711 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 17:43:53.37 WzFIDeUB0 1/23

30分以上たったので 投稿したいのですが、かまいませんね?
前回ステイルVS のやつを書いた者です。 書きかたを変えて、少し読みやすくなったとおもいます

タイトルはステイルVSエツァリです

前作、絶対等速VS一方通行の続きです。
簡単にいうと、絶対等速が、一通さんの隙をついて倒しちゃった話です。
本編と微妙に時間軸が異なり、海原はショチトル達の現状を知ってますが
原典は取り込んでません。
また、天草式が仲間になった後の話です。

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-34冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320320521/
712 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 17:48:53.32 WzFIDeUB0 2/23

「一方通行をやったのは、お前だな」
病室で特にやることもなく寝ころんでいた絶対等速のもとに、一人の男が現れた。
金髪でサングラスをかけた長身の男だ。180センチはある。
おまえは誰だ、そんな疑問より先にわきあがったのは、

「いつからそこにいる?」

その男はまさに『現れた』と表現するほかないほど、
気配を感じさせずに近づいてきたのだ。

「そんなことはどうでもいい、一方通行をやったんだな?」
「そいつが誰かはしらねえが、白髪のガキとはやりあったな。ところでお前は誰なんだ?」

正確には『戦い』と呼べるほど立派なものではない。
一方通行のおごりのために生じた隙を、偶然つくことができただけだ。

「おまえは今まずい状態にある」

絶対等速の質問など、まるで聞こえなかったかのように男は話を続ける。

「おまえが倒した能力者『一方通行』は学園都市統括理事長の『プラン』
に組み込まれていた。お前には何のことかわからないと思うが、
この街をあげての機密プロジェクトだと考えろ。」
「つまり、その国家機密をおれが潰したから命を狙われている、と?」
「いや、そうじゃない。『プラン』にはスペアがある。
 お前が狙われている理由は、『プラン』にとってイレギュラーな存在だからだ」
「イレギュラー?」
「ああ」

その男の話によると、絶対等速は本来一方通行との戦いで死亡、
少なくとも敗走しなければならず、今現在絶対等速が生きていることは
『ありえない』ことで、調整のために死ななければならないらしい。

「そんな無茶苦茶が通るかよ あんた、おれを殺しにきたのか?」

絶対等速は鉄球に手を伸ばし、臨戦態勢にはいる。
男の話は信じられなかったが、一方通行の件で、いくら警戒してもしたりないと
絶対等速は考えた。

「もし、お前を殺すつもりなら、こんな風に長々話したりはしない」
「じゃあ、何しにきたんだ?」
「お前を助けに来た。『プラン』を実行されては困る連中がいるんだ」

学園都市の敵、そういった連中は絶対等速が計画をぶち壊してくれることを期待し
今の彼を助けようとしているらしい。

「この病院は、アレイスターの手の及ばない機関だ。ここにいるあいだは少なくとも安全
しかし、ここを出るとまずい」
「おれに、どうしろと?」
「退院はあさってだったな。すぐにこの街を出ろ。
護衛のためのエージェントはこちらで手配する」
有無を言わせぬ口調だった。

「エージェント…どんなやつだ」

拒否権がないことを悟った絶対等速は話をうながす。
「赤毛で長身の男だ。神父の格好をしていてバーコードのような刺青があれば間違いない」

(神父?)絶対等速の心に疑念がよぎる。(こいつはオレを担ごうとしてるのか?)

「おいおい冗談だろ?なんだって神父がエージェントなんだよ」
「それは…」

男はここで一呼吸おいた。説明すべきかどうか迷っているようだった。

「それは神父に聞いてくれ」

出し抜けに男はそう言った。

「その話でお前らが信じられると思うか?」

絶対等速の声は挑戦的だ。

「後悔したくなかったら、おとなしく言うことを聞くんだな。
 目が覚めたら監禁されていた、なんてのはごめんだろう?」

男そういい残して、現れた時と同じように部屋から立ち去った。
(何なんだあいつは…)
男の話は信じられない内容だったが、絶対等速は半ば信じかけていた。


713 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 17:51:21.16 WzFIDeUB0 3/23

