320 : 以下、あけまして[saga sage] - 2012/01/03 23:43:37.30 wsE1mSO9o 1/14

12レスもらいます


 黒子は正義のじゃっじめんと
 みんな仲良し

タイトル「もっこもこですの」

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-35冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324178112/
321 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:44:06.92 wsE1mSO9o 2/14

 ある冬の寒い日。
 特にこれといった用のない美琴は、部屋に籠もって図書館から借り出した本を読んでいた。
 せっかくの休日だけれども、とりあえず外出する用事はない。
 寒いし。

 んしょ、んしょ

 ふと気付くと、黒子が外出準備をしている。

「黒子、何処か行くの?」

 じゃっじめんと、ですの

「あー。巡回か。寒いのに大変ね。えらいえらい」

 ふふん、と黒子は胸を張る。
 誇らしそうなその姿に、美琴はクスクスと笑いながら頭を撫でる。

「風邪ひかないように、ちゃんと服着ないとね」

 はっ、と何かに気付いた黒子が素早く身を翻そうとしたところを、さらに素早く捕まえる美琴。

「こぉら、駄目駄目。面倒くさいとか動きづらいとかじゃなくて、ちゃんと厚着しなさい」

 美琴はてきぱきと黒子に上着を着せる。
 黒子は嫌々と抵抗するけれど、美琴は無視して服を着せていく。

「はい、コートは貸してあげる。それ、温かいのよ」

 もっこもこ、ですの

 着ぶくれた黒子は、真ん丸な姿になってすっくと立っている。

「んー。ちょろっと動きにくいかも知れないけれど……」

322 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:44:35.35 wsE1mSO9o 3/14

 黒子は歩き出す。
 足を前に、というよりも、重心移動でえっちらおっちら、と。

「うん。歩けるわね。走るのは難しいけれど、テレポートできるからその辺りは大丈夫よね」

 黒子は頷いた。

 行ってまいります

「はい、いってらっしゃい。気をつけてね。なんかあったらすぐ連絡するのよ」

 お姉さまは、ジャッジメントではありませんの
 ですから危ないことに近づいてはなりません

「何言ってんのよ。私はジャッジメントの手伝いなんてしないわよ。私は、可愛い後輩を助けに行くの。後輩を助けるのが先輩の努めでしょう?」

 てれてれ

「ほらほら、そんなところで照れてないで、早く行かないと、固法さんに怒られるわよ」

 今度こそ、行ってまいりますの

「はい、いってらっしゃい」

 もっこもこになった黒子は、寮を出ようと歩き出す。
 玄関まで辿り着いたところで、

「どうした、白井、外出か?」

 寮監が玄関口に立っていた。
 どうやら、生徒の出入りを見守っている様子。

 じゃっじめんと、ですの

「そうか、この寒いのにご苦労だな。よし、行ってこい」

323 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:45:06.30 wsE1mSO9o 4/14

 行ってまいります

 とことこと歩き出した黒子に、寮監は再び声をかける。

「いや、待て。白井。いいか、そこで少し待っていろ」

 首を傾げた黒子が待っていると、すぐに寮監が帰ってくる。
 その手には、シックな色のマフラー。

「今日は寒くなる天気予報と言っていたからな。これを貸してやろう。ほら、こっちに来い」

 黒子の首にマフラーをしゅるしゅると巻く。

「どうだ、白井」

 もっこもこでぬっくぬく、ですの

「それは良かった。温かくして行ったほうがいいからな」

 行ってまいります

「あまり遅くならないようにな」

 時計を見た黒子は、集合時間にやや遅れていることに気付く。
 仕方がないのでテレポート。
 何度目かのテレポートの結果、着いたところは黒子の所属するジャッジメント支部。
 かちゃりと戸を開けると、既にそこには固法先輩と初春の姿が。何故か佐天も。

 ごめんなさい
 遅れましたの

「ああ、白井さん、大丈夫。時間通りよ」
「白井さん、随分温かそうな格好ですね」

324 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:45:27.31 wsE1mSO9o 5/14

 もっこもこでぬっくぬく、ですの

「いいなぁ。それ、御坂さんのコートですよね」

 満面の笑みで嬉しそうに頷く黒子。
 お借りしましたの
 マフラーは寮監さまですの

「今日は寒いですからね。私も毛糸装備ですよ」

 手を挙げて、くるりと回って、

「毛糸の手袋に毛糸のマフラー」

 佐天の手が伸びる。

「あと、毛糸のパンツ。そーれぇ!」

 ふわり、と初春のスカートがめくれた。
 慌ててスカートを押さえる初春。だけど黒子には、毛糸のパンツがハッキリ見えてしまった。

 おー、毛糸ですの

「佐天さん、なにするんですか!」

「いや初春、今のは明らかにネタ振ってたよね」

「ち、違いますよ」

「またまたぁ。見せたかった癖にぃ」

「違いますってば!」

「いい加減にしなさい。騒ぐようならここから叩き出すわよ」

 固法に言われて慌てて口を閉じる佐天と初春。
 
 それでは、私は巡回に行ってきますの

325 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:45:58.51 wsE1mSO9o 6/14

