49 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/05/23 00:01:26.62 uRqIZQ7DO 1/6

鬱曜日が始まっての一発の投下


カップリングとかは特にないですが上条さんと小萌先生で4レスもらいます。時系列は文中で

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-29冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305991024/
52 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/05/23 00:02:58.29 uRqIZQ7DO 2/6

 「あ、ありえねぇ……。これは夢だ。間違いない。いや、そうじゃないと俺、死ぬかも……」

 1月の某日の放課後。上条は職員室にて絶望を味わっていた。

 暖房が効いているにしても暑くはないその部屋で上条は汗をダラダラ流していた。

 「その『ありえねぇ』が実際にあるのですよ上条ちゃん。決して夢ではありませんよ」

 上条の担任である月詠小萌がはっきりと現実であることを告げる。

 「けど先生……。これはいくらなんでも酷くないですか!? モンスターティーチャーですか!?」

 「うーん……両手に花。先生はとっても羨ましいです」

 上条の文句ににっこり笑顔を返す小萌。

 「両手に『課題』のどこが花なんですか! 俺はこんな花いらないやい! あの日見た花の名前は俺は知らない!」

 適当な言葉をまくし立て、ガサッと上条は両手に5㎏はありそうな紙袋を持ち上げて小萌の目の前に突き出す。

 花こと紙袋の中身はそう、課題である。それも全てだ。

 「意味の分からないことを言っちゃダメなのですよ上条ちゃん。上条ちゃんが無事に進級出来るように先生がタバコも吸わずに作ったのですからもう少し大切な扱って下さい」

 「うぐ……っ! ぐぬぬ……!」

 上条は一番痛いところを突かれてぐうの音を漏らす。

 ホワイトスモーカーの異名を持つ担任がタバコも吸わずに作ったと言われれば尚更だ。

 そして『進級』という言葉が上条に重くのしかかる。

 何故ならば普通上条は進級が出来ない状態であるからだ。

55 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/05/23 00:03:55.82 uRqIZQ7DO 3/6

 幻想殺しと呼ばれる極めて特殊な力を持つ上条当麻は常に事件の中心にいた。

 禁書目録から始まり第三次世界大戦。その間にも幾度となく戦いがあり、それらは全て上条を中心に起こったと言っても過言ではない。

 その戦いの中で上条はその右手で幻想を壊し殺して前へと進んできた。

 しかし、上条の右手でもどうにもならないものは当然存在する。

 それは現実だ。

 現実として起こったことはもうどうにもない。

 誰もが望むハッピーエンドはそう容易いものではない。つまり――

 ――つまり、だ。情けない話だが、出席日数が足りないのである。

 第三次世界大戦の影響を考慮しても、その前の時点で既にアウトであった上条には関係のない話。

 それは紛れもない現実であり幻想ではない。故に上条にはどうすることも出来ない。

57 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/05/23 00:05:09.03 uRqIZQ7DO 4/6

 「確かに出席日数がアレなのはわかりますけど、この量――っ!?」

 愚痴りながら突き出した腕を下ろすとそこには――

 「ぐすっ……。ひっく。上条……ちゃんの……バカ」

 半泣きになりながら上条を見上げている小萌の姿があった。

 「あ、あのぉ……先、生……?」

動揺する上条はオドオドと小萌に声をかける。

 「先生は……先生はですね! 上条ちゃんがグズッ行方不明と聞いて本っっっ当に心配したのですよ!」

 小萌は目に沢山の涙を抱えながら上条を真っ直ぐ見つめる。

 逆に上条は胸が痛み、顔を逸らす。

 それでも小萌はそのまま話を続ける。

 「上条ちゃんは昔から危なっかしい子でした。それも先生じゃ手に負えないくらいの……。だけど先生は先生なのです。生徒のことを思わずにはいられません」

 上条の胸がますます痛みだす。

 ――もう二度と悲しい思いはさせたくない! ――

 まるでそう叫んでいるかのように。

 「ですから上条ちゃんがいつ戻って来てもいいように色々な先生方にお願いして特例を作ってもらったのです! この課題は上条ちゃんに対する先生の気持ちそのものなのですよ!」

 「俺への……気持ち……」

 上条は急に両手の課題がずしりと重くなったように感じた。

 「はい。どうするかは上条ちゃんに任せますが……」

 上条の答えはもう決まっていた。

 「俺、やります」

 胸の痛みが引けていく。

 「俺、先生の気持ちを無駄にしたくありません。いえ。無駄にしません」

 胸はもう痛んでいない。

 「上条ちゃん……!」

 「色々すみませんでした。そして本当にありがとうございます!」

 上条が頭を深々と下げる。

 その姿に一度は乾いていた涙がまた小萌の目に溜まりだす。

 「……ぐすっ。えー、期限は終業式までです。分からない問題は先生や友達に聞くこと! いいですか?」

 「はい! それじゃあ俺、帰って早速取りかかります!」

 そう言って上条はもう一度小萌に頭を下げて職員室を後にした。

58 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/05/23 00:06:37.70 uRqIZQ7DO 5/6

 「やるじゃん。流石、担任じゃん」

 近くで一部始終を見ていた同僚の黄泉川愛穂が、未だ涙目の小萌に声をかける。

 「……はい。担任ですから」

 涙を拭いて自信満々に答える小萌に黄泉川はふーん、と意地悪そうに微笑む。

 「不良少年を一人更正させたくらいでそんなに泣いてたら卒業式どうするじゃん?」

 ハッとして小萌の体が固まる。

 「そ、そそそそれとこれとは話が別なのです! 卒業式は卒業式でちゃんと送り出してあげるのです!」

 「泣きながら?」

 「……まぁ。ってもういいじゃないですか!」

 「ははは、ごめんごめん。はぁ……。我が家の不良少年もあいつを見習って欲しいもんだね」



 「へーくち!」

 「え、なに? 今のもちかしてくしゃみ? ちょちょ、もう一回ミサカに聞かせて!」

 「ミ、ミサカからもお願いってミサカはミサカは懇願してみる!」

 「……うるせェ」

59 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/05/23 00:08:23.35 uRqIZQ7DO 6/6

おわりです


上条さんが学校にいるシーンって実は貴重だよなと思って書いてみました