退院の日
その男(あとでわかったことだが、名は土御門といった)の指定した時刻は午前八時前後、ずいぶん早い時間だと絶対等速は思った。
この時間帯でなければならない理由があるのだろうか?
絶対等速はますます自分がだまされているような気がしたが
病院のロビーを出ると土御門の言っていたことが冗談ではないことに気づいた。
病院の正面の入り口に神父がたっていたのだ。それも、土御門の言っていた通りの。
身長は2メートル以上の長身、炎のような色の赤毛、そしてバーコードの刺青をしていた。

「あんたがエージェントか?」
「ああ。土御門――君が一昨日話した男だが――から話は聞いているだろう 
僕はステイル・マグヌス。君の護衛だ」

ステイルは自動操縦の乗用車を準備していた。これを使って脱出するらしい。

「ちょっと待ってくれよ。一体全体どうして神父のあんたがエージェントなんだ?」

土御門に話を聞いてからずっと疑問だったことを問いかけた。
目の前の神父は確かに長身だったが、細身で、とても腕っ節が強そうには見えなかった。
能力者であれば戦闘力は能力によるため体格は関係ないが(実際、彼が先日戦った
一方通行は、とても学園都市最強には見えない容姿だ)
しかし神父である必然性が理解できなかった。

「それは、移動しながら説明しよう。いずれ知らなければならないことだ。
早いほうがいい」

ステイルは乗用車に乗り込み行き先を設定、車が動きだすと話し始めた。

714 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 17:53:05.24 WzFIDeUB0 4/23

「土御門から聞いていると思うが、僕たちは学園都市とは対極にある組織だ。
 具体的に何をやっているか、それを今から説明しよう」
そういってステイルは一枚のカードを取り出した。
ステイルがカードをふると、突然カードからライターのそれより大きく、
アルコールランプのものより小さい大きさの炎が現れた。

「これを見て君たち能力者はどう考える?」
「そりゃあ…あんたが発火能力者か、しゃれたライターを持ってるなと思うくらいだな」
「そうか、まあそれが当然の反応だろうな。 だが、どちらもはずれだ」

これを持て、と言ってステイルは絶対等速に一枚の護符を渡した。
「なんだこれ」
「それを今説明するよ。僕は発火能力を持っていない。テレパスもだ。」

絶対等速は何を言われているのかわからなかったが、
ステイルに促されて護符を懐に入れたとたん衝撃を受けた。

「テレパスだ…!」

頭の中に精神系能力者の手によるものと同じ、
精神の声とも呼ぶべきものが入ってきたのだ。

「あんた、多重能力者なのか?」
「いや、そうじゃない。カードや、その護符を能力者にして使っているんだ」

ステイルの話によると、彼らは人間以外のもの、カードやステッキなどだけでなく
体の動きや言葉のリズムまでを『能力者』にしているらしい。

「そんなことができるわけない。こいつらに脳はないだろう!?」

今まで当然と思っていた自分の常識が揺らぎ、思わず声を荒げる絶対等速。
それに対してステイルはこう返した。

「脳があれば異能の力が使えるなんて、それこそおかしな話じゃないか
 発火能力者は体にボイラーがあるのかい?電気使いは発電機を持ってるかい?
 永久機関とも呼ぶべき君の能力は、いったいどこから力を得ているんだい?
 いかに理屈をこねようとも、無から有を生み出している点では
僕らの力と同じじゃないか。」

ステイルの話しは筋が通っているように思えた。
それに学園都市における常識、能力は一人一つという観点から考えると
先ほどの現象は説明できない。
しかし、まだ絶対等速は納得できなかった。

「納得できないって顔だね。無理もないか…まあ外を見てごらん」

ステイルに促され、絶対等速は外を見る。
窓の外に移っていたのは信じられない光景だった。
何か異常な物があるのではない。その逆だ。周囲にはまさに人っ子一人いなかったのだ。
学園都市の人口の八割は学生だ。授業の時間には街から人影が消えるのは当然といえよう。
しかし、病院を出たのはかなり早い時刻だった。
本来ならこの時間帯、学生は通学路としてこの道を利用するはずなのだ。

