946 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga] - 2011/06/11 21:44:35.17 jNNld2Fso 1/9
木原家+人間じゃなかった一方さんで7レスほどお借りします。
ギャグ。キャラ崩壊です。
あるところに、1人のおじいさんが住んでおりました。
おじいさんの名前は木原幻生。
立派な研究者です。
おじいさんは毎日毎日、身寄りのないかわいそうな子供をつかって
色々な実験をしておりました。
「この実験が生きてるあかし」
なんとこのおじいさんは悪い研究者だったのです。
研究のために多くの人を殺してしまっているのでした。
しかし、勇かんなアンチスキルの大かつやくで、
おじいさんは研究所を追われてしまいます。
さあ、お仕事のなくなったおじいさんは大弱りです。
お金はありますが、このままでは老後が心配。
なぜなら、家族や親せきまで実験台にしてしまったので、
おじいさんは親族から縁を切られていたのです。
めんどうを見てくれるようなやさしい人はいませんでした。
それでも最後ののぞみ、とばかりに、
同じ研究者の親せきに電話をかけてみることにしました。
同業者なら大目に見てくれるかも。
親せきはおおぜいいるので、連絡先を探すのにもたくさん時間がかかりました。
「ああ、ようやく見つけた。これこれ」
若者の写真の貼ってある調査書を探しあてます。
もちろん機密書類をコピーしたもので、違法です。
「どれどれ、木原数多、と」
電話のボタンを押すと、不機嫌そうな声が電話に出ました。
「もしもし」
「幻生だが」
「死ね」
電話はブツリと切れました。
おじいさんはしょんぼりと肩を落とします。
ついでに、その親せきの若者のところに爆発物の小包を送りつけておくのも忘れません。
「困ったことになったなぁ」
ほっぺたに手を当てて、おじいさんは考え込みます。
もう頼れる人はいませんでした。
「そうか!」
流石は研究者。
おじいさんは最高のアイデアを思いついたのです。
「居ないならば作ればいいんだ」
外道でした。
「人間はだめだな。何故か逃げてしまうからね」
自覚はありませんでした。
「介護用のロボットか。まあやるだけやってみよう」
こうしておじいさんは色々なところから材料を買ってきて、実験室にこもりました。
とんてんかん。とんてんかん。
夜更かしなおじいさんの夜が更けていきます。
やがて窓から朝の光が射しこむ頃のこと。
「できた」
天才と呼ばれただけはあって、どうにか上手くいきました。
体は最先端の義手や義足を使いました。
もしもの時におじいさんを暴漢や警備員から守るため、
手首の内側には小型の拳銃を仕込んでありました。
頭の中身は、実際の人間の記憶や脳波をもとにした、小さなチップです。
これがこのロボットの脳みそというわけでした。
「DIYというのは良いものかもしれないなぁ」
そんなことを言いながら、完成したロボットを眺めます。
白いかみのけ。白い肌。
人ごみでもすぐ見つけられるように、目だった特徴に作られていました。
「そういえば男にするか女にするか決めていなかった」
おじいさんは、うっかりものです。
「まあいいだろう」
かちりとスイッチを入れると、白いまつ毛がぱちりと開きました。
真っ赤なひとみが、作業台の上からおじいさんを見上げます。
「えェと、おはようございます」
ロボットが小さな声で言いました。まるでことりのような、きれいな声をしています。
少し発音のおかしい部分がありましたが、それはご愛敬です。
「おはよう。お誕生日おめでとう」
おじいさんはどこかずれた感性の持ち主のようでした。
「あなたはマスタァですか」
「マスターはやめてくれ。教授とよんでおくれ」
「はい、教授」
ロボットは優しく笑います。
ああ、これこれ。
おじいさんはこんな風に、優しく接してほしかったのです。
「お前の名前はアクセラレータ。何か困ったことがおきたら、すぐに手伝っておくれ」
「はい、教授。アクセラレータに、なンでもお任せください」
おじいさんとアクセラレータの生活が始まりました。
しかし、おじいさんはここで気付きます。
「まだ介護は必要ない」
そうなのです。
今のおじいさんは元気いっぱい。
このままではアクセラレータは電気を喰うばかりです。
「そうだ、今は体の動くうちにしたいことをしなくては」
「教授、何をなさるンですか? アクセラレータの手伝いが必要ですか?」
「いや、いいよ」
「そうですか」
ロボットは不満そうでした。
仕事が出来ずにたいくつなのです。
おじいさんはそんなロボットのアクセラレータをふびんに思いました。
「アクセラレータ。私はこれから世界を旅しようと思うんだ」
「アクセラレータも一緒にいけますか?」
「うーん、お前は先端技術の固まりだし、学園都市からは出られないだろう」
「ではお留守ばンですか?」
「私の親戚の若者が酷く忙しそうにしているんだよ。彼を手伝っておやり」
初めて仕事をもらえたロボットは大層喜び、ハイと頷きました。
段ボールの箱に入って、宅配便でおじいさんの親せきの家に運ばれている間も
ずっと働くことを楽しみにしておりました。
「教授の親戚だもンなァ。きっとすばらしい人に違いない」