 黒子が一礼して出ようとすると、

「あ、待ってください、白井さん」

 ? と立ち止まる黒子。

「頭がなんだか寒そうですよ、これ被ってください」

 差し出したのは毛糸の帽子。
 毛糸の色が手袋、マフラー、そしてパンツとお揃いだ。

 いいの? と首を傾げる黒子に初春は頷く。

「これ全部セットで佐天さんに貰ったんですけれど、私、帽子は駄目なんです」

 佐天も頷き、

「うん。初春のそれのこと、うっかり忘れてたんだよね。ショックだけど、勿体ないから良かったら白井さんが使ってください」

 初春が示しているのは頭の花飾り。
 確かに、花飾りを付けたままでは毛糸の帽子はかぶれない。
 黒子は、謹んで毛糸帽を受け取ることにした。
 初春が手を伸ばし、黒子に帽子を被せる。

「あはっ、ピッタリですね」

 ぬっくぬく、ですの

「白井さんも完全耐寒装備ですよ」

 ぬっくぬくのもっこもこ、ですの
 では、巡回に行ってきますの

「はい、私はここでモニターしてますから。何かあったらすぐに連絡してくださいね」

 えっちらおっちらと、詰め所を出て行く黒子。

326 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:46:20.08 wsE1mSO9o 7/14

 詰め所を出てから十数分後、黒子は事件に遭遇することになる。

 それは、非常に些細な出来事だった。

 一人の青年が一万円札を一枚落とした。
 財布に入っていたわけではない。何かの買い物をしたときに、一枚だけをポケットに入れていたのだろう。
 その札を、別の青年が拾う。
 拾った青年は、ネコババをするつもりなどなく、落とした青年に声をかける。
 落とした青年が礼を言って受け取れば、それで全てが終わるはずだった。
 しかし……
 落とした青年が、ホストとチンピラを足して二で割ったようなイケメン、
 拾った青年が、白髪の細い青年でなければ……
 
「おィ、落としもン……あァ?」

「あ、悪ぃ……ああ?」

「あァ? 落としもンとは、垣根くンも惚けてきたンですかねェ」

「はあ? 落とすわけねえだろ。モヤシみてえな貧相で惨めな男に恵んでやってんだよ」

「あァン? 誰が惨めだって?」

「こらてめぇ、誰が惚けたって?」

「おィおィ、今日から第三位以下が全員繰り上げだァ、みこっちゃン大喜びするンじゃなィですかねェ」

「はっ、第一位が消えて全員繰り上げか。御坂のやつも大喜びじゃねえか」

 麦野や食蜂を喜ばせるつもりは二人ともないらしい。
 勿論、削板は論外だ。

「垣根くゥン、ちょっと死ンでくれるかな」

「てめえが死ねっ!」

 じゃっじめんと、ですの

327 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:46:47.22 wsE1mSO9o 8/14

 二人の動きが止まった。
 二人の間に突然現れたのは、茶色のもこもことした丸っこい物体。
 いや、おそらくは着膨れた人間。

「……なンなンですかァ、このもっこもこはァ!?」

「……温かそうだな」

 喧嘩の制止、ですの
 暴力は駄目、ですの

「……いや、だから誰だって」

 じゃっじめんと、ですの

「お、おい、一方通行、こいつは……」

「あァ?」

「着膨れのもっこもこでわかりにくいが、白井黒子じゃないのか?」

「ジャッジメントの?」

「ああ」

「みこっちゃンの後輩の?」

「御坂の後輩の」

「あ」

「どうした、一方通行」

「よく見たら、こいつの着てるの、みこっちゃンのコート」

「な……んだと……?」

 二人の鋭い視線を向けられても、黒子は動じない。

328 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:47:14.32 wsE1mSO9o 9/14

 じゃっじめんと、ですの
 喧嘩は駄目、ですの

「おい、そのコート、温いのか?」

 垣根の問いに頷き、

 ぬっくぬく、ですの

「着心地良ィのか?」

 一方通行の問いに胸を張る。

 フローラルな香り、ですの

「フローラル……だと?」

「くっ……さすがは第三位ってわけか」

 さっきまで殺気立っていた二人の様子に黒子は当惑するけれど、それでもジャッジメントは負けない。

 じゃっじめんと、ですの
 喧嘩はおしまい?

