434 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/06/20 15:39:48.03 8OnljcsQ0 1/6

4レス借りる
一方通行と御坂
とりあえず未来設定だがカプ要素なし

元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-30冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307804796/
435 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/06/20 15:40:39.94 8OnljcsQ0 2/6


夜のネオン煌めく繁華街。
大通りから路地を入った一角にある小さな居酒屋。
働き盛りのお父さん達が機嫌良くお酒と摘みの味に酔いしれる。
仕事終りにふらっと吸い寄せられるようにして中へ入ったのだが。


(……入らなければよかった)


入店して三分で後悔する御坂美琴さん、御歳2×歳。
女性のおひとりさまが珍しいのか、店内の御父さん達の視線が若干痛い。
「若いねーちゃんだねー」と野次を飛ばされてもいるが、そんな事さしたる問題ではない。
社会の酸いも甘いも経験した御坂にとってはどうってコトはないのだ。


(あああああ、帰りたい、帰りたいいいいいい)


顔をまっさおにしてグルグルと思考する一番の原因は。


「ゲソうめェ」


花の金曜の夜。小さな居酒屋も休日の幸せに浸る人々で混雑していた。
カウンターもお座敷も埋まっていて、
入店時店員が行った「他のお客様の相席になってしまいますが…」の言葉に
簡単にOKを出してしまった3分前の自分のはっ倒したい美琴。

何故、いま、このタイミングでこの男と出会わなければならないのか。
おいおいおい、今の今まで無意識とはいえ互いにスルーしあってたじゃありませんか……っ!!


「……、……」


地道にゲソ消費に勤しむ男に苛立ちが募る。
ああ、もう。こっちの気持ちも知らないで、ビールとゲソの虜になっているだコイツ……。


(―――ほんと、なにか考えてるのかわからない)



学園都市の小さな居酒屋で、美琴が出会ったのは、
約十数年ぶりに直接顔を合わせることになった、本名不明・通称『一方通行』多分2×歳の青年なのでした。

436 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/06/20 15:42:17.46 8OnljcsQ0 3/6



「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


沈黙が、重い。

カウンターの隣席に居る一方通行は相変わらずゲソとビールに夢中だ。
美琴も注文したハイボールと枝豆と冷ややっこで場を凌いでいる。

たまたま入った居酒屋で、たまたま会いたくない人に出会った場合、どうすればいいのだろうか。


(果たしてコイツをただの会いたくない人で片付けていいのかも謎だけど)


八月末日の実験に終止符を打った夜以降、一方通行とはまともな体面を一度としてしていない。
打ち止めや番外個体(現在・妹達とはそれなりに仲良し)からたまに話を聞く程度、の存在だった。
妹達曰く、美琴と一方通行はかなり近いところですれ違っていたりしたらしい。


(私がアイツおっかけてロシア行った時もロシアにいたらしいし、
 大覇星祭でも人ごみにまぎれてすれ違ったらしい、……のよねぇ)


実感はないが。そういう事らしい。
また、打ち止めや上条当麻といった共通の顔なじみを通して、
面会を持つことは可能だったのだろうが、美琴も一方通行も再会の為の行動は敢えて取らず、今に至る。

互いに互いを避けていた、というのが正しいだろう。


(ま、あったって気まずいだけってのは予想できてたし)


実際に、現状で気まずい雰囲気がある。


(ああ、でも)


結局は避けては通れない壁、ってことだったのかもしれない。これもまた、互いに。


437 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/06/20 15:43:07.64 8OnljcsQ0 4/6


(美琴(わたし)→一方通行として、は)


妹達を一万人殺した敵。

自分を殺そうとした加害者。

妹達を一万人救った恩人。


(一方通行(コイツ)→美琴(わたし)として、は)


一万人殺した妹達の姉。

自分が殺そうとした被害者。

一万人救った妹達の素体。


箇条書きのように情報を整理してみて思う事。


(ぎゃあああああああ、なんて面倒くさい関係性だよ、おいいいいい!!!!)


殺したことは許せないが救ったことには感謝している。
嫌いだけれど殺すほどではない。
超能力者として理解できる事もあれば、理解できない事もある。
このまま背中合わせの存在感を無視したままの距離でもいいと思うし、それでは駄目な気もする。

けれど、どうしていいのかなんて、簡単にわかったら苦労などしない訳で。


(……あーもう。子どもじゃないのに、情けないわー、自分)


もう少し若ければ(順応性があれば)、意外と簡単に終る問題だったかもしれないな、と思わなくもなかった。

438 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/06/20 15:44:15.35 8OnljcsQ0 5/6


けれど壁を迂回する性分にはない美琴であって。
とりあえず、この現状打破のきっかけはなにか、と目を右に左に動かし、


「…………あ」


とっても都合のいいアイテムが、手元にあることにようやく気がつく。
気が付いたら行動あるのみ、だっ!!


「すいませーん!!!!」

「はい!!」


店員さんに声をかけ、


「コイツのビール無くなりそうなんで、ビールもう一杯くださーい!」

「――はァ!?!?」


ここで、ようやく反応らしい反応を返した男の声は無視する。


「あと焼酎ロックと手羽先とポテトフライも追加でー!」

「ご注文ありがとうございまーす!!」


愛想のよい店員さんの笑顔に心がすこしほっこりした気もする。


「さー今日は呑むよー」

「オマッ……、どォいう!!!」

「どういうつもりも何も、呑むつってんでしょうが」

「―――、俺と、呑む気か?」

「そうよ? 知り合いが偶然居酒屋で出会ったんだから、一緒に呑んだってのは不自然じゃないでしょ」

「お前の神経疑うぞ」

「勝手に疑いなさいよ」


困った時くらい酒に頼るのもまた良し……、
なんて思考回路になる程度には年を取ってしまったみたいで。
激怒も嫉妬も懺悔も後悔も感謝も悲哀も何もかも。
ぶちまけてしまえばいいし、ぶちまけられてしまえばいい。

そうして、後には打ち止めや番外個体や上条当麻その他色々、巻き込んで大宴会にでも雪崩れ込もう。


「……」


まだ、しぶしぶと苦い顔をして迷っている男にはアレだ、キメの一言でも言えば、OKなのよ、多分。


「ちょっと、一方通行」

「あン?」




「 私 が つ ぐ 酒 が 飲 め な い っ て か ?」

「…………ィィェ」



ん? パワハラだって?

いいのよ、これで超電磁砲を跳ね返して女の子(当時は一四だったのよ!)の髪を焼いた貸しはチャラにするから。

439 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2011/06/20 15:49:09.20 8OnljcsQ0 6/6

やけに軽いノリになったしまった。
お邪魔しました