978 : お互い相手が消える事が怖い打ち止めと一方通行[saga] - 2011/11/03 19:56:38.34 aXJAqQbNo 1/13


11レスお借りします。
演出の為にレスを短く切って名前欄を利用しています。
ちょっと狂った二人の話です。
リード繋げながらも普通に散歩する二人は美しいだろうなと思ったのです。
死んでる人も居ます。
練習のため表現を何となく回りくどくしております。
ちょっと気分悪くなるかもしれません、ごめんなさい。

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-33冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314623016/
979 : 「どうしてあんな状態で二人を外に出したじゃん!」[saga] - 2011/11/03 19:58:12.59 aXJAqQbNo 2/13


「ミサカ、
 アレ買って欲しいな、
 ってミサカはミサカはおねだりしてみる!」

「ったく、
 オマエらも好きだよな。
 ンなカエルのどこがいいンだか」


 それはとても微笑ましい光景であった。
 兄妹だろうか、少年と少女が仲良く買い物をしている。
 人々は少年の人目を引く容姿に目をひき付けられつつも和やかに通り過ぎていった。


 そして、次には振り返ってみな目を疑う。

980 : 「しょうがないでしょ、ドアを破って出て行く勢いだったんだもの」[saga] - 2011/11/03 19:59:33.22 aXJAqQbNo 3/13


「あー!
 ゲコ太馬鹿にしたー!
 ってミサカはミサカはリードを引っ張って不満をあらわにしてみたり!」

「ぐェ…
 急に引っ張るなクソガキ!」

「ぷー!
 だってアナタがゲコ太を馬鹿にするんだもん!
 ってミサカはミサカはコレが正当な行為だということを宣言してみる!」


 彼の細い首には無骨で首輪のような黒いチョーカーが付いていた。
 それには細いコードが二本生えており、
 髪に隠れて耳の近くに繋がっているようだ。
 はたから見たら新型のMP3プレーヤーにでも見えるだろう。

 しかし、彼のチョーカーにはMP3プレーヤーと違う点が一つあった。
 二本のコードの他に一つだけ太い紐が付いていたのだ。
 まるで犬のリードのように。

981 : 「はあ… で、犬の散歩よろしく二人はどこに行ったじゃん?」[saga] - 2011/11/03 20:01:08.80 aXJAqQbNo 4/13


「ヘェヘェ、
 俺が悪ゥごぜェました」

「むー、
 反省してる気がしない!
 ってミサカはミサカはもう一回この手にあるリードを引っ張ってみたり!」

「ぐェ」


 そしてそのヒモの先は傍を歩く少女の手にあった。
 グルグルに腕に縛り付けられてるのが少し異常だが、
 その少女の持つヒモから繋がってるものが犬で、
 その少女の現在位置がデパートで無ければおかしくは無いのだ。


「懲りないアナタにおしおき!
 ってミサカはミサカは胸を張ってみたり!」フンス

「ヘェヘェ…」


 そうすればただの仲のいい兄妹が犬の散歩をしているだけだ。

 しかし現実は違う。

 ヒモは少女の手と少年の首を繋ぎ。
 ここはデパートのぬいぐるみ売り場。

982 : 「デパートにゲコ太のぬいぐるみを買いに行ったわ」[saga] - 2011/11/03 20:02:06.45 aXJAqQbNo 5/13


「あ、
 このゲコ太可愛い!
 ってミサカはミサカは抱き枕ゲコ太に抱きついてみたり!」

「それにするのか?」

「んー、
 もうちょっと待って、
 ってミサカはミサカはお願いしてみる」

「ヘェヘェ」


 そしてこの空間がひときわ異彩を放つ要因。
 それは『二人があまりにも普通に見えること』

 そう、普通なのだ。
 そこにリードがあることに一瞬気が付かないほどに。
 気が付いたらその平凡さが逆に不自然に際立つ程に。
 一瞬、もしかしてソレをおかしいと思う、
 自分がおかしいのではないかと考えるくらいに。

983 : 「…もしかしなくとも、プレゼントじゃん、ね」[saga] - 2011/11/03 20:03:49.01 aXJAqQbNo 6/13


「よし、
 これにする!
 ってミサカはミサカはあなたにゲコ太の等身大枕を手渡してみたり!」

「本当にコレでいいのか?」

「うん!
 ってミサカはミサカはリードを引っ張ってあなたを急かしてみる!」

「ぐェ」


 そしてそれは間違えだとすぐに認識する。
 なぜなら、あまりにも彼らは美し過ぎた。


「番外個体喜んでくれるかなぁ、
 ってミサカはミサカは少し心配してみたり」

「誕生日だし何でも大丈夫だろ、多分」

「そうだよね、
 ミサカ達姉妹が始めて出会った記念日だから、
 絶対大丈夫だよね、多分!
 ってミサカはミサカは嬉しくてダッシュしてみたり!」

「ここはデパートだからぐェ、オイ、ゥぐ、待、」

984 : 「ええ、二人を狂わせてしまった、もうこの世に居ない番外個体への」[saga] - 2011/11/03 20:05:28.67 aXJAqQbNo 7/13