 黒子の言葉で顔を見合わせる二人。
 そういえば、さっまで一触即発だったような気がする。

「おゥ、これ、落としただろ」

 一万円札を再び差し出す一方通行。
 垣根は汚いものでも見るように札を見下ろす。

329 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:47:40.91 wsE1mSO9o 10/14

「知るか。お前の触った札なんぞいるか」

「あ? 垣根菌のついた札なンか、まともに触ると思ってンですかァ? 反射して宙に浮かしてンですけどォ?」

「器用なことしてんじゃねえよ」

「いィからさっさと受け取ってくれませンかねェ、反射とはいえ手が腐りそォなンで」

「恵んでやるっつってんだろ、金拾うなんてだせえことしやがって。あれか、毎日下向いて金探しまわってんのか、世知辛いなぁ、第一位」

 黒子は二人のやりとりをきょろきょろと目で追っている。
 そして、理解した。
 これはお金のやりとりをしているのだと。
 一方通行が拾ったお金を、垣根提督が受け取り拒否しているのだと。
 お金は大切なものである。
 自らもレベル4であり、実家もそれなりの資産家である黒子はお金に困ったことはない。
 それでも、お金の大切さは幼少時よりしっかりと叩き込まれている。
 だから、垣根が受け取り拒否する理由がわからない。
 これが一方通行によるネコババであり、取り返そうとする垣根との争いならば理解できる。

 じゃっじめんと、ですの

 しかし、黒子は動いた。
 争いは止めなければならない。
 なぜなら、黒子は誇り高きジャッジメントなのだから。
 
 二人の動きは、黒子の行動によって再び止まる。
 二人の視線は黒子、いや、黒子の取りだしたものへと。
 
「なンだ、そりゃ」

「おい、わけわかんねえぞ、嬢ちゃん」

 そこには二枚の五千円札。
 黒子は一方通行の手から一万円札を奪うと、五千円札を一枚ずつ一方通行と垣根に渡す。

 はんぶんこ、ですの

330 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:48:07.22 wsE1mSO9o 11/14

「いや、そォいゥ問題じゃ……」

 はんぶんこ、ですの

「あのな、嬢ちゃん……」

 はんぶんこ、ですの

 黒子の意思は硬い。
 ジャッジメントは退かない媚びない顧みない。

「話は聞かせて貰った!」

 第三の男の乱入に、思わず身構える二人。

「……ちっ、三下ですかァ」

「なんだ、上条か」

「二人とも、くだらないことで争ってんじゃねえよ。周りの人がびびってるっての」

 いつの間にやら上条の手には五千円札が二枚。

「というわけで、争いの元は上条さんが没収のことですよ」

「あ、てめェ」

 垣根が咄嗟に黒子に向き直る。

「おい、ジャッジメントの嬢ちゃん。あいつ、泥棒の現行犯だ」

 じゃっじめんと! ですのっ!

「え、ちょっと待て、白井! お……ぐっがふっ」

331 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:48:33.80 wsE1mSO9o 12/14

 必殺テレポドロップキック改め、もっこもこテレポドロップキックがツンツン頭に炸裂する。
 ノーバウンドと言うほどではないけれど、結構な仰け反り方でもんどり打って倒される上条。
 すかさず駆け寄った垣根は五千円札を回収。

「オッケー、取り返した、ありがとよ。ジャッジメント」

 垣根の賞賛に、ふんすっと胸を張る黒子。

 勝利、ですの

 一方通行は上条を助け起こしている。

「おォい、生きてますかァ?」

「な、なんとか……」

 上条を助け起こしたまま顔だけ振り向いて、

「で、その金は結局どうすンですかァ、垣根くン」

「あー、なんか、白けたというかケチがついたというか……」

 垣根が上条を見た。上条は垣根の視線に疑問符を飛ばす。

「よし、上条、この金で頼むわ」

「は?」

「鍋やろうぜ、鍋。寒いし」

「いや待て、なンでそォなる」

「別に上条さんは構いませんが……というか、食費が浮くのは嬉しいけど……魚で良いか?」

「待て馬鹿、肉に決まってンだろ」

「てめ、やる気満々じゃねえか」

 仲が良いのか悪いのか、言い争いながらもまとまっていく三人を背景に、黒子はその場から去っていく。
 ジャッジメントは忙しいのだから。

332 : 「もっこもこですの」[saga sage] - 2012/01/03 23:49:01.63 wsE1mSO9o 13/14

 支部に戻り、報告を住ませると常盤台の寮へと戻る。
 もうすぐ夕飯の時間だ。

 お腹ぺっこぺこ、ですの

 働いた後のご飯は美味しい。
 だから、今日のご飯もきっと美味しい。
 お姉さまと一緒に食べるともっと美味しい。
 だから、黒子はご飯が楽しみだ。

「お帰り、黒子」

 お姉さま、ただいま戻りましたの

「あれ? その帽子とマフラーどうしたの?」

 黒子はそれぞれについて説明する。
 帽子は初春から。マフラーは寮監から借りたのだと。

「そっか。だったら、初春さんには明日お礼言わないとね」

 寮監さまにはこれから言いますの

「そうね。今からちょうど夕飯だし。一緒に行こうか、黒子」

 はい、お姉さま

「ところで黒子」

 はい

「今日の巡回はどうだった?」

 学園都市は、今日も平和でしたの 

333 : 以下、あけまして[sage] - 2012/01/03 23:49:37.26 wsE1mSO9o 14/14

以上、お粗末様でした

黒子可愛いよ、黒子