「何をしたんだ!?」

もう絶対等速に疑いの心はなかった。
どんな能力でも、発火やテレパス、そしてこの謎の現象を一度に引き起こせるはずはない。
彼の服装もまた、何かの能力をもっているのだろう。

「人払い、と僕らは呼んでいるがね。普通の人間は無意識的に僕らに近づかなくなる。
気づくのは僕らと同じ『違う力を使う者』だけだ。
 学園都市には見つからないから、その点は安心してくれ。ただ…」
「ただ?」
「学園都市に敵対してるのは僕らだけじゃないんだ。この場合
『敵の敵は味方』というのは成り立たない。 君と僕らの場合と違ってね。」
「つまり、そいつらに狙われる可能性があるのか? 拉致されたり?」

ステイルはうなずいた。

「土御門は怪しいなりだが信用できる。少なくとも情報が漏れていることはないはずだ」

ステイルはそう言ったが、先ほどの発言から考えると
やはり敵襲を警戒しているようだった。
その時、

「妙だな…」

ステイルは何ゆえか車を止めた。

715 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 17:55:15.78 WzFIDeUB0 5/23

海原光貴の顔を借りた偽者、彼は土御門と同じ暗部組織「グループ」に所属していた。
その組織にいるのは彼と土御門の他に、結標淡希という一人の女。
彼女は樹形図の設計者の残骸を回収し、外部へ渡そうとして失敗したという。
海原は直接聞いたわけではなかったが、彼女はそのとき
『白い人影』に邪魔されたらしい。
いまだ、それが誰なのか、何なのかはつかめてはいない。
海原にとってそれは重要な問題ではなかった。
彼が今最も関心があること、それは、
闇に堕ちたかつての仲間を救うことであった。


ショチトルとトチトリ、
海原がかつて所属していた組織に、いまだ縛られたままの二人の少女の名である。
海原が彼女達の現状――組織に『人形』として利用されていること――を知ったのは先日。
組織が自分の求めていた物ではないということはすでに悟っていたが、
彼女達をあのように利用するとは想像もできなかった。
組織を抜け出しておいて勝手だとは思うが、それでも海原は彼女達を救うことを決心した。
自分が身勝手だからといって彼女達を助けられない理由にはならないためだ。
しかし、そのためには組織と交渉する手段が必要だった。今海原は何ももっていいない…
そんな彼の耳に絶対等速の話が届いたのは三週間ほど前。
土御門が話していたのだ。彼は優秀なスパイだったが、
隠密行動ということであれば海原も決して劣ってはいないのだ。
この話を聞いてから海原がとった行動は大きくわけて二つ。
一つは土御門の電話に盗聴器を仕掛けること。学園都市で開発された最新式のもので
その道のプロでも仕掛けられていることに気づくのは困難な代物だ。
さらに土御門が連絡する相手が魔術師であることを容易に想像できる。
人払いを使うため、学園都市の人間にいくら聞かれても
どうにもならないという考えがあるのだろう。
さらに魔術的な盗聴に対しての防御は万全だった。
基本的に魔術師は『科学の力』という物を避けたがる傾向がある。
学園都市内で土御門の会話を盗聴し、行動できる者はいないように思われた…海原以外は。
彼は手段にこだわることはなかった。
二つ目は他の組織に暗部組織に邪魔させないようにすること。
海原が使う戦術の関係上、彼は他の暗部組織のメンバーがステイルの移動ルートに入ってこられると困ることになる。そのため彼は自身の変身能力を使い『メンバー』『ブロック』
『スクール』等の暗部組織に潜入、嘘の情報を流してばらばらの場所に誘い出した。
(これだけの下準備をしたんです。うまくいってくれないと困ります。)
海原は屋根の上で、ステイル達が自分の張った罠に飛び込んでくるのを待ち構えていた。


716 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 17:57:43.38 WzFIDeUB0 6/23

「どうしたんだ、急に止まったりして」

車を停止させたステイルに絶対等速は問いかけた。

「おかしなことがおきてね…この車は自動操縦なんだが、人身事故を避けるために
周囲の人の数や分布を探知できるナビゲーションがついてるんだ。
人払いがある僕らには関係のない話だと思ってたんだが…」
「なんだこれ…」