 彼らは美しいのだ。
 一回通り過ぎたのにまた振り返って呆けた顔で彼らを見つめるくらいに。
 一挙一動を見逃すまいと微動だにすることなく固まるくらいに。


「あ…
 ごめんね、
 ってミサカはミサカは急ぎすぎたことを謝ってみる」

「げほっ、ごほっ、分かれば、いい」


 まず二人は目が美しかった。
 少年は使い過ぎて切れ味の鈍った刃物のような濁った目をし、
 少女は生まれる寸前のカエルの卵のような生々しい光を放つ瞳をしていた。

 次に美意識に訴えかけるのは、
 それとなく赤子を思わせるような二人の無垢さ。
 言葉の節々に表れる不完全さ。
 生まれたての赤子と言うよりも、
 生まれてすぐに何も無いところに閉じ込め続けたその結果のような純粋さ。
 まるで全ての色を塗りつぶした白の絵の具のようだった。

985 : 「どうせ、二人で縛り合ってるだけじゃ怖くなったんじゃんよ」[saga] - 2011/11/03 20:06:23.37 aXJAqQbNo 8/13


「じゃあ、
 ゆっくり帰ろっか、
 ってミサカはミサカはのんびり歩き出してみたり」

「ヘェヘェ、
 あんまリード引っ張るなよな」

「分かってるよ!
 ってミサカはミサカはむくれてみる」


 そんな不完全な完全の中に一つ、明らかな不自然。
 幸せそうな違和感達を結ぶ一つの物体。
 リード。
 それらが彼らの狂った統合性を乱しつつ、
 美しい一体感を演出していた。

986 : 「そうね、帰ったらリードに新しい紐と人形を繋げるでしょうね」[saga] - 2011/11/03 20:07:35.89 aXJAqQbNo 9/13


「どォだか」

「もーう!
 ってミサカはミサカは意地悪なあなたに涙目になってみたり!」


 仲の良い少年少女と、
 ソレを繋ぐ一本のヒモ。


「……オラ」

「ん?
 ってミサカはミサカは差し出された手に首を傾げてみたり」

「手ェ、繋ぐンだろ」

「……うん!
 ってミサカはミサカはエンジェルスマーイル!」


 それはあまりにも神聖過ぎて、毒のある光景だった。

987 : 「そしてあの子の代わりに縛って天国にも行けないようにするんだわ」[saga] - 2011/11/03 20:08:18.20 aXJAqQbNo 10/13


 ・
 ・
 ・

 ……ミサカは死んだ。

 製造の仕方が他のミサカと違って雑だったらしい。

 そして、それが悪かったらしい。

 世界最高の医師の技術も、
 次々と破壊される脳細胞たちにはかなわなかったようだ。

 最初は物忘れが激しくなって。

 次に耳が遠くなって。

 視力が落ちて。

 体が動かなくなって。

 心臓も動かなくなった。

 それはもうしょうがない。

 死んだことはしょうがない。

 もう、元には戻らない。

988 : 「…ちょっと寂しい、じゃんね」[saga] - 2011/11/03 20:09:08.33 aXJAqQbNo 11/13


 ……でも。

 でも、彼らだけはどうにかならないものか。

 ミサカが死んで、
 ミサカの為に狂った彼ら。

 ミサカが消えたことを認められない。

 お互い消えないように縛りあって放さない、彼ら。

 今日もミサカ達の初対面記念日という事で買い物に行っている。

 どうせミサカに見立てた人形を買ってくるのだろう。

 プレゼントだ、
 お誕生日みたいなものだから、って言い訳しながら。

989 : 「そう、ね」[saga] - 2011/11/03 20:10:19.70 aXJAqQbNo 12/13


 ……いらない。

 そんなの、ミサカはいらない。

 そんな、ミサカが生きている事を前提としている、
 ミサカが死んだことを認めないためだけのものなんていらないよ。

 だってミサカは死んでいるのに、
 生きてるミサカにプレゼントくれても、空しいだけでしょ?

 しかもソレをミサカの代わりにし出すのだろうから、
 余計たちが悪い。

 弔ってくれとは言わないから。

 ミサカが死んだことを。

 ミサカが今まで生きてきたことを認めてくれるだけで。

 ただ、それだけで、いいのに。

990 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2011/11/03 20:10:56.08 aXJAqQbNo 13/13


以上です、
ありがとうございました。
念のため言うと、
名前欄の会話は黄泉川と芳川の物で、
最後の回想は番外個体のものです。