アクセラレータには秘密がありました。
それは、脳みそがわりのチップに使われた人間の記憶と脳波が、
親戚の若もの、木原数多のものを改良して作られているということ。
もうひとつは、その木原数多の気にいらない部分を抑制するために、
おじいさんがこっそり改ざんプログラムを導入していることでした。
「ああ、楽しみだなァ」
そのために、アクセラレータは「よい子」に振る舞わされているのでした。
そんな大変なものが送られてくるとはつゆしらず。
若ものはやけに重たい宅配便を、また中が爆発物かもしれないと、
いまいましそうに観察しているのでした。
そっとふたをあけてみると、少年が一人、ちょこんとはいっているのです。
実は爆発物より危険な少年を、木原数多は慌てて抱き起こしました。
「あのじじい。子供を宅配便で送るとは何たる度胸」
大丈夫かと声をかけると、少年はにっこり笑ってこう言いました。
「はい、アクセラレータは大丈夫です。ぜンぜン問題、ありませン」
こうして、ロボットのお手伝い、アクセラレータと、
教授の親戚の木原数多の暮らしが、ようやくはじまりました。
なんだかんだでよく働くアクセラレータは木原数多とうまくやっていました。
ところがある日、アクセラレータは倒れてしまいます。
「どうしたクソガキ」
「あァ、おそらく、よい子プログラムのせいでしょう」
どうやらおじいさんの無理やり作ったプログラムのせいで、
アクセラレータの脳みそは、今にもパンクしそうになっているらしいのでした。
むりもありません。
なぜなら、悪い感情を全くいだかせず、
絶対的なよい子として暮らさなければならないのです。
アクセラレータは目のカメラを洗浄するための蒸留水をこぼしながら
若ものに頼みました。
「このままでは、アクセラレータは悪い子になってしまいます。
ですからその前に、アクセラレータを分解して壊してください」
「そんなことしてたまるか」
若ものは見た目はただのやくざものですが、情のある人間でした。
おじいさんとはちがって。
「プログラムを消してやる」
「いけませン。それではアクセラレータは……」
「なに、悪いロボットになっても、ここにおいてやるさ」
木原数多はチップに線をつなぎ、パソコンからよい子プログラムを破壊するウイルスを
アクセラレータの頭の中におくりこみました。
「よし、できた」
もう一度電源を入れます。
うまくいけば、アクセラレータは元のように、元気にうごけることでしょう。
初めて目覚めた時のように、作業台の上のアクセラレータが真っ赤なひとみを開きます。
しかし、そこに映るのは教授ではなく、木原数多です。
「おはよう、アクセラレータ」
木原数多は声をかけました。
さあ、アクセラレータは元に戻ったのでしょうか?
いっしゅん、きょとんと目を丸くした後、アクセラレータはにんまり笑ってこう言いました。
「ハッ! 気安く話しかけてンじゃねェぞ、クソ野郎が!」
木原数多の中で、やさしいアクセラレータと過ごしたこれまでの思い出が、
がらがら音を立てて崩れていきました。
「今までよくもこき使ってくれやがったなァ?
覚悟はできてンだろうな木原くゥン?」
プログラムの所為でねじまげられた反動で、アクセラレータの性格は元のものより
数倍ひんまがって、ねじまがったものに変わってしまっていたのでした。
アクセラレータが研究所の壁をドンとたたくと、壁に刺さっていた画びょうが、
いっせいに木原数多めがけて飛んできました。
白衣のえりや袖を床に画びょうで止められながら、木原数多はやっと声を出しました。
「な、何じゃこりゃあぁ!?」
松田●作ファンでした。
「伊達にオマエの研究手伝ってねェンだよ。能力の一つくらいは芽生えるってもンだ」
「お前はロボットだろうが!」
「ロボットの能力者がいて何が悪い? 人間の脳とそう変わらねェンだよ」
能力者開発で有名な学園都市で、初めてロボットの能力者が誕生した瞬間でした。
「殺されたくなかったら、俺を人間だと認める事だなァ。
そう、まずは俺のIDを用意してもらおうか」
アクセラレータは木原数多の首に手をあてて、血流を止めるとおどかしながら言いました。
以前とは程遠い、ざんこくな笑顔をしておりました。
木原数多は泣く泣くロボットに従いました。
それというのも、一緒に暮らして手伝いをさせるうちに、アクセラレータは木原数多の
人には言えない秘密を山ほどにぎって脅していたからです。
顔の刺青が実は毎日張り替えているタトゥーシールだなんて、
誰かにしれたら、もう外を歩けません。
研究所ではこわもてで通っているのでした。
こうして、アクセラレータはまんまと人間の戸籍をてにいれたのでした。
介護用ロボット、アクセラレータ。
かれが、少年、一方通行として学園都市の第一位にのし上がっていくのは
まだ、もう少し先のお話でありました。
954 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga] - 2011/06/11 21:48:55.20 jNNld2Fso 9/9
以上。もし一方さんがロボットだったら?ネタでした。
スレを建てたいネタなのですが、時間がないし今連載スレを複数抱えているので
構想?プロローグ?だけここにおいていきます。
ありがとうございました。