ステイルが指し示したパネルを見ると、先ほどまで何の反応もなかったのが信じられないほど、大量の点が一箇所に集中していた。

「一体何が起きてるんだ?」
「わからない。敵の部隊が待ち構えてるのかと思ったんだが、
それにしては数が多すぎる。それに動きが不規則だ。一般人としか考えられない。」
「敵が一般人を装っているってのは考えられないのか?」
「そうするメリットが思いつかないね。普通に物陰から攻撃すればいいのに、
わざわざ一般人に化ける必然性が思いつかない」
「つまり、敵がただの一般人を何らかの方法で集めているってことか…」
「ああ、おそらく何か理由があるはずだ。
 敵の出方を探るために、君の力を借りたい」
「おとりになれってことか?」
「いや、そうじゃない」

ステイルの話によると、この自動操縦の乗用車はリアルタイムで外部のネットワークから情報を入手し、それをもとに行動するためハッキング等の被害をうけることがある。
それを手動で防ぐことができるようにするため、中に人が乗ってないと
起動することができないらしい。

「君の能力でこの車をこの人が集まっているエリアに進めてほしいんだ。
「別にかまわないが、それで何かわかるのか?」
「この車に人払いをかけておく。あの集まっている人間がこれに反応するか、しないか
 敵はどんな攻撃を仕掛けてくるか…それを確かめたい。」

絶対等速は複数のワイヤを取り出しより合わせて十分な長さにすると
乗用車の先に引っ掛けた。ワイヤの片側にはフックが着いているのだ。
さらに反対側には鉄球がついている。
絶対等速とは『投げた鉄球が、壊れるか能力を解除するまで進み続ける能力』である。
この状態で鉄球を投げれば、乗用車はワイヤに引かれ、受ける摩擦力の大きさに関らず
等速で進むこととなる。

「車を進めてくれ」

ステイルの合図で絶対等速は鉄球を投げた。

717 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:01:16.27 WzFIDeUB0 7/23

絶対等速の力で移動した車が人のいるエリアに入ると、その周辺の人々は車を
避けるように動いた。
(人払いには反応しているな)
ステイルがそう思った瞬間、
からん、とあっけない音をたてて車がばらばらになった。

「何が起きたんだ?」

絶対等速がそうつぶやいたのも無理はない。
敵は、本来多くの整備士が重たい機械を使って行うような作業を
一瞬のうちにやってのけたのだ。
(いったいどんな能力をどう使ったらあんな真似ができるんだ?)
ステイルと絶対等速はすでに物陰に隠れていた。
敵がどうやって攻撃しているのかわからない状況でうかつに行動することはできない。


718 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:03:08.51 WzFIDeUB0 8/23

(ステイル・マグナス慎重な男だ)

海原はビルの上から見下ろしていた。
彼の戦略の一つは、敵の人払いを利用する、というものだった。
海原は、ステイル達がどの出口で街から出るかは知っていたが、
どのルートを通るかはわからなかった。
しかしステイルは人払いを使っている。
自分が作ったこの『人が集まっている空間』に人払いを使ったものが入ると、
人はそれを避けるように動く。
つまり、この集まった人間は、敵の位置を探るセンサーとして利用できるのだ。
海原がこの空間をつくった理由はそれだけではなかったが…

(しかし、ここに人間が集まったことを何らかの方法で見抜き、車をおとりにするとは
 やはり護衛として選ばれたことはある)

自分の能力がばれるのは避けたかったが、
確実にステイルのみを攻撃できるようにするため
海原は敵の身を隠す可能性がある遮蔽物を破壊する作業に移った。


719 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:05:21.30 WzFIDeUB0 9/23

「何かわかったか?」

絶対等速の口調からはまるで期待してないことがはっきりわかる。

「わかったことは二つだ。一つはこの人々に人払いは有効だということ
敵になんらかの方法で縛られているのかと思ったんだけど、それにしては動きに規則がなさすぎるから、その線は薄いだろう。
もう一つは、敵が目視で狙いをつけているということだ。
人払いであの車から人が離れてから攻撃したということは
トラップを仕掛けているのではなく、目視で狙いをつけているのだろう。」

