545 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] - 2011/09/29 20:20:36.82 ePHXJ9MIo 1/6

数レス借ります
垣百合なんで、苦手な方はスルー推奨
舞台設定としては本編終了後、全部それなりにハッピーエンドで終わった感じ
SSとかあんま書いた事無いんで色々と変かもしれませんがご容赦を

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-33冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314623016/
546 : 1/3[sage] - 2011/09/29 20:21:22.82 ePHXJ9MIo 2/6

ズシャッ!

派手な音とともに一人の少年が、一人の少女の前に力無く崩れ去る。

「グ、ゲホッ……クソッ、また俺の負けかよ……」

学園都市内のとある場所に設けられた、とある広大な実験場。
通常の設備では研究に限界のある能力者たちのため、という理由で新設された施設だ。
その実験場のど真ん中で少年――垣根帝督は恨み言のように呟いた。

「ハッ!相変わらず大した事ねェな、第二位さンよォ」

仰向けに倒れる垣根を煽るように、目の前の少女から罵声が飛んでくる。

「まさかとは思うがよ……俺より能力制限緩くしてんじゃねぇだろうな……」

「ンな訳あるかよ。むしろもっとキツく制限して貰わねェと勝負にならねェンじゃねェの?」

「チッ……」

垣根と少女は、この施設を用いてたびたび力比べのような戦闘を行っていた。
だが力比べと言っても、殺し合いにならない程度の全力さえ出せないような戦いだ。
いくら専用の施設とはいえ、高位能力者同士の戦闘ともなれば限度というものは当然存在する。
特にレベル5同士では、特殊な装置で能力制限しなければ施設が幾つあっても足りない。

「あー、これで0勝……何敗だったっけな」

「学園都市第二位の演算力のクセに数え忘れたフリですかァ?負けから目を背けちゃ強くなれませンよォ?」

「うるせぇ、マジで数えんのも億劫になってきたんだっつーの」

547 : 2/3[sage] - 2011/09/29 20:21:50.35 ePHXJ9MIo 3/6

うんざりしたような表情で垣根は吐き捨てる。
そう、この能力制限を受けた、彼らにとっては児戯にも等しい戦いですら垣根は一度も勝てていない。
実際にどれだけ彼が負け星を積み上げているかは、彼の名誉のために伏せておくが。

「しかし、テメェも毎度毎度よくやるよなァ。いい加減諦めたりしねェのか?」

少女はしゃがみこんで垣根に問いかける。
正直、こう何度も決まりきった勝ち試合をやらされるのも流石にウザッたい。
思う存分力を振るえる訳でもないのも相まって尚更だ。

「つーかそれ以前に、オマエが俺と戦わなきゃいけない理由も、もうとっくに無ェ筈だろ」

少女の言葉に、垣根はふと過去の自分の事を思い返す。

「まぁ、それは……そうなんだけどよ……」

一度目の戦いは統括理事長・アレイスターに近付く為の戦いだった。

彼のプランの中核とされた存在を打倒する事で、彼との直接交渉権を手に入れようとしていたのだ。
その意味では、目の前の少女との戦いというよりは、単に目的を果たす為の手段の一つでしかなかった。
しかしその計画は、自分が少女に敗れ去ってしまった事により頓挫してしまう。

二度目の戦いは復讐だった。

死に瀕し、人としての尊厳すら奪われ、道具同然の扱いを受け、苦しみと屈辱の時間を経て得た思い。
それは自身を打ちのめした者への憎悪以外の何者でもなく、そこから行き着く答えは一つしか有り得ない。
だがそれすらも少女は飲み込み、再び垣根を叩き伏して見せた。

更に三度目も、四度目も、五度目も……垣根の憎しみと悪意はついに届くことは無かった。

548 : 3/3[sage] - 2011/09/29 20:22:27.69 ePHXJ9MIo 4/6

そしていつしか戦いを挑む理由は、少女へと抱く思いは、少しずつ変質していった。

何度目の戦いからだろうか。手段としてでも復讐としてでもなく、ただ少女と向き合いたいと思い始めたのは。
何度目の敗北からだろうか。少女の発する辛辣な言葉の端々に、僅かな違いが感じられるようになったのは。

気付けば少女は、強さ故に手にせざるを得なかった闇を受け止めてくれる唯一の存在になっていた。

「いや、まぁ……色々思う所ってものがあったんだよ」

「さっぱり分かんねェ。相変わらずメルヘンな思考回路してンだろォな垣根くンは」

はっきり言って否定は出来ない。
己の闇を受け止めてくれる者が、己以上の闇から這い出てきたなど、皮肉にも程がある。

「心配するな。自覚はある」

「心配なンざしてねェよ」

ちょっとした口癖の一つをバッサリと切り捨てられながらも、垣根は考える。
もし自分が少女に抱いている想いを伝えたら、どういった反応が返ってくるのだろう。

そんなモノを受け止め、背負うことは出来ないと拒絶されるだろうか?
もしくは「うわ、きめェ。流石メルヘン野郎だわ」とでも返され、いつも通り馬鹿にされるかもしれない。
出来れば後者であった方が気が楽かも、と思いながら苦笑を浮かべる。

きっと自分は怖いのだ、目の前の少女との関係を失うのが。
学園都市第二位の実力者のくせに情けない、と自分で思う。

「ま、分かり易く言うとさ……」

だからいつも通りの、余裕たっぷりの自分を演じながら、垣根帝督はこう言うのだ。

「惚れた女に勝てないままなんて、格好悪過ぎるだろ?」


おわり

549 : 本文中に入れようと思って結局上手く入らなかったモノ[sage] - 2011/09/29 20:23:28.32 ePHXJ9MIo 5/6

百合子「惚れた女に、ねェ……メルヘン野郎は言う事がちげェわ」

垣根「そこは恥ずかしがって顔を赤らめてくれる場面じゃねぇのかよ」

百合子「今時女にそンな幻想抱いちゃってンの?こンなのと序列が隣り合ってるとか鳥肌もンだなァ……」

垣根「だったらテメェが第一位降りやがれ!いつも幼女とベタベタしやがって、何の威厳もクソもねぇんだよ!」

百合子「無理ですゥ。あのクソガキがいる限り俺は最強でいるって決めてるンですゥ」

垣根「あ、ムカついた。やっぱムカつきっぷりも第一……」

百合子「だからよォ、オマエも俺の許可無く誰にも第二位譲るンじゃねェぞ?」

垣根「あぁ?いや、そりゃ譲る気はねぇけど……何が言いたいんだよ」

百合子「分かンねェのか?オマエの上に立ってデカいツラしてて良いのは俺だけって言ってンだよ」

垣根「……は?」

百合子「ンじゃ、またなァクソメルヘン。面倒だからもう挑ンでくるンじゃねェぞ」

垣根「あ、おい待っ……行っちまった」

垣根「……」

垣根「やっぱしばらくはアイツにゃ勝てそうにねぇって事なのかな、コレは……」

550 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] - 2011/09/29 20:24:55.06 ePHXJ9MIo 6/6

以上です

今手元に原作が無いので口調とかキャラとか微妙に変かもしれません;;;
まぁ、こんな駄文でも楽しんでいただければ幸い