分からなかったが、きっと素晴らしい秘密が隠されているに違いないと思っている。
ファンなので全肯定である。
そのくせ彼女は、一方通行に会った事がないどころか、写真で顔を見た事すらなかった。
ならば第一位様のどの辺りに惚れ込んだのかというと、彼の持つ数々の伝説にである。
ちなみにその「伝説」、一般的には「悪評」と呼ばれる類の噂である。
小学生の頃ちょっかいを出して来た同級生を骨折させたのを皮切りに、
注意して来た教師もボッコボコ。
出動した警備員もバッキバキ。
第一位の座を狙ってつっかかってくる能力者をちぎっては投げちぎっては投げ、
その才能を妬むスキルアウトの集団に取り囲まれてもまとめて返り討ち。
敵が泣いても喚いても容赦しない。
敵でなくても遠慮がない。
これでもか、というほどの危険人物として、彼はこの科学の街の頂点に君臨しているのである。
見る者を絶望に叩き落とす強さ、そして凶暴さ。
麦野は変わった子供であったから、その噂を初めて聞いた瞬間に憧れを抱いた。
是非一度会ってみたいと思い続けていた。
そして、第二位を目指すようになったのだ。
憧れの第一位の次席に座りたい。
彼のすぐ下で、一番近くで彼を崇める存在になりたい。
そのあまりに単純な発想で、麦野沈利は学園都市第二位などというとんでもないポジションを目指し始めたのである。
それを決めたのは子供の頃だった。
しかし、大きくなった今でも考えは変わらない。
一度目標を設定すると、そこに向かって一直線なのが、良くも悪くも彼女なのだ。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
次の角を曲がった先が、件の路地裏だ。
まだ彼が帰ってしまっていませんように。
祈るような気持ちで、コンビニの壁の影を見る。
そこには――。
「だ、第一位……?」
「……あァ?」
白く、細く、どこまでも白い少年が、真っ赤に染まった肉塊を踏みつけて立っていた。
白い髪と肌に、赤い瞳。噂には聞いたことがある。
彼の途方もなく強力な能力が、身体の色素を消滅させたのだと。
有害なものを全て受け付けない彼の体は、その有害物質から身を守るための物質すら必要としないのだ。
そして、噂以上の凶悪な顔つき。泥のように濁った目つき。
これが、第一位。一方通行。
彼の踏んでいるものこそ、狂気の実験の「道具」、第三位のクローンに違いない。
麦野は少しショックを受けた。
彼の足が彼女のそれより細い事に。
(だ、第一位って、華奢なんだ……)
一人の乙女として、これはちょっとチクリと来るモノがある。
「オマエ誰だ」
ほとんど関心のなさそうな顔をして、一方通行は彼女に尋ねた。
自己紹介のチャンスを得て、麦野は喜びに心を躍らせる。
「麦野沈利。学園都市第四位よ」
「フゥン。……で?」
刺すような冷たい瞳。
だるそうな挙動。
目の前の全てが、あこがれ続けて来た第一位が理想どおりのゲスであることを証明してくれる気がする。
気持ちがどんどん高揚した。
「あなたに会いに来たの。実験の事は適当に調べた」
「ハァ……またそォいう奴か」
心底面倒そうに、頭をがりがりと掻く一方通行。
「俺に挑戦しよォってバカが後を絶たねェンだよな。四位くれェで俺に勝てるとでも?」
「違う違う。本当に、ただ会ってみたかったの。学園都市で一番強くて悪くてゲスの超能力者に」
「あ? ブチ殺されたいンですかァ? この三下が」
ギラリと。
沈む夕日を反射して、赤い瞳が光る。
麦野は気絶するかと思った。
その瞳が恐ろしすぎて。
心臓の鼓動が激しすぎて。
そして、嬉しすぎて。
「そ……そう言ってもらいたくて話しかけたの」
「……え」
流石の第一位も、ちょっと引いたらしい。
「私、あなたのファンなの」
「え」
「完璧な強さ、そしてクズっぷり。平気で人を殺して踏みつける冷酷っぷり」
「あの」
「一度でいいから、あなたに会ってみたかったの! そして、罵ってもらう夢まで叶っちゃった!!」
「おォーい?」
「キャー!! 幸せ!!」
一方通行は、呆れ返ったような顔で麦野を眺めていた。
「と……とにかく、それ以上俺に近寄ったら殺すからな」
「はーい!」
憧れの彼の脅し文句に、それはそれはいいお返事をする麦野。
今なら命じられれば「わん」くらい言うかもしれない。
一方通行は、変な生き物を見るような視線で麦野を観察しながら、
クローンの遺体から足をどけて、去って行った。
麦野はその後ろ姿をうっとりと眺め続けていた。
初めて、第一位に会った。
この日は。
この日付は、彼女の大切な日として、
永久に彼女のカレンダーにハートマークを記し続けるだろう。
つづかない
698 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/05/15 19:56:49.20 B6j1nkCO0 18/18
この三下が
ブチ殺されたいンですかァ?
と 君が言ったから
八月二十五日は アクセラ記念日
というアレでした
本当は未元崩しにする予定だったんですが、書ききれなかったです
読み返すと長いですね。ごめんなさい
いじょ