ステイルの話は筋が通っていたが、依然としてこれからどうすれば良いか見えてこない。
ステイルは少し考えてから口を開いた。

「とりあえず物陰を伝って移動しよう」
「敵に狙い撃ちされるぞ!」
「その点はおそらく大丈夫だ。人の流れからこちらの位置を把握したということは
敵は離れた場所、高い場所から狙っているのだろう。
どのみち行動を起こさないとどうしようもない。」

絶対等速は不安だったが、ステイルの言うとおりこのままでは埒が明かない。
彼らは壁伝いに進み始めた。幸いこのあたりは一種の商店街であり
遮蔽物となるものはたくさんあった。
しかし、ある程度進むとステイルは舌打ちした。

「どうしたんだ?」
「敵のほうが一枚上手だったようだ。」

ステイルに促され、絶対等速は先を見る。彼らの身を隠してくれるはずだった屋根等々の遮蔽物は、無残にもバラされていた。

「少なくとも、敵が目視で攻撃しているという予想は正しかったみたいだ。
事前に対策をしているとはね」
苦々しげにステイルはつぶやいた。
と、そのとき

「あぶねえ!」

ステイル達が身を隠していた屋根が突如として崩れだしたのだ。
絶対等速は攻撃から逃れるため屋根の外へ踏み出そうとした。しかし―

「ここから動くな」

彼はステイルに引き戻された。なにをする、と絶対等速が問いかけるよりも先に、
ステイルは自身のもつ最強の魔術を行使した。

「魔女狩りの王!」


720 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:08:25.40 WzFIDeUB0 10/23

長身なステイルをはるかにしのぐ巨大な体を持った炎の人影が現れる。
その身長は三メートル以上、手にはやはり巨大な十字架を持っている。
この巨人は、虫でもはらうかのように簡単に瓦礫を払いのけた。

「すげえ…けど何だってこんな目立つような技を使うんだ!?
敵に位置がばれちまうじゃねえか」
「すでにこちらの位置はばれている。見ろ、屋根の破壊は、
あるところまでは不規則なのにこの近辺は集中して攻撃してある。
破壊していく作業の中でこちらの位置を把握したのだろう。
そしてもう一つわかったことがある。
敵は直線でしか攻撃できないということだ。」

もし攻撃の軌道が変えられるのなら、位置がばれた時点でステイルは死んでいたはず。
それをせずにこの屋根を破壊したということは、
敵の能力には一直線、一度に一つしか攻撃できないという特性があるのだろう。

「けど、このままここにいたら狙い撃ちされるだけだ、なんとかしないと…」
「僕の魔女狩りの王があれば大丈夫だ。まあ見ていてくれ。」

敵の攻撃が再び飛んできたらしい。魔女狩りの王は一瞬で崩壊してしまった。
どこが大丈夫なんだ、と絶対等速はステイルに目を向ける。
しかしステイルの表情はまったく変わっていなかった。
そして次の瞬間、まるで何事もなかったかのように、魔女狩りの王は復活した。

「自動で再生するんだ。決して倒れない僕の最強の兵士さ」

そういうステイルはどこかうれしそうだった。

「けど困ったことになった。薄々気づいていると思うけど、この魔女狩りの王、
射程距離があるんだ」

ステイルは足元を指差した。大量のカードが設置されている。

「つまり、ここで敵を倒さないと、先に進めないってことか…
 射程距離は、このカードが置いてある範囲ってことでいいんだな。」

ああ、と短くステイルは答えた。

「僕の『炎を操る能力」は射程が短くてね。君の能力で、
あのあたりの屋根を攻撃してもらえないか。幸い弾には困らないだろう?」

先ほどの敵の攻撃で、あたりには、かつて屋根だった、大量の瓦礫が散乱していた。



721 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:09:39.29 WzFIDeUB0 11/23

突如飛来した瓦礫の破片が、海原の顔をかすめる。
気づかれたかと思ったが、となりのビルにもランダムで飛んでいるため、
敵はおおまかな位置しかわかっていないらしい。
しかし、この調子で攻撃されれば、必ずダメージを負うだろう。
さらに、敵の使った魔術によってこちらの攻撃が遮断されている。
この猛攻で狙いをつけられないことがばれると、敵に逃げられてしまう可能性もある。

(プランBを実行しましょう)

海原はビルの非常階段を使って地上に降りた。

722 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:11:05.00 WzFIDeUB0 12/23

「どうする、このまま攻撃を続ければ、敵は自分の対応に忙しくて、
こっちに対処する余裕はない。俺の能力で、空から学園都市を出るって事もできるぜ。」

絶対等速は鉄球を投げながらしゃべった。もちろん鉄球はワイヤで瓦礫とつながっている。

「いや、それはよしたほうがいい。」

ステイルの様子は、何か考えこんでいるようだった。

「学園都市は空から能力者が出入りするのを防ぐために、
熱源探知の防衛線を張ってるんだ。
人間の体温を感知して、機関銃をぶっ放してくる。実弾じゃあないだろうけどね。」

恐ろしい話だ、いくら死に至らないとはいえ、
空中にいる相手を撃ち落とすことに変わりはないのだ。
重傷は免れないだろう。
もっともどんな傷でも死なない限り治せる医者がこの街にはいるが…

「じゃあどうするんだ?」

「敵を無力化するまで安心できないね。何とか敵の位置が割り出せれば…
 それに、この人だかりがどうやってできているのか、
何のためにあるのかもまだ把握できてない」

何らかの力で集められたと思われる人々は、現在ステイル達から距離をとっている。
彼ら二人の周囲で得体の知れないことが立て続けに起こっているのだから当たり前だ。
すると、そのとき、絶対等速は人だかりの中に

『何か黒い物』を持った人間が顔をのぞかせているのに気づいた。
「伏せろ!」

自分より背の高いステイルを押し倒すのは難しかったが、絶対等速はやってのけた。
次の瞬間、乗用車をやった時と同じようなあっけなさで、
背後にあった建物の入り口、自動ドアがばらばらに分解した。

「敵はすでに地上に降りていた、ということか。 敵の姿は見えたか?」
「ああ、金髪で、髪の長い女子高生だった。日本人じゃないみたいだったな」

二人は周囲に目を向ける。人ごみの中に二人が探している人物は見つからない。
すると、また『黒い物』を持った人間が現れた。

「魔女狩りの王!」

いち早く気づいたステイルは、炎の巨人を盾にする。

「どういうことだ、今のは女子高生なんかじゃない、男の警備員のようだったぞ」
「まさか、敵は複数いるんじゃ…」

離れた位置にある人だかりから攻撃してくる敵、そして自身と絶対等速が目撃した
敵の姿の違い、これらからステイルは一つの答えを導きだした。

(敵は複数いるのか? いや、おそらくそうではない。
複数いるなら同時に攻撃してくるはずだ。 そして、この人だかり…
敵は何故人だかりを作ったのか?
その答えは…変身能力か!?
敵はなんらかの魔術で自身の姿を変えているに違いない!)


723 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:12:02.40 WzFIDeUB0 13/23

わかったところでどうしようもなかった。

(まずはこの人だかりを何とかしなければ)

ステイルは絶対等速つれて、最も近い周囲から隠れられるような袋小路へと入った。
魔女狩りの王の射程ぎりぎりのところだ

「持久戦はまずい」

ステイルは唐突にこういった。

「僕らの仲間が、学園都市の外部でテレポートゲート、とでも言うべきものを持って
待機しているんだが、これは使える時間が限られていてね」
「つまり、早く敵を何とかしないと、この街から出られないってことか」

絶対等速の顔は焦りに満ちている。自分の命がかかっているのだから当然だ。

「どうすんだよ。敵は複数いるみたいだし…」
「いや、敵は一人さ。恐らく変身能力を使っているんだろう」

ステイルは断言できた。

「とにかく、あの人だかりを何とかしないことにはどうにもならない。
 けれど僕たちが彼らを直接傷つけたら、
学園都市と戦争になってしまう可能性もあるからうかつに攻撃することはできない」
「敵対してるんじゃないのか? ずいぶん平和主義なんだな
もっとでかい戦争みたいなことやってるのかと思ったんだが」
「そういう連中を止めるのも僕らの仕事さ。一枚岩じゃあないんだよ。僕らの組織は」
「そうか」

そうしてしばらく両者は黙り込む。すると突然、
何か閃いたかのように絶対等速は口を開いた。

「あそこにいた連中は、なんだか『出口のない迷路』に入れられたみたいな、
妙な焦りが顔に出てた。 あんた達が使う人払い、だったか?
それで、もし牢屋みたいな出入り口が一つしかない場所の、
出入り口から人を遠ざけたら、中にいる奴はどうなるんだ?」

「そりゃあ、出口に近づかなくなるから…
 そうか!!君は天才だよ。その妙な力がなければいい魔術師になれたろうに」

二人は、敵がどうやって人々を閉じ込めたのか理解した。
人払いとは、人を無意識的に仕掛けられた場所から遠ざける魔術だ。
人はその場所に近づかなくなるが、決して人そのものを消してしまうわけではない。
つまり、『人が出入りする場所』に人払いをしかけると、中にいる者はそこから出ることが
外にいる者はその中へ入ることができなくなる。
結果として、別の人払いで払われてその場所を離れようとしても、
その場にいるものは外へ出ることができないため、
人払いが効いていないかのようなエリアができるのだ。
敵はこの付近の人が出入りする通路に人払いをしかけていたのだった。

「今度はこちらから仕掛けるとしよう ひとついい作戦があるんだ」


724 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:12:53.55 WzFIDeUB0 14/23

海原は敵が入っていった袋小路から離れた位置に立っていた。

(敵はルーンを使う。ということはうかつに踏み込めば黒こげになるでしょう
それに自分の能力は狭い場所や、接近戦には向いてません)

彼は慎重な男である。そうでなければ、スパイは勤まらないのだ。

(さて、彼らがどう出るか…)

そう思っていると、突然爆音がなり響いた。
敵はビルの側面を爆破したのだ。

(攻撃から逃れるため、でしょうか。それにしてはずいぶん派手に壊しますね)
怪訝に思ったが、敵の位置が、おおざっぱとはいえ把握できたのは幸運だ。
そう考え、海原は敵が入ったと思われる建物に、目を向ける。

(音の響き方、聞こえた方向から判断すると…あのブティック?)
敵が逃げ込んだ(と思える)建物、それはブティックだった。

725 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:13:45.41 WzFIDeUB0 15/23

怪訝に思う海原をよそに、ステイル達は作業を進める。
使うのは、二つのマネキン。
一つは加工が必要なかった。絶対等速は、割と普通の体格だったためだ。
そしてもう一つ。このマネキンには随分と手の込んだ仕掛けがほどこされていた。
ステイルは、その炎の力でこのマネキンを部分的に溶かしたり、変性させたりして
体を、特に手足を伸ばす。さらに、腕、足胴体をパーツごとに切り分け、
その中に特殊なルーンを刻んだ。
これで、このマネキンを任意の条件で任意の温度で発熱させることができる。
そうして切り分けた二つのマネキンを、ステイルは神父服の中に隠した。

「準備はできた」


726 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:14:57.07 WzFIDeUB0 16/23

海原はブティックから出たステイル達を目で追った。
彼らは、いつの間に上ったのか建物の屋上を移動していたのだ。

(何を考えてるかわかりませんが、決着は早くつきそうですね。
 屋根の上では移動できる場所は限られてきます。)

黒曜石のナイフを握り海原は笑みを浮かべた。
ステイル達は、屋根から飛び降り、どこかの路地裏に向かったようだ。

(絶対等速の能力でしょうか、けど位置は割れてますからね。)

さらに、海原にとって幸いなことに、人々がステイル達のいるあたりへ動き出した。

(人の流れを読む技術、というのはこういった状況で重宝するものです)

人ごみに紛れて攻撃するという戦術の特性上、海原はそういった技術に長けていた。

727 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:15:43.12 WzFIDeUB0 17/23

ステイルは路地裏にたどり着くと、付近にルーンを設置した。

「僕がはなれてしばらくすると
この周囲を吹き飛ばす炎だ、巻き込まれないよう注意してくれ」
「ああ、わかってる。あんたも見つからないようにしてくれよ」

そういって二人は分かれた。


728 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:16:59.44 WzFIDeUB0 18/23

突如立ち上る炎を見て海原は勝利を確信した。

(しびれを切らせて周囲を焼き払うことにしたんですか。
 ステイル・マグヌス、慎重な男だというのは過大評価でしたか)

そして、人の流れに乗って、(どういうわけか、周囲の人間はこの炎に近づいていた)
少しずつ路地裏に近づくと、そこから二つの影が飛び出した。
身長の大きいほうがステイルだろう、
絶対等速は学園都市防衛ラインが打ち落としてくれる。
そう考え、海原は長身のマネキンに狙いをしぼり、分解した。

(勝った!)

しかし、敵の作戦は海原の予想をはるかに超えていたのだった。


729 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:17:50.73 WzFIDeUB0 19/23

海原が分解したもの、それは当然ダミーだ。
そしてステイルのダミー人形には、任意の条件で発熱するルーンが刻まれている。
その発熱する条件とは?
海原の手でダミーが分解された時だ。
この発熱するダミー人形に、学園都市防衛システムはどう判断を下すか。
一時的にだが、人が空を飛んでいるように感知されるのだ。

さらに絶対等速が、この人形を投げ、ステイルが周囲を焼き払った路地裏は比較的、
この防衛システムの正面になっている。
学園都市防衛システムから放たれた弾丸は、
海原の手で標的が破壊されてしまっているため、ばらばらになったダミーを攻撃するに
とどまらず。路地裏周辺まで弾丸をばら撒くこととなる。

さらに、路地裏には、ステイルが人払いを破壊したため、大量の人間がいる。
人に紛れて攻撃する海原も、当然その人だかりに含まれる。

そのため、学園都市防衛システムから放たれた弾丸は、
周囲の人間ごと、海原を攻撃することになるのだ。

730 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:18:54.02 WzFIDeUB0 20/23

「ぐあっ!」

突如襲ってきた弾丸に海原は対処できなかった。
肩や足に被弾したそれは、威力を軽減してあるとはいえ、
運動能力を失わせるのには十分な威力だ。

「くそっ」

海原はナイフを使おうとしたが、目の前に、炎の巨人が立ちふさがる。
これまでか、と海原は死を覚悟したが、魔女狩りの王は攻撃してこなかった。
(射程距離か…命拾いした)

そう思っている間に、術者が離れすぎたせいか、魔女狩りの王は消滅した。


731 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:20:02.85 WzFIDeUB0 21/23

「ぎりぎりだったぞ、危ないな」

どうにか無事だった絶対等速は路地裏のわき道を通っていたステイルに追いついた。

「敵はおそらく始末しただろうから安心していい 
それにこの分だと時間にも間に合いそうだ」

ステイルはそう言った。出口は目前だった。



732 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:21:06.31 WzFIDeUB0 22/23

「ひどいやられ方をしたみたいね」

海原のもとに彼の同僚である結標淡希が現れた。

「ずいぶんと早いじゃないですか。それで、どうするんです?
裏切り者として、僕を始末するつもりですか?」
自分のやったことを思えば、彼女が来た理由はそれぐらいしか思いつかなかった。
土御門に直接手を下したわけではなかったが、会話を盗聴し、
その情報で彼の不利益となることをしたのだ。始末されて当然だ。
しかし、彼女は海原に手を下すことはなかった。
それどころか、逆に彼に手を差し伸べたのだ。

「いったいなんのつもりです?」
「別に、ただ、せっかく同じ『グループ』なんだから 
何も殺しあうことは無いんじゃない?殺せって命令も出てないわ」

一瞬、海原は目の前の女が何を言っているのか理解できなかった。

(自分は死ななくてもすむんでしょうか)

なんにせよ、助かるなら幸運だ。海原は結標の手を取った。
 


733 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga] - 2011/12/12 18:22:12.51 WzFIDeUB0 23/23

これでおしまいです。
ストーリー的には浜面に起こったこともろパクリですね。
次は姫神とかで書こうと思ってますが、妄想設定が今以上にすさまじくなっているため
書こうかどうか迷ってます